Saint Snowの2人の弟である俺は『人殺し』   作:七宮 梅雨

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『人殺し』は1年生3人に感謝する。

 〜茶房菊泉〜(理亜視点)

 

 

 遂に、この日を迎えてしまった。

 

 

 今日は、ラブライブ東海地区予選のライブ当日。

 

 

 つまり………、浦の星女学院のスクールアイドルであるAqoursがライブを行う日でもある。

 

 

理亜「姉様…………入るわよ」

 

 

 私はコンコンと数回ノックをしたあとに、姉様の部屋へと入る。すると、姉様はベットの上で横になっていて天井を眺めていた。良かった………。どうやら、自虐行為はしてなさそう。

 

 

聖良「…………………」

 

 

 

 今の姉様の姿は以前とは見違える程に変わってしまった。サラサラで綺麗だった姉様の髪も手入れしていないのか、ボサボサだった。目の下のクマもかなり酷いし、何より目に生気が宿っていない。前に比べて、頬も痩せこけている。両腕には、所々赤く染った包帯が痛々しく巻かれていた。

 

 

 姉様の知人が、この姿を見てもきっと姉様とは気付かない。それほどまで見違えてしまった。私も姉様の姿を見るだけで、心が痛くなってしまう。はち切れてしまいそう

だ。

 

理亜「姉様………」

 

聖良「……………」

 

 姉様は、ちらっと私の方を見たけどすぐに天井の方へ視線を戻してしまった。

 

 

 

 この時点で、私は泣きそうになってしまう。好きな姉様に見捨てられてしまったように感じてしまうから…………。

 

 

 

 けど、ここで折れたらダメだ。しっかりしろ、私!!!

 

 

 そう、心の中で何度も何度も復唱した私はいつの間にか浮かべていた涙をゴシゴシと腕で拭き取り、横になっている姉様の上半身を強引に起き上がらせる。

 

 

 そして、私はスカートのポケットからスマホとイヤフォンを取り出す。

 

 

 その後、スマホでラブライブの公式サイトを開きながら、イヤフォンプラグをスマホに繋げる。

 

 

理亜「姉様…………付けるわね」

 

 

 私は姉様にそう言ったあと、イヤフォンの左側部分を姉様の左耳に付けようとした。何か抵抗してくるかもしれない、と思ってたけどそんなことは無く、すんなりと付けてくれた。もちろん、右側部分は私の右耳に付ける。

 

 

 

理亜「………よし!」

 

 私は覚悟を決めて、ラブライブの公式サイトのトップにある『ラブライブ東海地区予選中継』をポチッと指で押すのと同時にしわくちゃとなっている1枚の紙を開く。

 

 

 『Aqoursのライブ、中継でも良いから絶対に姉さんと一緒に見てくれ。』

 

 

 この文章を書いて送ってきたのは、きっとあいつで……………あいつは間違いなくAqoursにいるはずだ。奥山零という偽名を使って。

 

 どんな考えがあって……………どんな想いを持って、あいつがこの紙を私達に送ってきたのかは分からない。

 

 

 姉様を救うためなのか…………いや、もしくはあいつの罠で私達に長年の復讐をするために送ってきたのかもしれない。

 

 

 そのような考えをしてしまうため、私はこの日が来るまでに何度も何度も慎重に考えた。この紙に………………あいつの指示に従うのか従わないのか。

 

 

 そして、昨晩。私は日に日に変わり果てていく姉様の姿を見て決心した。

 

 

 

 

 あいつの…………明の指示に従おうと。

 

 

 

 

 さっきでも言った通り、もしかしたらこれは罠かもしれない。この判断によって、何をやっても取り返しがつかない結果に陥るかもしれない。そのせいで、私はこの残りの人生を一生後悔して行き続けることになるかもしれない。

 

 

 

 それでも、私は明の指示に従う。

 

 

 

 

 この、絶望的な状況の中で……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 1%でも、姉様を救えるきっかけが見つかる可能性が生まれるのなら…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ロード中となっていたスマホの画面には、いつの間にかひとつの大きいステージが映し出されていた。

 

 

 

 そして、アナウンスがステージ中に鳴り響く。

 

 

 

 

 

 

 『只今よりラブライブ!東海地区予選を開催します。』と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜控え室〜(明視点)

 

 

 現在、俺はAqoursの控え室でパソコンを開き、今日のライブで行う音響と照明の操作を細かく見直して頭の中でシュミレーションをしていた。俺の隣では花丸とルビィがメイクをしており、善子は髪の毛を結び直している。

 

ルビィ「実はまだ、信じられないんだ。今、こうしてここにいられることが」

 

 ルビィはメイクをしながらそう語る。元々、ルビィは姉であるダイヤちゃんと共にスクールアイドルは大好きだが、内気で人見知りで、男子が苦手な女の子だ。

 

 失礼な話、アイドルには向いていない。

 

 だが、そんな自分がまさか憧れであったラブライブに出れることに驚きが隠せれないのだろう。

 

花丸「夢みたいずら」

 

 花丸もルビィの言葉に同意する。

 

 花丸も、ルビィ程ではないが内気な性格だ。友達もルビィと出会う前まではずっと1人で図書室で本を読んでいた女の子だ。

 

 今までは、表で行動するよりかは裏方に徹していた彼女は自分がこうしてスクールアイドルに入部して、こんな大きな大会に出るなんて思ってもいなかったのだろうな。

 

善子「何今更言ってるの??今こそがリアル、リアルことが正義」

 

 何か言葉を送ろうとした瞬間に、善子がいつものお団子を結いながら厨二病らしき言葉を出す。全く…………こいつって奴は。メイクしてる2人も何言ってんだ??みたいな表情してるだろ。

 

 

善子「ありがとね」

 

 

 え??今、この子なんて言っt……………

 

 

 ーーーガバッ!!

 

 

明・花丸・ルビィ「うわっ!?」

 

 

 善子から思いがけない言葉を耳にしたあと、善子は俺と花丸とルビィを覆うように抱きつく。うおぉぉぉぉぉぉ!?こいつ、何してんの!?何かとは言わないけど、当たってる当たってる!!羞恥心というものがないのか、この堕天使は!!?

 

 ついでに、真ん中にいた花丸はダイレクトに顔が善子の胸に埋めていた。う、羨ましいなんて思ってないんだからね!!

 

 善子「さ、あとはスクールアイドルになってステージで堕天するだけ!」

 

ルビィ「うん!」

 

花丸「たひょはれのりはいひゃふら(黄昏の理解者ずら)」モフモフ

 

明「いや、花丸よ。なんて言ってるか全然分からん。」

 

 あと、善子。早く離せ。じゃなきゃ、理性が持たん。あ、普通に離した。

 

 

善子「行くわよ!!堕天使ヨハネとリトルデーモン!!ラブライブに〜降☆臨!!」

 

 

 はは…………。やっぱり、こいつ………すげぇ奴だわ。いろんな意味で尊敬する。

 

 

 

明「こっちこそ、ありがとうな」ボソッ

 

 

 

善子「ん?明、何か言った??」

 

明「別になんも。早く、善子もメイクしろ。」

 

善子「善子じゃなくてヨハネ!!」

 

明「はいはい。ヨハネヨハネチョココロネっと………。」

 

善子「むきーーーーーーーー!!!」

 

花丸・ルビィ「あははは!」

 

 

 

 俺と善子のやり取りに花丸とルビィは声を出して笑う。それに釣られて俺と善子も笑った。

 

 

 あぁ………、こいつらといると、どうしてこんなにも居心地が良いのだろうか。

 

 

 

 あと、さっきの言葉………3人の前で言葉として出すのは少しばかり恥ずかしいから心の中で改めてはっきりと言わせてもらう。

 

 

 

 

 本当にありがとう。3人とも……………。

 

 

 

 

 こんな『人殺し』と一緒にいてくれて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう、3人に感謝の言葉を送りながら、何故か儀式の準備をし始めた善子の頭に目掛けてチョップを繰り出した。

 

 

 

善子「きゃん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 準備が完了した俺達は、途中で3年生3人と合流したあとに入口へと向かっていると入口の方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

 

 この声は…………千歌か??

 

 

 

 そして、入口付近まで近づくとやはり声の主は千歌だった。彼女の近くには船長と梨子もいる。

 

 

 

 千歌はそばに俺たちがいることを気付かないまま、両手を広げながら自分の想いを口にした。

 

 

千歌「これからも、色んなことがあると思う。嬉しいことばかりじゃなくて辛くて大変なことだっていっぱいあると思う。でも、私、それを楽しみたい!!全部を楽しんで、皆と進んでいきたい!!それがきっと輝くってことなんだと思う!!」

 

 

 辛いことも大変なことも全てありのままで受け止めて、それをメンバーと共に楽しみながら進んでいけば良い……………ということを千歌は伝えたかったのだろう。少なくとも、俺はそう思った。

 

 

 

 流石は俺たちAqoursのリーダーだな。言うことが一味………いや二味ほど違う。心にジーンと響いちまったよ。

 

 

 

ダイヤ「そうね。」

 

 

 ダイヤちゃんの言葉に、ようやく2年生組3人は俺達の存在に気付く。

 

 

鞠莉「10人もいるし♪」

 

 

千歌「10人だけじゃないよ」

 

 マリーの言葉で、千歌はそう答えながら入口の扉に手を触れる。腕時計を見ると、そろそろAqoursの番だった。

 

 

 いよいよか………………。

 

 

 

 

千歌「行くよ!!!」

 

 

 

 

 リーダーの言葉に、俺たち全員は頷く。皆、覚悟が出来ている表情を浮かべていた。

 

 

 千歌も同じく顔を頷けたあと、彼女は入口の扉を勢いよく開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 遂に、Aqoursと俺の運命が決まるであろうライブが始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 




遂に、ここまで来ました。
予定では、あと5話か6話ほどでひとまず完結予定です。
お気に入り・感想・高評価お待ちしております(*´ ∨`)
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