奉仕部のことも書いておかないとね…って感じです。
火神との1on1の続きは次回。
11月29日:修正(設定変更に伴う諸々)
あの時、私たちのどちらかでも事情を知っていたなら、あんなふうに彼を糾弾せずに済んだのかもしれない。そうであったなら、彼は今も変わらず放課後この部室で…。何度も考えるけれどこの仮定は成立しない。きっと知っていても、私達は変わらず彼を非難したと思うわ。わかったような顔で「あなたを知っている」なんて言っておきながら、何も理解していなかった。だからこれは私たちの失敗。でもね、比企谷君。人間は失敗を乗り越えて、やり直していける生き物なのよ。
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比企谷君が奉仕部を去って、総武高から転校して2週間。私と由比ヶ浜さんは持てる全てをつかって彼を探していた。姉さんも葉山くんさえも利用して…。平塚先生は事情をわかった上で、彼の行先を教えてくれなかった。すなわち、追いかけるべきでないと。
比企谷君は修学旅行の後、数日の間に転校してしまった。由比ヶ浜さんですら転校を知ったのは翌日のことだった。その間学校も休み、平塚先生以外にはまともな説明もしていなかったそうだ。
雪乃「…由比ヶ浜さん、あなたちゃんと寝ているの?」
結衣「ふぇ?…寝てる!寝てるよ?」
雪乃「無理しなくていいわ。酷い隈が出来てるわよ」
結衣「うー…でも、ヒッキーが…」
雪乃「気になるのはわかるわ。でもそれであなたが体調を崩してどうするの…逃ヶ谷君のことは任せてちょうだい。姉さんも探してくれているし」
比企谷君の修学旅行での行動の理由を、私達は彼の転校の後に知った。
ーーーー以下回想ーーーー
平塚「入るぞ雪ノ下」
雪乃「先生ノックをしてください…それと、今は少し忙しいのでお相手できません」
平塚「比企谷のことかね」
雪乃「…はい。私達は彼とこのまま離れるわけにはいきません」
平塚「…そうか。だが、今は少し話を聞いてもらうぞ」
雪乃「なぜでしょうか?」
平塚「大事な話だからだよ、雪ノ下。由比ヶ浜も聞いてくれ。さて、入りたまえ」
葉山「…こんにちは雪ノ下さん。結衣も」
海老名「…」
結衣「葉山くんと姫菜まで…どうしたの?」
雪乃「なぜ、彼らをここに?」
平塚「それは今から説明するが、その前に。雪ノ下、彼らは修学旅行前に奉仕部に依頼をした。間違いないか?」
雪乃「…葉山くんからは確かに依頼を受けました。ですが…」
結衣「姫菜は…違いますよ?」
雪乃「えぇ、確かに彼女は修学旅行前にうちに来ましたが、ただ『男子同士仲良くしてほしい』としか」
平塚「ふむ、聞いていた通りだな。では雪ノ下、この2人が修学旅行中、個人的に比企谷にした依頼を知っているか?」
雪乃「はい…?」
結衣「個人的な依頼?」
平塚「知らないか。これも聞いた通りだな。では、その辺から話すとしよう」
ーーーー回想終了ーーーー
平塚先生の口から語られたのは比企谷君に課せられた無理難題。一方は『告白を成功させたい』、もう一方は『告白を未然に防いでほしい』。葉山くんがその両方の相談を受け、悩んだ挙句に奉仕部…比企谷君に丸投げする。比企谷君は限られた時間で最大限を導いた…そう言えるだろう。
話し終わったあと、海老名さんは泣きながら謝罪した。比企谷君との関係を、奉仕部をぐしゃぐしゃにして申し訳ないと。葉山くんもまた、同じように頭を下げた。
平塚先生は、もう比企谷君と私達は元に戻れないと言った。
平塚『君達を信頼していたんだよ、彼なりに。自分を知っている、今まで一緒にいた2人だから、言わなくても分かってもらえると。傲慢だったかもしれないが、こんなことで崩れてしまうと思ってなかったんだろう』
だから、彼を否定した私達にはもう無理だと。
けれど、だとしても。彼は向き合うことが出来た。私たちと向き合えるはずだった。それもせず、何一つ言わずに転校してしまうなんて。それは逃避よ。私たちにとって大切だった関係を一方的に終わらせようなんて。そんなこと許されていいはずがない。
チャイムが鳴る。下校時間になり、私も由比ヶ浜さんも荷物をまとめ始める。そこで、私の携帯に電話が入った。相手は………葉山くん?
葉山「雪乃ちゃ…雪ノ下さん、比企谷が見つかった」
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私と由比ヶ浜さん、姉さんは葉山くんと待ち合わせ、喫茶店に来ていた。それぞれ飲み物の注文を済ませると早々に比企谷君の話になる。見つかったというのは本当なのかしら。
葉山「これを見てもらえるかな」
結衣「バスケの試合?」
雪乃「葉山くん、比企谷君の話をするのよね?どうしてバスケの動画を見せられるのかしら」
葉山「彼が映ってるからだよ…。これは、先週あったバスケのウィンターカップ予選決勝リーグの動画で、対戦してるのは誠凛高校と霧崎第一高校」
陽乃「説明はいいから、隼人、どこに比企谷君がいるの?まさか選手なわけないだろうから観客席?だとしたら手掛かりとしては薄すぎるよ」
葉山「そのまさかなんです。僕も聞いて、実際に見るまでは半信半疑でしたけど…。少し、飛ばしますね。」
葉山くんは試合の流れを軽く解説しながら問題のシーンへと動画を飛ばした。そして、第4Q半ば、彼は白と赤のユニフォームに身を包みコートに現れた。
雪乃「……比企谷君…ね」
結衣「うん…間違いないね」
わかりやすい猫背と寝癖、画面越しの小さな姿でもわかる卑屈に細めた目。その姿は、半年近く見てきた見間違えようのない比企谷君だった。
葉山「比企谷は…誠凛高校でバスケをしてるようです」
結衣「ヒッキー、バスケ出来たんだ…知らなかった」
陽乃「バスケ…そういえば…比企谷君の出身中学って…」
雪乃「どうかしたの?姉さん」
陽乃「うん、比企谷君のこと調べてて知ったことなんだけどね…彼、帝光中出身みたいなのよ」
結衣「ていこうちゅう?」
雪乃「帝光中学校。確かバスケ部が強かったんじゃなかったかしら。でも東京の学校だった気がするのだけど」
結衣「ヒッキーって千葉ラブじゃなかったっけ?」
陽乃「家の事情じゃないの?今回の引越しもそうだって話だし。彼元々賢いわけだから帝光行っててもあんまり違和感ないよね」
葉山「…見る限り比企谷はチームにかなり溶け込んでる。同じ中学出身の後輩もいるみたいだし、もしかしたらもう関わらない方が……」
葉山くんの言うこともわかる。平塚先生が止めた理由も理解はしている。私達は彼を否定した。否定して、拒絶して…分かり合えなかった。
雪乃「…」
結衣「…でも…」
雪乃「だめよ」
結衣「…ゆきのん」
雪乃「彼とこんな形で離れ離れになるなんて、納得出来ない」
葉山「…」
雪乃「…彼に会いに行きましょう」
陽乃「…ふーん。でも、どうやって?」
雪乃「元々、彼と私達の意見がぶつかったのが原因なのだから、正々堂々ぶつかってみればいいわ」
結衣「ぶつかる…?」
雪乃「バスケで、よ」
彼が彼のやり方を通して、私達と決別するというのなら。彼が次の場所でまた自分を貫くなら。正面からぶつかりましょう。私たちの気持ちで。
比企谷君、霧崎第一戦出場決定しました