Saint Snowの2人の弟である俺は『人殺し』   作:七宮 梅雨

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遅くなってしまったけど、理亜ちゃん誕生日おめでとう!!

という訳で第2回の番外編です。どうぞ


『人殺し』は誕生日を迎える。

「「おぎゃおぎゃあ」」

 

 20✕✕年12月12日の夜、北海道のとある街にある病院で2人の命がこの世界に誕生した。

 

 産まれてきた赤ちゃんは双子であり、女の子と男の子であった。

 

 その日の夜は、満月でしかも雪も降っていたこともあり、とても綺麗な景色であった。

 

??「マンマー。」

 

 数日後、父親らしき人物に抱っこされている1人の女の子が母親らしき人物の隣にある赤ちゃんケースですやすやと眠っている2人の赤ちゃんをじっと見つめる。

 

 その様子を見た母親は、にっこりと微笑みながら言葉を出す。

 

母親「聖良、貴女の妹と弟よ。」

 

 聖良と呼ばれた女の子は、母親の言葉を聞いても首を傾げるだけであった。

 

 それもそのはず。彼女はまだ2歳であるため、理解できないのは当然の話であった。

 

 それでもなお、母親は話を続けた。

 

 

母親「女の子の方は『理亜』。そして、男の子の方は『明』っていうの。これからよろしくね、お姉ちゃん。」

 

 

聖良「いあ〜、あいあ〜。」

 

父親「聖良ちゃん、よく言えましたね〜」

 

母親「………ふふ」

 

 この時、父親は聖良がただ母親の言葉をオウム返しのように呟いただけに見えたが、母親のは違った。

 

母親(この子なら、きっと上手くいけるわね)

 と、心の中で確信していた。

 

 なぜたら、今の聖良の目が今まで見たこともないぐらいとてもキラキラと輝いていたからである。

 

 

 

 

 〜数年後〜

 

 

 理亜と明が産まれて5回目の誕生日を迎えた。5回目の誕生日は、2人が産まれた日と同じ大きい満月に雪が降っていた。

 

 

聖良「理亜、明。お誕生日おめでとうございます。はい、これプレゼントです」

 

 

 聖良は2人の妹と弟にそれぞれのプレゼント箱を渡す。

 

理亜「ねーさま、ありがとう。」

 

明「聖良ねーちゃん、ありがとう」

 

 理亜と明は礼を言いながら、聖良から箱を受け取りその場で開ける。

 

理亜・明「わぁー!!」

 

 

 理亜はピンク色のクマのキーホルダーで、明には当時放送されていた仮面ライダーのキーホルダーであった。

 

 

理亜「かわいい!!」

 

明「かっこい!!」

 

 2人は大喜びしながら、姉である聖良に抱き着く。聖良も可愛らしく微笑みながら、2人を抱き返す。傍から見れば、本当に仲の良い3姉弟であった。

 

 

母親「みんな、ケーキよー!!さぁ、主役の2人は真ん中に来てちょうだい」

 

 

 母親がケーキをテーブルの上に置く。ケーキの上には『理亜ちゃん、明くん。誕生日おめでとう』とチョコレートソースで書かれているホワイトチョコレートがあった。

 

母親「パパ、聖良。2人の為にハッピーバースデーを歌いましょ」

 

父親「そうだな。」

 

聖良「うん!!」

 

 そして、母親と父親と聖良の3人が理亜と明の誕生日を祝う歌を仲良く歌った。

 

母親・父親・聖良「HappyBirthday、Dear理亜と明〜♪HappyBirthday To You〜♪おめでとうー!!」

 

 

 歌を歌い終えると、理亜と明はケーキの上についている5本のロウソクの火を一緒に仲良く息を吹いて消した。

 

 その後、家族全員でケーキを食べたり、テレビゲームをしたりと最高の誕生日を過ごした理亜と明。

 

 しかし、楽しい時間もあっという間に過ぎ、子供たちが寝る時間となった。理亜と明は一緒に布団の中に入りながら今日の誕生日パーティーを振り返っていた。

 

明「今日とても楽しかったね、理亜ねーちゃん」

 

理亜「うん!!また、来年が楽しみ!!」

 

明「そうだね!!」

 

聖良「そしたら、またお姉ちゃんがプレゼントあげますからね」

 

 2人の隣に聖良が2人の顔を向けながら答えた。

 

理亜・明「「ありがとう聖良ねーちゃん(姉様)!!」」

 

 

 そして、1人の姉と2人の双子はすぐに眠りについた。

 

 

 〜1年後〜

 

 

 あれから、1年が経ち再び誕生日を迎えた。

 

 

 しかし、去年と違うことが1つだけある。

 

 

 それは、鹿角家で祝われる人物が理亜の1人だけということ。プレゼントも理亜の1人分だけ。ケーキの上にあるホワイトチョコレートに書かれている文字も『理亜ちゃん、お誕生日おめでとう』という文字だけだった。

 

 誕生日の歌も本来なら呼ばれるべき人物の名前が呼ばれず理亜だけだった。

 

 去年、明は銀行で人を殺め『人殺し』となり、彼を恐れた両親によって施設の方へと送られてしまった。

 

 ずっと、一緒にいた弟がこの場にいない誕生日を迎えた理亜はなんだか違和感しか感じられなかった。

 

 両親は何事もないかのように理亜の誕生を祝う。

 

聖良「理亜」

 

理亜「なぁに??姉様。」

 

聖良「これ、誕生日おめでとうございます。」

 

 聖良は理亜にリボンのついた箱を差し出し、理亜はそれを受け取った。

 

理亜「あ…………」

 

 聖良から貰った箱の中には、猫のぬいぐるみが入っていた。理亜は前からこの猫のぬいぐるみを欲しがっていたので、「姉様、ありがとう!!」と言ってとても嬉しそうな表情をとった。とったのだが…………

 

 

理亜「ねぇ、姉様。明の分は??」

 

 

聖良「え?」

 

 この一言で、聖良含め両親の表情も固まった。

 

理亜「ねぇ、明の分は??ねぇ??」

 

聖良「それは…………」

 

 こんなに、大好きな姉に追い詰めるかのように言葉を出すのは理亜自身初めてであった。実際、理亜の言葉によって聖良も戸惑いの表情を見せる。

 

理亜「去年、姉様言ったよね??嘘ついたの??」

 

母親「こら、理亜!!」

 

 

 バシン!!

 

 

 堪忍の尾が切れた母親は理亜の頬を叩いた。 理亜は目に涙を浮かべながらヒリヒリする頬に手を当てながら、母親を見る。

 

母親「お姉ちゃんを困らせるんではありません。それと、もうあの子について言うのはやめなさい。次、それ言ったらタダじゃ起きませんからね」

 

 母親はそう言って、泣きそうになっている聖良の方へと向かった。

 

 

 

 この時、理亜は6歳ながらにして分かったことが2つある。

 

 

 

 1つは明についてもう口を出さないこと。じゃないと、雰囲気が悪くなってしまうため。

 

 

 

 

 

 

 そして、もう1つは明という存在は鹿角家から本格的に消えてしまったということであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜4年後〜

 

 

 明が両親に施設に送られてから4年という月日が流れた。

 

 4年経った今でも、明は施設内で1人で過ごしていた。

 

 人と関わることによって、自分が『人殺し』だということを避けるために。

 

 他の子供達は今日この施設に来たボランティアの方々と外で遊んでいる中、明は部屋で本を読んでいた。そして、ふと黒板に目をやるとあることに気づく。

 

 

明(あ、今日俺の誕生日だ)

 

 

 そう、黒板には白いチョーク12月12日と書かれていた。つまり、明が産まれてから10回目の誕生日を迎えたこととなる。

 

 明のいる施設は子供たちの誕生日とかを祝うイベントとかは実行されないこともあり、ここに来てから4年間、明は誕生日を迎えても誰からも祝われることが無かった。

 

 

 1回目はそれによって悲しさを感じ、

 

 

 2回目も少しだけ悲しさを感じ、

 

 

 3回目からは慣れのせいか特に何も感じなくなり、

 

 

 4回目にして、自分が誕生日を迎えていることすら忘れてしまっていた。

 

 

 

 明はふと、ポケットの中に手を入れ、とある物を取り出す。

 

 取り出したのは、4年前に聖良が明に誕生日プレゼントでくれた仮面ライダーのキーホルダーであった。年月が経っているせいか色が褪せている。

 

 

聖良「『人殺し』」

 

 

聖良「『もう、私達に関わらないで』」

 

 

 

明「ーーーーーッッ!!」

 

 

 4年前に聖良に言われてしまった言葉を思い出してしまい、咄嗟に明はポケットの中にしまう。そして、胃の中から込み上げてくる何かを口から吐き出さないようにぐっと堪える。堪えた頃には、明は汗びっしょりで息も荒かった。

 

 明はこの仮面ライダーのキーホルダーを手放したいと思っても、手放すことが出来なかった。少しだけでも、姉との繋がりの証拠を残したかったからである。

 

 

明(もう………今日は寝よう。明日になっちまえば、落ち着く。)

 

 

 明は腰をゆっくりと上げ、この施設に来て4回目の誕生日の日の残りを睡眠で使おうと思った瞬間、

 

 

??「この子、かわいい!!」

 

 

明「え?」

 

 唐突に、明は誰かに強く抱きしめられた。

 

 

??「やばい!!この顔立ち、この目、この鼻、この口。昔、飼ってたポチを思い出すわ!!」

 

 明の事を抱きしめいたのはボランティアとしてこの施設に来ていた1人の若い女性の方だった。明を見てや興奮状態となり、早口で言葉を出しまくる。

 

明「え?え?え?」

 

 当然、明もテンパっていた。

 

 

??「院長さん!!私、この子引き取る!!」

 

 

院長「本気で言ってます??」

 

 女性の発言に、近くにいた院長は目を丸くする。

 

??「えぇ!!何か問題でも??」

 

院長「いや、その子の意思を聞いてみないと………」

 

??「そういうこと!!ねぇ、君!!」

 

明「ひゃい??」

 

 その頃の明はもう、何がなんなのか全く分からない状態だった。

 

??「私、奥山 零っていいます!!突然なんだこど私、君と家族となりたいんだけどいいかな??」

 

明「はい??」

 

 奥山 零と名乗った女性が明と家族になりたいと言うことに対して明は理解することが出来なかった。

 

 だから、明は目を逸らしながら零に言葉を出す。

 

 

 

明「やめておいた方がいいです」

 

 

 

零「え?」

 

明「だって…………」

 

 明はあの単語を口に出すかどうか一瞬だけ迷ったが、決心して口に出した。

 

 

 

明「俺、『人殺し』だから」

 

 

 

 

零「……………」

 

 

明「俺、過去に人を殺したことがあるんです。だから、両親にここに送られた。だから、お姉さんと…………」

 

 

 

 家族にならない方が良いですよ

 

 

 

 

 

 と言おうとした瞬間だった。またしても急に明は零に抱きつかれる。

 

 しかし、さっきみたいに少し乱暴な感じではなく、今度はまるでお母さんのように優しく包み込んでくれる暖かさが感じられた。

 

零「ねぇ、鹿角くん」

 

 零は明の側に顔を近づかせ、彼だけに聞こえるようにそっと囁きかける。

 

 

零「鹿角くんは海を見たことがある??」

 

 

 零の言葉に、明は何も言わず首を横に振る。明は本やテレビでは見たことはあるが、1回も海を自分の目で見たことが無かった。

 

零「私ね、今内浦っていう所で住んでるの。海がとっても綺麗な場所なんだ。どう、気になるでしょ??」

 

 

明「……………」

 

 

零「鹿角くん。私は例え君が『人殺し』だとしても一緒にいたいという気持ちは変わらないよ。だからさ」

 

 零は一旦言葉を言うのをやめて明の顔を見る。彼のさっきまで普通だったのに、今では泣くのを我慢して歯を食いしばっているが、我慢できずに瞳からボロボロと涙を流していた。

 

 そして、零は優しく微笑みながら

 

 

 

零「私と一緒に家族になってくれないかな??」

 

 

 

 この言葉によって、明の中にある何かが崩れ、泣きながら彼は彼女の胸に飛び込んだ。

 

 

 

明「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

 まるで産まれたばかりの赤ん坊のように『人殺し』は泣き続けた。その姿を、彼女は落ち着くまで髪を優しく撫でながら見守っていた。

 

 

 

 

 約3年ぶりに、『人殺し』である鹿角 明は『奥山』という苗字と『奥山 零』という新たな家族が彼の誕生日プレゼントとして送られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜10年後〜(明視点)

 

 

 

善子「奥山くんって仮面ライダー好きなの??」

 

 

 

明「え?」

 

 たまたま廊下で出くわした善子さんと一緒に部室に向かっていると、善子さんに質問された。

 

明「別にそこまで好きではないけど」

 

善子「だって、そのキーホルダー、ずっと付けてるよね??」

 

 善子さんは俺の肩に背負っているリュックに付いているとあるものに指を指す。

 

明「ん??………あぁ。」

 

 

 それを見た俺は納得した。

 

 

 それは、色褪せてるボロボロな仮面ライダーのキーホルダーであった。

 

 

 俺はこのキーホルダーを優しく手に触れながら善子さんに向かって喋った。

 

 

 

 

明「これは俺の宝物なんだよ。色んな意味でな」

 

 

 

 




もう三人称で書きたくないと思いました。

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