Saint Snowの2人の弟である俺は『人殺し』   作:七宮 梅雨

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シリアス展開難しスギィ。

あと、Aqoursの5thライブ当選してました。

やったぜ☆



『人殺し』は伝える。

 〜花丸視点〜

 

 今、マル達はステージ上に立って歌を歌って踊っている。曲名は『想いよひとつになれ』。遠く離れていても想いは繋がっているという気持ちが込められている歌。

 

 

 今の所、特に何も問題は起きずに順調にライブが続いている。みんなは楽しそうに歌を歌って踊っている。もちろん、マルも今この瞬間を楽しんでいるずら。

 

 もし、ここに梨子ちゃんと彼がいたらもっと楽しかったんだろうなぁ………。とマルは心の中でそう思ってしまった。

 

 そして、マルは踊りながら客席に目線を配り彼を探す。けど、中々見つからない。

 

 無理もないずら。だって目の前にいるのは数えきれないぐらい大勢いるお客さんがいる。しかも、マル達の周りは照明とかで光り輝いているのに対して客席はペンライトで点々と光はあるものの全体的には暗い。そんな中、彼を見つけるのは至難だ。

 

 そもそも、彼がこの会場に来てくれているのだろうか。善子ちゃんは来ると言っていたけど、やっぱり不安になるな。

 

 

 けど、マルは諦めない。

 

 

 このライブが終わる1秒前になっても、マルは彼のことを探してやるずら。

 

 そして、サビに入るため踊る立ち位置に移動しようとした瞬間

 

 

花丸(ん??)

 

 

 暗いはずの観客席のとある場所に小さく輝く光が目に入った。あれは、何ずらか??見た感じ、ペンライトによるものの光では無かった。

 

 そこに視線を集中させるとそこには…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 相変わらずボサボサの赤紫色の髪型に、ツリ目、そして顔中に絆創膏が貼られていて何か不安そうな表情でマル達のライブを見ている1人の男の子がいた………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう。紛れもなく明くん本人だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 来てくれたんだ………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 すると、ふと明くんと視線が合った。明くんは気付いているかどうか分からないけどマルはとても嬉しくて、つい口元が緩んでしまったずら。

 

 

 

 

 

 

Aqours「♪同じ明日を信じてる〜♪」

 

 

 マル達8人はシュシュが付いている方の腕を上に伸ばして、Aqoursのライブは無事に終了した。

 

 

『Aqoursの皆さん、ありがとうございました〜』

 

 

Aqours「ありがとうございました!!」

 

 ライブが終わり、みんなと舞台袖へと移動したあと、マルは誰に話しかけることなく真っ先に出口へと走り出した。

 

 

 早く行かないと彼は帰ってしまうかもしれない。

 

 

 

千歌「花丸ちゃん!?」

 

善子「ずら丸!?どうしたの!?」

 

 

 

 背後から、みんなの驚きの声が聞こえきたけどマルは何も答えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 早く、彼と……………明くんに会いたい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その想いでマルは走り続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜明視点〜

 

 どうして彼女達がライブ衣装のままで俺の目の前にいるのか、とても疑問に思う所ではあるが、今はそれよりも俺の中では「気まずい」という気持ちが勝っていた。

 

 仮にも、俺は彼女達Aqoursに多大な迷惑を掛けてしまった身であるのにも関わらず、あの日以降、俺は彼女達に会っていない。零さん曰く彼女達は俺に会いに来てくれてたらしいが、全く覚えがない。

 

 それゆえ、俺は必然的に彼女達から目を逸らす。

 

 俺もそうなのだが、彼女達も特に何も言葉を出さなかった。なので、沈黙の時間が続いていた。

 

 

 無駄に流れる沈黙の時間に痺れを切らしたのか、平山先生は頭を掻きながら俺たちに言葉を出した。

 

 

平山「あのさぁー、特に何もないならお前ら早く楽屋に戻って着替えて帰れ。いつまでもそんな格好でおられても迷惑だ。…………奥山も、何もないなら私が家まで送ってあげるから、早く車まで行くぞ」

 

 

 平山先生は少しだけ棘のある言い方をして、俺達に言葉を投げかける。

 

 確かに、先生の言う通りだ。ただ何もせずにここにいたって無駄な時間が経過するだけ。しかも、彼女達はライブ衣装のまま。きっとライブが終わってからすぐにここに来たのだろう。周りに人がいないのが不幸中の幸いだが、1人でもファンがここを通れば騒ぎになるのは確実だ。

 それによって、Aqoursの何人かの表情が曇る。

 

 そもそも、彼女達はここに浦の星女学院の教師である平山先生がいるなんて思ってもみなかったに違いない。なんなら、この先生は俺達1年生組の担任でもある。

 

 

 きっと俺たちの事を心配しての言葉なんだよな。学校でも生徒から尊敬されてるだけではある。もちろん、俺もその1人だ。

 

 俺は平山先生の方にくるりと振り向いて、歩きだす。それによって、俺が帰ると思ったのか彼女達は「あ……」と言葉を漏らしていた。

 

 

 きっと帰ってただろうな。前までの俺だったら…………………。

 

 

 そう思いながら俺は先生のすぐ目の前まで来て微笑みながら言葉を出す。

 

 

明「大丈夫です、先生。すぐに終わらせるので。」

 

 

 俺の言葉に、先生は目を丸くしていた。まさか俺がこんなことを言うなんて思ってもみなかったのだろう。

 

 

平山「……………そうか。私は待ってた方が良いか??」

 

 意外にも、先生はすぐに折れてくれた。そして俺は先生の問いに、首を横に振る。

 

明「先生のおかげで身体もだいぶ良くなったので、電車なりタクシーなり使って1人で帰りますよ」

 

平山「………………分かった。では、また学校でな」

 

明「はい」

 

 先生は俺の肩にポンと手を置いたあと、「頑張れよ」と言い残して去って行った。最後の最後までこの先生は…………。

 

 先生を見送ったあと、再び彼女達の方へ身体を振り向かせたあと、歩き出す。

 

 彼女達との距離を縮める度に、心拍数が早くなっているのを感じる。今までに経験したことがないぐらい自分が緊張しているのが分かる。俺は落ち着かせるためにゆっくりと深呼吸を行った。うん、だいぶ良くなった。

 

 

 さぁ、『人殺し』よ。そろそろ覚悟を決めろ。

 

 

 そう、自分に言い聞かせたあと彼女達の側まで近付いた俺は…………………

 

 

 

 

明「すみませんでした」

 

 

 

 

 と、深く頭を下げて謝罪した。

 

 

Aqours「!?」

 

 

 本音を言うならば、頭を下げるだけではなく土下座もしたかった。しかし、先程も言った通り、いつここに人が通りかかるかも分からない。もし、彼女達に土下座をしてる最中に人が通りかかったら、またしてもAqoursに迷惑を掛けてしまう。それだけは絶対に避けたい。

 

 俺の行動た彼女達何人かが驚きの声を出すが、俺は頭を下げたまま続けて言葉を出す。

 

 

明「俺のせいで、せっかく成功したライブをめちゃくちゃにしてしまいました。しかも、俺は…………………花丸さんに大怪我を負わせて、しかもそれだけでなく俺は貴女たちに謝罪1つなく逃げてしまった。…………………本当にすみませんでした。」

 

 

 俺は顔を上げ、彼女達の顔を見る。みんな真剣な表情で俺の話を聞いていた。

 

 

 謝罪はした。あとはアレを言うだけだ。

 

 

 俺はもう1度、深呼吸をしてから言葉を出した。

 

 

明「あと、今日限りで俺はAqoursのマネージャーをやめます。多分、もう全員知ったと思いますけど俺は10年前に人を殺めました。こんな俺みたいな『人殺し』がAqoursにいたら今回だけでなく、今後も貴女達に迷惑掛けるかも知れません。短い間でしたけど、お世話になりました。これからは1人のファンとして陰ながら応援します。」

 

 

 俺はそう言って、再び頭を下げる。一体、今、彼女達はどんな反応をしているのだろうか。怖くて見れない。

 

 

 けど、言いたいことは言った。あとはもうこの場から離れれば終わりだ。彼女達の関係と共に。

 

 

 あと、これは誰にも言ってないことだが俺はもう今後、浦の星女学院には足を踏み入れない。なんなら、内浦から出るつもりでいる。零さんにも内緒で。

 

 

 内浦から出たあとは北海道に行って、俺の本当の家族……………鹿角家に向かおうと思っている。まだ細かいことは決めていないが、後々決めていけばいいだろう。

 

 

明「それでは……………」

 

 

 早くこの場から離れたかった俺は彼女達の顔を見ずに、くるりと身体を回転させ歩きだそうとした。

 

 

 

千歌「待って」

 

 

 歩き出そうとしたら、背後から千歌先輩の声が聞こえた。ここで、俺は足を止めれば良かったのかもしれない。けど、足を止めてしまった。

 

 

 

 足は止めたが、顔は振り向かなかった。それでも、千歌先輩は言葉を続けた。

 

 

 

千歌「奥山くんの気持ちは伝わったよ。伝わったからこそ、私から…………うぅん、私達Aqoursから君に1つ言わせて欲しい。」

 

 

 

 

 

 

 千歌先輩はそう言ったあと、大きく息を吸って大声で俺の予想を遥かに超えた発言をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千歌「ねぇ、奥山くん…………いや、明くん!!Aqoursのマネージャーをやってくれませんか??」

 




明とAqoursの本音のぶつかり合いはどうやら次回に持ち越しの様です。つまり、何が言いたいかと言うと、すみませんでした。



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