Saint Snowの2人の弟である俺は『人殺し』   作:七宮 梅雨

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『人殺し』は頭痛に襲われる

~明の妄想世界~

 

明「はぁー、マジ疲れた。」

 

 俺は溜息を吐きながら、自分の部屋へと向かっていた。今日の仕事はいつもより忙しかった。まぁ、休日だから仕方がないのだが……………。

 

明「お?」

 

 自分の部屋に向かう途中に、隣にある聖良姉ちゃんの部屋の扉が微かに開いていた。そして、その隙間から聖良姉ちゃんが微笑みながら何かを見ているのが視界に入った。

 

 気になった俺はすぐに扉を開けて聖良姉ちゃんの部屋へと入った。当然、聖良姉ちゃんは驚きでビクッと身体を震わせたあと、ちょっとだけ怒った表情へと変わった。

 

聖良「こら、明。いくら姉弟だからって最低限、人の部屋に入る前はノックしなさい。」

 

明「ごめんごめん。次、気をつけるよ。てか、何見てんの??」

 

聖良「アルバムですよ。」

 

明「アルバム??」

 

 聖良姉ちゃんは微笑みながら、雪のマークがプリントされているそこそこ大きいアルバムを見せた。どうやら、過去に撮った写真を見ていたらしい。

 

明「へぇ~、どんなのがあんの??」

 

聖良「そうですね。………あ、これは私がまだ産まれたばっかりの明と理亜と一緒に寝ている写真ですね。」

 

 聖良姉ちゃんはそう言って、1枚の写真に指を指す。その写真はまだ赤ん坊だった俺と理亜姉ちゃんと2歳である聖良姉ちゃんがスヤスヤと寝ている写真だった。

 

明「俺と理亜姉ちゃん本当に顔似てんな。双子だから当たり前だと思うけど」

 

聖良「そうですね。私も最初に見た時にどっちが明で理亜なのか分かりませんでした。」

 

 聖良姉ちゃんは苦笑いをしながら答える。

 

明「お、これは俺達の誕生日の時の写真だ」

 

 確か、俺と理亜姉ちゃんの5歳の誕生日の時にやったパーティーの写真だったかな??理亜姉ちゃんの口の周りにケーキがついてる。

 

聖良「私が初めて2人にプレゼントを渡した時ですね。」

 

明「そうだったね。あの仮面ライダーのストラップ、ちゃんと持ってるよ。」

 

聖良「ふふ、ありがとうございます。」

 

 そして、聖良姉ちゃんは次のページへとめくる。すると、俺は1つ気になることを見つけて首を傾げた。

 

明「…………あれ?」

 

聖良「どうかしまたした??」

 

 

 

 

 

 

 

明「俺の写ってる写真…………1枚もなくね??」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう。あの誕生日パーティーの写真からは俺が写っている写真が1枚も無かった。どれもこれも聖良姉ちゃんと理亜姉ちゃんばかりだった。

 

聖良「だって、この頃ぐらいから明は写真を撮られるのを嫌ってたじゃないですか」

 

明「…………そうだっけ??」

 

 聖良姉ちゃんはぽかんとした表情で言葉を出す。俺…………写真撮られるの嫌ってたっけ??そんな覚えないけれども。

 

 俺は聖良姉ちゃんに一言声をかけた後、自分の部屋に戻り恐らくアルバムが閉まってあるであろう、クローゼットを開ける。そして、ロボットがプリントされたアルバムを見つけた。

 

 俺はペラっとアルバムのページを開くと、赤ん坊だった俺と理亜姉ちゃんの写真が貼られていた。そして、ペラッペラと次から次へとページを開いていくと、5ページ目くらいからは何も貼られていなかった。

 

 

 何かがおかしい……………??

 

 

 『……………くん!!』

 

 

 ーーーーズキッ!!

 

 

明「ゔっ!!」

 

 俺は唐突に激しい頭痛に襲われ、頭を抑えた。あと、何か頭の中に声が響いたような…………。なんだ………………これ!?

 

 

 『お………や…………くん!!』

 

 

 ーーーーズキッズキッ!!

 

 

明「ゔぅ……………!!ぐはぁ…………!!」

 

 

 俺は頭に手を抑えたまま、自分の部屋どころか家を飛び出した。背後から姉2人の驚きの声が聞こえてきた気がしたがそれどころでは無かった。

 

 

 『奥……………君!!』

 

 

 ーーーーズキッズキッズキッズキッ!!

 

 

明「ゔぅぅううう!!」

 

 

 俺は歯を食いしばりながらひたすら走った。それでも頭痛は耐えない。それどころかますます痛みが強くなってきている。

 

 

 それに頭の中に響く誰かの声…………、あれはなんだ!?

 

 

 

 誰か………………俺を呼んでいる!!??

 

 

 

 

 俺は激しい痛みに耐えながら走っていると、目の前に1人の女性が目に映った。

 

 

 綺麗な赤髪をした美人な女性だった。

 

 

 そして、その女性は俺を見た瞬間……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 「いつまで逃げてんだよ。てめぇは」

 

 

 

 

 

 

 

 そう言って俺の頬に目掛けて思いっ切り殴りかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その瞬間、俺の視界が180°ぐるりと回転し………………プッツンと俺の意識が途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここ…………は??

 

 

 

 

 

 意識が戻った俺は辺りを見回す。

 

 

 ここは…………………俺の部屋??

 

 

明「うっ!!」

 

 意識が戻った瞬間、頬から激しい痛みが生じた。俺はすぐに手を当てた。

 

 

 

 

 「ようやく覚めたか??」

 

 

 

 

 

 俺の右側辺りから、聞き覚えのある声が聞こえた。俺は恐る恐る顔を振り向けると

 

 

 

 

 

零「よぅ…………。目覚めの気分はどう??

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

馬鹿弟子(明ちゃん)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺の育て親であり俺の師匠である零さんが道着を着て殺気を纏いながら立っていた。

 

 

 

 

 

 

 




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