Saint Snowの2人の弟である俺は『人殺し』   作:七宮 梅雨

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夏休みもあと1日ですね。
それまでになんとか最終章を投稿出来て良かったです!!

それではどうぞ!!


『人殺し』は思いを告げる

 聖良姉ちゃん達との関係を取り戻した俺は、ひとまず姉ちゃん達と別れて空港の近くにあるホテルで一夜を過した。

 

 別れる時、聖良姉ちゃんから実家である茶房菊泉で泊まることを勧められたが丁寧に断っておいた。まだ、両親に会うときでは無いと思うからな。

 

 そして現在、俺はキャリーバックを手にして空港にいる。目の前には聖良姉ちゃんと理亜姉ちゃんの2人が見送りに来てくれていた。

 

 

聖良「本当に良かったんですか??………母さん達に会わなくて」

 

 

 聖良は心配そうな表情を浮かべて俺に言葉をかける。

 

 

明「うん。今回、函館に来た理由は姉ちゃん達とやり直すためだったからね。また、近い内に会いに行くよ」

 

 

聖良「そうですか。」

 

 

 姉ちゃん達と関係を取り戻しても、まだ両親がいる。きっと、姉ちゃん達は俺の味方になってくれると思うが、それでも厳しい道のりになるだろう。

 

 

 

 だけど、俺は諦めない。

 

 

 

 

 

 どれくらい時間がかかったとしても俺は……絶対に両親とも関係を取り戻してやるんだ。

 

 

 

 

理亜「ねぇ、明」

 

明「ん??」

 

 理亜姉ちゃんは俺の服の裾を摘んで、顔を赤くしながらオドオドとして俺に話しかける。

 

 

理亜「Aqoursのみんなと………アンタの里親の奥山 零さんにお礼言って貰えると………助かる。」

 

 

 俺がこうして姉ちゃん達のやり直すことが、出来たのは俺だけの力だけじゃない。

 

 

 千歌、船長、梨子、ルビィ、花丸、善子、ダイヤちゃん、かなっち、マリーの心強い9人の仲間と………

 

 

 俺の恩人で里親である零さんの協力があってこそのこの結果だ。

 

 

明「分かった。必ず伝えとくよ」

 

 

 俺の言葉を聞いて、理亜姉ちゃんは安心したのか可愛らしく微笑んで俺の服の裾から手を離した。

 

 

明「そういえば、姉ちゃん達ってスクールアイドルの活動を続けるの??」

 

 

 今なお現在、聖良姉ちゃんと理亜姉ちゃんの2人がやっているスクールアイドルグループ、Saint Snowはメンバー(聖良姉ちゃん)の体調不良を理由に活動を休止していた。

 

 だから、この先どうするのか気になっていたがどうやら心配するのは杞憂だったようだ。

 

理亜「当然!!」

 

聖良「えぇ。昨日の夜に理亜と話し合って決めました。」

 

 

 姉ちゃん達の目は死んでおらず、やる気に満ち溢れていた。

 

 

 とは言っても、今の聖良姉ちゃんの両腕は自身が傷つけた怪我で酷いものとなっているため、そちらの治療がだいたい終わるまでは公の場に出ずに軽いトレーニングなどを行うなどして、リハビリに専念するらしい。

 

明「そっか。良かった」

 

 俺は姉弟とか関係なしでSaint Snowは好きなスクールアイドルグループの1つである。それが近い内に活動を復帰するとなればこの先が楽しみだ。

 

 それに、Saint Snowが復活となれば当然、Aqoursにも良い刺激となるだろう。その逆もまた然りだ。

 

 

理亜「それに、もう新曲の案は出来てる」

 

 

明「そうなの??」

 

 

聖良「はい。私達が過ごした10年間をテーマにしています。」

 

 

 

 

 姉ちゃん達が過ごした10年間をテーマにした曲か…………。なにそれ、すっげぇ気になる。

 

 

明「そうなんだ。楽しみにしとくよ。」

 

聖良「はい!!」

 

理亜「任せといて!!」

 

 そして、このタイミングで俺が乗る便のアナウンスが空港中に響き渡る。俺は姉ちゃん達の方に振り向いて言葉を出す。

 

明「じゃあ……そろそろ行くよ」

 

聖良「はい………」

 

理亜「うん…………」

 

 俺は目の前にいる姉ちゃん達にゆっくりと抱き締める。またすぐに会えるとは思うが、それでも少しでも長く彼女達の温もりを感じていたかった。それは姉ちゃん達も同じだったのか、2人も俺の方に腕を伸ばして抱き絞めた。

 

 

明「またね、2人とも」

 

 

 そう言って俺達は離れて、俺は改札の方へと歩き出した。

 

 すると、すぐに背後から聖良姉ちゃんの大きな声が聞こえてきた。

 

 

 

 

聖良「明!!私達に会いに来てくれて!!関係をやり直そうと言ってくれて!!私達のことをまた姉として受け入れてくれて!!本当にありがとうございます!!」ボロボロ

 

 

 

 

理亜「姉様…………」ボロボロ

 

 聖良姉ちゃんは涙を流しながら大きく手を振ってくれた。その近くで理亜姉ちゃんも小さく俺に手を振ってくれている。

 

 

 これを見て、本当に俺は姉ちゃん達とやり直すことが出来たんだ、やり遂げたんだ。と改めて実感が湧いて少しだけ泣きそうになった。

 

 

 そして、気付いたら俺も姉ちゃん達に向かって腹から声を出していた。

 

 

 

明「俺の方こそありがとう!!近い内に里親と愛する彼女(予定)を連れてここに来るからよろしくな!!」

 

 

 

聖良・理亜「彼女!?」

 

 

 この時の2人の驚いた表情を見て、俺は二ヒヒと笑いながら飛行機の方へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちなみに、これは余談なのだが…………。

 

 

 俺が姉ちゃんと関係を取り戻してから数ヶ月後。

 

 Saint Snowはスクールアイドルのサイトの方で活動を再開するという報告を新たな曲と共に発表された。

 

 そして、彼女達がサイトにアップした新曲のタイトルは…………

 

 

 

 

 

 

 

 『DROP OUT!?』

 

 

 

 

 

 

 

 聖良姉ちゃん達の宣言通り、彼女達が道に外れて過ごしてきた今までの10年間の全てが込められている良い曲だった。

 

 

 

 

 

 

 

〜沼津駅〜

 

 

 長かった旅を終えて、ようやく沼津駅へと到着した。くっ、函館と違ってやっぱり暑いな。

 

 えぇと、確か………零さんがこの辺りで待っててくれてるはずなんだけどな。

 

零「明ちゃーん。こっちこっち」

 

 キョロキョロしていると、お馴染みの車の近くで零さんが俺に手を振りながら声をかけてくれた。

 

 俺は零さんの方まで走って駆け寄る。途中で、転びそうになったけどなんとか体勢を保ちながら零さんの方へと足を運んだ。

 

 そして、彼女の側まで行くと零さんに抱き締められる。

 

零「おかえり。明ちゃん」

 

明「ただいま、零さん。」

 

 俺も零さんの方に腕を伸ばして抱き締めた。10年間ぶりの姉ちゃん達の温もりは良かったけど、零さんの温もりも良かった。

 

 

 

 

零「遂に…………やり遂げたんだね」

 

 

 

 

 

明「ーーーッッ…………うん。」

 

 ここで、俺は零さんの体が微かに震えていることが分かった。どうして震えているのかはあえて言わないでおこう。俺は出来るだけ零さんの姿を見ないようにした。

 

 

 

零「やっぱり……私の息子は凄い子だ。うん、間違いない」

 

 

 

明「…………そうかな??多分、6年間俺を育ててくれた母親の教育方針が良かったからだよ。」

 

 

 

零「…………そう言って貰えると零さん的に嬉しいかも」

 

 

 

明「はは。零さん、照れてる。」

 

 そして、少し経ったあとに俺と零さんは互いの顔を見つめながら笑い合った。

 

零「帰ろっか。」

 

明「うん」

 

 零さんの言葉に頷いた俺は零さんの愛車に乗り込み、我が家を目指して零さんはエンジンを掛けたあとアクセルを踏んだ。

 

零「そういえば、あの子達……Aqoursは予選で落ちちゃったみたいだね」

 

明「みたいだね」

 

零「あれ?知ってたんだ。」

 

 サイトの方で確認したし、花丸にメッセージを送ったあとに千歌達から個人で大量にメッセージが来たからな。

 

 

零「でも、こうなることを予想してたみたいな言い方だね。」

 

 

明「あ、相変わらず鋭いね。零さんは……」

 

 まぁ……、零さんの言う通りなんだけどね。

 

 確かに、Aqoursの東海地区予選のライブはとても良かった。良かったのたが、Aqoursは1つ公式大会のルールを破ってしまった。

 

 本来ならば、ステージ上に近付いては行けないという決まりがあるのにも関わらず千歌の呼びかけによって彼女たちの保護者や学校の生徒はステージに近付いてAqoursと共にライブを行った。

 

 傍から見たら素晴らしい演出だったが、それは身内だけの意見だ。

 

 もし、第三者である一般客や審査員はそのライブを見てどう思うのだろうか。少なからず良い気分ではない。

 

 実際に、俺は操作室で彼女達のライブを見ていた審査員が呆れたような表情をしていたのを目撃していたのでその時点でこうなることは察していた。

 

 

 だけど、あのライブによって嬉しいことも起きていた。

 

 

明「あのライブのおかげで浦の星女学院の入学説明会の応募者が何人か来たらしいからね。」

 

 

 そう。この情報はマリーが教えてくれたのだが今まで0だった応募者がライブが終わったあと、確認したら5人へと増えていたらしい。5人となればまだまだ全然だと思うが、それでもAqoursにとっては大きな変化だろう。廃校阻止への希望が少しだけ見えてきたのだ。

 

 

零「そうなんだ。やったじゃん」

 

明「うん。これからももっと頑張らないとね」

 

 俺がそう呟いたところで、我が家へと到着した。長旅の疲れがあるため、早く部屋に行って身体を休めたい気分だった。

 

 休めてる間に、色々と決めなければ行けないことがある。

 

 夏休み中にはもう1回ほど函館に行きたいので、予定の埋め合わせや夏休み中のAqoursの今後について。

 

 

 

 そして………花丸に想いを伝える日などその他諸々と考えなければならない。

 

 

 

明「ただいま〜」

 

 ガチャと、玄関の扉を開けて俺は言葉を出す。駐車場で零さんが車を停めている最中なので返ってくる言葉はないのだが、もうこれは癖だな。つい、言ってしまう

 

 自分の部屋に行く前に、喉を潤すためにお茶だけ飲もうとリビングの扉を開けた瞬間…………

 

 

 

 「明くん!!おかえりーーー!!!」パンパンパーン

 

 

明「うわっ!?」ガタッ

 

 

 突然の言葉に突然のクラッカー音がリビング中に鳴り響き、驚いた俺は思わず尻もちを付いてしまった。

 

 尻に手を当てながら目の前を見ると、驚きの光景を目にした。

 

 リビングがまるでパーティーのように豪華な飾り付けをされており、テーブルの上には数々の料理が置かれていた。

 

 そして………目の前には千歌、曜船長、梨子、ルビィ、花丸、善子、ダイヤちゃん、かなっち、マリーの9人がクラッカーを手にして嬉しそうに微笑みながら立っていた。

 

 

 え…………何で、みんな家にいるの??

 

 

 突然の光景に少しばかり思考停止していると、背後から送れてやって来た零さんが状況を説明してくれた。

 

零「千歌ちゃん達がね………、明ちゃんがここに戻ってきた時にサプライズでお祝いしたいって言ってたの。だから、零さん。協力しちゃった☆」

 

明「………マジ?」

 

零「マジマジ。」

 

 零さんがさし伸ばしてくれた手を取って俺は立ち上がる。

 

千歌「明くん。」

 

 千歌を先頭に9人が俺の側まで近づいたあと、じっと俺の方へと見つめる。ゔっ、美人な人達に見つめられると緊張するんだが………。

 

 そして、俺に向かって1人ずつ彼女達は言葉を出してくれた。

 

 

 

千歌「おめでとう!!はいこれ、みかん!!美味しいよ!!」

 

 

曜「おめでとう!!ヨーソロー!!」

 

 

梨子「ふふ、おめでとう」

 

 

ルビィ「うゆ!!おめでとう!!」

 

 

花丸「おめでとうずら!!」

 

 

善子「この堕天使ヨハネがリトルデーモンである貴方にお祝いの言葉を送ってあげるわ!!感謝しなさい!!」

 

 

ダイヤ「明さん、おめでとうございます!!」

 

 

果南「おめでとう!!ハグしよ♪」

 

 

マリー「Congratulation♪」

 

 

 

明「ーーーーーッッ…………」

 

 

 彼女達の言葉を聞いて、俺は思わずみんなから顔を隠すように手を抑える。もう、我慢の限界だった。

 

 

明「なんだよぉ……それ。反則すぎるだろおぉ…………」ボロボロ

 

 

 こんな素敵なサプライズをしてもらって、あんな素敵なお祝いの言葉を送ってもらって…………嬉しくないはずがないだろう。

 

 

零「ほら、明ちゃん。みんなに言わなくちゃいけないことがあるでしょ??」

 

 

 零さんはそう言って、泣いている俺の肩に手を置く。そして、もう片方の手にはハンカチを持っていた。

 

 

 

 そんなの分かってる………分かってるよ。

 

 

 

 俺は立ち上がって、零さんからハンカチを受け取り涙を拭ったあと今度は俺が目の前にいる彼女達に向かって言葉を出した。

 

 

明「みんな、ありがとう。それと……ただいま。」

 

 

Aqours「ーーーッッ………明くーん!!」ガバッ

 

 

明「うおぉ!!???」

 

 

 俺の言葉で、千歌達は俺の方に飛びかかる。慌てて彼女達を受け止めたが、9人が一斉に飛びかかったもんだから重さに耐えきれずそのまま床に倒れ込んだ。

 

 

 やばい。何これ。どういう状況??

 

 

零「明ちゃん、モテモテだねぇ。零さん、妬けちゃうわ♪」ニヤニヤ

 

明「あはは……………。」

 

 そんなこと言ってないで、早く助けて欲しいです。色々と当たっちゃってるから!!ちなみに、右腕に当たってるのは多分、かなっちのやつですね。ありがとうございます。ご馳走様です。

 

零「ふふ。はい、みんな〜。そろそろパーティーの方を始めましょうか。料理が冷めちゃうわ」

 

Aqours「はーい!!」

 

 零さんの言葉に、みんなは俺から離れていく。た、助かった……。あともう少しで理性が飛ぶところだった。

 

 

 

花丸「明くん………」

 

 

 

明「ん??」

 

 他のみんなはもうテーブルの方へと足を運んでいる中、花丸だけは俺のそばで待っててくれていた。

 

 そして、俺の右手を優しく掴んだあと俺の目を見て若干顔を赤くさせながら微笑みながら一言だけ呟いた。

 

 

花丸「………行こ??」

 

 

明「お……………おう」

 

 

 この時、俺は改めて彼女のことを綺麗だと思った。

 

 顔が熱くなるのを感じてしまうぐらいまで赤くなっているし、心臓の音も手を当てなくても分かるぐらいまでドクドクと鳴り響いている。ば、バレてないよな??

 

 そして、そのまま俺は花丸に手を掴まれたまま引かれて、テーブルで待っている彼女達の方へと向かった。

 

 花丸に手を引かれているまま、俺は心の中で1つあることを決断した。

 

 

 

 

 

 このパーティーのあとに…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーー俺は花丸に告白する。

 

 

 

 

 

 

 花丸と一緒にテーブルにつくと、梨子からみかんジュースが入ったコップを渡される。他のみんなもコップを持っていた。

 

 そして、このお祝いパーティーの考案者である千歌が片手にコップを持ち、コホンと咳払いをしたあとに言葉を出した。

 

 

 

千歌「それじゃあ、今から明くんのお祝いパーティーを始めたいと思います!!皆さん、準備はいいですかー??それじゃ〜、乾杯ー!!!」

 

 

 

Aqours「乾杯ー!!」カンカンカーン!!!

 

 千歌の言葉によって、俺たち10人のコップが互いにぶつかり合う。

 

 気持ちの良い音がリビングを鳴り響くと共に、俺のお祝いパーティーが開催された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パーティーが始まってから結構長い時間が経ち、もう夕日も沈みかかって少しだけ外が暗くなってきているところでパーティーはお開きとなった。

 

 時間が時間なので、千歌のお姉さんである美渡さんと黒澤家の使いの人が車で迎えに来てくれた。

 

 美渡さんの車には、千歌と梨子。黒澤家の使いの人の車にはルビィ、ダイヤ、果南、マリー。

 

 そして、俺の家から近いので俺と零さんが付き添っての徒歩組である俺、零さん、曜、善子、花丸という感じで別れた。

 

千歌「花丸ちゃん、本当にいいの??家まで送ってくよ??」

 

 美渡さんの車に乗った千歌が花丸に言葉を投げかける。

 

 それもそのはず。花丸はどっちかと言うとここからはそこそこの距離がある。歩きでは行けないという訳ではないが、それでも車で送って貰った方が彼女のためだろう。

 

 だけど、花丸曰くここの近くに住んでいる知り合いに用事があるらしく徒歩組の方へと加わった。

 

 

 正直言って、凄く助かった!!パーティー中にどうやって徒歩組の方に誘うかずっと考えてたけど、考える必要は無かったみたいだ。

 

 

花丸「うん、大丈夫ずら!!ありがとね、千歌ちゃん!!」

 

 

 その後、そのまま車組はそれぞれの家へと向かって走って行った。

 

 

零「じゃあ、私達も行きますか」

 

曜「了解であります!!」

 

善子「御意!!」

 

花丸「ずら!!」

 

 車組の姿が見えなくなるまで見送ったあと、徒歩組である俺達もそれぞれの家に向かって歩き出す。

 

明「距離的に最初は善子かな」

 

善子「そうなるわね」

 

 ということで、まずは善子の家へと目指す。

 

 元々、今いるメンバーの組み合わせはなかなかの珍しいものなので新鮮な気持ちだ。

 

零「へぇー、善子ちゃんは堕天使奥義っていうのが使えるのね。」

 

善子「ヨハネよ!!クックック、その内貴女にもお披露目してあげるわ!!」

 

零「そう!!じゃあ、私もお礼として奥山家に代々伝わる空手の奥義を善子ちゃんに教えちゃおっかな」

 

曜「なんですか!!それ!!凄く気になります!!」

 

花丸「マルもずら!!明くんもその奥義は使えるの??」

 

明「一応な。その奥義を覚えるのに3年かかったけどね。」

 

 と、こんな感じで零さんと俺の空手について話してるとあっという間に善子が住んでいるマンションの近くへと辿り着いた。

 

 

明「今日はありがとうな、善子」

 

 

善子「堕天使ヨハネのリトルデーモンの為よ。気にしないで。それと…………明。改めて聖良達と関係を取り戻せておめでとう。」

 

 そして、善子は最後に俺たちに向かって「さらば!」と言ったあとマンションの方へと走って行った。

 

零「善子ちゃん、とてもいい子ね。」

 

 零さんはマンションの中へと入っていく善子の姿を見てボソッと呟く。彼女の言う通り、善子は厨二病だけど仲間思いで良い奴だ。正しく名前通りに。

 

零「次は曜ちゃんの家だね。行こっか」

 

曜「はい!!」

 

 善子を見送ったあと、今度は船長の家へと向かう。

 

零「そっか、Aqoursはそうやって出来たのね。」

 

 船長の家に目指している間、今度は零さんはAqoursについて彼女たちに聞いていた。

 

零「私も今からアイドル目指そうかしら………なんてね。こんな三十路が近くなってきてる女には無理か………。」

 

 スクールアイドルの話を聞いて零さんは恐らく冗談であろう言葉を苦笑いしながら出す。

 

曜「いやいや、零さんはとても美人だから今からでも遅くないと思います!!」

 

花丸「曜ちゃんの言う通りずら!!零さんは綺麗ずら!!」

 

 零さんの冗談を船長と花丸が抗議する。確かに、零さんは6年間過ごしてきた俺からしてもかなりの美人さんだと思う。

 

 顔は整ってるし身長も高くてまるでモデルさんのようにスラットしてるし、空手もやってたからか筋肉もそこそこある。

 

曜「明くんもそう思うよね??」

 

 船長が零さんについて俺にふる。マジか………。でも、ちゃんと嘘ひとつなく本心を言っておくか。

 

明「………そうっすね。」

 

零「ッッ………あ、ありがと。」

 

 普段は美人やら綺麗やらと褒められ慣れていない零さんは顔を赤くして照れていた。

 

 そして、その後零さんを褒め殺していると曜船長の家へと辿り着く。

 

 

明「船長、今日はありがとうございました」ビシッ

 

 

 俺は船長に向かって、敬礼をしながらお礼の言葉を出す。すると、船長も

 

 

曜「うん!!どういたしまして!!これからも一緒に頑張ろうね!!」ビシッ

 

 

 と、敬礼しながら俺に向かって言ってくれた。

 

 

 そして、曜船長がいなくなって花丸の知り合いの家に向かってる途中、

 

 

 

 

零「あーーーー!!!」

 

 

 

 

 突然、零さんが涙目になって叫び出す。俺と花丸は驚いてビクッと体をふるわせた。

 

明「どうしたの!?」

 

 

零「今日の夜に奈乃くんと会う約束してたんだった!!」

 

 

明「え??」

 

 

 な、奈乃くん??え、誰それ??

 

 

零「ごめん、明ちゃん。花丸ちゃん。私、先に家に戻るね!!」

 

明「ちょっと待って!?奈乃くんって誰!?どなた様!?」

 

零「奈乃くんは職場の後輩で最近、仲良くなった男の子。今日の夜に2人で食事はどうですかって誘われてたの。」

 

明「は??」

 

 今日、2度目の思考停止に陥っていると零さんが俺のそばまで駆け寄り俺にだけしか聞こえないような声量でボソッと囁く

 

 

 

 

零「明ちゃん。あの子に告白するんでしょ??頑張れ。」

 

 

 

 

 

明「なっーーー!?」

 

 

 

 ニコッと零さんは意地悪そうに微笑んだあと、「うおぉおおお!!!待ってろ奈乃ぉぉぉぉぉぉ!!!」と雄叫びをあげながら走って去って行った。

 

 

 てか、何で知ってんだよ、あの人。そういうことは一切、零さんと過ごしてて口に出さなかったっていうのに。

 

 

花丸「…………奈乃さんって人は零さんのこと好きなのかな??」

 

明「いや、俺は認めないからね??」

 

花丸「明くんは零さんのお父さんずらか??」

 

 花丸はため息を吐きながら俺に向かって言葉を出すと同時に花丸の知り合いの家へと辿り着いた。

 

 花丸曰く、すぐに終わるということなのでその知り合いの家の近くで待機することに。

 

 

 

明「このあと、俺………花丸に告白するのか。」

 

 

 

 彼女が居ないことをいいことに、俺は空を見上げて特に何も考えずに綺麗な満月を眺めながら無意識でボソッと言葉を出す。

 

 だが、それは間違いだった。すぐに今の発言で恥ずかしさが込み上げてきて顔が赤くなってしまう。

 

 やばい。やばすぎる。告白する前とはこんなにも緊張するもんなのか。

 

 

 全国のお付き合いしている人達も告白する前は俺と同じような想いをしていたのだろうか。

 

花丸「お待たせずら〜。………って何やってるずら??」

 

明「…………瞑想だ」

 

 花丸が用事を終わらせている頃には、俺は気持ちを落ち着かせるために座禅を組んで瞑想していた。花丸の顔を見ると、若干ドン引きしていた。まぁ、そうなるよね………。

 

明「よし、行くか」

 

花丸「うん。」

 

 俺は座禅を崩してから立ち上がり、花丸と共に歩き始める。

 

 

明「…………………」

 

 

花丸「………………」

 

 

 歩き始めて、結構経つが俺と花丸はお互いに一言も口に出すことは無かった。

 

 せっかくの二人きりだと言うのにも関わらず、俺は彼女に話しかけるタイミングを完全に失ってしまった。前の時と一緒だ。

 

 頭の中では、ひたすらどうすれば良いのかという言葉しか出てこない。

 

 いざと言う時に限ってヘタレになってしまう自分を死ぬほど恨んでしまう。

 

 

 

 

 

 

 そんな中、俺にとって些細で大きな転機が訪れる。

 

 

 

 

 『しゃーねーから人肌脱いでやるよ。』

 

 

 

 

 

 

 ーーービュー!!!

 

 

 

 

 

 

明「うお!?」

 

花丸「ずら!?」

 

 俺たちの方に向かって、突風のような強い風が吹き上がる。

 

 

 今の声は…………!?

 

 

花丸「あ!!マルのが!!」

 

 この時、彼女が髪に付けていたリボンが突風によって外れ宙に浮いた。そして、そのまま風に乗せられてどこかへと飛んでいく。

 

花丸「ま、待って!!」

 

明「ちょ、花丸!?」

 

 花丸は風に流されるリボンのあとを走って追う。それに続けて俺も走り出した。すぐに花丸に追いつき彼女に話しかける。

 

明「あのリボンは大事なものなのか??」

 

花丸「うん!!あれは亡くなったおじいちゃんがマルにくれたものずら!!」

 

 花丸は若干涙目になりながら言葉を出す。亡くなった祖父から貰ったものならば、花丸にとってとても大切なものだろう。よくよく思い出してみれば、あのリボンだけは気おつけて扱ってた気がする。

 

 

 …………よし!!

 

 

明「そっか!!じゃあ、待ってろ!!俺が取ってきてやるから!!」

 

 俺は彼女にそう言ったあと、スピードを上げてリボンのあとを追う。

 

 手が届きそうな所まで追いつき、なんとか手を伸ばして掴み取ろうとするが、縦横無尽に動き回るのでなかなか掴むことができなかった。

 

 

明「てやぁーーーー!!」

 

 

 俺は叫びながら飛び上がり、ようやくリボンを掴むことが出来た。

 

明「よ、良かった〜」ゲホゲホ

 

 安心してリボンを見つめながら、俺はむせる。結構、長時間走ったからな。むせて当然か。

 

花丸「明くん!!大丈夫!?」

 

 しばらくむせてると、花丸がやって来て俺の背中を摩ってくれた。そのおかげか、なんとか落ち着きむせは治まった。

 

明「花丸、はいこれ」

 

 むせが治まったところで、俺は花丸にリボンを渡す。

 

花丸「明くん!!ありがとうずら!!」

 

 花丸は嬉しそうにリボンを受け取る。大事そうに抱えてるので、本当に花丸にとって大切なものだということが分かる。

 

 もう少ししたら、花丸に声をかけてまた歩きだそうと思った瞬間に俺はあることに気づいた。

 

 

 

明「ここは………………」

 

 

 

 

 リボンに取る事に必死で気づかなかったが、今いる場所が俺たちにとって特別な場所だった。

 

 これは………偶然なのか??

 

 すると、先程ではないがそこそこ強い風がまたしても吹き上がる。

 

 

 

 『ま、あとは頑張りな。俺よ。』

 

 

 

 またしても聞き覚えのある声が耳の中へと入ってくる。

 

 

 

 まさか、零さんだけじゃなくてあいつにも背中を押されることになるとはな。

 

 

 

 この瞬間、俺は覚悟を決めた。この時点で、もう特に緊張とかはしていなかった。

 

 

 

 そして、未だにリボンを大事そうに抱えている美しき彼女の名を……………呼んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明「なぁ……………花丸。お前に伝えたいことがある。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜花丸視点〜

 

 

明「なぁ…………………花丸。お前に伝えたいことがある。」

 

 

 

花丸「ーーーーーーッッ!?」

 

 

 マルが大事にリボンを抱えていると、明くんが突然、マルに向かって言葉を出す。

 

 その言葉を聞いて、すぐに心臓がドクンと鳴り響くのを感じた。

 

 

 伝えたいこと??それってもしかして………

 

 

 明くんはマルの反応を伺ったあと、続けて言葉を出した。

 

明「ここだけの話、俺さ千歌や花丸達と出会う前は誰とも話したこともないし、1度も遊びにとか行ったことがないんだよね。」

 

花丸「え………??」

 

 突然のカミングアウトにマルは目を丸くした。あの陽気な明くんが??

 

明「まぁ、さっきも言った通りその時は零さんの元で空手やってたっていうのもあったけど、やっぱり『人殺し』の俺は誰かと関係を持つのが怖かったんだ。」

 

花丸「明くん…………」

 

明「浦の星女学院に入学した理由だって、今年から共学になったからっていう容易な考えだよ。周りが女子ばっかだから男子である俺に話しかけることは無いだろうって思ってた。」

 

 明くんは次から次へと当時、思っていたことを嘘ひとつなく話してくれる。マルは何も言わず、彼の言葉を聞いていた。

 

 

明「誰とも話しかけること無く、誰とも関係を持つことも無く、ただ単にこの3年間を1人で過ごすことになるんだろうなって思ってた。中学と同じように。」

 

花丸「…………………」

 

 

明「だけど、千歌と出会ってからは俺の何もかもが変わった。誰とも関係を持たないって決めてた俺がAqoursのマネージャーをやることになった。」

 

 

明「だけど元々、俺がマネージャーをやってた理由も姉ちゃん達に会うため。だから、東京で2人に会ってからはマネージャーをすぐに辞める予定だった。なのに……辞めることはできなかった。」

 

 

明「多分………何もかもが初めてで新鮮であの空間が好きだったからだと思う。千歌や善子やマリーがふざけて、それを俺や花丸、ダイヤちゃん辺りがツッコミ入れたりして…………みんなで笑い合ってたあの雰囲気が。」

 

 

 それは明くんだけじゃない。マルもみんなと過ごしてきた時間はとても有意義で楽しかったずら。

 

 

 明くんは懐かしがるような雰囲気である程度語ったあと、マルに向かって下に指を指して言葉を出した。

 

 

 

明「なぁ、花丸。今、俺らがいるこの場所を覚えているか??」

 

 

 

 この場所…………??あっ!!

 

 

 

明「そう。ここは………前に俺が花丸に酷いことを言ってしまった場所だ」

 

 

 

 リボンのことであまり気にしてなかったけど、明くんの言う通り今、マル達がいる場所は前に明くんに拒絶されてしまった所だった。実際に、彼がヒビを入れた壁もすぐそこにある。

 

 

明「あの時は本当にごめんな。『人殺し』の俺の姉がSaint Snowのあの2人っていうのがバレるのが怖かったんだ。」

 

 

花丸「あ、明くんが謝ることじゃないよ!!マルが盗み聞きなんてしちゃったから………」

 

 

 確かに、明くんに罵倒されたのは間違いない。けど元々はマルが明くん達との会話を盗み聞きしちゃったからいけなかったんだし…………。

 

 

明「それに…………肩の傷も。」

 

 

 明くんは申し訳なさそうな表情を浮かべて言葉を出す。今はもうすっかりと傷口が塞がり、包帯も外れてるけど、やっぱり傷跡はくっきりと残ってしまっている。

 

 

 だけど、前も千歌ちゃん達がお見舞いに来てくれた時も言ったけどこれに関しては後悔は一切していない。だから、明くんが気にすることじゃないずら。

 

 

 それに……………

 

 

花丸「あの時に関してなら、マルも謝らないといけないずら。」

 

 

 傷を負ったのは、マルだけじゃない。

 

 

 明くんもマルを助けるために、左腕に大怪我を負っている。左腕を見てみると、マルと同じ様にくっきりと傷跡が残っていた。

 

 

花丸「明くんは何であの時にマルを助けてくれたの??」

 

 

 マルはずっと前から気になっていたことを口に出す。拒絶していた明くんがどうして庇ってマルを助けてくれたのか。まだ、理由を聞いていなかった。

 

 

明「それは……………分からない」

 

 

 明くんは視線を落として、マルの質問について言葉を出す。

 

 

明「なんで、あの時に花丸を助けに行ったのか未だに分からないんだ。勝手に身体が動いたというか………。」

 

 

 そうなんだ。明くんも余り分かってなかったんだ。

 

 

 マルの質問の答えはこれで終わりかと思ったけど、「でも!!!」と明くんは言葉を続けた

 

 

明「今、考えてみれば嫌だったんだと思う。花丸が殺されてしまうということが。」

 

 

 明くんの言葉で、嬉しさと恥ずかしさでマルは顔を赤くしてしまう。明くんも自分の発言が照れくさかったのか顔を赤くしていた。

 

 だけど、気持ちを入れ替えるためなのか明くんは顔を左右にぶんぶんと揺らしたあとに再びマルに向かって話しかける。

 

 

明「俺さ…………花丸のおばぁちゃんに謝罪しに行った以降から少しだけおかしくなったんだ。」

 

 

 おかしく………??それは、どういうことずら??

 

 

 

明「花丸のことを見ると……とても胸が苦しくなるんだ。」

 

 

 

 …………………え??

 

 

 

明「特に何も無いはずなのに何故か緊張とかしてさ、心臓とかもめっちゃ鳴るし。こんなの産まれて初めてのことだった。」

 

 

花丸「明くん………」

 

 

 

明「だけど、俺はこの気持ちが一体どういうことなのかは分かってて分からなかった。今までずっと1人だったから、確証がつかなかったんだ。」

 

 

 

花丸「明………くん……」

 

 

 

 この時点で、マルは既に泣きそうになっていたずら。だけど、最後まで彼の言葉を聞くべく堪える。

 

 

明「そして、この気持ちが確証ついたのは花丸がうちに泊まりに来てくれた時。あの日の夜は最悪だった。悪夢を見せられてとても苦しかった。1人ぼっちで辛くて苦しくて寂しくてとても堪らなかった。」

 

 

 

 

 明くんの家のお泊まりは楽しかったのと、大変だったのを覚えてる。そんなに辛かったんだ…………。

 

 

 

明「だけど、お前が……………花丸が苦しんでいた俺をあの闇から助けてくれた。1人にしないでくれた。ずっと朝まで手を握ってくれながら一緒にいてくれた。あの時…………本当にとても嬉しかったんだ。」

 

 

 そう言ったあと、明くんはマルにゆっくりと近づく。そして、マルの目の前に来たあと明くんがこの場で1番伝えたくて………マルが1番聞きたかった言葉を口に出した。

 

 

 

 明「それで、俺はあの朝に花丸を見て分かったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あぁ………俺は花丸のことが好きだったんだなって。」

 

 

花丸「ーーーーーーッッ」

 

 

 この瞬間、マルは我慢の限界を越して口元に手を当てながら瞳から大粒の涙を流す。心臓も過去1番にドキドキしていた。

 

 

 

 

 それと同時にとても嬉しかった。

 

 

 

 そして、明くんは左腕を指し伸ばして大きな声でハッキリとマルに想いをを告げてくれた。

 

 

 

 

 

明「国木田 花丸さん。俺、奥山 明は貴女のことが大好きです。もし、良かったら………どうか俺と付き合ってくれませんか??」

 

 

 

 

 

 彼の言葉を聞いてマルは………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜明視点〜

 

 

 俺はようやく花丸に自分の想いを伝えることが出来た。

 

 俺はカタカタと壊れかけのロボットのように震えていた。

 

 いや、だってしょうがないじゃん??初めて好きな女の子に告白したんだよ??そりゃあ、震えるよ!!

 

 緊張して、未だに花丸の顔を見ることが出来ない。ひたすら彼女の返答を待つことしか出来ない。

 

 

花丸「明くん………顔を上げて」

 

 

 しばらくの沈黙の後、花丸はようやく口を動かした。その瞬間、胸が熱くなる。

 

 彼女の言う通り、俺は顔を上げると…………

 

 

 

 まるで、華麗な花のように美しく涙を流して微笑んでいた花丸が俺の方を見つめていた。満月の光に照らされて更に華麗さが増している。

 

 

 

 

 花丸の余りの美しさに俺は見惚れてしまった。

 

 

 そして、花丸は俺に向かって言葉を出した。

 

 

 

 

花丸「マルも……ずっと明くんのことが…………だ、大好きでした。だから…………マルからもよろしくお願いします。」

 

 

 

 花丸は顔を赤くしながらそう言って………俺の差し出した左手を優しく握ってくれた。

 

 

 彼女の手は…………とても温かかった。

 

 

 花丸が手を握ってくれてから、しばらくの間、俺は衝撃の出来事で固まっていたがなんとか意識を取り戻して彼女に話しかける。

 

 

明「つまり……俺達は付き合うってことだよな??」

 

 

花丸「そ……そうずらね。」

 

 改めてお付き合いできたのかどうかを花丸本人に確認してみたところ、彼女も照れながら頷いたのでこれが現実だということが分かる。

 

 

 そっか………。俺、花丸と付き合えるのか。

 

 

 

明「……あれ??」ボロボロ

 

 無事に告白が成功し、安心した所で俺が涙を流していることに気付く。これは…………嬉し涙だな。

 

 花丸は相変わらず涙を流していた。

 

明「なぁ、花丸」

 

花丸「ずら??」

 

 

 俺は腕で涙を拭ったあと、愛する彼女を優しく抱き締めてから言葉を出した。

 

 

明「これから………よろしくな」

 

 

花丸「こちらこそずら。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして『人殺し』である俺は過去に拒絶した場所で……………想い人である花丸とかけがえのない恋人となった。

 




ようやく………明と花丸が結ばれました。我ながらおめでとうございます。この話を書き終えて、あぁ、もうこの物語も終わりを迎えるのか。と少しだけ寂しく思えます。

あ、あと最終章最終話となってますが、まだ本編は2話続きます。笑

ブクマ・感想・高評価お待ちしております。

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