Saint Snowの2人の弟である俺は『人殺し』 作:七宮 梅雨
あれから…………あの事件からどれくらいの日にちが経過したのだろうか。
分からない…………分かりたくもない。
俺はまたしても罪を犯してしまった。得体の知れない何かの囁きによって、身体や精神を支配されて…………それであの男をナイフで殺そうとした。
けど、急に花丸さんが奴を庇って……………俺は彼女の肩にナイフを刺してしまった。
命に別状はないと零さんに聞いて少しだけ安堵な気持ちとなるが、内心それどころでは無かった。
彼女達に合わせる顔がない。
そりゃあ当然だ。あれだけ怖がらせてしまったのだから。
しかし、今ここでどれだけ足掻こうとしてももう遅い。
俺はもう……………あの場所へは戻れない。戻りたくもない。
明「………………………は??」
ここは………どこだ??
気がついたら、俺は辺り一帯が白い霧で包まれている空間へと立っていた。おかしい………俺は自分の部屋に居たはずなのに。
するとビューと、強い風が吹きあっという間に白い霧が晴れて行った。
そして、霧が晴れた俺の目の前に現れたのは…………
明「茶房菊泉……………」
そう。俺が10年前まで住んでいた鹿角家の実家であった。どうして……………
すると、誰かが俺の肩に手を置いた。
振り向くと、そこには誰もが見ても怒ってると思わせるようなオーラを纏った俺と瓜二つのツインテールの女性…………俺の双子の姉である鹿角 理亜が立っていた。
明「理亜姉ちゃん…………」
理亜「ちょっと明!!あんた何サボってんのよ!!」
……………………は??
理亜「今はお客さんが1番多い時間帯って知ってるでしょ??今はママと姉様の2人で頑張ってるから早く行くよ!!」
理亜姉ちゃんは俺の腕をつかみ、茶房菊泉の方へと向かわせる。俺は驚いてその手を振り払った。
理亜ちゃんも驚いたのか目を丸くした。
理亜「な、何よ…………」
明「どうして…………そんなことすんだよ。俺は…………『人殺し』なのに………。」
理亜「はぁ??『人殺し』??あんた何言ってんの??馬鹿なの??」
…………………はい??
理亜「そんな馬鹿なこと言ってないで早く行くわよ!!」
明「ちょ………!?」
理亜ちゃんは再び俺の腕を掴み、歩き出す。この人、力強くない!?ビクともしないんだけど!?
この人に、茶房菊泉の厨房の方へと引きずり出された。
理亜「ちょっと、姉様。明ったら自分は『人殺し』とか意味わかんないこと言ってこの忙しい中、サボろうとしてたのよ!」
理亜ちゃんの言葉に、厨房でぜんざいを作っていたサイドテールの女性……………俺達の姉である鹿角聖良が優しく微笑んだ。
聖良「それは面白い冗談ですね。明、いくらサボりたくてもそれはどうかと思いますよ」
明「いや、そういう訳じゃ…………」
聖良「ほら、早く明もエプロン来てこっち手伝って下さい。」
聖良姉ちゃんはそう言って、俺にエプロンを渡す。姉ちゃん達と違ってヒラヒラが付いていないシンプルな紺色のエプロンだった。
明「………………」
俺は、エプロンを手に触れようとした寸前で手が止まった。
俺は………本当にここにいていいのだろうか??彼女達と一緒にいてもいいのだろうか??という気持ちへとなる。
なぜなら………俺は『人殺し』だから。『人殺し』になってしまった故、俺は彼女達と離れ離れへとなってしまった。
しかし、この状況を見て俺は1つの考えを導き出す。
ーーーもし、これまでのが夢だったとしたら??
本当は俺は『人殺し』などしてなくて、そのまま彼女達と一緒に10年間過ごしていたら??
いや、そんなことはない。俺は確かに人を殺めた。人を殺めて………俺は鹿角家に捨てられた。それで俺は彼女に引き取られその後、彼女達に出会って………………
ーーーーーーあれ?
彼女って誰だっけ??
彼女達って誰だっけ??
聖良「ほら、明。」
理亜「早くして、明。」
聖良姉ちゃんは優しく………、理亜ちゃんは少しムッとしながら…………俺の方に手を差し出す。
そうだ…………。今までのは全部夢だったんだ。
今…………この瞬間俺はようやく夢から覚めたんだ。
そう思った俺は笑顔になりながら、エプロンを取ろうとした。
すると
『ーーーーーーーー!!!!』
明「ん?」
聖良「明、どうかしまたしたか??」
明「……………いやなんも。」
俺の背後から、聞き覚えのある女性の声が聞こえてきたが、俺は気にせずエプロンの方を手に取った。
映画見に行きました!!
絶対にこの作品と絡めていきたいですね!!
今回の話の説明すると、明は現実逃避をして幻が見えるようになったという形になっております。見たらわかる通り、重症です!!