Saint Snowの2人の弟である俺は『人殺し』   作:七宮 梅雨

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令和になりましたね。
令和初日は友達とカラオケ行ってました。てへ。

後編どうぞ。
ちょっとだけ2期のある部分をフライングで登場させました。


『人殺し』よ。『さん』『先輩』は禁止!!後編

明「皆さんにお話があります。」

 

 昼休みが終わる直前までになんとか気持ちを立ち直らせた俺は少しだけ時間を貰い、Aqoursのみんな(1年生3人は未だに顔が赤い。)に集まってもらった。

 

 俺がこうやって話があるからとメンバーを集めたのは初めてなことだったので少しだけざわざわとしていた。

 

鞠莉「それは明達が急に飛び出して行った理由と何か関係があるのかしら??」

 

 くっ………、相変わらず鋭い人だな。

 

明「えぇ。」

 

 ここだけの話、俺は屋上を飛び出したあと個室の男子トイレで名前呼びの件についてどうすれば良いのかを気持ちを立ち直らせながら考えていた。

 

 そもそも、俺は何も言わずにルビィと花丸のことを、呼び捨てにしまった。それゆえ、彼女達は顔を赤くして飛び出して行った。

 

 そりゃあ、そうだ。唐突に異性に呼び捨てにされたら誰だって混乱してしまう。逆にどうして予め知っていた善子が飛び出してしまったのかは分からない。

 

 

 だから、俺は閃いた。

 

 

明「皆さんは俺になんて呼ばれたいですか??」

 

 

 予め彼女達に伝えておこうと!!!

 

 

Aqours「は??」

 

 

 Aqoursの先輩方はポカンとした表情へと変わる。

 

 けど、これはこれで俺の中では想定内なので、事情を詳しく説明した。

 

 

鞠莉「なるほどね〜♪」

 

曜「確かに明くんに『先輩』って呼ばれるの、学年の壁を感じて嫌だったな。」

 

果南「昨日もそれについて皆で話してたよね」

 

 うむ…………。彼女の会話からしてなんとか俺の意図は伝わったようだ。良かった良かった。

 

明「まぁ、そういうことです。なので、皆さんが俺になんて名前を呼ばれたいのかを聞いたということです。」

 

千歌「はいはいはーい!!」

 

 千歌先輩がぴょんぴょんと跳ねながら嬉しそうに手を挙げる。ついでにアホ毛もぴょこぴょこと左右に揺れていた。可愛いな、おい

 

明「はい、千歌先輩」

 

 

 

千歌「私のことは千歌お姉ちゃんって呼んで!!」

 

 

明「却下で」

 

千歌「何で!?」

 

 逆にこっちが何で!?だよ。後輩にお姉ちゃんなんて呼ばす先輩がどこにおる。あ、目の前にいたわ。

 

千歌「私、末っ子だからお姉ちゃんって呼ばれたいのーーー!!」

 

明「それだったら、俺じゃなくても他の3人に呼んでもらえればいいじゃないですか。」

 

千歌「チッチッチッ、明くんは分かってないな。男の子に呼ばれるからこそ意味があるんだよ!!ほら、うち三姉妹だから」

 

 なるほど。確かに、思い出してみれば、高海家は三姉妹だったな。

 

 

 

 けど、俺は千歌先輩のことを冗談だとしても姉とは呼ばない。

 

 

 

 なぜなら…………。

 

 

 

 

明「俺にとって姉はあの2人だけですから。」

 

 

 

 

千歌「ッッ……………ごめん。」

 

 

 千歌先輩は顔を俯きながらポソッと言葉を出す。ちょ………、そこまで暗くならなくてもいいから!!それはそれでこっちが反応に困るわ!!

 

千歌「じゃあ、普通に千歌で。あと、敬語も禁止!!それだったらいいでしょ??」

 

 まぁ…………それだったら。俺はコホンと咳払いをしたあとに彼女に向かって言葉を出した。

 

明「分かりました…………じゃなかった。分かったよ、千歌。」

 

千歌「ーーーーーーーッッ」

 

 

花丸・ルビィ・善子(あーあ、やっちゃったな。)

 

 

 ん?どうして、この人も顔を赤くしてんだ??そして、そこのお前ら。あーあ、コイツやっちまったなみたいな顔をするんじゃない。

 

千歌(よくよく思い出してみれば男の子に呼び捨てで名前を呼ばれるのお父さん以外で初めてかも。こんな破壊力があるの!?)

 

 よく分からないけど、千歌はこれでOKかな。他のメンバーはどうだ??

 

 

曜「私は船長って呼ばれたい♪」

 

 

 曜先輩はビシッと敬礼して答える。確か、この人の親父さんは船の船長で彼女も憧れてるんだっけな。まぁ、お姉ちゃんって呼ぶよりはマシだな。

 

明「曜船長。」

 

曜「うん!!じゃあ、記念として明くんもご一緒に!!………全力前進〜〜〜」

 

 え、え、え!?それ、俺もやるの!?えぇい!!こうなったらヤケクソだ!!俺は曜船長と一緒に敬礼をして声を揃えてあのお馴染みの言葉を出した。

 

 

明・曜「ヨーソロー!!」

 

 

 何気にヨーソローって言うのこれで初めてだな。曜船長もとても嬉しそうにニコニコしてるし……………。

 

 

梨子「私は普通に梨子でいいよ。」

 

 

 ヨーソローしてる俺を見て苦笑いしながら梨子先輩は答える。特に弄りとかは無い方がこちらとしてもありがたいしな。

 

 

明「梨子」

 

 

梨子「ッッ。なんだか………恥ずかしいね」

 

 

 梨子も千歌と同じく顔を赤くして答える。こっちだって、めちゃくちゃ恥ずかしいわ!!

 

梨子(あとで頼んだら壁ドンとか顎クイしてくれるかな??)

 

 ん??なんだろう??少しだけ梨子から余りよろしくない気配を感じた。気のせい……だよな。

 

 これで2年生組は終わりか。あとは3年生組だけ……………。

 

 

果南「そうだなぁ。かなっちとかはどう??」

 

 

 そんな、たま○っちみたいな感じでいいんですか!?それでいいならいいけど…………。

 

明「かなっち」

 

果南「アハハ、いいね。………えい♪」

 

明「え??」

 

 かなっちは、急に俺に抱きついてきた。彼女の十八番であるハグである。

 

果南「ハグ〜♪」

 

 ぐはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!やばい、やばいよ!!何がやばいかというと、彼女の胸がダイレクトに当たってるんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!

 

明「と、とりあえず離してくれ」

 

果南「分かった♪」

 

 今度は俺が顔を赤くしながら、かなっちになんとか解放してもらった。そして、俺は息切れしながらもサムズアップしてかなっちに一言だけ呟いた。あと、花丸よ。そんなジト目でこっちを見るな。怖いから。

 

 

明「かなっち………。お前がNO.1だ」

 

 

果南「??何がNO.1なのかよく分からないけど褒め言葉として受け取るよ。」

 

 よし。これであと2人!!1人はともかく次の人が問題児なんだよなぁ

 

鞠莉「ふふふ〜♪」

 

 ほらぁーーー、この時点でこの人、凄いニヤニヤしてるもん。絶対に何か企んでるよ

 

 

鞠莉「私のことは鞠莉にゃんって呼んで♪」

 

 

明「貴女、それ正気で言ってます??」

 

 もし、これでこの人が正気とか答えたらマジでドン引きなんだけど…………。

 

鞠莉「It’s joke♪」

 

明「心臓に悪いんでそういうのやめてもらっていいですかね!?」

 

 よ、良かった……………。手を頭の上に乗せて「にゃんにゃん」と言いながらネコミミのようにやるから本気かと思ったよ。

 

 

鞠莉「これからはマリーって呼んでね♪」

 

 

 そう言えば、この人に初めて会った時もそう言われたな。先輩だから気を使って言わなかったけど…………。この際だしいいか。

 

 

明「マリー」

 

 

鞠莉「VeryGood♪」

 

 よし。これであとはこの人だけだ。

 

 

明「ダイヤ先輩はなんて呼べばいいですか??」

 

 

 そう。あと残っているのはダイヤ先輩だけだ。

 

 この人の場合は、特に頭を悩ませる必要はない。1年生3人や千歌や梨子と同じく普通に名前を呼ばせるに違いない。なんなら、この人だけでも今まで通り先輩呼びにしてもいい気がする。

 

ダイヤ「あの………ですね。」

 

 ん??なんで、この人顔を赤くしてモジモジし始めたんだ??可愛いけどそんなことするタイプじゃないだろ。

 

ダイヤ「あ、明さん。耳をお借りしてもいいでしょうか??」

 

明「別にいいですけど」

 

 俺がOK出すと、ダイヤ先輩は俺の耳に顔を近づけコソッと言葉を呟こうとする。あれ??何か、嫌な予感が…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダイヤ「ダ………………ダイヤちゃんで」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………………ハッ!!

 

 

 ダイヤ先輩の言葉が衝撃的すぎて少しの間だけ意識が飛んでいた。どれぐらい飛んでた??俺の中では3時間ぐらい経ってる気がするが、周りを見た感じそうでもないっぽい。

 

 それにしても、ちゃん付け!?この人が!?

 

ダイヤ「うぅ…………」

 

 ダイヤ先輩も言ったことが恥ずかしかったのか、顔を赤くして悶えている。それだったら言わなくても良かったのに

 

明「でも、どうしてちゃん付けを??」

 

ダイヤ「そうすればもっと明さんと親しめるかな………と思いまして」

 

 だからといって、別にちゃん付けしなくてもいいでしょ。距離を縮めるだけだったら、『さん』や『先輩』とかでも縮めれるわ

 

ダイヤ「あと、千歌さん達からは『さん』付けしか呼ばれたことがないので…………。」

 

 ダイヤ先輩は少し俯きながら答える。あぁ、なるほど。俺はダイヤ先輩の意図を理解した。

 

 元々、ダイヤ先輩は性格が固い故にみんなから悪い意味ではないが、少しだけ距離を置かれている存在だ。それを彼女は気にしているのだろう。

 

明「それだったら俺だけじゃなくてみんなにも言えばいいじゃないですか。」

 

 そもそも、俺だって今日、唐突に『さん』『先輩』禁止になってんだから。

 

ダイヤ「だって、恥ずかしいじゃないですか!!」

 

明「俺だって恥ずかしいですよ!!」

 

ダイヤ「貴方は男の子でしょ!!我慢しなさい!!」

 

明「それは理不尽すぎじゃね!?」

 

 あぁ、もう!!これは拉致があかねぇ!!こんなくだらない争いで練習時間削って溜まるか!!分かりましたよ、言えばいいんでしょ!!言えば!!どうなっても知らないぞ!!

 

 

 

明「ダイヤちゃん。」

 

 

 

ダイヤ「あう…………」

 

 

 あう………………。

 

 

 俺とダイヤちゃんは恥ずかしさのあまり互いにあうあうしてしまった。そして、それがあってか彼女からは2人きりの時だけちゃん付けするようにとお願いされた。俺もみんながいる前では彼女のことをちゃん付けしたくないしな。ありがてぇ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして、俺は彼女達のことを『さん』や『先輩』と付けずに名前を呼んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これは余談で明は知らないことだが、彼に名前を呼ばれたことによってその日の夜だけは、ドキドキして寝れなかったメンバーがいたという。

 

 

 

 

千歌・花丸・善子・ルビィ・ダイヤ・梨子

 「ドキドキして寝れねぇ!!」

 

 

 

明「( ˇωˇ ) zzZZZZ」




次回は本当に本編に入ります。
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