Saint Snowの2人の弟である俺は『人殺し』   作:七宮 梅雨

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番外編第3弾です。

3人目は〜サンドイッチー


『人殺し』は桜内梨子に使命を与えられる

 〜沼津駅前〜

 

 俺は、今回3人目となる俺に使命を下す人物に呼ばれ沼津駅前へとやって来ていた。だが、少しだけ問題が発生していた。

 

明「うーん………、そろそろ時間なんだけどな。」

 

 集合時間になっても、俺を呼んだ人物は来ないのだ。………あれ?おかしいな。あの人、真面目だから決められた時間とか守るタイプだと思ってたんだけどな。

 

 

 ちょんちょん

 

 

明「ん??」

 

 誰かに軽く肩を叩かれたので、そちらの方に振り向くと帽子にサングラス、そしてマスクを装着した明らかに不審者であろう人物が俺の目の前にいた。

 

 すぐに通報したい所ではあるが、この場所でこの時間に俺と接触したってことは多分…………あの人…………なんだよな??

 

 

明「梨子先輩…………ですよね??」

 

 

 俺の言葉に、不審者(?)はサングラスを取って、マスクをずらす。すると、馴染みのある綺麗な顔が現れた。

 

梨子「えぇ。驚かせてごめんなさい。」

 

 やっぱり…………。謎の不審者の正体は梨子先輩だった。この人が今回、使命を下す人物である。

 

明「その格好、どうしたんですか??」

 

 まずは、純粋にその謎の格好について聞きたい。すると、彼女はサングラスとマスクを再び装着しながら言葉を出した。

 

 

梨子「今日は何があっても欠かせない大事な日だからよ。」

 

 

 梨子先輩にとって大事な日??…………あ、音楽関係なやつとか??でも、だからってその格好は無いだろ。ここに来る前に、よく通報されなかったな。

 

 

梨子「そして、その日は、どうしても明くんの協力が必要なの。荷物とか沢山できちゃうからね。だから、私からの使命はそのお手伝いをして欲しい」

 

 

 …………なるほど。簡単な話、俺は今日、梨子先輩の荷物持ちをすれば良いということか。音楽関係な日とかで出来る荷物といえば楽譜とかかな??それぐらいだったら、お安い御用だ。

 

明「分かりました。」

 

梨子「ありがとう。じゃあ、早速行きましょう。」

 

 

 こうして、俺達は電車に乗って梨子先輩の行き先である場所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 電車に乗って、1時間ほどで俺は梨子先輩の目的場所へと到着した。だが、その場所は俺が想像していたものとは違った。

 

 俺は、頬をピクピクとさせながら目の前にある会場のデカデカとした看板に目を通す。

 

 

 

 『百合同人誌フェスティバル2019』

 

 

 

 まさかの、同人誌のイベントだった。

 

 

梨子「じゃあ、明くんは西の方のエリアある同人誌をよろしくね。私はこのエリアを………」

 

明「待って!?話を勝手に続けないでくれます!?俺、まだ状況に追いついてないから!

!」

 

 俺は、若干キャラ崩壊している梨子先輩をなんとか抑えながらこの状況について冷静に考える。

 

 つまり、音楽関係なイベントに行くと俺が勝手に思っていたが、それは大ハズレでこの同人誌イベントだった………と。

 

 だから、その変な格好をしていたのか。他のメンバーにバレない為に。

 

 そして、先程の梨子先輩の言葉からして俺は荷物持ちだけではなく梨子先輩の戦利品の入手のお手伝いもしろってことか??

 

 え、なにその拷問レベルの使命は。千歌先輩と曜先輩の使命が可愛く思えるレベルだぞ??

 

 

梨子「ささ、頭の良い明くんならもう状況を理解したでしょ??ほら、早く行きましょ。じゃなきゃ、売り切れちゃう。」ハァハァ

 

 

 やばい………。梨子先輩の目がガチだ。こんなに盛ってる梨子先輩、初めて見た。いや、彼女のこんな姿、見たくなかったんだけど………。

 

 

明「絶対に行かないとダメですか??」

 

 正直言ってこんなことするのは、いくら梨子先輩の使命だとしてとゴメンだ。降りさせてもらう。

 

梨子「使命は絶対…………よね。」ニコッ。

 

明「…………はい。」

 

 

 梨子先輩の闇のある笑顔には勝てなかったよ。なにあの笑顔、すっごく怖かったんだけど。そして、笑顔だった先輩の背中になんか般若みたいな化身がいたんだけど。

 

 こうして、俺は梨子先輩に指示されたエリアの同人誌を買うために足を運ぶのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明「まずは………ここか。」

 

 俺は指示されたエリアまで移動し、梨子先輩に渡されたリストの同人誌が販売されている第1店舗へとやって来ていた。

 

 5分程、並んだあとようやく俺の番になったので百合同人誌を何冊か手に取ってレジの人に渡す。

 

 

明「これ、下さい」

 

店員「はい。4冊で2000円です」

 

明「はい」

 

 俺は、梨子先輩から更に渡されていた封筒から千円札2枚を取り出して、レジの人に渡す。

 

店員「それにしても、貴方も百合同人誌読むんですか??」

 

明「はい?」

 

 何言ってんだ、この人??

 

店員「いやぁ、やっぱり百合同人誌いいですよね。今回の新作の『新妻』×『女子中学生』はなかなか萌えますよ」グヘヘ

 

 店員はだらしなく微笑む。ぶっちゃけ、ドン引きだ。

 

明「へ、へぇ…………。自分は、知り合いに頼まれてここに来たので、余り知らないというか…………。」

 

店員「チッ…………。」

 

 あれ??この人、今、舌打ちしたよね??絶対にしたよね??聞き逃さなかったよ??

 

 

 

 その後、逃げるかのように店を離れても店員さんは俺の事を睨みつけていた。もう、怖いわ!!!

 

 

 〜2店舗目〜

 

 

 一店舗から少し離れたところにある2店舗目へとやって来た。

 

 うわぁ…………、人がかなり並んでいる。さっきの店よりも人気のある店なのか??

 

 30分ほど、並んだところでようやく俺の番となった。長かった。

 

 先程、同様に何冊か手に取ってレジの人に渡す。一店舗みたいな人じゃないよう心の底から祈る自分がいる。

 

店員「2冊で1000円です」

 

明「はい。」

 

 俺はまたしても、封筒から千円札を取り出してレジの人に渡す。

 

店員「百合同人誌とか読むんですか??」

 

 うわっ………、また聞かれちゃったよ。そんなに、男性が百合同人誌を購入するのは珍しいの??まぁ、周りを見てもほとんど女性しかいないからそうなんだろうけど。

 

明「いえ。知り合いに頼まれて………」

 

店員「そうなんですね。」

 

明「やっぱり、おかしいですかね??」

 

店員「そんなことないですよ。そういう人、結構女性の方でも多いですので。」

 

明「そうなんですか??」

 

店員「はい♪」

 

 良かった………。この人、いい人だ。気分を害されたような顔もせず、舌打ちもしない。今の俺にとって、女神にしか見えんわ

 

店員「良かったら、これどうぞ」

 

 店員さんから、1冊の本を渡される。

 

明「これは??」

 

店員「私が、以前書いてた百合同人誌です。興味なくても、せっかくここに来たんですもの。時間がある時でもいいので良かったら読んでみて下さい。」

 

 店員さんはニッコリと微笑みながら言葉を出す。まぁ………、彼女が言うことも一理ある………のかもな。この人、いい人だし無料で貰えるなら貰っておくか。

 

明「ありがとうございます。それでは」

 

店員「ふふ。良い百合人生を。」

 

 百合を愛する者の中には心が綺麗な人もいるっていうことを学んだ。え?梨子先輩は??だって??ノーコメで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜数時間後〜

 

 あれから、数店舗回ってリストに載っている同人誌をなんとか全部購入し終わり、待ち合わせ場所で梨子先輩を待っていた。

 

 だが、予定時間になっても梨子先輩は来ない。まだ並んでいるのかな??

 

 とりあえず、梨子先輩がおるであろうエリアに足を運んで、彼女を探す。

 

 意外にも、早く見つけることが出来た。だが、俺は梨子先輩を探しに行ったことを後悔する。

 

 

 

 なぜなら、梨子先輩は現在、見知らぬ軍部服を着た女性に顎クイをされていたからだ。

 

 

 

 え、どんな状況??顎クイしてる人もめちゃくちゃドヤ顔してるし、されている梨子先輩もトロンとした表情を浮かべている。

 

 

 これは、見てはいけない物を見てしまったようだ。バレないように、退散しよう。

 

 

 そう思って、再び待ち合わせ場所へと向かおうとした瞬間

 

 

 

 バタン

 

 

 

明「え?」

 

 背後から誰かが倒れたような音が聞こえてきた。なので、振り向くと案の定、梨子先輩を顎クイしていた女性が倒れていた。

 

梨子「大丈夫ですか!?」

 

梨子先輩は顔を青くして、軍部服を着た彼女に声をかけるが反応は無かった。

 

 

 周りの人達はざわざわとし始める。

 

 

明「ちょっと、どいてください!!」

 

梨子「明くん!?」

 

 俺は、直ぐに倒れている彼女の傍へ駆けつける。梨子先輩は目を丸くしていたが、今はそれどころじゃない。彼女のことを見ないと!!

 

 心臓と脈は………よし。一応、動いているな。ん?顔がとても赤い。おでこや頬を手の甲で触れてみると…………うわ、熱い。よく見ると、汗も凄く出ている。この室内の蒸し暑い空間に、この分厚い軍部服…………。

 

 

 これらをまとめてみると…………

 

 

明「大丈夫です。これは、軽い熱中症ですね」

 

梨子「熱中症??」

 

明「はい。きっと、こんな暑さでこの服装にも関わらず水分補給を一切せずに動いていたんでしょうね。」

 

梨子「なるほど。」

 

明「梨子先輩。係の人に頼んで、タンカを持ってきてもらってください。下手に頭を動かしてしまうと、負担がかかってしまいますから。それまで、俺は彼女にうちわで扇ぎます。」

 

 

梨子「分かったわ。」

 

 

 梨子先輩はすぐに係の人の所へ向かった。その間に、俺は彼女に向かってうちわを動かし風邪を送る。

 

 

 10分ほどで、タンカを持った係人が梨子先輩と共にやって来て倒れている彼女をタンカで運んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜電車〜

 

 

梨子「いや〜、本当に助かったわ。ありがとう、明くん。」

 

 帰りの電車の中で、大量の同人誌が入っている紙袋を持って梨子先輩は幸せそうな表情をしていた。その紙袋からは『幼馴染み×美人宅配人』と書かれた表紙がぴょこっと、こんにちはしてた。どうして、幼馴染みと宅配人を組み合わせた??発想の癖が強いぞ。

 

明「使命っすから………」

 

 それにしても、今日は本当に疲れたな。心身ともにヘトヘトだわ。

 

梨子「それにしても明くん、さっきのやつ凄かったわね。私、びっくりしちゃった。」

 

 

 

 きっと、先程の俺の行動のことを言っているのであろう。

 

 

 俺は頬をポリポリと掻きながらボソッと呟く。

 

 

明「まぁ、将来アレを目指す者としては当たり前っすよ」

 

 

梨子「アレ?」

 

明「…………いや、なんでも」

 

 俺は誤魔化すかのように、袋の中から2店舗目の店員さんに貰った同人誌を手に取る。

 

 すると、梨子先輩はバッ!!とその同人誌を強引に奪い取ってきた。

 

明「ちょ……………」

 

梨子「そ、それは!!○○先生の幻の同人誌!?どうして、明くんがそれを!?」

 

 え、何??あの店員さん、そんな有名な人だったの??

 

明「2店舗目の店員さんに貰ったんすよ」

 

梨子「な、な、なんですってぇー!!!」

 

 

 

 梨子先輩や。ここ、電車。大声、ダメ絶対。

 

 

 そして、口で注意しても梨子先輩は「キャーキャー」と歓喜しまくるので仕方がなく壁ドンからの顎クイをして黙らせました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちなみに、店員さんから貰った百合同人誌の内容は『女性殺人者』×『美人な田舎者』だった。わーお☆




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