Saint Snowの2人の弟である俺は『人殺し』 作:七宮 梅雨
ーーーーバキッ
明「がはっ…………!!」
俺の部屋で、鈍い音が響き渡る。零さんが倒れている俺の胸ぐらを掴んで、立ち上がらせてそのまま殴りかかったからだ。
それによって、俺はまたしても吹っ飛んだ。ガシャーンと、棚の上に飾ってあった仮面ライダーのフィギュアやらが音を出して落ちた。
明「零……………ざん??」
零「ほら、立てよ。」
今度は、俺の髪の毛をグイッと掴みあげ、無理やり立たせる。そして、またしても殴りかかった。
明「がはっ……………!!!」
またしても、鈍い音と俺が倒れる音が部屋に響き渡る。しかも倒れるところで当たりところが悪かったのか、俺の頭からツーッと血が垂れてきた。そんな状況を見ても、零さんは何一つ表情を変えなかった。
そして、零さんは俺の腕を引っ張りあげて立ち上がらせたあと、俺の頬を殴った。
零「みっともな」
ボロボロである俺の姿を見て、零さんは冷たい目線を送りながら言葉を投げかけた。
零「そんなんだから、お前はいつまで経っても弱いんだよ。」
零さんの言葉に俺は何も言えない。だって、正しいのだから。俺が弱いばかりに、色んな罪を犯してしまった。
零「そんなんだから、お前は彼女の事を簡単に傷付つけれるんだよ」
その一言で、俺は一瞬だけイラッとした。彼女のこととは恐らくあいつのことだろう。しかし、零さんに殴られた跡や倒れる際にぶつけた所が痛すぎて何も言えなかった。
零「そんなんだからお前は…………………
姉2人に失望させられて、家族に捨てられるんだよ。」
ーーーーーーは???
この瞬間、ブチッ!!と俺の何かがキレた。
明「それは………関係ねぇだろうが!!!!」
俺は余りにも怒りで体の痛みを忘れ、立ち上がり零さんに拳を突き出した。その姿を見て、零さんは少しだけ驚きの表情を見せたが、難なく俺の攻撃を躱した。
零「本当のことでしょう??」
明「黙れよ!!!」
俺は叫びながら、次から次へと零さんに目掛けて殴りにかかる。しかし、零さんはそれを全て躱す。
零「アンタのお母さんやお父さん、そして姉2人はさぞかしスッキリしたでしょうね。出来損ないで『人殺し』であるお前が家からいなくなったのだから。」
明「ーーーーーーーーッッ!!!!!!!」
この言葉で、俺の怒りのボルテージがMAXになった。
それ故に、俺は怒りに任せて零さんに対して絶対に言っていけない言葉を口に出してしまった。
明「アンタに俺の何が分かる!!!俺の本当の家族じゃないくせに!!!!」
ハッと俺は我に返った。
ーーーー俺は今、なんて言ってしまった??
そう思いたがら零さんの方を見ると、零さんはポカンとした表情をしているが、次第にその表情のままポタポタと瞳から涙を流していた。
明「ち……違うんだ。零さん。今のは………」
俺ら誤解を解くべく、焦りながら零さんの近くによろうとした瞬間
ーーーーバキッ!!
明「がはっ!!」
零さんは身体を横回転して、俺の顔面に目がけて踵で蹴りを入れた。これは、零さんの得意技である胴回し回転蹴りだ。喰らった俺は鼻から鼻血を流しながら尻餅を着いた。
零「……………ってるよ」
零さんは隙を与えず、俺の腹の上に乗りかかって馬乗り状態になる。
零「そんなの、分かってるよ!!!」
零さんは叫びながら、俺の顔面に目掛けて次々と殴り掛かりながら今まで溜めてきたであろう本当の気持ちを言葉にして吐き出した。
零「君と私との関係なんて所詮、ただの他人の関係だってそんなの分かってるよ!!自分が君のことを助けられないってよく分からない理由をつけて全部彼女達に任せるような最低な女だよ!!それでも私は!!私は!!!
明ちゃんのこと、本当の息子のように思ってたよ……………。」
明「ーーーーーー」
零さんは既に殴るのやめて、俺の胸ぐらを掴み、そして胸部分に顔を埋めながら震えていた。
零「お腹を痛めて君を産んだわけじゃない。赤ん坊の頃から君を育ててきたわけじゃない。君はそんな風に思ってなかったのかもしれない。それでも私は君のことを………本当の家族のように思ってたよ。」
明「ーーーーーー」
零「だから、そんな家族からのお願いを1つ聞いて。」
そう言って、零さんは俺の胸ぐらをグイッと強引に引っ張り、顔を近づける。零さんの真剣な瞳には、虚ろになって情けない表情をしている俺が映っていた。
そして、零さんは1回だけ溜息を吐いたあと、恐らく俺に掛ける最後の言葉を口に出した。
零「逃げるな。自分の罪から。彼女達から。そして……………君の本当の家族から。」
明「ーーーーーー」
零さんは俺にそう言った後、胸ぐらから手を離し俺の腹から降りて俺の部屋から出ていった。
1分をしない内に、零さんは俺の部屋に戻って来て、俺に1つの箱を無言で渡した。
俺はそれを痛みを我慢してなんとか受け取り、箱を開けた。
箱の中には2枚の紙と俺の髪型と同じ色をしているシュシュが1つ入っていた。
そして、1枚目の紙はあともう数時間後に行われるラブライブ予選のライブチケット1枚と
『待ってるから』
と、書かれていた1枚の紙が入っていた。
明「……………行かないと」
それを目にした俺はシュシュと紙2枚を箱の中に戻し、それを持ちながらヨロヨロとよろけながらも立ち上がり、扉のある方へと向かう。そしてドアノブに手をかけたところで俺は零さんの方に顔を向け一言だけ言葉を出した。
明「ありがと、零さん。そしてごめん。」
俺はそう言って、自分の部屋から出ていき、10分ほど時間をかけてようやく家から出て行った。
明ちゃんが部屋から出て行き、部屋に残された私は一旦、ぐるりと彼の部屋を見回した。当然、部屋は悲惨な状況へとなっていた。物は飛び散ってるし、本棚とかも倒れていた。そして、窓とかもヒビが入っていた。
ペタンと私は膝から崩れ落ちたあと、顔に手を置いて声を噛み殺しながら泣いた。
いくら、きっかけを作ったとはいえ自分は彼にとって最低な行動をしてしまった。他にもやり方はあっただろう。もっと、最適な言葉が他にもあっただろう。それでも私は最低な方法をとった。とってしまった。
零(これで、私の仕事は終わり。あとは任せたわよ。みんな)
そう心の中で祈った私はその後、落ち着くまでひたすら明ちゃんの部屋で泣き続けた。
次回、まさかの人物が登場する予定でいます。
え??お前、ここで出てくんの??みたいな反応をして貰えるように執筆頑張ります。
お楽しみに。( ੭ ˙ᗜ˙ )੭