刀使ノ巫女 -蜘蛛に噛まれた少年と大いなる責任- 作:細切りポテト
5月22日0:09分一部描写変更
ー時間は少し戻って格納庫ー
エレンの警戒を怠らないように夜見に告げ、夜見がエレンの尻尾を出すために敢えて救護テントでアンプルを投与し、退室した後に救護テントにアンプルを回収しに来たエレンとそして合流したスパイダーマンを誘き出すことに成功した。
その事をアレクセイに報告した後に通信を切って確保に動いたようだった。
通信を切られたアレクセイはすぐさま薫達一行の捜索に出た指揮権を持つ真希に通信を送る。
駐車場からはかなり離れた山中の道路を走行するパジェロの後部座席に座る真希の携帯に連絡が入る。通信者の名前は登録してあるアレクセイ・シツェビッチと書いてある。
意味もなく連絡など寄越してくる相手ではないと知っているためすぐさま電話に出る。
「どうした?」
『あの投降してきた女、奴が逃げ出した。皐月隊員が応戦しているが他にも仲間がいるようだ。流石に二人以上は厳しい上に仮にどちらかが逃げて増援を送ってくるかもしれない。俺もライノで出撃した方がいいだろうか?』
「古波蔵が逃げた?分かった。ライノを着けて夜見の援護に回れ、シツェビッチ」
『Дах(ダー) 』
アレクセイからの報告を受けて、ライノを装備する許可を卸すと同時に指示を出して通信を切るとため息を溢す。先日から物事が思い通りに進まないストレスが彼女の心労がかさんでいた。
「はぁ・・・・怪しいとは思っていたがまさかな」
「いいのではありません?狐が尻尾を出してくれたのですから。いいえ、彼女は狸の方がお似合いかしら。それに」
「あぁ、二人の事だ。そう簡単に逃がしはしないだろう。だが、中々逃走中の奴等の影も掴めないな。まるで先回りされているような・・・・それにシツェビッチの話だと他の仲間もいるようだ。一体何をしたんだ・・・まさか蜘蛛男か」
エレンが潜入のために投降してきた上に逃走したとの報告を受けてエレンも逃走中の面々に協力している、ひいては舞草のメンバーであると確信は持てるが薫を含む逃走中の面々は影も掴めない状況を疑問視する。
そして、早急にエレンの手助けに入れたことも真希に違和感を与えていた。
すると真希の足元が視界に入った寿々花があることに気付く。
「ん?真希さん。靴に何かついてますわよ」
「なんだこれ?蜘蛛?いや、蜘蛛の形をした機械!まさかアイツ・・・・っ!」
寿々花が指摘すると、彼女の指差す方向に手で触れると冷たい機械のような無機質な感触を皮膚で感じ取る。
一瞬その固体が動いたが手で掴む方が早くされるがままに摘ままれる。
真希が摘まんだ物は無機質な感触に蜘蛛の造形を象った小型の機械のような物だった。真希の手から逃れようと手足を動かしているが背と腹を押さえられているため脱出出来ない。
この蜘蛛を機械を判断とした二人は分析を始める。
「もしかしたら昨日のうちに真希さんの靴にGPS付きの発信器を着けて我々の位置を特定し、駐車場の近くに潜んで緊急時に駆け付けられるようにしていたと言われても不思議ではありませんわね。彼女達が中々見つからないのはGPSで我々の位置を逆算して見つからないように先回りしている・・・と言った所でしょうかね」
「味な真似をしてくれるじゃないか。どこまでも僕たちをコケにしてくれるな奴は」
大体当たっている推測を寿々花が行うと両者の中で何故こうもスムーズに物事が思い通りに進まなかったのか、合点が着いた。
真希は苛ついたままGPSを摘まむ指に力を込めて握り潰す。これでお互い公平に泥臭く地道に捜索しなければならなくなる。
「しかし、これで確信が持てましたわね。こんな精巧な小型のGPS付きの精密機械。会場で見たときとは違う多機能のスーツ。スパイダーマンは舞草の重要な人物と既に接触・・・・いえ、ここからは私の憶測ですが更に強力な協力者がいるのかも知れませんわね」
「そうだな。それに、かなり距離が開いてしまったが引き返すぞ」
一本道であるため車でUターンするには時間がかかるが引き換えそうと一行は来た道を戻ることを決意する。
格納庫内では真希からライノを使用するよう指示されたアレクセイはS装備を装着する際のように待機状態になっているサイをモチーフにしたパワードスーツの胸部のコアに手をかざすと格納庫中が煙に包まれ一瞬のうちにパワードスーツがアレクセイの身体に装着される。
全身を覆うS装備のカラーリングの名残のある黒銀の鋼の装甲、サイを連想させる頭部の兜には眉間の部分に鋭利な角、蒼く光るツインアイ。そして装着者であるアレクセイの筋骨隆々の発達した肉体にベストマッチとも呼べるほど親和性のある姿はまるで鬼のようでもあり、アメリカのヒーローハルクにも通ずる姿をしているがその猛々しい見た目とは裏腹に『ライノ』は物静かに佇んでいる。
ライノは夜見の援護に回るために格納庫から出ようと出口の扉を開けようとするが何か外側から貼り付けられたように軽く力を入れただけでは動かないため、申し訳無いと内心では思いつつライノは右腕に力を込めるとスーツの下の上腕二頭筋が膨れ上がり、血管が青筋を立てそのまま拳を振りかぶって格納庫のドアを殴り付けると格納庫の扉がひしゃげながら吹き飛び格納庫の外にいたSTT隊員の真横を通りすぎて道路に激突する。
「すまない。開かなくなっていたから無理やり開けた」
鉄の扉が猛スピードで自身の顔面スレスレを飛んでいくという恐怖体験をしたSTT隊員は腰を抜かしてガタガタと眼前の光景に震えていたが、ライノが謝罪と共に手を差し出して握り返して来た隊員を立たせる。
救護テントの方を見ると昨夜の戦闘で消耗しているエレンは先に逃走するという選択肢を取ったため、山中の方向へ迅移で加速して行く姿が確認できる。
ライノはエレンの味方の内の一人が夜見と戦闘を行っていると判断し、このままエレンに逃げ切れられ増援を呼ばれる可能性を考慮して自身も行動を起こす。
「マズい!逃げられるぞ!」
「だったらこうすればいいだろう!」
ライノは先程まで自分が待機していた格納庫を片手で掴むとそのまま軽々と持ち上げる。人間が片手で持てるいいや、大の大人数人で持ち上がるであろう重さの鉄の格納庫を持ち上げる様に近くにいたSTT隊員全員が絶句しているのも気にせずライノはスポーツテストのハンドボール投げの要領でエレンが逃げた方向に目を向けて走る位置を予測して反動をつけるために数歩ステップしてそのまま・・・・・投げた。
格納庫が投げられた際の加速と共に宙を舞いながら山なりに飛んで行き、山中に入ったエレンが走っていく方へと向かっていき、そのまま重力落下に従い山中を走るエレンも現在は昼であるにもかかわらず突如周囲が暗くなる。それも自分の周りだけ暗くなることに違和感と何か嫌な感じを感じ取り横に転がって影から抜け出すと先程まで自分が走っていた位置に長方形の鉄の物体が降ってきて地面に激突し轟音と衝撃が響き渡り、数m程転がっていく。
「アウチ・・・振動波の次は何デスカ・・・?」
起き上がり、土が舞った際の砂埃が晴れると陥没した地面に衝撃で形が歪んだ鉄の塊が突き刺さっていたため、直撃はしていなかったであろうが威力の凄まじさに絶句していた。後数㎝ズレていたら危なかったため自身の幸運に感謝するエレン。
だが強い衝撃を身体に受けて動きが鈍くなってしまった。それでも重い身体に鞭を打ちながらよろめいたら後に覚束ない足で走り出す。
「管理局は戦闘用にゴリラでも飼ってるんデスカ!?」
救護テント内では突然の地響きと轟音がそこからしたため、夜見と戦闘していたスパイダーマンは驚きの声をあげる。
「何だ今の音!?」
「余所見をしている暇があるのですか?」
一瞬気を取られている内にスパイダーマン以外誰も見ていない事を知ってか夜見が自身の左腕に御刀で切り傷を作ると傷口から血液ではなく、黄色の眼に赤い瞳孔の目玉のような物が溢れ出てくると同時に赤黒い蝶の大群となってスパイダーマンの方へと向かってくる。この救護テントの狭い空間の中で物量で押してくる夜見、明らかに逃げ場が無いスパイダーマンは荒魂の大群を相手に隙を作らずに反撃するかを考えた結果、ウェブシューターのモードを再選択する。
「へえーその手品のタネってリスカで呼び出すんだ!でもやっぱ痛いのはごめんだからマスターするのはやめとくよ!」
ウェブシューターのモードをショックブラスターに設定して衝撃波を荒魂の大群に向けて放つと大群を倒すことは出来ないが衝撃で数が分散する。
大群が衝撃を緩和してくれていたとは言え多少なりとも衝撃によりのけ反った夜見の手元にクモ糸を飛ばして御刀を持つ手に当ててそのまま取り上げて引き寄せようとするも夜見が出した大群が再度陣形を整えてスパイダーマンの方へ攻撃をしかけ始め、スパイダーマンはそれらを振り払うために動きを止められてしまっている。
「いだっ!ちょっ、集団リンチ反対!」
一方駐車場ではその様子を唖然としていたSTT隊員が口を開けて震えた声で話し始める。
「なんつー馬鹿力だよお前・・・」
「この手に限る。だが、当たってはいない。時間が稼げれば充分だ。皐月隊員、ライノは足が遅い。速度で言えば貴女の方が上だ。逃げた女の方を追いかけてくれ」
「分かりました」
STT隊員を後にして、救護テントにいる夜見に声をかけるライノ。
ライノに言われたことも一理あるため迅移で加速してエレンを追えるだけでなく、身体から荒魂を出して索敵も可能な夜見が駐車場に留まっている理由はない。
そう判断した夜見は御刀についた糸を引き剥がして迅移で加速してエレンを追跡する。
スパイダーマンは小型荒魂の大群に苦戦していたが何とか薙ぎ払うことに成功するが夜見には逃げられてしまう。
すると同時にスパイダーセンスが何かを感じ取ると正面のテントの手口の方向から地響きを立てながら突進してくるかのような音が聞こえてくる。
「あ、やっば」
猛烈に嫌な予感を感じるスパイダーマンであるが時既に遅し。重い重量の巨体がテントに激突し、救護テントをひっくり返しながら後方へとを押し飛ばす。
スパイダーマンも吹き飛ばされながらその追突した正体であるサイの意匠を模したパワードスーツの姿を目の当たりにする。
無慈悲に弾き飛ばされた救護テントの残骸はは土手を転がり落ちていく。
「なんて無茶苦茶なパワーだコイツ!」
『後方は土手です。パラシュートを再装備していないので、落下して地面に落ちた場合、人間ならほぼ死ぬでしょう』
「冷静な解説どーも!」
空中に撥ね飛ばされながら近くにあったパジェロに向けてクモ糸を飛ばして、糸が車に吸着した後に車の上に着地することに成功する。
スパイダーマンの視界にいる、救護テントごと自分を撥ね飛ばした正体。偵察ドローンで存在は認知していたが破壊する暇が無かった上に、荒魂を引っ張れる程強度が強いクモ糸が貼り付いて簡単にはとれなくなっている筈の格納庫の扉から容易に脱出できていることに驚いた。
見渡すとライノが収容されていた格納庫が無くなっている。記憶の中にある格納庫の大きさの質量から察するに先程の地響きはライノが格納庫をエレンが逃げた方向に投げ飛ばした事を察することができ、引っ張り強度が強くなったクモ糸が貼り付いた鉄の扉をこじ開けられたととしても不思議では無かった。
「怪我をさせたくない。大人しく投降しろ」
「おっと、さっきのゴリラパワー全開な戦いっぷり見せられてそんなこと言われても説得力無いよマッチョメン」
「「「確かに・・・」」」
ライノが先程鬼神の如き怪力を披露した後だというのに急に穏やかな口調でスパイダーマンに語りかけてくる。
しかし、今スパイダーマンは捕まる訳にもいかずいつもの軽口でおちょくりながら隙を伺うとSTT隊員も軽く同意している。
「なら、仕方ない。実力行使だ。骨折は覚悟してもらう」
「君が言うと完全に粉砕の方だよね!?」
再度スパイダーマンに向けて地面を蹴り、体当たりをしかけてくるライノ。スピードは巨体にしては速いがかわせない速さでは無いため、パジェロの屋根から飛んで電灯に飛び移って回避してカウンターを狙おうとするとスパイダーセンスが発動する。
見渡すと残っていたSTT隊員複数人がこちらに銃を構えて引き金に手をかけていたのであった。
スパイダーマンはライノからの突進攻撃を回避しつつ、まだ回収していなかった待機中の偵察ドローンに指示を出す。
「ドローンちゃん!そっちの方よろしく!」
スパイダーマンが指示を出すと車の影に隠れていた偵察ドローンが飛行しながら銃を構えるSTT隊員に接近して口の部分からクモ糸を発射してSTT隊員の銃口に貼り付けて発射口を塞ぎ、STT隊員の身体をクモ糸で拘束する。
「うおっ!なんだこれ!」
「動けねえ!」
拘束されたSTT隊員とは反対方向のSTT隊員に向けて空中を移動しながらHUDに接続してウェブグレネードを通り様にノールックで投げつける。
「なんだこんなもん!マッハで蜂の巣にしてやんよ!」
「あっ、それやめといた方がいいよ」
スパイダーマンの静止を無視して投げ付けられたウェブグレネードに向けて発砲するSTT隊員。的確にこちらに飛んでくるウェブグレネードに命中させるものの弾が命中した途端に容器につまっていたクモ糸が衝撃により炸裂して、周囲にいたSTT隊員を拘束する。
その様子を電灯に飛び移ったスパイダーマンは呆れながら人指し指を立てて左右に振る。
「人の話を聞かないのは君達管理局の悪い癖だゾ!ま、言うの遅かったけど!」
駐車場に残っていたSTT隊員を拘束して今この場で戦闘が可能なのは互いに対面しているライノとスパイダーマンだけとなる。
スパイダーマンが投降する意思が無く、抵抗することを理解したライノは拳を地面に突き刺すとそのまま持ち上げて地面を引き剥がして地中の石やコンクリートの塊を持上げてスパイダーマンが引っ付いている電灯に向けて投げ付けてくる。
「あっぶね!」
スパイダーセンスが反応して飛んでくる塊を飛んで回避するが、その塊が電灯に直撃し、ひしゃげて形が歪む。更に二段構え、今度は間髪入れずに駐車場に駐車してあるパジェロをスパイダーマンが逃げた方向に円盤投げのように軽々と投げ付けて来る。
回避したばかりでどこかにクモ糸を飛ばして移動する余裕は無いため、すぐさまHUDに接続してウェブシューターのモードをショックブラスターに切り換える。
ショックブラスターの出力を高めて自身もその反動で移動できる威力の衝撃波を放ち、その反動を利用して回避するがライノが既に全速力で突進をしかけて来ていた。
「ぐっ!」
回避仕切れずに体当たりを受けて山中の方まで吹き飛ばされ、木々に激突し、薙ぎ倒しながら吹き飛ばされ徐々に勢いが無くなった後に最後に木に激突する。
体当たりを受けた際のダメージは昨夜のショッカーの振動波を纏った一振りにも匹敵するものであった。
一応先程の一撃を咄嗟にガード出来たため、思ったよりはダメージは無いが軽く吐血して口の中に鉄の味が広がる。
それに激突される前に肩の部分に蹴りを入れたが凹む位で大したダメージを与えられていない。
その耐久力の高さにも驚きを隠せないスパイダーマン。
ライノがスパイダーマンを遠くに吹き飛ばした理由は自身の完全に破壊に向いているスーツではSTT隊員を巻き込む可能性が充分にあったためスパイダーマンを山中まで吹き飛ばして距離を空けさせた。
「やはり稼働時間は短いな。早めにケリをつける」
ライノの稼働時間は他のパワードスーツよりも短い。そのために直ぐ様ケリを付けるために山中の方へと走っていく。
場面は変わって山中
夜見に追いつかれたエレンは昨夜の戦闘での消耗と、先程ライノが投げ付けて来た格納庫が地面に激突した際の衝撃もあって疲弊しつつも応戦していたがノロのアンプルの投与により、身体能力を強化し、右目の辺りから黒い角のような物まで生え始めた夜見に押されて行き、ついには写シも張れなくなってしまう。
肩で息を切らしながら木にもたれかかるエレンに容赦なくトドメの一撃を与えようと降り下ろし、エレンも覚悟するが金属同士がぶつかる音が眼前でなっただけで自分の身体を切り刻む様子が無いことに違和感を覚え目を開けるとそこには、二人の増援に駆けつけた薫が身の丈に合わぬ大太刀の祢々切丸で防いでいたからだ。
「薫!」
「ね!」
「オラァ!」
力任せにそのまま前の方に押し返すと夜見もバックステップで後方へ飛ぶ。
後方のエレンに向けて無事を確認する。
「生きてるなエレン、つーかスパイダーマンはどうした?」
「スパイディは今別の相手と戦ってるみたいデス」
「マジかよ。まぁ取り敢えず無事みたいだな、じゃあ金剛身」
「ほへ?」
「ホームラン!」
すっとんきょうな声を上げた途端に言われた通り金剛身を発動すると薫が峰の部分で横薙ぎに祢々切丸を振ってエレンを飛ばす。これも距離を取らせて彼女を戦闘から離脱させるためだ。
「ちょっ、このバカあああああ!ぐふっ」
突然飛ばされたことにより、不満をぶちまけながら後方へと飛ばされて行くエレンを同じく増援に駆けつけた可奈美が滑り込んでキャッチする。
「大丈夫?」
「何でこんな所にいるんデスカ?」
「ひよよんもいるよ!ほら」
本来ならば既に石廊崎に到着していた筈の面々がここに揃って自分達の増援に来たことに疑問を持ち、問いかけると正面に立って姫和が夜見と対峙している。
「変な勘違いをするなよ。私は、私が戦うべき相手を見極めるために来ただけだっ!」
「本当に親衛隊の人が荒魂を・・・」
(これが・・手紙に書いてあった人体実験・・人とはこれ程までにおぞましくなれるものなのか・・っ!)
ぶっきらぼうに否定しつつも場にいる全員が夜見の今の異形となりかけつつも、周囲に小型荒魂の大群を従わせている姿に驚愕している。
統制の取れた動きをしながらこちらに向かってくる小型の大群を見て後ろを軽く振り向いて姫和が可奈美に指示を出す。
「可奈美!その金髪を安全な所まで連れていけ!その後はスパイダーマンの助けに入ってやれ!私はここでこのちんちくりんとコイツを止める!」
「了解!行くよ!」
可奈美はエレンに肩を貸し、走り出す。
しばらく走っていると突如別の方向から木々が奈木倒されながら轟音と地響きをあげて何かがこちらに迫ってくるのが分かる。
するとリュックを背負った顔が赤のマスクに白い眼の中学生位の身長の人物が何かから逃げるように木の天辺に向けて手首から糸を出して移動し、上空高く舞い上がった後に可奈美とエレン、そして少し離れた所に小型荒魂を従わせた夜見とそれと対峙する薫と姫和。
全員の姿が見えるとその人物は相当慌てているように話しかけてくる。
「ごめんちょっと!愉快な仲間を連れて来ちゃった!」
「そ、スパイダーマン!?」
「スパイディ!・・・・愉快な仲間って超絶嫌な予感しかしないんデスガ・・・」
「全員に告ぐ!森林で非常事態だ!容疑者は男性2m位のサイのアーマー、筋肉モリモリマッチョマンの変態だ!」
スパイダーマンが事態をジョークを交えて説明すると同時に森林で木々を薙ぎ倒しながら突進し、飛び上がるとその姿を露にし、地面に着地すると地震でも起きたかのような衝撃と地響きが山中に響き渡り、全員がその方向を振り返る。
全身を包む黒銀の鋼の鎧に身を包み、蒼のツインアイ。
全身防備のスーツの上からでも分かる程隆起した筋肉が特徴の大男。その勇猛なる姿とは裏腹に物静かな佇まいをする新装備の適合者、ライノがスパイダーマンを追ってここまでやって来たのだ。
先程接近戦を試みてもスパイダーマンも力負けする程の怪力であり、打撃を入れても軽く凹む程度でしかなく正攻法での突破は難しいと思ったため、これだけ強大な力を持っているパワードスーツがS装備をベースに作成されているのであれば稼働時間は短いと判断して、命がけのチキンレースをして時間切れを狙ったのだがしつこくつけ回されてしまっていたのであった。
「これのどこが愉快な仲間だっ!」
「でも地味にゴツくてかっけえな」
「ねね!」
「すまない皐月隊員。この坊主が思いの外逃げ足が速くて手こずっていた。だが、連中が1ヶ所に集まっているとも言えるな」
「はい、シツェビッチさん。貴方と私でここで一気に勝負を決めましょう。短期決戦です」
「Дах(ダー)」
ライノは夜見が視界に入ると話しかけ始める。
夜見はライノの稼働時間がお世辞にも長いとは言えないため、一気にケリを着けるために一度御刀を地面に突き刺し、両ポケットから指の間に挟める限界の数、片手に4本ずつ計8本を取り出し、首筋に打ち込む。
一瞬苦悶に満ちた様子を見せるが右目の側の角のようになっていた部分が開き、そこが黄色の眼に紅の瞳孔をした眼となる。
スパイダーマンはいつも感じている荒魂の反応とは違う、強力な反応をスパイダーセンスで検知して全員に声をかける。
「ヤバイぞ!この気配尋常じゃない!」
すると周囲に赤黒い煙のようなものを纏いながら生気の無い、動く屍のような動きで逃亡者一向に歩み寄ってくる。
ライノは夜見が何をしたのか全く知らないが、様子がいきなりおかしくなっているのを見て心配して声をかける。
「おい、皐月隊員・・・大丈夫か?」
「問題・・・ありません・・・。行きましょう・・」
夜見はそうは言っているがこれも任務の為の秘策なのだろうと思うようにし、ライノも子供が相手だとは言え、何か事情があったのだとしてもターゲットはターゲット。何としても捕まえるのが自分の仕事だ。
そう言い聞かせてライノと夜見は同時に逃亡者一向に襲いかかる。
RE:EDIT1/6のアイアン・スパイダーのフィギュアかっけえなと思い値段を見たらヤバくて卒倒しました。