Saint Snowの2人の弟である俺は『人殺し』   作:七宮 梅雨

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お腹が痛い。笑


『人殺し』はのっぽパンを頬張り、本を読む

 ガララと教室の扉を開け、机に座り教科書を机の中に入れている途中に後ろの席である花丸さんに話しかけられた。

 

花丸「奥山くん、お願いがあるんだけど………」

 

明「お願い??」

 

花丸「うん。ルビィちゃんのことなんだけど」

 

明「ルビィさんのこと??」

 

 珍しいな。いつも彼女と一緒にいる花丸さんが相談とは………。喧嘩でもしたんか??

 

花丸「ルビィちゃんを、千歌先輩たちがやっているスクールアイドル部に入れらせてあげたいの。だから協力して欲しいずら」

 

 まさかの展開だ。俺も先輩達に頼まれてどうにか2人をスクールアイドルに興味を持たせれないかと考えていたが、まさかの向こうからやって来てくれるとは。

 

 花丸さんによると、ルビィさんは元々スクールアイドル部が大好きだとこと。けれど、姉………ダイヤ先輩と色々あり、無理してスクールアイドルから疎遠してしまっていること。花丸さんはそれを辞めさせて、ルビィさんのやりたいことをやらせてあげたいというのが彼女の願いだった。

 

明「あぁ、もちろんだ。俺、千歌先輩たちがやってるスクールアイドル部のマネージャーになったんだ。全力で協力するよ」

 

花丸「ほんとずらか!!じゃあ、よろしく頼むずら!!」

 

明「早速なんだが、作戦を1つ思いついた。だけど、この作戦を成功するには花丸さんの協力が必要だ。」

 

花丸「なんずらか??のっぽパンなら沢山あるずらよ」

 

 いや、いらんわ。てか、どんだけ、カバンに詰め込んでんねん。好きなんか?のっぽパン。俺も好きだわ。

 

 

 

 

 コホンと、気持ちを切り替えるために咳を出したあと、俺は花丸さんに向かって言葉を出した。

 

 

 

 

 

明「お前もスクールアイドル部の練習に参加しな。それが条件だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜数時間後〜

 

千歌「という訳で、黒澤さんと国木田さんが体験入部してくれることになりました!!」

 

ルビィ「黒澤ルビィです。よ、よろしくお願いします!!」

 

花丸「国木田花丸です。お願いしますず…………じゃなかった。お願いします!!」

 

 なんとか、作戦は上手くいったみたいだ。モグモグ、のっぽパンやっぱり美味いな。

 

梨子「奥山くん、一体なにしたの??てか、なんでのっぽパン食べてんの??」

 

 梨子先輩がボソッと周りに聞こえない程度の声の大きさで俺に囁く。

 

明「特に俺は何もやってないですよ。ただ、花丸さんからルビィさんに一緒にスクールアイドル部をやってみないかと誘ってあげてと言っただけです。クラスでも彼女は花丸さんと常に一緒にいますからね。俺からよりも花丸さんから言ってもらった方が効果はあると思ったんですよ。のっぽパンについては花丸さんに貰いました。後1本あるんすけど、梨子先輩食べます??」

 

梨子「だ、大丈夫です。」

 

 きっとルビィさんはこの体験入部を通じて千歌先輩たちと一緒にスクールアイドルをやりたいという気持ちになるに違いない。

 

 そして、その時が来たらきっと花丸さんはルビィさんの目の前から姿を消してしまうだろう。しかし、これに関しては特に俺は何も言うつもりは無い。彼女が決めたことだ。だったら、俺は花丸さんを尊重する

 

梨子「でも、奥山くんって結構見てるんだね」

 

明「……………偶然ですよ。あの二人、クラスでも結構浮いてますから。」

 

 『人殺し』になってからは、常に1人で過ごしてきたからな。人間観察とかは得意な方になってしまった。

 

千歌「それじゃあ、屋上にレッツラゴー!!」

 

 

全員「おー!!」

 

 

 こうして、梨子先輩が考案したハードな練習メニューが開始した。

 

 

〜次の日〜

 

明「よっ。もういいのか??」

 

 放課後、俺は図書室へと訪れていた。理由は花丸さんに会いにいくため。昨日、彼女たちが階段ダッシュをしていた時にルビィさんが花丸さんを置いて先に進むのを見ていた。ルビィさんが見えなくなった瞬間、花丸さんはいい笑顔で階段をゆっくりと降り、ルビィさんの目の前から姿を消したのを見かけた。

 

それを見た瞬間、確信した。花丸さんはもう、スクールアイドル部の体験入部をやめ、ルビィさんと関わるのを辞めるのだろうと。

 

花丸「奥山くん。………うん、ルビィちゃんならもう大丈夫。色々と協力してもらってありがとうずら」

 

明「俺は特に何もやってないよ。それよりも、思ったより早かったな」

 

花丸「オラもそう思ったずら。それほど、ルビィちゃんは楽しかったと思うずら」

 

 俺と花丸さんはお互い苦笑いした。

 

花丸「ところで、奥山くんは何しにここに来たずら??もしかして、オラを呼びに来たずらか??」

 

明「図書室に来る理由なんて、1つしかないだろ。ハイこれ」

 

 俺は手に持っていた本を1冊、彼女の目の前に出す。

 

花丸「え?」

 

明「え?じゃないわ。本を借りに来たんだよ。図書室に来る理由なんて、それしかないだろ。このあと、部活もあるんだ。早くしてくれ、図書委員さんよ。」

 

花丸「あ、はい。」

 

 花丸さんは本に着いているバーコードをピッ!!とやったあと、俺に差し出す。

 

花丸「それにしても意外ずら。奥山くんは読書が好きなの??」

 

明「まぁな。気づいてないだけで、俺、教室でも本読んでるぞ??」

 

花丸「知らなかったずら。その本の作者、オラも好きずらよ」

 

明「知ってるのか??この人、結構マイナーな人なんだけどな」

 

花丸「ふふ、マルも読書歴はそれなりに長いずらからね。」

 

明「そっか。じゃあまた今度、この人について語り合おうや。またな」

 

花丸「うん!!またね」

 

 俺は本をスクールバックの中にしまい、図書室から出ようとした瞬間に彼女の顔を見ないでボソッと呟いた。

 

 

明「もっと自分大切にしろ。自分に嘘ついて無理に人に合わせても辛いだけだ」

 

 

花丸「!?」

 

 

明「この言葉って、本当にルビィさんにだけ向けて言った言葉だったのか??」

 

花丸「な、何が言いたいずら??」

 

明「さぁな。俺が君に言いたいのはこれだけだ。またな、花丸さん。」

 

 俺はそう言って、図書室から出ていった。

 

 スクールアイドル部の部室に行く前に職員室へ寄ろうとしたら、背後からバタバタバタと何人かが急いで図書室へと入ってくるような音が聞こえてきた。

 

 

 俺はもうこれ以上はやることはない。あとは彼女たちに任せよう。

 

 

 

 そう思って、俺は職員室へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 そして、次の日、黒澤ルビィと国木田花丸が正式にスクールアイドル部、Aqoursに入ったことを千歌先輩に告げられた。




次はヨハネ回だぁーー!!
書くぞぉーー!!

応援よろしくー!!

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