刀使ノ巫女 -蜘蛛に噛まれた少年と大いなる責任-   作:細切りポテト

23 / 67
余談:MCUのショッカーのガントレットってシビルウォーでのクロスボーンズの引っこ抜かれたガントレットをヴァルチャー達が回収して改造した物っていう見事なフラグ回収に天晴れだと思いました。


第23話 因縁(一方的)

刀剣類管理局本部

 

誰もいない休憩所の椅子に座り、携帯電話を握りしめて祈るように友人達の安否を案じるスパイダーマンの正体を知る数少ない人物の1人、舞衣は何度もメッセージを送っているにも関わらず既読もつかず、一切返信が返って来ないことを心配していた。

 

先日、累のマンションを沙耶香とトゥームスが襲撃しに行ったことをスパイダーマンこと秘密を共有した友人颯太に伝えることは成功したのだが「了解」以降は一切何の連絡もないことにより、もしかしたら負傷でもしたのか、秘密裏に始末されたのかとマイナスな不安を掻き立てられる。

だが、単に逃亡生活が忙しいため連絡する暇が無いのでは無いかとも考えてもいるがこちらに一切情報が入って来ないのは流石に心配だ。

 

「颯太君、可奈美ちゃん、十条さん。三人とも大丈夫かな・・・昨日のことは公にはなってないし捜索は未だに続いてるからまだ逃げてるってことだと思うけど」

 

「二人のことは信じてる。でも私心配だよ。お願い、何でもいいから連絡して・・・」

 

これ程までに相手から連絡が返って来ないことで一瞬が永遠にも感じられる程時間が長く感じられ、焦燥感を増していく。

俯きながら携帯を握りしめ、瞳を閉じて3人の無事を祈りつつ安否確認の連絡を待っていた。

 

「あっ、そういえば・・・」

 

ふと、1つ思い出したことがあった。

そういえば先日累のマンションに向かった沙耶香は帰還して取り調べ室で待機させられていることを思い出し、聞ける範囲で話を聞くことは出来ないだろうかと思い立ち取り調べ室へ向かう。

 

取り調べ室へ着くと見張りの鎌府の生徒に面会の許可を貰い、入室が叶う。

 

「えっと・・・・糸見沙耶香ちゃん。ちょっと良いですか?」

 

舞衣に名前を呼ばれた沙耶香は取り調べ室の椅子に座りながら首を回して声の主の方を向く。

自分に何の用なのか想像もつかないが視線を固定しつつ何となく駐車場で目が合った人だったかなと記憶から掘り起こす。

 

「可奈美ちゃんとスパイダーマンさん無事なのね、良かった~。あっ、ごめんね!沙耶香ちゃんの前でこんなこと言ったらダメだよね・・・」

 

どうやら3人とも沙耶香とトゥームスの襲撃を回避し、マンションの住人にも怪我人を出さずに事態を治めて、無事でいることを安堵している。

 

「別に・・・・。勝てなかったことは事実だもの。それに、私達の失敗なのにスパイダーマンが怪我人が出る前にどうにかしてくれたから」

 

 

あまり明朗快活なタイプでは無いのか低い声で短く、結果だけを伝える沙耶香。

これ以上この話をするのは気不味い空気になると思い話題を変える。

 

「あ、沙耶香ちゃん。鎌府だよね?自分のお部屋には帰らないの?」

 

「この部屋を出るなと命令を受けたから・・」

 

「高津学長に?・・・・えっと・・・・」

 

 

何気ない世間話を振ってみたが会話が続かず、話題に困ってしまう舞衣。

学校も学年も違う上にほぼ初対面の相手だ。話題に困るのはよくある話であるが舞衣は沙耶香の左の頬に不自然な切り傷のような物を見つける。

 

「頬っぺた怪我してるね。ちょっとごめんね・・・・これでよしっと。ごめんねこんな子供っぽいので上の妹がこれ好きだから」

 

「別に気にしない」

 

 

世話好きの彼女としは小さい傷でも絆創膏を貼り、世話を焼きたくなってしまう性分なのか甲斐甲斐しく沙耶香に接している。

 

一瞬どこか放って置けない危うさと儚さを感じられたが

気を取り直してポケットからクッキーの入った包みを取り出して手渡しをする。

 

「あっ!これよかったら!手を出して・・・はい!」

 

手渡されたクッキーを沙耶香は意外そうに見つめている。クッキー・・・包み・・・これを最近どこかで見たような・・・そんな既視感が渦巻いている中、1つ思い出した。

 

(確か、スパイダーマンもクッキーの入った包みを持ってた。結構似てる・・・)

 

「落ち着こうとしてクッキー作ってたら作り過ぎちゃって・・沙耶香ちゃんは甘いもの好き?」

 

「えっ・・?うん」

 

「良かった~。じゃあ食べてくれると嬉しいな!」

 

「嬉しい?」

 

クッキーを見つめ、考えに耽っていると舞衣に声をかけられて我に帰る。

沙耶香の意図は解してはいないが笑顔で同じ目線で接してくる舞衣の対応に妙な安らぎを感じる。

 

「じゃあ見つかると怒られちゃうし、もう行くね」

 

「あの・・・スパイダーマンに会った事ってある?」

 

舞衣が席を立って部屋から出ていこうと移動しようとした際に沙耶香に思いもよらないことを聞かれる。

 

 

「ギクッ!う、うん。あるよ。あの人は私の大事な人達を助けてくれて、美濃関の町を、困っている人を助けてくれてる親愛なる隣人だからね。ほ、放課後とかに町に行くとたまに会うんだっ・・・!」

 

 

「そう・・・」

 

スパイダーマンに会ったことがある所か正体までも知っている舞衣としてはかなり度肝を抜かれる問いであったが自身が美濃関の人間であることや可奈美だけでなくスパイダーマンの無事も喜んでいたため知り合いかと思うのは不自然ではない至極全うな疑問だと思い、多少言葉を濁しているが一応事実は伝える。

筋は通っているため沙耶香も納得している様子だ。

そのまま扉の方へと向かい、ドアノブを回して退室する。

その際に振り向きながら沙耶香に笑いかけ、サムズアップしながらウィンクする。

 

「そうだ、また可奈美ちゃんと勝負してあげてね!遠慮なんかいらないから!」

 

その後は取り調べ室から出ていき、宿舎へと歩いていく舞衣。

 

しばらくして小腹が空いたため、軽くクッキーを食して間食を摂ろうとした沙耶香は包みを開けて一口摘まんで口の中に入れる。

口の中にクッキー特有の甘味が広がり、とても美味な味わいに思わず笑みが溢れる沙耶香。

しかし、このクッキーの味。覚えがある。

確か、スパイダーマンに貰ったクッキーも同じ味がしたからだ。

もしかするとスパイダーマンは彼女と実際に親しい人間なのではないかとふと頭を過ったがあまり気にしても仕方の無いことなので二口目を口に入れる。

 

 

廊下を出てしばらく歩いた舞衣は硝子張りの窓から先程までは雲に隠れて見えなかった月が姿を現し月明かりが射し込み、廊下を照らしている。

月明かりの美しさに魅入っていた舞衣は廊下の窓に近付き、ガラス窓に手を当て遠くを見つめて今もなお逃亡生活を送りながら戦っている友人達のことを想う舞衣。

 

「颯太君、可奈美ちゃん。二人も今頃私と同じ月を見てるのかな?やっぱり無事だって言う連絡は欲しいけど、二人のこと、信じて待ってるから」

 

 

そう言って窓ガラスから手を話して踵を返して歩いていく舞衣。

 

 

時を同じくして伊豆山中上空。

 

「あ゛ー!もう!せっかく月もいい感じに出てるのに僕の視界は荒魂だらけ、ロケーション最悪!っていうか、僕の服食い破るなって!僕の小遣いから何とか出したんだぞ!」

 

夜見が呼び出した小型の群れに体ごと空中に持ち上げられ、所定の場所まで運ばれながら愚痴をこぼしているスパイダーマン。色々台無しである。

先程真希と寿々花に投げ付けようとして不発に終わったウェブグレネードが掌の中にまだ残っており、至近距離で小型の蝶型荒れ魂の群れに向けて当て、貼り付くと同時にクモ糸が炸裂して四方八方に飛び散り、小型荒魂の群れを拘束し、荒魂達はスパイダーマンを手放してしまう。

 

スパイダーマンは視界が晴れた瞬間に既に木々より少し上の位置に来ていたことに驚きつつ頭から真っ逆さまに落下していくが落下して通りすぎた木の枝に向けて両手からクモ糸を放ち、衝撃をギリギリまで押さえて落下しながら糸を掴んで猛スピードになっている糸に掴まり、ターザンのように宙ぶらりになりなる。そして前方にある物体に気付くことは出来なかった。

 

 

一方、時は本の少し戻りショッカーの待機していたエリア

 

「オラァ!」

 

ショッカーが拳を握ってファイティングポーズを取り、両腕のガントレットを起動させると中に光る掌大の大きさのコアが光り、振動波を纏わせ、 右ひじを脇につけて構えた姿勢から骨盤を回しながら右足で地面を蹴り、肩を回して右ストレートを打ち出す。骨盤と肩を連動させ、右足の蹴りで生み出した力を腕へと伝え、踏み込んで無駄の無い動きでエレンに接近し殴りかかる。

 

(多分、一回しか通用しないかもデスガやってみなきゃわかんないデス・・っ!)

 

右、左のワンツー、そしてボディブロー。抉り込むように放たれる振動波を乗せた高速パンチの怒濤のラッシュを迅移で加速して紙一重で回避、そして間に合わない際は御刀を振って拳を弾くが手に伝わる衝撃により手が痺れそうになるも我慢しつつ防戦一方に陥るエレン。しかし、回避したと同時に放たれた顔面に向けての右ストレートは回避仕切れないと判断したエレンは越前康継を上段に構えて柄で防ぎ、八幡力を発動させ拮抗するも振動波を纏った拳には力負けしかねないと判断し、相手の力を利用して徐々に角度を変えてズラすことで後方へ受け流す。

 

「何だと!」

 

「必殺!鳩尾砕き!」

 

ショッカーの拳を通り過ぎ、普通のパンチや蹴りでは効果が薄いことは把握できていたため、八幡力を乗せた拳をショッカーの鳩尾に叩き込み、そのままめり込ませて本体にもダメージを与えて殴り倒す・・・・筈だった。

 

「・・・・・・っぶねぇ、肝が冷えたぜ。こいつの使い方は殴るだけかと思ってたが前方に展開すりゃよぉ・・・こんな事も出来るとはなぁ」

 

 

エレンの放った会心の一撃、必殺鳩尾砕きは確かにクリーンヒットし、手応えはあった。だが、拳は眼前にある何かを殴っただけでショッカーの鳩尾の前で制止して届いていないのだ。

 

「・・・・・・っ!?」

 

エレンが目を白黒と反転させながら驚きを隠せない。

自分の放った拳が見えない壁のような物に遮られて防がれてしまったからだ。

その摩訶不思議な現象に脳の処理が追い付かなかった。

 

ショッカーは放った拳を柄で防がれて、少女の力とは思えない力で拮抗され徐々に角度を変えることで力を利用して受け流されたことに驚いたがその直後に一撃を入れられることは想定できたため、一か八かではあったが最も間近にある左手のガントレットを起動させて、振動波を纏わせ、飛ばすのではなく出力を上げて前方に展開させることで振動波が壁となりエレンの拳から自身を守ることに成功したことを安堵している。

 

あまりにも衝撃的な出来事に驚くエレンだがショッカーは一度振動波を解除して裏拳で殴り飛ばす。

一度解除をしたのは出力を上げて膨大な振動波を長時間展開させているとエネルギーの消費が激しいだけでなく、力を貯めている状態になるため身動きが取れなくなるからだ。

 

「ぐっ!・・やはり1人では厳しいデス。誰かと合流しないと」

 

振動波による防御壁だけでなく自衛力が高いショッカー相手に正面からの突破が難しく、長引くとこちらが不利になると判断し、一度退いて誰かと合流してその後に連携が肝になると考えたエレンはショッカーに背を向けて迅移で森林の中へと走り出す。

 

木々が大量に生い茂り、その中を交互に移動しながら距離を引き離そうとするエレン。

振動波は確かに音速で発射されるが一直線にしか飛ばすことはできないため、背後の木を盾にしながらジグザグに走り回れば逃げる時間は稼げると判断して迅移を発動させる。

 

「チッ!邪魔くせぇなぁっ!だが、逃がさねぇ!」

 

急いでガントレットを構えて振動波を飛ばそうとするが一直線にしか飛ばせないため、木々に隠れつつ移動して距離を離されれば逃げられ、誰かと合流されることは想定できる。

ショッカーは再度ガントレットを起動して振動波を纏い、今度は正面に向けて放つのではなく1度飛び上がってエレンが逃げた方向に向けて拳を地面に叩きつける。

 

地面を殴りつけると地面が轟音と共に地響きを起こして

周囲一帯、ましてやエレンが逃げた前方にも地面が削れて土埃を巻き上げ、木々を薙ぎ倒しながら振動波が津波のように雪崩れ込む。

 

振動波を発射する場合は一直線にしか飛ばせないが何かを殴り付けて振動波を辺り1面に拡散させて飛ばすことができればどこに逃げようが関係なく振動波を当てることができる。

 

「なっ!何デスかそれええええ!?」

 

周囲一帯に広がる振動波の波に直撃して呑まれたエレンは吹きとばされ近くにあった木に激突し、写シが剥がされてしまう。

 

「oh!」

 

背中を強打した衝撃で越前康継を手放してしまう。

先程強く打ち付けたため、しばらくすればまた動けるようになるが今は身体に力が入らず越前康継に手が伸ばせない。

振動波が直撃し、振動波が木々を薙ぎ倒し、エレンの姿も明るみに晒されたため姿を視認したショッカーがジリジリと歩み寄って来る姿は恐怖心を掻き立てる物だった。

 

 

「カウントいるか?まぁギブは許さねえぜ俺はKO以外はスッキリしねぇからな」

 

「な、何なんデスカ?その装備は?」

 

エレンの眼前に立ったショッカーは足元にある越前康継を足の爪先で蹴って少し離れた位置まで飛ばし、簡単には取ってこられないようにする。

 

 

「俺も雇われた身だから詳しくは知らね。でも健闘したてめぇに免じてショッカーって呼ばれてるSTT(特別機動隊)用の対荒魂用のパワードスーツとだけは教えてやるよ」

 

「なるほど、恐らくテストのために態々そんな装備を持ち出して・・・やはり管理局は真っ黒みたいデスネ」

 

「あ?なんだそりゃ?ま、俺はスパイダー野郎をぶちのめせりゃ何でもいんだ。連中やてめぇらの事情なんざ知ったこっちゃねんだよ・・・ガキはそろそろおねんねの時間だ」

 

 

「・・・・・・・っ!」

 

ショッカーはエレンを殺す気は微塵も無いためガントレットのスイッチを切り、気絶させられる位の勢いで頭に打撃を与えようと拳を振りかぶり、エレンは覚悟を決めて目を瞑る。

しかし

 

「うわあああああ!どいてどいてえええ!」

 

 

「あ?・・・・ぐおあっ!」

 

 

「あっメンゴ」

 

空中から投げ出されターザンのように猛スピードで宙ぶらりになっていたスパイダーマンが偶然前方にいたショッカーを勢いを着けたまま止まることも出来ず蹴り飛ばす。

事故とは言え相手に蹴りを入れてしまったため、スパイダーマンは軽く謝罪する。

あまりにも急な光景に驚くエレンとショッカーだがショッカーは空中で振動波を作動させて衝撃を緩和しながら地面へと着地し、スパイダーマンを睨み付けている。

 

「ソ・・・スパイディ!何でここが?」

 

 

「いやぁ荒魂にここまで運ばれたら空中で投げ落とされてね・・・」

 

 

エレンの問いに対しスパイダーマンは頭を掻きながら経緯を説明するがあまりにも間抜けな話であるため恥ずかしそうにしている。

スパイダーマンはショッカーが蹴飛ばしたことで遠くに落ちていた越前康継にウェブシューターでクモ糸を当てて手元に引き寄せて回収して投げ渡し、エレンは難なくキャッチする。

 

「そうそうこれ、落とし物コーナーに落ちてたよ」

 

「サンクス!」

 

「よし、ちょっと休んでて。こいつは僕が」

 

「まだ行けマス。1人ではキツい相手デス」

 

エレンは越前康継を構えてショッカーの方に視線を向けるとショッカーはぶっきらぼうに首を回して、音を鳴らしつつ拳からポキポキと骨の音を鳴らしながら怒気を交えて臨戦態勢に入っている。

 

「久しぶりだなスパイダー野郎。待ってたんだぜ・・・てめぇに復讐できるこの時をよぉ」

 

「お、お前は・・・・・・・・・・誰だっけ?」

 

「「ズコー!」」

 

一瞬意味ありげな間を置きながらも、心当たりは山ほどあるが故に捕まえた犯罪者等一々覚えていなかったことも原因の1つだが、ショッカーのパワードスーツで全身完全防備し、顔が隠れている姿では誰なのか分からないのも無理はない。

そのスパイダーマンの様子に息ぴったりにずっこけるエレンとショッカー。

 

「いやだって顔隠れてるし、一々捕まえた相手を一人一人覚えるなんてしないよ!ほら、お前は今までに食ったパンの枚数を覚えているのか?って言うじゃん!あんな感じ」

 

「この野郎・・・・何日か前に美濃関周辺の銀行襲ったらてめぇが捕まえやがったハーマン・シュルツ様だ!覚えろクソガキ!」

 

「あー!思い出した!何日か前に美濃関の銀行襲って僕に捕まったマヌケな人か!脱獄して山のお掃除のボランティアでも始めた訳?」

 

「知り合いデス?」

 

「御前試合の二日前に捕まえた強盗一味の一人みたいです。何となく思い出して来たけど複数いた内の誰かは分かんないです」

 

態々ご丁寧に自己紹介を始めるショッカーの言葉を聞き記憶の片隅で消えかかっていた相手だったが何となく思い出すことができたスパイダーマン。

しかし、何故現在なら服役しているか裁判を待つ身でありながら管理局の新装備を装着しこんな山奥で親衛隊達と行動しているのか引っ掛かったが恐らくトゥームス同様に新装備のテストとして雇われたのだと解釈することにした。

 

 

「てめぇが俺らをムショにぶちこんでくれたお陰でよぉ・・・月末のりるるんのライブと、夏のアニサマの遠征費が消えただけじゃなくて逮捕されたせいで行けなくなっちまったじゃねぇかどう落し前つけてくれんだコラ!あ゛ぁっ!?」

 

「「いやそれ君/貴方が悪い/デス/から!」」

 

ショッカーのスーツのヘルメット越しから伝わってくる怒りがスパイダーマンに向けてひしひしと伝わってくるがあまりにも下らない理由であり、自業自得であるためにエレンとスパイダーマンも脱力感を感じながらツッコミを入れる。

 

「うるせぇ!俺の心のオアシスをぶち壊しやがったてめぇへの憎悪を毎日燃やし募らせて来たがてめぇをぶちのめせるチャンスが来た上に金も入るんだ、やらねぇ訳無ぇよなぁっ!」

 

「おいおいマジかよ・・・僕そんな理由でつけ狙われてんのかよ・・・」

 

 

「ド、ドンマイデース・・・」

 

肩を落として両手で顔を塞いで呆れ果てるスパイダーマンの肩に手を置き、同情的なフォローをするエレン。

ショッカーのあまりにも幼稚な思考回路に流石のエレンですらため息を隠せない程呆れている。

ショッカーはそんな二人の様子も気にすることなくガントレットを起動させて、振動波を纏い、いつでも闘る気満々の構えを取り、地面を蹴り上げ二人に殴りかかる。

 

「扱いづれぇ装備とかって話だが、最新型が負けるわけねえだろ 行くぞおおぉぁあ!! 」

 

 

「気を付けてくだサイ!中々厄介デス!」

 

 

「了解!」

 

 

二人は殴りかかってくるショッカーの動きを同時に左右別々に横に飛ぶことで回避しようと試みる。

 

ショッカーが地面を殴りつけると再度周囲に向けて振動波の波が拡散される。

 

振動波の波に吹き飛ばされるがスパイダーマンは木の枝に向けてクモ糸を飛ばして反動で上空に上がって回避し、エレンは金剛身で振動波を防ぐ。

 

 

スパイダーマンは空中で左右に生えている木々にクモ糸を飛ばして貼り付け、勢いを利用して飛び蹴りを入れる為に高速で落下してショッカーの顔面にお見舞いしようとする。

 

しかし、ショッカーもいち早く反応して身体を半回転させて回避し、そのまま振動波を乗せた裏拳でカウンターを腹部に入れる。

 

「オラァ!」

 

 

「うあっ!」

 

スパイダーセンスが反応するも空中では受け身は取れない為、殴り飛ばされて木に激突する。

エレンも裏拳を入れた直後の隙に再度斬りかかるもガントレットの振動波を展開させた防御壁を張って防がれる。

押し込もうとするが振動波の壁は物理的に力業だけでは破ることは出来ず、更に振動波の出力を急激に上げることで弾き飛ばす。

 

「寝てろ女ぁ!」

 

 

エレンを弾き飛ばすことで距離を空けてさせて右手のガントレットを起動させ、振動波を飛ばそうと構えると木に貼り付けられた黒い球体が赤く点滅し始めショッカーの動きを検知してショッカーのガントレットに向けて一直線にクモ糸が射出され、ガントレットに絡み付く。ウェブシューターの機能の1つ、トリップマインを殴り飛ばされると同時にガントレットのみをロックして木に貼り付けていたのだ。

 

「あ゛ぁ?」

 

ガントレットが開こうとしているが小さい面積にびっしりと貼り付いたクモ糸の引っ張り強度の前ではガントレットがいかに高出力でもクモ糸を破るのにも多少時間がかかる。

木とガントレットがくくりつけられ右手の動きを封じられたショッカー。

 

「よっしゃ!これで右のガントレットは封じた!」

 

「ナイスデス!」

 

「そいつはどうかなぁ!」

 

喜びも束の間ショッカーは左手のガントレットを開き、今度は左手で地面を殴って振動波で自身の周囲のみを吹き飛ばし、右手のガントレットと木を繋ぐ糸を切断する。

そして、右手のガントレットもクモ糸を破るのに成功し、再び自由になる。

 

「ハァ・・・ハァ・・・オラ来いよ、これで振り出しだけどなぁ!」

 

「油断も隙も無いデス」

 

「しつこい人って嫌われてるよ!」

 

エネルギーはかなり使うのか多少息切れを起こしているショッカー。

だが、まだまだ動き回れる体力が残っているのか再び臨戦態勢に入る。

 

 

スパイダーマンは両手のウェブシューターのモードを高速発射に切り替えて真っ先にガントレットを狙うがショッカーは地面を殴りつけた衝撃を利用して空中に飛んで回避し、空中で拳を振りかぶって振動波を地上に向けて発射してくる。

 

スパイダーマンはスパイダーセンスで攻撃を感知し、音速で発射された振動波を何とか木にクモ糸を飛ばして上空に飛ぶことでなんとか回避する。

 

それと同時に振動波を射った直後でほんの少しだけ生じる隙を狙って八幡力で跳躍して空中で斬りかかるエレンの一撃を振動波を真横に飛ばすことで推進力にして移動し、回避したと同時に回し蹴りを入れる。

エレンも背中に回し蹴りを受けて距離を放されるものの地面に着地する。

そして、ショッカーは木の上にいるスパイダーマンに向けて振動波をエンジンの変わりにして加速しながら突進してくる。

 

「おっと!」

 

「甘ぇんだよ!」

 

 

スパイダーマンがジャンプで回避した矢先にショッカーはスパイダーマンの真下に来た途端に地面に向けて振動波を発射し、それを推進力にして真上にいるスパイダーマンに体当たりをお見舞いする。

 

「ぐっ!」

 

ショッカーの体当たりを受けたことで密着され、方向転換して正面に向き合ったショッカーに首を掴まれて振動波を乗せた拳で顔面に向けて右フックを入れられ、地面に叩きつけられる。

 

「スパイディ!」

 

 

「何だこの威力・・・っ!頭がくらくらする・・っ!」

 

『軽い脳震盪です』

 

荒魂を殴り飛ばせる威力であるショッカーのガントレットの一撃を右フックとはいえ顔面に強い衝撃を受けて少しフラフラしているスパイダーマン。

 

「ぶっ飛べ!」

 

「うおっ!」

 

 

しかし、脳震盪で鈍っているとはいえスパイダーセンスが発動して危機を知らせる。

ショッカーが振動波を乗せた拳で再度顔面に殴りかかって来たのだ。

屈むことで回避し、ボディブローを入れるものの腕を曲げたボクシング特有のガード方法でガードされた後にカウンターで素早いジャブを顔面に何発も入れられる。

 

「何だよそこそこ動けるがてんでド素人じゃねぇか!おい!」

 

「クソッ!痛いところ突かれたな・・・」

 

ショッカーは現在はただのギャングのチンピラに成り下がっているがやはり腐っても鯛と言うべきか元世界チャンピオンであるため、スパイダーマンが身体能力は超人的だが戦い方に関しては素人に近く、身体能力が近しい達人が相手になると押され気味になることを見抜き、水を得た魚のように怒濤のラッシュをかましてくる。

 

「ちょっ!これヤバイって!」

 

「これならてめぇも楽勝かぁ!」

 

振動波を乗せた拳を高速で連打してくるショッカーのラッシュを回避することが精一杯になるスパイダーマン。

距離を取れば振動波を音速で飛ばされるだけでなくあまりにも高速の連打であるためウェブシューターを使う隙も与えない。

 

「ふん!」

 

「邪魔だ!」

 

迅移で加速して来たエレンが横から斬りかかるとショッカーは相手を変更することにし、回避することに精一杯のスパイダーマンを右足で蹴飛ばして距離を空けさせスパイダーマンの方を見ずに振動波を飛ばして追い討ちをかけて更に吹き飛ばし、それと同時にエレンの剣戟を振動波を乗せたガントレットで的確に捌き、八幡力を乗せた回し蹴りも脚を掴んで受け止めて勢いを利用してスパイダーマンの方へと投げ飛ばす。

 

飛んできたエレンをウェブシューターを作動させてクモ糸で掴んで引き寄せてキャッチして受け止め、肩を貸す形になる二人。

未だにこちらは有効打を与えられていないことに焦りを覚えつつ肩で息をする二人。

 

「マジかよこいつ、パワードスーツ着て強化されてるとは言えガントレットだけじゃなくて本体も強いのかよ・・・」

 

「だから厄介なんデス・・・スパイディ。あっちの装備に稼働限界があるかは分かりマセンがこのままだとジリ貧デス。勝つためには連携、combinationが必要デス。やれマスカ?」

 

「会って僕ら小二時間も経ってないから正直自信無いけど・・・でもやるっきゃ無いんだろ!」

 

『厳密に言えば1時間58分40秒です』

 

「その意気デス!さぁ、ミッションスタートデス!」

 

苛烈な攻撃により、体力を奪われている二人は疲労感が蓄積し始めたが、それでも止まるわけにはいかない。

ジリ貧だが長引けば長引く程こちらが不利になると考えたエレンは連携で戦うことを提案してくる。

しかし、エレンとスパイダーマンはまだロクに会話をしたことも同じ空間に何時間もいたわけでも無いため、非常に難しい話であるが今の二人には単騎でショッカーに挑むよりかは最も現実的な判断であろう。

スパイダーマンは不安を覚えつつも快諾し、自信は無いがエレンの言うとおり、単騎で戦うよりも効率は上がる。なら、無理を通して道理を蹴っ飛ばす。何としても勝利し、貪欲に食らいつくことを半ばヤケクソ気味になりながらも選択した。

エレンはスパイダーマンの意思を汲み取り、不敵にニカっと白い歯を見せて笑いかけると肩に担がれていた手を降ろし、スパイダーマンの隣に立ち再度越前康継を構える。

 

ショッカーは二人が何やら諦める訳でもなく、真面目に作戦タイムをして大事な話をしているその姿に一旦話が終わるまでは待ってあげていたが、話は終わったようなので再度ガントレットを起動させて構えを取りいつでもかかって来いとでも言わんばかりに拳と拳をぶつけ

ると周囲に振動波が広がっていき、自信たっぷりに斜に構えて言い放つ。

 

 

「 ブレークは終わりだ。何をごちゃごちゃ抜かしてるか知らねぇがやれるもんならやってみろや、勿論俺は抵抗するぜ?・・・・・拳で」

 




エンドゲームまで後1ヶ月切りましたが、キャップ役のクリエヴァ氏とソー役のクリヘム氏がアベンジャーズ卒業するらしいからどうなるか不穏ですね・・・どんな形になっても彼らの勇姿をスクリーンで見に行きたい。
ファーフロムホームのコンセプトアートのスタークさんもかなり不穏ですけど・・・。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。