Saint Snowの2人の弟である俺は『人殺し』   作:七宮 梅雨

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3日に更新すると言って、2日遅刻してしまった。
申し訳ないです。m(__)m

さてさて、遂に『人殺し』、最終章に入りました。ここまで来れたのは面白いと言って読んでくださる皆さんのおかげです!!

最終話までの流れはだいぶ出来ているので、出来上がり次第どんどんと更新していくと思います。
なので、最終話までどうか七宮 梅雨がお送りする「Saint Snowの2人の弟である俺は『人殺し』」を楽しんで貰えたらな……、と心から願います。

では、記念すべき最終章の1話をどうぞ(꜆ ˙-˙ )꜆


『人殺し』の姉、聖良のこれまで

 〜10年前〜

 

 

 『ねぇ、聞いた??聖良ちゃんの弟、人を殺したらしいよ。』ヒソヒソ

 

 『聞いた聞いた。』ヒソヒソ

 

 『もう関わるのやめようよ。』ヒソヒソ

 

 『うん。昨日、ママやパパも聖良ちゃんとはもう遊んじゃダメだって言われたし………』ヒソヒソ

 

 

 『私も。『人殺し』の姉なんかと関わりたくない』ヒソヒソ

 

 

 当時、小学校に通っていた私はある日を境に誰からも声をかけられなくなりました。

 

 

 理由は分かってます。

 

 

 私の…………弟の明が銀行で人を殺めてしまったのが周りに広まったからでしょう……。

 

 

 現在、明は警察の人に連れてかれて家にはいません。近いうちに戻ってくると、目が死んでいるお父さんは言っていましたが…………。

 

 

 ここ最近、周りの子が私を見てコソコソと何か話しているのをよく見かけるようになりました。多分………、私の事を言っているのでしょうね。

 

 生徒だけじゃなく、先生も私のことを批判的な目で見てくるようになりました。この前、分からなかった授業の内容を聞きに行ったらすごく嫌そうな表情をされてしまいました。少しだけ………悲しかったです。

 

 

 そんな日々が続く中、ある日保健室で休んでいる時に養護教諭の人にこう言われました。

 

 

 ーーー罪を犯した弟を恨んでいるのか?と。

 

 

 この言葉を聞いて、私は言い方が悪いですが、『は?』という気持ちになりました。

 

 

 私が明を恨んでいる??そんな訳ないでしょう。

 

 

 明は私の大切な家族であり、理亜と同じくらいに大好きな弟ですよ??

 

 

 なにより、明は私達の命の恩人です。もし、明がいなかったら私やママや理亜は殺されていたのかもしれません。

 

 

 だから………今度は私が1人の姉として明を助けます。例え、何があっても明の味方です。

 

 

 そもそも、噂というものは一時的なものです。時間が経てば解決してくれます。

 

 

 きっと………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 事件から1ヶ月が経ちました。明はまだ帰ってきていません。

 

 明の噂については、数週間ぐらいでほとぼりが冷めると予測していましたが全くそんなことはありませんでした。むしろ、酷い方へとエスカレートしていくばかりです。

 

 

理亜「うぐっ………えぐっ」ポロポロ

 

 

 私は、悲しそうな表情を浮かべながら涙をポロポロと流している理亜を抱きしめながら家へと向かっています。話を聞くに、周りの子から酷い『いじめ』をされているそうです。

 

 

 ……………『人殺し』の双子だと。

 

 

 周りの子から笑われながら筆箱を隠されたり机に文字を彫られたりされているそうです。私の大切な理亜をいじめるなんて……。そんなの、姉として許せません。

 

 

 あとここだけの話、被害にあっているのは理亜だけじゃありません。姉としてのプライドが許せなくて誰にも話していませんが、私もクラスメイトから『いじめ』をされています。

 

 上履きを隠されたり、教科書をゴミ箱に捨てられたり、トイレで女子から水をぶっかけられたりとされてきました。

 

 

 あまりにも酷いと思い私は担任の先生にそれを報告しても、まるで虐められる私達の方が悪いような言葉を残して私の目の前から立ち去っていたのを覚えています。あまりにも理不尽だとは思いませんか??

 

 

理亜「私は………何もしていないのに。うぅ…………」ポロポロ

 

 

 理亜は泣きながら言葉を出していました。理亜の言う通りです。私達は何もしていません。それなのに、どうしてここまで仕打ちをされるのでしょうか。

 

 

 

 

 悪いのは全部あきr………………

 

 

 

 

 ………………は!!私ったら何を!!

 

 

 いけません!!それだけは何があっても絶対に思ってはいけません!!あの子は私たちの為にやったことなんです!!決して悪くはありません!!

 

 

理亜「姉様ぁ…………」ポロポロ

 

 

 泣きながら抱き締めてくる理亜の頭を優しく撫でながら私は理亜の耳元で囁きました。

 

 

聖良「大丈夫ですよ、理亜。私が守ってあげますからね。」

 

 

 大丈夫…………大丈夫です。あともう少しだけ辛抱すればこの地獄から脱げ出せれるに違いまりません。

 

 

 また、いつもの様に家族で楽しく過ごせる日々が戻ってします。

 

 

 

 きっと……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 明の事件から2ヶ月が経ちました。どうやら2週間後ぐらいにようやく明が帰ってくるそうです。

 

 

母親「あなた!!飲み過ぎですよ!!もう、それぐらいにして下さい!!」

 

 

父親「うるせぇ!!てめぇはすっこんでろ!!」パァン

 

 

母親「きゃあ!!」バタン

 

 

聖良・理亜「ママ!!」

 

 

 最近、普段は温厚で優しくて大好きなパバがお酒を飲みまくって家で暴れるようになってしまいました。その姿を見ると、毎回恐怖で理亜と一緒に身体を震わせながらママが暴力を振るわれるのを見てきました。

 

 理由は、明の噂が広まってしまい『茶房 菊泉』にお客さんが1人も来なくなってしまったからです。当然、売上金は0に等しく生活が困難な状況へとなってしまいました。

 

 

 

 学校生活だけでなく、私達家族内も少しずつ少しずつと以前のような生活から狂い始めてしまいました。

 

 

 

父親「誰なんだよ。『人殺し』のいる店だって言いふらしているクソ野郎は………。うちはな、曾曾曾爺さんから代々受け継がれてきた大切な店なんだよ…………。なのに………」ポロポロ

 

 

 パパは悪酔いで一通り暴れると、今度は店についての歴史を語りながら泣き始め、そのまま寝てしまいます。

 

 

 スースーと涙を流しながら寝息を立てるパパの上に、頬が赤黒くなっているママは何も言わずに毛布を掛けていきます。

 

 

母親「2人とも、パパのこと嫌いにならないであげてね。パパもパパでここの店主として頑張っているから…………。」

 

聖良「はい、分かってます。」

 

理亜「………うん。」

 

 

 それは分かっています。どうにかお客さんに来てもらうと新商品を考えたりセールを行ったりと試行錯誤してるパパに、パパを近くで支えてるママの姿は毎日見かけます。この場にいる誰も悪くはありません。仕方がないことだと思っています。

 

 

 

 ……………どうして、私達4人は悪くないのにこんな仕打ちをされなければいけないのでしょうか。

 

 

 

 

 全部悪いのは………………のに。

 

 

 

 

 

 

 

 この時期辺りから、私自身の何かが壊れ始めていきました。

 

 

 

 

 

 

 

 「『人殺し』の姉のくせに学校来てんじゃねぇよ」バシャーン

 

 

 

 

 どうしてですか……………

 

 

 

 

「うわ、『人殺し』の姉2人よ。私達も殺されちゃうかもだからどっか行こ」ヒソヒソ

 

 

 

 

 どうして……………

 

 

 

 「茶房菊泉には近づかない方がいいわよ。なにせ、あそこは『人殺し』の家族だからね。」ニヤニヤ

 

 

 

 

 もう、やめてくださいよ…………

 

 

 

 

理亜「姉様ぁ……………」ポロポロ

 

 

 

 

 私達は何もしていないじゃないですか。

 

 

 

 

 

聖良「理亜……………」

 

 

 

 

 

 どうして、何もしていない私達がこんな目に遭わないといけないんですか……………。

 

 

 

 

 

理亜「私………、もう嫌だよぉ…………。」ポロポロ

 

 

 

 

 

 

 

 こうなってしまったのはどれもこれも全部…………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『人殺し』()のせいなのに!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この時、私はいつかの日に聞いた養護教諭の人に言われた言葉を思い出しました。

 

 

 

 

 

 

 ーーー罪を犯した弟のことを恨んでいるのか…………と。

 

 

 

 

 

 

 どうしてその言葉を聞いた直後に、私はそれを否定してしまったのでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 憎い……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私や理亜、ママやパパを傷つけたあいつが憎い!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 絶対に……………絶対に許さない!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、私は勉強机に飾っている私と理亜と明の3人で写っている写真とカッターナイフを取り出して、明だけ写っている部分を嫌悪の感情を込めながら切り刻みました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 明が帰ってくる1週間前。

 

 

 

 

 

 パパが私と理亜に食卓に来て欲しい、と言っていたので向かうとパパとママが真剣な表情を浮かべて席に座っていました。いつもと、何かが違う雰囲気に戸惑いならも私と理亜はいつもの席へ座りました。

 

 

父親「よし、みんな揃ったな」

 

 

聖良「何かあるのですか??」

 

 

父親「あぁ。2人とも、落ち着いて今から言う俺の言葉を聞いて欲しい。」

 

 

聖良・理亜「??」

 

 

 首を傾げる私達に対して、パパは少し時間を置いてから衝撃的な言葉を口にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

父親「来週、帰ってくる明を…………ここから遠くにある児童施設に入らせることにした。」

 

 

 

 

 

 

 

 

聖良・理亜「ーーーーーーーッッッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 あの子を児童施設に送る??それって、つまり…………

 

 

 

 

父親「あぁ、聖良。お前の思っている通りだよ。明を…………家から追い出す」

 

 

 

 

 父親が子供に対して言ってはならない言葉を平然と口に出すパパ。隣にいるママは何も言わなかったが、かすかに震えていました。

 

 

 

理亜「どうして………明を追い出すの??」ウルウル

 

 

 

 理亜はまだ状況を把握していないみたいです。目に涙を貯めて震えながら言葉を出していきました。

 

 

理亜「明は………大事な家族じゃないの??」

 

 

 

父親・母親「ーーーーーーーッッ」

 

 

 

 家族。

 

 

 

 この単語を聞いて、パパとママは気まずそうな表情へと変わりました。きっと、2人もこんなことを口に出したくなかったはずです。2人で話し合ったり考えたりした結果、あのような苦渋な決断に至ったのでしょう。

 

 

 

どうやら理亜は明を追い出すのは反対のようでした。理亜は優しい子ですね。あんなひどい仕打ちをされているのにも関わらず、明の味方になるなんて。流石はお姉ちゃんです。

 

 

 

理亜「ねーさまもそう思うでしょ??」

 

 

 理亜は私の方に顔を向けて言葉を出していきました。そうですね。『以前』の私ならば、理亜と同じ考えになっていたでしょう。

 

 

 でもね、理亜。私はもう無理なんです。限界なんです。

 

 

聖良「確かに、理亜の気持ちも分かります。けど………、パパやママがそう言っているんです。仕方がないことでしょう。」

 

 

理亜「え……………」

 

 

 私がこんな言葉を言うなんて思ってもみなかったのでしょうか………、理亜は目を丸くして、何も言わなくなってしまいました。

 

 

 私は理亜のそばまで近寄り、優しく抱き締めます。すると、理亜は震えながら私の胸の中で泣き始めました。それを見た私は理亜の頭を撫でながら落ち着くまでずっと抱きしめていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 後に、ママから教えて貰ったのですがこの時の私は口を三日月のような形をして微笑んでいてとても不気味だったそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 明が帰ってくる当日。

 

 

 お昼辺りに明は死人のような表情を浮かべながら警察官の人達と一緒に帰ってきました。

 

 そして、私達の姿を視線に捉えた明は涙を流しながらまずはママとパパの方に走っていきました。

 

 

明「ごめんなざい。ごめんなざい。僕のせいで……僕のせいで!!」ポロポロ

 

 

 明は泣きながらママとパパに謝っていました。何回も何回もごめんなさいと口に出していました。明はこの数ヶ月の間に、私たちの現状を警察の人から聞いていたようです。ママとパパも涙を浮かべながら明を抱き締めていました。

 

 

理亜「明!!」ポロポロ

 

 

明「理亜お姉ぢゃん!!」ポロポロ

 

 

 理亜もすぐに明の方へと駆け寄り、抱きしめました。

 

 

 私は明のそばまで駆け寄ることはありませんでした。距離を置いて、明とママとパパと理亜が抱きしめ合っているのを眺めているだけでした。

 

 

 

 

 

 明が家に帰ってきてから半年が経過しました。ぎこちない雰囲気が流れていたものの、今日まで過ごしていきました。

 

 

 そして、ついにこの日を迎えてしまいました。

 

 「鹿角様。」

父親「はい。お待ちしておりました。」

 

 スーツを着た男性が3人ほど、『茶房 菊泉』にへとやって来ました。決して怪しい人ではありません。児童施設のスタッフさんだそうです。

 

 

 30分ほど、パパとスタッフさんが会話したあと、3人のうちの1人が明の方へと向かいました。

 

 

 「それじゃあ、明くん。行きましょうか」

 

 

明「……………はい」

 

 

 荷物を持った明はコクリと頷きました。両親はこのことについて、本人に何も言わなかったそうですが、察しのよい明はきっと分かっていたのだと思います。

 

 

 

 今日、この瞬間に『人殺し』である自分は捨てられるのだと。

 

 

 

 「お姉ちゃん達に最後、何か言うことあるかい??」

 

 

明「………………じゃあ、バイバイって言ってきてもいいですか??」

 

 

 「あぁ、勿論。言っておいで」

 

 

明「ありがとうございます」

 

 

 明とスタッフさんが何か話したあと、明は何故か私と理亜の方へと足を運ぶ。どうして、こっちの方に来るのでしょうか。

 

 

 もう………、私は貴方の顔なんて見たくなかったのに。

 

 

 そして、明が私たちに何か言おうとする前に私は彼に向かって今までに出したこともないトーンで最低な言葉を出してしまいました。

 

 

 

明「お姉ちゃ「『人殺し』」…………え??」

 

 

 

 今までに聞いたことも無いトーンで言われたせいか、明は何かを伝えるはずだった言葉を途中で止めてしまいそのまま戸惑っていました。

 

 

 

 

 そして、最後に気が狂ってしまった私はトドメを刺すような感じで言葉を続けてしまった。

 

 

 

聖良「もう………、私達に関わらないで。」

 

 

 

明「ーーーーーーーッッ」

 

 

 

 私の言葉を聞いた明の表情はきっと長い年月が経ったとしても忘れることはないでしょう。

 

 

 

 

 

 大好きな姉に拒絶されてしまったあの悲しそうな顔を………。

 

 

 

 

 

 

 結局、明は私たちに何も言わずに児童施設のスタッフさんと一緒に去っていきました。

 

 

 

 

聖良「……………………」

 

 

 明がいなくなったことで、内心嬉しく思う自分がいるはずなのに何故か心がズキンと痛みを感じた。

 

 

 

 

 

 

 あの子がいなくなってから数ヶ月が経ちました。

 

 

 この頃は、ようやくあの子の噂が無くなりつつあり他人がひそひそ話をする姿をあまり見なくなりました。

 

 あんなに酷かったいじめも、運良く善良な心を持つ学校の先生が数人にいじめられている私を見つけたことが発端で色々と動いてくれたことがあり、いじめられることは無くなりました。

 

 『茶房 菊泉』の方も、とある新メニューが予想を遥かに超える勢いで大ヒットしたことにより、お客さんが来店するようになりました。

 

 

聖良「理亜。少しだけ手伝って下さい」

 

 

理亜「……………分かった」

 

 

 あの子がいなくなってから、変わったことと言えば純粋だった理亜が無愛想な感じへとなってしまったことですかね。とは言っても、私のことは姉様と強く慕ってはくれていますが……………,。

 

 

 

 チリリリーン

 

 

 理亜について心配していると、1人の男性がお店にやって来ました。あれ??この男性、どこかで見たような………。

 

聖良「いらっしゃいませ。1名様でよろしかったですか??」

 

男性「あ、いえ。自分は客じゃないので大丈夫です。こういう者です。」

 

 男性はそう言って、胸ポケットから刑事手帳を見せる。刑事さん………??

 

 あ、思い出しました。明を家まで送ってきてくれた警察官の中にいた人です。どうして、ここに来たのでしょうか??もう、あの子はいないのに。

 

男性「いや、渡しそびれたのがあってね。それを届けに来たのだよ。」

 

 刑事さんはハイ、と言って私に1冊のノートを渡しました。

 

聖良「これは……………??」

 

男性「彼が留置所にいた時にずっと使っていたやつでね。」

 

聖良「はぁ…………。」

 

 刑事さんからノートを貰うと、彼は「私はこれで失礼するよ。」と言って敬礼したあと、店から出ていっちゃいました。

 

 

 刑事さんがいなくなってから数分間、私は渡されたノートを眺めていました。

 

 

 私たちは、あの子が留置所で何をして過ごしていたのかは知りません。けど、恐らくですがこのノートを開けば分かる気がします。

 

 

 私は、興味本位でそれを開いてしまいました。

 

 

 ーーーペラリ

 

 

聖良「ふふ」

 

 

 最初の2、3ページは色鉛筆の絵が描かれていました。5歳児の絵にしては十分に可愛らしく、そして上手に描かれていて思わず口元が緩んでしまいました。

 

 

 ーーーペラリ

 

 

聖良「おぉ………」

 

 

 絵の次は、数字や+や-といった計算らしき文字が書かれていました。きっと、様子を見に来た刑事さんや警察官の人から簡単な計算問題を教えて貰っていたのでしょうか。

 

 

 次のページは何が書かれているのでしょうか。

 

 

 ーーーペラリ

 

 

聖良「ーーーーーーーッッ!?」

 

 

 私は次のページをめくり、そのページに書かれている内容を目にした瞬間、息を呑んだ。

 

 

 

 

 

 『ごめんなさい』

 

 

 

 

 

 と、ぐちゃぐちゃの文字で書かれていた。紙はしわくちゃだし、所々に染みが付いていた。きっと、あの子は泣きながらこの文字を書いたと分かる。

 

 

 

 

 私は震えながらページを進めました。

 

 

 

 

 ーーーペラリ

 

 

 

 『ごめんなさい』

 

 

 

 

 ーーーペラリ

 

 

 

 『ごめんなさい』

 

 

 

 

 ーーーペラリ

 

 

 

 

 『みんなを守れなくてごめんなさい』

 

 

 

 

 

 ーーーペラリ

 

 

 

 

 『人を殺してごめんなさい』

 

 

 

 

 ーーーペラリ

 

 

 

 

 『会いたい』

 

 

 

 

 

 ーーーペラリ

 

 

 

 

 

 

 『ママやパパ………お姉ちゃん達に会いたいよ』

 

 

 

 

 

 

 

聖良「ーーーーーーーッッ」ポロポロ

 

 

 

 気付いたら、私は涙を流していました。膝が地につき、口元に手を当てても涙は止まりません。

 

 

 それと、同時に自分の愚かさを理解しました。いや、改めて思い出したも言った方が正しいのでしょうか。

 

 

 どうして………、明は人を殺してしまったのか。

 

 

 

 それは…………私たち家族を守るためだということを。

 

 

 

聖良「あぁ……………」ポロポロ

 

 

 私は明になんてことをしてしまったのでしょうか。

 

 

 私が今度はあの子を守ると言ったのに!!

 

 

 逆に私は自分を守るためだけに、明を傷つけてしまった!!

 

 

 ーーートントン

 

 

 ここで、私は誰かに肩を叩かれた気がした。なので、振り向くとそこには………

 

 

 

 ここにいるはずのない、明が立っていました。目に光は無く、服装は事件を起こした時のものでした。

 

 

 

聖良「明………??」

 

 

明『どうして、僕のことを助けてくれなかったの??僕はお姉ちゃん達を助けるためにやったのに……』

 

 

 明はそう言って右手に持っていた銃を私の方に向ける。

 

 

聖良「やめて……………」

 

 

明『僕は一生許さない。お姉ちゃんのことを。』

 

 

聖良「いや…………」

 

 

明『だから…………』

 

 

 

 『殺すね

 

 

 

 そして、明は持っていた銃の引き金を引こうとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聖良「いやぁあぁああああああああああああああぁぁぁ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこからどうなったのか、私は覚えていない。気がついたら、自分の部屋のベットで横になっていた。理亜から話を聞くに、私は店で涙を流しながら倒れていたそうです。明のことを聞いても、理亜は見てないと言い張ります。

 

 ですが、そんな理亜の隣には未だに目に光が灯っておらず、うっすらと笑みを零している明がいました。

 

 

 恐らく、私だけしか見えない明という幻が。

 

 

 きっとこの先、私はこの幻に苦しまれることになるのでしょうか。

 

 

 これは、私が愚かな行為を犯してしまった故にできた罰………いや、呪いなのだと思いました。

 

 

 その時、幻の明は私に向かって小さな声でこう言いました。

 

 

 

 『お前はもう、逃げられない』と…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

理亜「姉様?」

 

 理亜が私に声を掛けたことによって、私は意識を取り戻した。なんだか、とっても懐かしいようで辛い夢を見た気がします。

 

 

 それにしても、どうして私は車椅子に乗せられて外にいるのでしょうか??

 

 

理亜「もうすぐ………着くよ。」

 

 

 着く??どこにですか??

 

 

 あれ??………この道って……………

 

 

 

 車椅子が進む度に、私の心臓音は大きくなっていく。そして、呼吸も上がって嫌な汗もたらりと垂れる。

 

 

 

 やめて……………、理亜。その道だけは通らないで下さい。

 

 

 

 身体を動かそうとしても震えて動かすことが出来なかった。どうして動かないのですか!?動いて下さい!!

 

 

 

 だが、私の身体は動かないまま、辿り着いてしまった。

 

 

 

 

 10年前に、明が人を撃ち殺してしまったあの銀行に……………。

 

 

 

 

 もう時間はだいぶ遅く、その銀行には私たち以外いない。

 

 

 

 

 いないはずなのに。

 

 

 

 

 入口付近の階段には1つの人影が。

 

 

 

 

 そして、その人影は私たちに気付いたのかゆっくりと私たちの方へと向かう。

 

 

 

 

 ーーードクン、ドクンと心臓の音がさらに強くなっていく。

 

 

 

 

 まさか……、本当に??

 

 

 

 そして………、遂に影で見えなかった人物は街灯によってその姿を現した。

 

 

 

 

明「久しぶり…………だな。姉ちゃん達。」

 

 

 

 

 

 

 私が最も会いたくて………心の底から会いたくなかった人物。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『人殺し』でSaint Snowの私たちの弟である鹿角 明が10年ぶりに目の前に姿を現した。




遂に、この3人が出会いましたね。いやぁ、マジで長かった!!

最終章、第2話。「『人殺し』とSaint Snowの行く末」を出来上がり次第更新していきます。

お気に入り・感想・高評価をお待ちしております。




〜質問回答コーナー〜

Q、七宮 梅雨という名前の由来は??
A、私は一宮駅が好きで、私の苗字が七から始まることから七宮にしました。梅雨は初めてハーメルンでアカウントを作った日が雨だったため。

Q、付き合いたい理想の女性。(ラブライブ!サンシャイン!!の限定キャラで)
A、理想な女性ならば、高海 志満さんですかね。全てを受け入れてくれそうな感じがたまらないほど好き。

Q、設定の練り込みに何かこだわっていることはありますか??
A、コメディな話を書くならガッツリと読んでくれている人が笑ってくれるようにコメディをやるし、シリアスな所はガッツリとシリアスな展開へと持っていくなど、メリハリを分けている所をこだわっています。銀魂みたいな感じですね。



質問、どんどん募集しているので送ってくださいまし。

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