Saint Snowの2人の弟である俺は『人殺し』 作:七宮 梅雨
~千歌視点~
奥山くんの家を後にした私達は、花丸ちゃんのお見舞いに行くためにバスに乗って病院へと向かっていた。
けど、みんなの顔はあまり優れてない。
それもそうだよね。零さんにあんな話を聞かされたら誰だってテンション低くなるよ。
私達は奥山くんの過去について色々と零さんに教えて貰った。
奥山くんが本当はSaint Snowの鹿角聖良さんと鹿角理亜ちゃんの実の弟だったとか、10年前に彼の両親によって児童施設に送られたことや、児童施設に送られた原因として…………………
家族を守るために人を殺めてしまったことなども…………
零さんからこの話を聞いた時に、私達はもはや言葉すら出なかった。
曜「まさか、奥山くんにそんな過去があったなんて…………」
ルビィ「うん…………」
曜ちゃんの言う通りだよ。普段の奥山くんは頭が良くて、器用で、真面目で、皆に気配りができて…………………強い男の子だった。どっからどう見ても『人殺し』には見えないよ。
果南「でもさ、どうして鞠莉とダイヤは知ってたの??」
果南ちゃんが鞠莉ちゃんとダイヤさんに聞く。確かに…………、それは私も気になったやつだ。
鞠莉「…………うちの学校で唯一、男子で入学した生徒だったから気になって調べたの。その時に……………」
ダイヤ「私は鞠莉さんが彼に話しかけてるところに偶然、居合わせてしまって………………それで…………」
鞠莉ちゃんとダイヤさんは気まずそうに答える。今ここで2人を責めても何も起きない。
そして、私達は病院に着くまで会話をすることが無かった。
〜病院〜
病院に着き、受付で手続きをしたあと花丸ちゃんがいる病室へと向かった。
私達は花丸ちゃんのいる病室の扉の前まで来たが、誰も扉を開けようとしなかった。
扉を開けようとすると、あの奥山くんの姿を連想させてしまうから。もし、花丸ちゃんも奥山くんと同じ状態へと陥っていたとしたら…………。そう考えるとなかなか扉を開けることが出来なかった。
すると、突然ガララと扉が開いた。
花丸「誰ずら??」
花丸以外「ぎゃーー!!?」
花丸「ずら!?」
突然の事だったので、ビックリした私達は大声を出して叫んでしまった。
花丸「み、みんな落ち着いて!!ここ、病院ずら!!」
病室から出てきた花丸ちゃんの言葉で私達は何とか落ち着くことが出来た。てか……………
花丸以外「花丸ちゃん!?」
花丸「今、気づいたずら!?」
みんなの言葉で花丸ちゃんはショックを受けてしまった。ご、ごめんね
何やかんやあったけど、ようやく病室へと入った私達はお見舞いの品を花丸ちゃんに渡す。
花丸「ずらぁ!?これ、貰っていいずらか!?」
花丸ちゃんは私達が持って来たフルーツの詰め合わせを見て目をキラキラとさせていた。でも、なんかこの姿を見てると
善子「な、なんかいつも通りのずら丸ね」
うん。それ、私達も思った。
千歌「ーーーーーーあ」
けど、私は見えてしまった。
花丸ちゃんの左肩に包帯が巻かれていることを…………。そして、その包帯は微かだけど赤く滲んでることを…………。
花丸「見えちゃったずら??」
私の視線に気が付いたのか、花丸ちゃんは肩に手を置いて悲しそうに答える。
千歌「ご、ごめんね」
花丸「うぅん。千歌ちゃんが謝ることじゃないよ。マルが勝手にやったことだから………」
善子「ずら丸……………あんた」
ルビィ「花丸ちゃん………」
花丸「お医者さんによると、傷は少しだけ残っちゃうみたいずら。でも、マルは後悔してないよ。だって…………」
花丸「明くんをまた『人殺し』になるのを阻止したから…………」
花丸以外「!?」
善子「ずら丸……………貴女知ってたの??」
善子含め、私達も驚きの表情を見せる。鞠莉ちゃんやダイヤさんの他にも奥山くんの事情を知ってる人物がいたなんて………
花丸「うん。合宿の時に3人で話してるところを聞いちゃったずら」
ダイヤ「あの時ですか。なるほど…………」
ダイヤさんは納得したかのように頷く。けど、鞠莉ちゃんはどうやら知ってたみたい。
花丸「その様子だと、他のみんなも知っちゃったみたいずらね」
千歌「うん…………。奥山くんのお見舞いに行った時にね」
「奥山くん」という言葉を聞いた時、花丸ちゃんはピクっと反応した。
花丸「明くんの様子はどうだったずら??」
千歌「それは……………」
花丸ちゃんの言葉に私は奥山くんの現状について話そうか迷った。その時、曜ちゃんと梨子ちゃんの2人が私の肩に手を置いた。
曜「千歌ちゃん、言おうよ。」
梨子「うん。花丸ちゃんも知った方がいいと思う」
千歌「…………分かった。」
2人の言葉で、言う決心した私は花丸ちゃんの側まで駆け寄り言葉を出した。
千歌「あのね…………今の奥山くんは……」
~花丸視点~
千歌ちゃんの口から、今の明くんの様子について教えて貰った。けど、想像以上に酷いものだったずら。
花丸「そうずらか………」
千歌「ごめんね、何も出来なくて」
千歌ちゃんは少し悔しそうにして答える。どうして謝るの??別に千歌ちゃんが悪い訳でもないのに…………
ーーーコンコン
Aqours「!?」
扉から急にノックの音が聞こえてきたずら。誰ずら??おばあちゃんならみんなが来る前に来てくれたし…………、忘れ物でもしちゃったずら??
花丸「ど、どうぞ」
??「失礼するわね」
病室に入ってきたのは、おばあちゃんではなく見知らぬ赤髪の女性だった。本当に誰ずら??
花丸以外「零さん!?」
ん?零さん??みんなはこの人の事知ってるずら??
善子「奥山くんの育ての親よ」
善子ちゃんがコソッと教えてくれたずら。そっか、この人が…………
梨子「どうして、ここに??」
零「まぁ、色々とね」
零さんはそう言いながらマルの側まで駆け寄り、深く頭を下げ始めた。
Aqoursの 「!?」
零「言いに来るのが遅くなってしまいすみませんでした。そしてこの度は、うちの明が大変貴女に迷惑をかけてしまいました。本当にごめんなさい。」
花丸「ずら!?あ、あの!!顔を上げてください!!」
零さんの唐突の謝罪にマルは困ってしまった。こういうこと初めてたがらどうすればいいのか、分からないずら。
顔を上げた零さんは次にポケットからメモとペンを取り出してマルに話しかけた。
零「あと、貴女の住所教えてくれないかしら??」
花丸「え?あ、はい」
そして、マルは零さんに住所を教え零さんはカキカキとマルの住所をメモに取った。
花丸「ーーーーーーです。」
零「ありがとう。」
千歌「あの………住所なんて聞いてどうするんですか??」
千歌ちゃんの言葉に零さんは一言だけ呟いた。
零「どうするって、この子の両親に謝罪しに行くのよ。親として当然のことでしょう??行くの遅くなっちゃたけど………」
そう言って、零さんは「また………」と言って病室から出ようとしたが出る寸前で止まり私たちの方へ顔を向けた。
零「あと、貴女たちはひとまずラブライブの方に集中しなさい。」
Aqours「!?」
零「明ちゃんのことは私に任せて。あの子を救えるきっかけを作ってあげるわ」
ダイヤ「きっかけ………ですか??」
零「えぇ。」
善子「どうして『きっかけ』だけなの??」
善子ちゃんの単純な質問に零さんは悔しそうにしながら言葉を出した
零「私が彼に出来ることは…………………それしかないから」
零さんはそう言って部屋から出ていった。
曜「千歌ちゃん………どうする??」
曜ちゃんの言葉に千歌ちゃんは………
千歌「零さんの言う通りにしよう!!私達にもやらなくちゃいけないことがあるから……………。」
千歌ちゃんの言葉にマル含め、他のみんなも頷いた。
ラブライブの映画はまだ見てませんが、もうすぐ観に行きます。なんか、Saint Snowさんが素晴らしいという話を聞きました。この作品と関わされたら嬉しいなぁ…………。
次回から、本編に徐々に戻っていきます。
みんな大好き『想いよひとつになれ』編です
どうぞお楽しみに(* • ω • )b