Saint Snowの2人の弟である俺は『人殺し』   作:七宮 梅雨

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ありがとうございます!!

今回はSaint Snow編です。久しぶりですね。
あと、これを読む前に番外編の2話目を先に読むことをオススメします。


『人殺し』の姉2人の現在は…………

  ーーーザクリ

 

 

 ………憎い

 

 

 ーーーザクリ

 

 

 ………憎い

 

 

 ーーーザクリ

 

 

 ………憎い

 

 

 ーーーザクリ

 

 

 ………こんな自分が憎い。

 

 

 ーーーザクリ

 

 

 ………憎くて憎くて堪らない。

 

 

 ーーーザクリ

 

 ………痛い。痛いけど

 

 

 ーーーザクリ

 

 

 ………仕方がない。

 

 

 ーーーザクリ

 

 

 ………だってこれは

 

 

 ーーーザクリ

 

 

 

 

 ………私が犯した重い重い罪の罰なのだから。

 

 

 

 

 ーーーザクリ

 

 

 これぐらいしないと……………

 

 

 ーーーザクリ

 

 

 じゃなきゃ私は…………

 

 

 

 「姉様!!」

 

 

 あぁ………。何するんですか。

 

 

 私の邪魔をしないで下さい。

 

 

 ………隠し持っていたカッターナイフを取られてしまいました。それに、傷口の治療も。

 

 

 もう………私のことは放っておけばいいじゃないですか。

 

 

 「姉様…………もうこんなことはやめて。ママもパパも心配してる。」

 

 

 どうしてそんなことを言うのです??どうして涙を流すのです??

 

 

 両親や妹が何を言っても私はやめるつもりはありません。

 

 

 

 

 

 

 

 だって…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 1人の人間を傷つけておいて、傷つけた本人が傷つかないなんて可笑しな話じゃないですか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だから、私は何度でもやります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう、何度でも………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーザクリ

 

 

 

 

 

 

 

 〜理亜視点〜

 

 

 姉様が自虐行為をやめてくれない。

 

 

 何度も何度も私や両親が止めて、刃物を取り上げてもどこからか取り出して姉様は自分の身体を傷つけていた。

 

 

 ここ最近、ずっとその繰り返し。

 

 

 そのせいで、私や両親も心身もろとも疲れ果てていた。

 

 

 

 

 

 そして昨日の夜、私はたまたま聞いてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 両親が、姉様を精神病院に入院させた方が良いのではないか………という話を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 確か………このタイミング辺りでAqoursのリーダーから連絡があった気がするがそれどころではなかった。なので、普通に無視をした。

 

 

 

 

 

 姉様を病院に……………??

 

 

 

 

 

 そんなこと………、絶対に許さない。

 

 

 

 

 

 

 もし、そんなことをしてしまったら………

 

 

 

 

 

 Saint Snowはどうなるの??

 

 

 

 

 

 あの日…………私達2人で決めたラブライブで頂点に立つという夢はどうなってしまうの??

 

 

 

 

 

 

 それを壊させないため、私は諦めない。諦めてたまるか。

 

 

 

 

 

 

 

 いつか、姉様を元に戻す。元に戻して、また2人でステージに立つんだ。

 

 

 

 

 けど、方法は分からない。だから、どう動けばいいのか分からない。

 

 

 ♪カラカラーン♪

 

 

理亜「…………いらっしゃいませ。」

 

 

 私はお客さんに聞こえない程度で舌打ちをした。こんなことしてる場合じゃないのに…………。

 

 けど、仕事は仕事だ。やるべき事はやってしまおう。

 

 客の数は5名………か。そこそこいるな。見た感じ、旅行客かな。

 

客1「ん〜、北海道は他の県に比べて涼しいわね。」

 

客2「なんなら、少しだけ寒いぐらいよ」

 

客3「それにしても、今年は北海道だなんて………。社長、太っ腹よね」

 

 

 

客4「それにしても、ここ素敵な場所ね。ねぇ、零。どこでここを知ったの??」

 

 

 

 

 

 

 

 零。

 

 

 

 

 

 

 

 この単語が耳に入った瞬間、私はお客さんの方にガバッと顔を向けてしまった。まさか………

 

 

 

零「なんかね〜、息子の好きなスクールアイドル??をやっている女の子がここで働いてるんだって。味も美味しいらしいから気になってたの。」

 

 

客1「そうなんだ〜。」

 

 

 しかし、あのお客さんの中に奥山 零の姿はなかった。零と呼ばれた人は、赤髪でポニーテールに髪を結んでいる女性だった。関係ない話だけど…………この人、ぽわわーんとしてて案外強いな。日々、鍛えてるからか直感的にそう思った。

 

 

 私は少し溜息を吐きながらお客さん達の方へと向かった。

 

理亜「ご注文はお決まりになりましたか??」

 

客3「あら、可愛い定員さんね。」

 

理亜「ありがとうございます」

 

客2「オススメとかってあるかしら??」

 

理亜「そうですね…………。こちらの、白玉ぜんざいがオススメとなっております。」

 

客1「じゃあ、それ5つとお茶をお願いします。」

 

理亜「かしこまりました。少々お待ちください。」

 

 私はペコりと頭を下げたあと、厨房の方へと向かう。あの零っていう女性、私の顔をずっと見ていたような…………。多分、気のせいよね。

 

 私はトレンチの上に作り終えた白玉ぜんざいとお茶を5つずつ乗せたあと、再びお客さん達の方に足を運んだ。

 

理亜「お待たせしました。白玉ぜんざいです。」

 

客2「きゃー、とても美味しそう」

 

客4「インスタ映え〜♪」

 

客1「これで、300円!?安いわね。」

 

客3「んー♪美味しい!!ね、零!!」

 

零「そうね〜♪息子に感謝だわ〜」

 

 

 

 

 そう言って、お客さん達は私が作った白玉ぜんざいを美味しそうに食べ雑談を楽しんでいた。

 

 1時間ぐらい経過した所で、お客さん達はテーブルから立ち上がりレジの方へと向かう。

 

 会計を済ませた所でお客さん達は店へ出て行こうとした。

 

客2「あれ?零、行くよ??」

 

零「ごめんごめん。ちょっとお手洗いに行ってくるから外で待ってて。…………すみません、お手洗いはどこですか??」

 

理亜「あ、あそこの通路に出て右側の方にあります。」

 

零「ありがとう。」

 

 

 零さんは頭を下げた所でお手洗いの方へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーザクリ

 

 憎い………

 

 ーーーザクリ

 

 憎い………

 

 ーーーザクリ

 

 憎い………

 

 ーーーザクリ

 

 憎い………

 

 ーーーザクリ

 

 憎i…………。

 

 

 「へぇ………、これは重症だ」

 

 

 !?

 

 

 再び理亜に隠れて自虐行為をしていると、唐突に刃物を持っていた腕を誰かに掴まれた。掴まれた方に顔を振り向くと、そこには見覚えのない1人の赤髪のポニーテールの女性が視界に入った。

 

 

 …………誰ですか??

 

 

 

 「とりあえず、身体を傷つけるのはやめようか。」

 

 

 謎の女性はそう言って、刃物を取り上げようとする。私は奪われないように力を込めますが、あっさりと取り上げられてしまいました。この女性…………強いです。

 

 

 ですが、まだ私は刃物を数本、隠して持っています。

 

 

 だから、この女性が消えたらまた…………

 

 

 「……………今日はもう寝なさい。」

 

 

 ーーーーーーー!?

 

 

 謎の女性がそう呟いたあと、私の首の後ろに強い衝撃を感じました。

 

 

 「これは………明ちゃんに報告ね。」

 

 

 聞き取れない程の小さな声で謎の女性が呟いた所で私の意識は無くなりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜理亜視点〜

 

 

零「ふぃー、出た出た。」

 

 零と呼ばれていた女性は満更でも無い顔でハンカチで両手を拭きながらお手洗いから出てきた。案外、長かったわね。15分ぐらい経ってる。絶対に大きい方だったでしょ

 

 

零「ねぇ、貴女」

 

 

理亜「ひゃ、ひゃい!?」

 

 きゅ、急に話しかけないでよ。驚いてかんじゃったでしょ。

 

零「これ、受け取ってくれないかしら。」

 

 女性はそう言って、鞄から1つの箱を取り出し私に差し出す。

 

理亜「これは??」

 

零「私の息子が、貴女達の大ファンなのよ。だから、もしここの店に来た時に渡しておいて欲しいって言われてるのよ。良かったら貰ってちょうだい」

 

理亜「あ、ありがとうございます」

 

 私は頭を軽く下げてから、箱を受け取る。何だか………こういうの初めてだから少しだけ嬉しいかも。

 

零「それじゃあね。あと、どうでもいいけど貴女、私の息子にそっくりね♪」

 

 何よ、それ。なんで、貴女の息子と私が似てるのよ。本当にどうでもいいわ。

 

 そして、零さんも店から出て行った。なんだかんだで面白い人だったわね。

 

 

理亜「それにしても、何が入ってるんだろ」

 

 

 私は貰った箱の中身が気になって、パカッと開ける。もし危ないものとかだったならばこちらで処理をすればいい。

 

 

 だけど中に入っていたのは衝撃的なものだった。

 

 

理亜「どうして………これが………」

 

 

 箱の中に入っていたもの。それは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 昔、姉様が明にあげた仮面ライダーのストラップだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうして、あの人がこれを!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、ストラップとは別に入っていた1枚の紙があることに気づくとすぐにその紙を取り出して見開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 『Aqoursのライブ。中継でも良いから絶対に姉さんと一緒に見てくれ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 と、書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 私はすぐにあの客にこれについて問い詰めようと思い、外に出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だが、既にあの女性の姿は無かった。

 




次回、本編に入ります

もうすぐ、1期が終わりますね。

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