刀使ノ巫女 -蜘蛛に噛まれた少年と大いなる責任- 作:細切りポテト
遠い深い記憶の中、あの日から何度も同じ夢を見る。
20年前 相模湾海上
9月に入り、漁に出る漁師たちは旬の魚介類を捕るために深夜にも関わらず海上にて漁船を出していた。
夏も終わりごろではあるが夜の海は冷え込み、磯の臭いが船中に充満している。
漁師たちの中で際立って身長が高い筋骨隆々で髪は茶の白人の青年は海に敷き詰められた魚介類が詰まった網を船へと引き上げる作業をしていた。
その年の春に相模湾付近の漁港に就職したロシアからの移民の労働者アレクセイ・シツェビッチは故郷の貧民街を出て海外である日本へと移住し、多忙であるがそれなりに生活できる暮らしを送っていた。
「おーい新人、こっち手伝ってくれ。お前の馬鹿力が必要なんだー」
「Дах(ダー)」
上司に呼ばれたアレクセイは日本語も覚えたてで時折ロシア語が出てしまうがそれなりに同僚たちとは良好な関係を築けていた。アレクセイにとって貧民街にいた頃よりも人との繋がりは暖かいものなのだと実感させられる1年であり、職場も自分の大切な居場所だと実感できるようになっていた。
そして、大漁に獲れた魚を市場に出して、高い値段がついたりお客さんに評価してもらえたりすることが、漁師にとって何よりの喜びであり、自分たちの捕った魚介類が飲食店でも使われ多くの人のもとに届く、その小さな繋がりも貧民街では体験できなかったことであった。
「いやあお前が来てくれてから助かるよ。力仕事だったらお前より右に出る奴はいねえからよ」
「そ、そうでしょうか」
「そうそう。しっかしまだ9月なのに夜の海は冷えるなー。さっさと終わらせて寝ようぜ」
「せやな」
同僚たちと他愛ない話をしながら作業を進める。
すると漁船の真横を一隻の超大型タンカーが通過する。
漁師たちはそのタンカーに一瞬視線を移し、口々に感想を述べる。
「ずいぶんでけえタンカーだな。なんか輸送すんのかな?」
「ま、俺らとは相当縁がない話だろうよ。海外のお偉いさんが関わってんじゃねえの」
「おめえらくっちゃべってねえで手動かせ!」
「「す、すいやせん」」
「・・・・・・・・」
アレクセイは恐らく東京湾を抜けて海外へ行くタンカーに対し、特に思うことはないが遠い海の向こうにいる故郷の貧民街はどうしているのか等逡巡するが早く帰宅して就寝するために作業へ戻る。
直後・・・。
先ほど通り過ぎたタンカーが轟音を上げて炸裂音が響き渡り船体の中央を突き破り、橙色と黒が混じった巨大な液体のようなものが形を変えて植物が成長するように天に向けて柱のような形を形成していく。
その巨大な何かがタンカーを突き破り、重油に引火したタンカーの爆発により海面が大きく揺らめき、その船から出現した何かにより海が荒れ始めて津波となって漁師たちの漁船を襲う。
「なんだありゃ!海坊主か!?海上であんなデカい荒魂が出るとか聞いてねえぞ!」
「やばい!津波だ!クソ!間に合わねえ!」
必死に舵を取って回避しようと試みるが距離が近すぎたためか間に合わずに漁船が波に飲み込まれる。
「た、助けてくれええええええ!]
「俺の手を掴め!」
船体から投げ出された同僚の手に手を伸ばして掴もうとするも船体が大きく揺れて姿勢を崩し、床に倒れこんでしまい。手が届かずに目の前で絶望した顔をしながら海へ放り出され波に呑まれて行った。
最期まで絶望に染まった顔をしていた同僚の顔はこの先何十年もアレクセイの心に大きな傷を残すことになる。
その直後にアレクセイが乗っていた船も船体が割れて海に放り出されて海面に叩き付けられて意識を失い。それから数日間漂流した後に近くにいた日本に潜伏していたギャングに救出され、相模湾岸大災厄の影響で漁港付近に借りていた帰る家も、勤めていた漁港も職場の同僚たちも何一つ残っていなかったことを知るのはそれからすぐのことだった。
重い瞼を上げて起床すると朝日が昇り始めている時間帯なのか周囲も明るくなり始めていた。
(また、あの夢か・・・。俺の時間はあの日から止まったままだな。それを言い訳にして今日まで生きてきた、それは今後も変わらないのだろうか)
20年前の相模湾岸大災厄による海難事故はアレクセイにとっては今でも忘れることができない半ばトラウマになっている出来事だ。あの日から何度も夢に出てその度に生き残った自分への自己嫌悪に陥る。
しかし、今自分がやることはライノのテストパイロットとし反逆者の容疑をかけられている相手を捕獲し、自身を救い拾ってくれた組織への恩返しすることが任務だ。いつものように心を殺して冷静に機械のように対処すればいい。それだけだ。
ふとすると外から会話が聞こえてくる。様子が気になり就寝していたテントから少し顔を出し外の様子を確認する。
すると、STT隊員に担架に担ぎ込まれそうになっている所をジタバタして抵抗している自身と同じく任務に当たっていた若者、ハーマン・シュルツと現場の指揮を取る真希と寿々花の姿だ。
「シュルツはどうやら倒されてしまったようだな。軽傷のようだがショッカーの装備が半壊しているため任務続行は不可能だろう。搬送してやれ」
「了解しました!ほら行くぞ」
「うるせぇ!擦りむいた程度だケガ人扱いすんじゃねえ!自分で歩けっから担架に乗せんなコラァ!」
「いいから大人しくなさい。次に備えて多少の怪我でも治療しておくのも任務ですわ」
「チッ、まあ今俺が役に立てることなんざねぇしな・・・」
「蜘蛛男を追い詰めて情報を提供してくれただけでも充分だ。ゆっくり休め」
「わーったよ。せいぜいてめぇらも足元をすくわれねーよう気を付けな」
「言われなくてもそのつもりですわ」
会話の内容から察するにショッカーの適合者のハーマンは敗北し、ショッカーも半壊したため残ったSTT隊員に管理局本部の医療施設に搬送されるようだ。
やはり、ハーマンのように自分は何でも出来る気になって天狗になっている井の中の蛙のような若者はひょんなことで失敗することは想定できるため特に気にしないことにした。
直後に別の若い女性の声が外から聞こえてくる。
「何者だ?そこで止まれ」
「怪しい者じゃありマセーン。通りすがりの刀使デース」
この早朝の時間帯にこの駐屯地のテントに顕れた外国人のように見える金髪で長身の高校生位の少女。
昨晩、スパイダーマンと共にショッカーと戦闘し、勝利をもぎ取り管理局の決定的な証拠を掴むために来たエレンだ。
「ふんっ」
一瞬エレンが担架で運ばれていくハーマンと視線が合い目配せをするがハーマンは知り合いだと悟られないようすぐにぷいっと視線を反らしてケンカ中の相手に不貞腐れる子供のようににそっぽ向き我関せずの態度を取っている。
エレンは約束を守るためとはいえ露骨に知らない人のフリをし、そしてハーマンの人柄を多少は知っている身としてはその子どもっぽい仕草に軽く笑いが込み上げかけたが我慢した。
勿論ハーマンは先日エレンとも戦闘したことは約束通り誰にも話していないためエレンが潜入のために近付いて来たことは現時点では誰も知らない。
だがアレクセイは彼女からは怪しさが漂うため、警戒は怠らないようにし、しばらく隠れて様子を見ることにした。
数刻前
「ん・・・・あぁ・・・僕疲れて寝ちゃってたのか。我ながら寝て起きたらケガが治ってるのは便利だな。あれ?古波蔵さんは?」
早朝になり先日のショッカーとの戦闘を終え、疲労により疲れて森林で眠ってしまったスパイダーマンは目を覚まし、骨折した肋骨の辺りに触れると痛みは無いため、スパイダーマンの持つ回復能力に感心させられていた。
しかし、寝落ちする直前まで一緒にいたエレンの姿が見当たらないため、周囲を見渡すとカレンが話しかけてくる。
『おはようございます。彼女は貴方が起きる一時間前にやることがあると移動しました。彼女から伝言を預かっています。』
「マジか。何て?」
『私は調べものがあるので薫について行ってくだサイネ~だそうです』
カレンが精一杯エレンの口調を真似してなるべく本家に近付けようとしているがいつもの抑揚の無い無機質な声での棒読みであるためか全く似ていない。
「そうは言っても、一人じゃ危険だ。なら、偵察ドローン起動」
スパイダーマンが声をかけるとスーツの胸部にあるクモのマークが外れて浮遊し、自律型の偵察用の小型ドローンになる。
スタークが開発したハイテクスーツの機能の1つ。偵察ドローンだ。
「よし、ドローンちゃん。この顔の人物を探して。恐らく古波蔵さんは敵が夜営してる所に直接行った筈だ。一人じゃ危険だし、昨日一席さんはこう言ってた、「やれ夜見!」って。多分あの荒魂は三席さんが操ってたとなると尚更きな臭い。それに捜査ならこのスーツの機能を充分発揮できる」
スパイダーマンが指示を出すとドローンは小さい体全体を前に倒すようにして頷き上空へと飛び立ち、薫を捜索し始める。
先日川で真希と寿々花と相対した際に恐らく夜見が操っていたと思われる荒魂に運ばれる際に苦し紛れに真希の靴にGPS機能の着いた小型の精密機械をつけていたため、気付かれていなければ彼女の居場所が分かる。
これで相手の位置を把握して遭遇しないようにすることも可能だろう。
スーツの機能では捕獲のためのルートを設計するために細かい地形も表示されるため場所は駐車場のような駐屯地で車や夜営のためのテントをいくらでも置ける広さであるためここを陣取っていると推察できる。
ドローンが薫を見つけたようなので急いでその方向へと向かう。
少しして
エレンに伝言を預かり、可奈美と姫和とスパイダーマンを合流地点まで送り届けるように言われたため、3人を捜索する薫とねね。
すると走って来たスパイダーマンと遭遇する。
「うお!狙ったように出てきたな。お前大丈夫だったか?」
「ねー!」
「やっほ。あぁマジで終わったかと思ったけど古波蔵さんのお陰で何とかね」
互いの無事を確認する両者。薫はスパイダーマンの先ほどの発言で引っ掛かった所を問い質す。
「ん?その口振りだと昨日エレンと一緒だったのか?」
「え?あぁ、うん。昨日衝撃波ぶっ放して来る強盗と一戦交えた際に一緒に戦ったんだ」
「そうか。エレンの事だからお前にも伝言板残してると思うがアイツがどこ行ったか分かるか?」
「うん。僕が疲れて寝落ちしてる間に敵の拠点に行ったみたいだ。だからこれ、君に渡しとく」
スパイダーマンは持ち歩いていたリュックから掌には収まらない程の大きさの黒い球状の精密機械のような物を取り出し、薫に手渡す。
薫は何が何だか分かってはいないようでねねもその機械を覗きこんでいる。
「何だこりゃ?」
「ねね?」
「昨日親衛隊と遭遇した時にこっそり獅堂真希の靴にGPSを付けといたんだ。これでGPSが付いてる相手の位置が分かる。元々相手を捕獲するための物だから細かい地形とかも教えてくれるんだ。これを見ながら相手の動きを読んで彼女達と遭遇しないように辿り着けると思う。スイッチを押してみて」
言われた通り機械に付属されているスイッチを押すと機械から3Dのような立体感を持った映像となって飛び出し、GPSを着けた相手の位置をスパイダーマンのアイコンで示されており、細かいルートなどを表示している。
スタークが作成した機能の1つ、GPS追跡システムだ。
「ねねっ!」
「これマジかっこいいな・・・・って何でオレにこんなの渡すんだ?」
薫が感嘆とした声をあげ、GPS追跡システムの映像に見入っているが1つ気掛かりなことをスパイダーマンに問い質す。
するとスパイダーマンはバツが悪そうに頭の後ろを片手で掻きながら答える。
「あー・・・・なんつーか・・・相手の手の内を探るためとはいえ流石に一人だと危険だし、それに僕のスーツの機能にはおもしろい機能が付いてるんだよ・・・だから僕は彼女にもしもの事があったら助けに入ることにするよ」
「はぁ!?お前何言ってんだ!アホなことはよせ、こっちにも予定ってもんがあるんだよ!」
流石に敵地にエレン一人で行くという行為は危険であるため、自身も近くに行くことを伝えると薫が焦ったように止めようとしてくる。
無理もない。これから相手や相棒がしようとしていることがどれだけ危険なことかは理解できる。心配しない訳がない。
「でもごめん。危ない目に遭うかも知れない人を放ってはおけないんだ。それに僕のスーツの機能も彼女のやろうとしてることに役立てる筈だ。んじゃ二人をよろしく!」
「おい、待てって!」
薫の制止も虚しく、かなりのスピードで走り抜けるスパイダーマン。
手を伸ばすもののその背中をただ見送ることしか出来ない薫。
場所は変わって駐車場
スパイダーマンは森林を駆け抜け彼等が夜営している駐車場の近くの茂みまで接近し、木に登って高い所から状況を把握していた。
見た所、武装したSTT隊員が複数見張りに付いているようだ。
そして、よく見るとエレンは任務に来ていた親衛隊達に投降し、STT隊員に
銃口を突き付けられ両腕を頭の後ろで組んでホールドアップの状態にされ、指揮を執る真希と寿々花に問い詰められていた。
「うわっマジかよ、ホールドアップさせられてる・・・」
『早急に救助に入りますか?ならば瞬殺コマンドをオススメします』
「いやいや、そんな物騒な機能は使わないって!そもそもスタークさんにロックされてるじゃん。多分いきなり斬られたりしてない所を見るとまだ問い詰められて事情を聞かれてるってことはハーマンは約束通りチクって無いのかね。何話してるんだろう?カレン、拡張偵察モードを起動して。会話を聞きたい」
『了解。拡張偵察モードを起動』
カレンの物騒な提案を否定し、まだ問答無用で斬りかかられていない所をみて状況を観察するとハーマンが約束を破ってエレンの事を報告していないことは見て取れる。
そして、スパイダーマンはスタークが開発したもう1つの機能、『拡張偵察モード』を起動した。
スパイダーマンの視界と聴覚が強化され、視界全体は青くなるが建物の中にいる人間でもサーモグラフィとして作用して熱探知でどこに何人いるのかが把握できる。
「なるほど、敵の人数はこんなもんか・・・んで、会話会話っと」
そして、聴覚はある程度距離が離れていて、会話の声が小さくとも会話を盗聴できる機能だ。
強化された聴覚によりスーツが音を拾い、彼女達の会話が聞こえてくる。
『御前試合に出場していたな?』
『oh・・・お恥ずかしい・・不甲斐ない結果デシター』
『見え透いたおとぼけですわね』
いつものとぼけたような口調で淡々と答えるエレンの様子は確かにこのような緊迫した状況で飄々とした態度を取っている所を見るに怪しさ全開なのも無理はないかも知れないがあれが彼女のデフォルトであるため覆しようは無い。
『あの~そろそろ手、降ろしてもいいデスカ?貴方達と戦うつもりなんてこれっぽっちもアリマセンカラ』
『ならその御刀、差し出してもらう』
『携帯もですわ』
『foo~手が痺れマシタ~』
STT隊員に携帯と御刀を押収され、武装解除に持ち込まれたエレンはホールドアップから解放され、手を降ろしブラブラとさせながらリラックスし始める。
『で?こんな所で何をしていた?』
『いや~試合の結果がアレだったじゃないデスカ~、このまま手ぶらで帰ったら学長に大目玉喰らっちゃうかな~って思いマシテ、紫様襲撃犯を取っ捕まえて手柄にしようと思ったんデスヨ』
『反逆者を捕獲するためにS装備まで持ち出したんですの?』
『S装備?何の話デス?』
先日の戦闘で3人の実力を測るためにS装備を持ち出した事を寿々花に問い詰められるがシラを切るエレン。
『昨夜伊豆山中に向けて射出された所属不明のコンテナ二機のことだ、逃走中の反逆者に用意できるとは思えん』
『貴女ともう一人の長船代表、益子薫の物と考えるのが自然ですわ』
『・・・・・・・・』
完全にS装備を使用したことを見破られている。狩りに舞草の一員じゃないと言う事で話を通したとしても管理局の管理下に無いS装備を使用しているという自体はまずい。そこから特定されてもおかしく無い緊迫した空気が遠くからでも伝わって来るがエレンは沈黙してしまう。
「やっぱりコンテナの着地点から特定されてたのか・・・っていうか薄々感付かれてない!?ここで沈黙
はヤバイ!なにか・・・何か喋らないと!」
『やはり危険です。スタークさんに許可を取り瞬殺コマンドを実行して助けに入りしょう』
「もう!ことあるごとに瞬殺コマンドを薦めるのはやめてくんない!?」
ぐ~
『お腹空きマシタ~』
スパイダーマンとカレンが物騒な話をしているとエレンの腹が空腹を告げる音を上げ、腹の辺りを押さえている。
もしかすると自分でいつでも腹から空腹音を出す訓練でもされているのか、本当に空腹なだけなのかそれは彼女のみが知る。
一応空腹なようなので朝食位は与えてあげることにした寿々花と真希。
「貴女には色々聞かなければならないですわね」
STT隊員に銃口を向けられながらテントへ向けて移動すると一瞬だけ押収された自分の御刀越前康継がSTT隊員により車のトランクに収納されたのを確認し、その車両を記憶してからテントへ向かう。
「ふぅ・・・・助かっては無いけどナイス回避。よし、僕らも動こう。ドローンちゃん、あのSTT隊員に取り付いて僕が指示を出したら奴等の車両をスキャンして。僕らももう少し近付いて、奴等の会話から割り出さないと」
スパイダーマンは更に駐車場に接近し、偵察ドローンに指示を出すと偵察ドローンは空中を浮遊しながら近くにいたSTT隊員の背後に貼り付き、服の黒い色と同化し、待機状態になりながらスパイダーマンからの指示を待つ。
そして、近付くと寿々花と真希が口論している。どちらかが尋問するかで揉めているようだ。
『僕に尋問するなとはどういうこだ?』
『どうもこうも、言葉通りですわ』
『紫様からお預かりしている指揮権を蔑ろにする気か?』
『あら、地位を盾に要求を通そうだなんて貴女らしくもありませんわね』
真希がかなり苛立ちながら自身が指揮官なのだから自身が尋問しようと言う要求を通そうとしているがかなり苛立っているため、尋問中にシラを切るエレンに苛立ってペースに乗せられてはぐらかされる可能性も0ではないからなのだろうとスパイダーマンは内心で分析する。
確かに苛立って尋問している相手に暴力などを振るったとなれば問題である上に、仮に舞草とは無関係の人間だったのならばすみませんで済む話では無くなるからだろう。
「なんだなんだ痴話喧嘩かぁ?夫婦喧嘩は犬も喰わないっていうけど蜘蛛は聞いてるんですけどね!出来れば一生やってて貰えると助かるけどそうは行かないか。にしても随分ピリピリしてる。まぁ主な原因は僕らだけど」
『・・・・・・・・っ!?』
突如、寿々花に諌められたからなのか真希の瞳が紅くなったのが確認できたがそれと同時に手先が軽く震えるある反応が出た。それは
「スパイダーセンス!この反応、荒魂の反応を傍受したときのだ!それも一席さんから出てる。少なくともここに来てる親衛隊3人は確実に黒ってことか」
スパイダーマンは真希の瞳が紅くなったと同時に荒魂の反応を検知した時に出るスパイダーセンスを感知し、その反応が真希から出ているのを確認する。
『その眼・・・・あの娘に見せるつもりですの?舞草の一員かも知れないあの娘に』
「もう疑われてる。ま、無理もないか」
『昨晩の戦いで遅れを取って以降、冷静さを欠いているようだな・・・・僕は』
『どちらへ?』
『頭を冷やしてくる』
寿々花に指摘され、確かに尋問中に感情的になってその紅い瞳をエレンに見られたのなら決定的な所を見られてしまったことになるため、今冷静さを欠いて感情的になっている真希が尋問を行わない方が無難な選択肢だとスパイダーマンも納得する。
寿々花に指摘されたことも一理あるため、紅い瞳からいつもの茶色の瞳へと戻るとと同時にスパイダーセンスも解除された。
肩を落とし、落ち込んだ様子で少し離れた森林まで移動する。
森林欲でもしながらクールダウンでもするつもりなのだろうか。だが、スパイダーマンは真希の靴にGPSを取り付けているため位置を把握することは可能であるため一旦は放置することにした。
『少々意地悪が過ぎたかしら?冷静さを欠いているのは私も同じですわね』
『もしも、貴女が彼女達の仲間なのだとしたら、代償を支払って貰わなければなりませんわね、古波蔵さん』
歩いていく真希の背中を眼で追いながら自身も我慢しているが可奈美達一向と舞草に引っ掻き回されていることには頭に来ているためか真希にキツく当たってしまったことを反省しているようだった。
しかし、冷徹に淡々と物騒なことを言いながら紅い瞳になる寿々花。遠くで聞いていたスパイダーマンもスパイダーセンスで寿々花から荒魂の反応を示した時の反応を傍受したが、それと同時に冷静にキレる人の恐ろしさを遠くからでも感じ取る。
「うわこっわ!聞いてて生きた心地がしなかったよ。改めて僕らそうとうヤバい奴等を敵に回したんだな・・・やっぱり彼女からも反応が出てる。彼女が古波蔵さんを尋問するのかな。よし、ドローンちゃん。気付かれないようにこっそり隊員から離れてトランクの中をスキャンして。証拠になりそうな物を見つけたら教えて」
偵察ドローンは了解の意図で軽く頷き、STT隊員から離れ、テントへと貼り付き、緑色のテントの布地の上を這い回りながらトランクへと移動し赤外線スキャンで解析を始める、映像がスパイダーマンの視界のHUD(ヘッドアップディスプレイへと送られ、スーツの中に記録されていく。
「んで次は・・・あっちの古波蔵さんがいるテントでの会話か。よし、捜査続行だ」
『盗み聞き続行の間違いではないですか?』
「ちょっとカレン、ストレートに言わないでくれる!?僕もちょっと気にしてるんだから!」
そうして今度は寿々花がエレンを尋問するために入ったテントでの会話に耳を傾けるのであった。
長くなりそうなんで一旦ここで。次は・・・出来るならエンドゲーム公開日の辺りには出したい。(公開日に観に行けない悲しみ)
余談:ファーフロムホームでの新スーツってアップグレードスーツって名前なの最近知っためう。てことはハイテクスーツの強化版なんすかね