刀使ノ巫女 -蜘蛛に噛まれた少年と大いなる責任- 作:細切りポテト
エンドゲーム の円盤も明日発売っすね、アッセンブル!
里の庭にてアイアンマンに身体をがっちりと抑えられながら夜空に一気に上がるスパイダーマン 。マッハ3の加速には驚いているが真っ直ぐに前を見据える。
上空に飛翔する際にスパイダーマンは気になっていたことをアイアンマンに質問する。
「あの、スタークさん。防犯カメラジャックしたからって、僕らを見かけた一般人からの通報で管理局にチクられちゃう気がするんですけど」
『僕が何の対策も無しに来たと思うのか?坊主達も山中では射出コンテナの件で近隣住民や基地から通報されただろ?それを見て対策位立てている。再帰性反射パネルを展開』
アイアンマンが宣言するとアイアイマンの装甲に施されている再帰性反射パネルという光を反射させる特殊なコーティングが発動し、アイアンマンの色が透明になり夜空の背景と同色に変化していく。この機能により飛行中は周囲の景色に溶け込むことが出来る。どうやら里まで飛行して来る時もこの機能を使って来たのだと想像できる。
スパイダーマン はその画期的な技術を前に語彙力を低下させて驚いている。
「何これすっごい!」
『出来る男ってのは隠し玉持ってんだよ。普段は輸送機の夜間飛行の際に使っている再帰性反射パネルをアイアンマンの装甲に付与しておいた。昔、知り合に提案されたのが役に立つとはな。これを作動している間は僕は夜の背景と同化している。そして、坊主にはこれだ』
次の瞬間アイアンマンの胸部にあるアークリアクターからスパイダーマンの身体にフィットし、包む形になるように形状を変化させながら纏わりつく液状の何かが流れ出る。
すると一瞬でスパイダーマンを液体が包み込むと今のアイアンマンと同様に周囲の景色と同化した色に変色する。
「今度は何⁉︎」
『ナノテクノロジーだ、まだまだかかりそうだが今この技術を流用した新型スーツを考えている。これ、企業秘密な』
どうやらナノマシンと呼ばれるこの液体は自在に形状を変化させることが出来るようであり、現在は胸部に取り付けられた、ナノ粒子の格納ユニットとしても機能する新しいアーク・リアクターに格納されている。
この技術を流用したスーツが完成すれば、必要なタイミングで一瞬でスーツを装着できるかなり便利な機能だとスパイダーマンは察知した。
「なるほど、実用化したらすごい便利ですね・・・・」
アイアンマンの高速の飛行によりかなり里から離れた位置であったにも関わらずいつの間にか鎌倉の商業区域まで到達しており、アイアンマンが記憶していた舞衣の携帯の反応が消えた付近を捜索していると少し離れた位置にある神社の庭で争っている3人の生体反応を検知する。
3人を発見したアイアンマンの言葉を聞いて目を細めて下を見ると舞衣と沙耶香とそして2人を圧倒している結芽の姿が見える。
『目的地までもうすぐだな。おっと、神社でバチ当たりな事してる嬢ちゃん達がいるぞ』
「え?ホントだ!ヤバい!スタークさん僕を投げて!」
『投げる!?無茶苦茶だな・・・・分かった、死ぬなよ坊主』
アイアンマンはスパイダーマンに纏わせたナノマシンをアークリアクターに戻すとスパイダーマンのいつも通りの姿が映し出される。
アイアンマンがスパイダーマンの背中を掴んで空中で一回転して3人のいる神社の方向へと投げつける。
アイアンマンの腕力と遠心力も込みで投げつけられたことにより重加速が加わり神社に向けて一直線に落下していくスパイダーマン 。
アイアンマンは飛んでいくスパイダーマンを見送りながら夜空に消える。
着地に失敗したら大惨事であるが鳥居が見えて来たため鳥居にクモ糸を飛ばして当てる。
当てた際に重量が加わり、クモ糸の引っ張り強度が強くなり、勢いに乗ったまま鳥居の下をくぐり、3人の抗争の火種に飛び込んでいく。
「い、言ってはみたけど結構怖え〜・・・よし、鳥居がある丁度いい。サプラーイズ!」
少し時は戻って鎌倉
結芽が2人を追いかけるまでの10秒のカウントをする合間に、2人は八幡力で跳躍して建物の上を飛び移りながら商業区域を抜けてより遠くへ逃げるようにしながら人気の無い神社まで移動する。
舞衣と沙耶香は着地と同時に周囲を確認して結芽に追いつかれないように全速力で駆け抜けていく。
体感で10秒位経ったと思った舞衣は念のため後ろを振り向くとすぐ背後まで結芽が酷薄とした笑みを浮かべながら猛スピードで迫って来ていた。
「はっはぁっ!」
嬉々とした掛け声と共に発せられた横一閃の抜刀術を皮切りにそれを防ぐのに手一杯の両者はいつの間にか神社の本殿の前まで追い込まれていた。
追い込まれた舞衣と沙耶香は片膝をついて肩で息をしながら眼前の結芽を見据える。
背後からの奇襲、そして逃げながらだったとは言え2対1で数ではこちらが勝っている状況でも一切の余裕は崩さずに舞衣と沙耶香を見下ろして月を背景に結芽は佇んでいる。
「もうお終い?まだまだ・・・これからだよねぇ!」
右手に持っていたニッカリ青江を顔の高さ程まで持ってきた後に左手でも柄を持ち、両手で持つようにしてから正眼に構えて突きの構えのまま突進してくる。
しかし、突きを放つ前に素早く反応した沙耶香に突きのカウンターで押しのけられ、後方に退くが惚けた声を上げたフリをしてすかさず足払いと同時に横薙ぎにニッカリ青江をを振り抜く。
「わあー(棒読み)・・・・なんちゃって!」
足払いと同時に回転を加えた横一閃をバックステップで回避し、沙耶香の斬り込みを防いで更に突きを繰り出すものの沙耶香は回避と同時に後方に力強く飛んで距離を取る。
距離を取った先でも結芽は迅移で加速して追いつき、再度攻撃に転じ、斬り合う両者の剣戟により深夜の人気の無い神社の庭に火花が散り、金属音が木霊する。
舞衣は構えはするものの両者の一進一退の攻防を前に手が出せない、2人のハイレベルな戦いを前に立ち竦み、目で追うのが手一杯になっていた。
「2人とも、すごい・・・・っ!」
(足が・・・・動かない・・・・っ!目で追うのが手一杯・・・・っ!)
両者共、自身より一つ歳下であるにも関わらずこれ程までに才覚を発揮している様に一歩も動けずにいること、もしかしたら今この場にいても自分は何も出来ないのでは無いか、何かしようとした所で2人に付いて行けるのか、2人の剣戟を前にして動けなくなってしまった。
自分から、沙耶香のことが放って置けないからとここまで来たが実際今の自分はどうだ。2人の実力を前に動けなくなってしまっているではないか。
何故だ?負けるのが怖いのか?負けて倒されるのが怖いのか?自分の実力を突き付けられて悔しさに歯噛みするのが嫌なのか?動けない言い訳を自分の中で探していた。
(何で・・・っ!?こんな時に足が動かないの?もし、今ここで可奈美ちゃんが・・・スパイダーマンさんが・・・颯太君がいてくれたらどうしたんだろう・・)
そして頭の片隅で、妹達や友人である可奈美の危機を救ってくれた恩人スパイダーマンのことを思い出していた。結芽の嫌がらせで廊下で突きをお見舞いされた際に正体がバレるのを恐れずに助けてくれたスパイダーマン がいてくれたら、もしくは自分が信頼し、強く慕っている可奈美がいてくれたのならどうしていたのか、どうにかしてくれるのか。そんな想いが渦巻いている。だが、その2人は今はここにはいない。ずっと遠い場所で戦いながら前に進んでいるだろう。
今どうにか出来る、どうにかする人間は自分しかいないのだと事実を突きつけられる。その重圧により、足が地に貼り付けられたかのように固まって動かなくなっていき、孫六兼元を握る掌も緊張で汗ばんで行く。
だが、それでも分かっていることがある。スパイダーマンの正体が冴えなくて内気な友人の颯太であると知り、正面から話し合い、彼なりの悩みがあること、自分よりも大人だと思っていた相手が一人の人間として悩むこと、「自分に何か出来るのに、何もしなかったら・・・それで悪いことが起きたら自分のせいだと思う」と自分の出来ることから始めようとしてスパイダーマンになった事を知り、自分も友人達のために自分に出来ることから始めたいと。かつてスパイダーマンが妹達を助けた際に言われた、困っている隣人を助けるのは当たり前だと。自分もその様に友人達の力になりたいとそう思ってスパイダーマンに協力した事を思い出した。
(そうだよね・・・・これが私が手探りで探して、たまに誰かに教えてもらってようやくちょっとそれが見えてきた・・私に出来ること!だから私も、信じて飛ばなきゃね!)
そうだ、既に答えは自分の中で出ていたのだ。目の前で困っている誰かの力になりたい。そう思って彼女の助けに入ったのだと。なら、今自分のやるべき事は1つ。考えるよりも先に脚が動き出していた。先程まで糊で固められたように地面に張り付いて動かなかった足も既に地から離れて駆け出していた。
激しい斬り合いをしている最中でありながら優位に立ち回っていながら息一つ切らさずに余裕な笑みを浮かべて陽気な口調で結芽は挑発を始める。
「やるねぇ沙耶香ちゃん。でも、まだそんなものじゃないよね?」
このままでは埒が開かないと判断した沙耶香はいつも通り、雑念を打ち消して思考を停止して集中状態になる無我の境地に突入する為に無念無想を発動させる。
瞳が淡く光り始めた事で結芽もどうやら天才と噂されている沙耶香が、使用できる無念無想を発動を発動したと理解した結芽は好奇心の篭った煽りを受けて数日前、累のマンションを襲撃した際に交戦した際に言われた言葉が無念無想で雑念を掻き消した筈なのに脳裏でフラッシュバックする。
「知ってるよーなんか凄い技使えるんだよね?無念無想だっけ?」
『そんな魂の篭ってない剣じゃ何も斬れない!』
「・・・・・っ!」
その言葉がフラッシュバックしたことにより、沙耶香は何か思う所があるのか眼を細めて無念無想を解除する。思考を停止した持続力に特化する代わりに動きが単調化する剣技で勝てるほど結芽は甘くないということもあるが。
「あれーやらないのー?ちょっとハードル下がり過ぎて物足りないけど時間が勿体無いからもう・・・・決めるね!」
無念無想の解除をした様を見て結芽は露骨に不服そうな態度を露わにしつつ早急にケリを付けるために飛び上がって上段から振り下ろして沙耶香に斬りかかろうとする。
しかし、眼前に突如割り込んで来た何者かに阻まれ沙耶香の頭上一直線に振り下ろされる筈だった一撃を防がれ、金属同士の衝突音が響く。
先程まで2人の戦いに気圧されていた舞衣が結芽の一振りを孫六兼元で防いでいたのであった。
突如の予想だにしない介入に結芽も沙耶香も驚いて硬直してしまったが、その隙に横一閃に孫六兼元を振り抜き、結芽を後方へと弾き飛ばす。
予想だにしない事態であったため対応仕切れずに後方まで飛ばされてしまうが余裕綽々に着地をする。
そして、舞衣はその隙を見逃さずに左足を後ろに下げて一旦孫六兼元を鞘に戻し右手で柄に手を掛けて気合の篭った横一閃の抜刀術、居合を結芽に叩きつける。
「てやぁっ!」
「おっと」
だが、結芽も押し返されたからと言っていつまでも呆然としている訳ではない。先程は油断したがために介入を許したため、気持ちを切り替え、相手が今の隙が出来た自分に攻め込まない訳が無いと予測して予め回避の準備をしていたため居合は後ろに下がって回避する。
「たぁっ!」
「ビックリしたぁ、一歩も動かなくなってたから怖気付いたかと思ったけどちょっとはやれるみたいだね・・・・・・ま、クモのおにーさんを誘き出すならおねーさんのが最適か」
結芽は廊下で突きを放ったあの時以降完全に舞衣のことをナメ切っていて眼中に入れていなかった為認識を改めて、自分と相対するに値する敵か再確認する為に敵と認識し、舞衣に向けて突きの構えで突進して左胸の上の部分に突きをかます。
「はっ!」
一瞬のうちの出来事であった為、反応が遅れてしまったが写シを貼った上でも生身の肉体は無事でもダメージ自体はあるため痛みを生じる。
そして、結芽はすかさず腹部に蹴りを入れて2人ごと後方に押し飛ばしてくる。
「まだまだ行くよ!」
「うあっ!」
舞衣は踏ん張ったものの衝撃を受けた沙耶香は転げ落ちて尻餅を着くいて前を見据えると結芽の猛攻を舞衣が防戦一方になりながらも応戦していた。
「うおー結構しぶといね!」
右から斜め上の一閃、次にそのまま左からの横一閃、左右交互に絶え間なく一方的に、そして更に踏み込んでからの突き、繰り出される連続攻撃を舞衣は防ぐのが手一杯になっている。
しかし、それでも例え攻撃を捌き切れずに肩が斬られようとも、時折被弾して写シを剥がされようとも舞衣は一歩も引かずに結芽と相対する。
「や、やめて・・・」
「大丈夫・・・だからねっ!だって」
攻撃を防ぎながらというのもあるが、途切れ途切れでも沙耶香からの言葉に応じ、自身の一歩も引かずに結芽に向かっていくその覚悟、そしてある人から受け取った物が今自分を突き動かしている。力強い瞳で前を見据えて自身の中で強く根付いた意志を告げる。
「私は沙耶香ちゃんよりお姉ちゃんだから!理由なんてそれで充分!それに、前にある人に・・・親愛なる隣人に言われたのっ!困ってる隣人を助けるのは当たり前だろって!」
その言葉に沙耶香の胸は強く鼓動を波打つ。そして、その鼓動が殻を打ち破ろうとしているかの様に張り裂けそうな痛みも走る。
だがその痛みは不快な物では無い。燃える火の様に熱が籠っていき、その熱と痛みさえも鼓動を早くしていく。
独りでに生じた物では無い、可奈美に真剣に向き合って貰って受けた縁、スパイダーマンに事態を収束して貰った際に気にしなくていいよと気遣って貰い撫でられた縁、そして、自身を顧みずに助けに来てくれた舞衣との縁。この縁により生まれた物なのだろう。
そして、心の中の熱が爆発を起こしたかのようにこれまで何も考えず、流れに任せて何も感じず、空っぽのままでいいと閉じ籠っていた自分の殻を打ち破って行く。
(痛い・・・・痛いよ・・・だけど温かくて、熱くて空っぽだった私を一杯にしていく・・・・私は・・・これをっ!)
「ぐあっ」
「もうお終いかな?だったら!もうお休みの時間だよね!」
(見ててハリーおにーさん、私がスゴいんだってこと!クモのおにーさんも捕まえて絶対に褒めてもらうんだっ!)
遂に結芽の猛攻の前に写シを貼った腕を切り飛ばされ、完全に全体の写シも剥がされて肩で息をし、既に限界間近まで追い込まれながらも一歩も退かずに結芽と対峙する舞衣。
結芽は思ったよりは耐久した舞衣の胆力と根性には驚いたが自身の今一番の願い、強さを証明して栄人に誰よりも自分はスゴい人間なのだと褒めてもらうこと。焦りにより冷静な判断が出来ず、手段を選んではいられなくなってしまっている自身に苛立っている部分も無くは無い。それでも今から舞衣を無力化してスパイダーマンを誘き出すダシにしてその上で真っ向勝負でスパイダーマンを倒そうと言う行動に理性の歯止めが効かなくなっていく。
元より殺す気は無い。柄で殴って意識を奪う。そう思って舞衣に向けてニッカリ青江を振り降ろそうとする。
「うああああぁあああ!!」
これまでの沙耶香からは想像も付かない力の篭った絶叫と共に結芽と舞衣の間に入る事で結芽の一撃を防ぎ、鍔迫り合いに持ち込み、魂の叫びを響かせる。
「沙耶香ちゃん!」
「これを、失くしたくない!!」
その変わりように舞衣も驚きを隠せない様子だが沙耶香がそのまま結芽を押し返し、沙耶香が反撃に出る。
「しまっ!」
結芽は沙耶香からの猛攻を受けつつもすぐさま防御に切り替えて猛攻を防ぐ。しかし、八幡力の上昇が止まらない。受ける剣さばきから力が込められて行くのが分かる。結芽も咄嗟の反撃に防戦一方に持ち込まれるが沙耶香が空振りした矢先に迅移で加速して背後に回り込んで突きを入れるが消えたかのように回避されて突きが空を切る。
驚いて振り向くが既に遅い。空振りを誘われて隙が出来た結芽に沙耶香が八幡力を込めた横一閃の一撃をお見舞いすると防ぐ事自体には成功したが力負けをして弾き飛ばされてしまい神社の庭の端に立たされている像に背中から激突する。
あまりにも強い衝撃でぶつかった為か像が半壊以上のダメージを負い、少しでも力強く押したりしたら崩れそうな程に威力を物語ってある。
沙耶香も必死だった為か肩で息をしている矢先、結芽が壊れたように高笑いを上げ始める。
「あははははははは!いいよいいよぉ!やっぱこうじゃなきゃなぁ!」
やはり基本的には戦闘狂な彼女は強い相手を見たのだ、今は少しだけ本来の強さの証明だけでなく純粋に戦いを楽しみたい欲が湧き上がって来る。
昂らない訳がない。口を三日月状に吊り上げて結芽の方から攻めに転じて来る。
只者ではない気配を感じ取って沙耶香は身構えると既に眼前まで結芽が接近して来ており左からの袈裟斬り、次に右からの横一閃、的確に相手の防御が難しい所を突いて来る。先程とは比べ物にならない程速さ、鋭さ、力強さが増して行っている。
先程までは攻めで優勢だった沙耶香だが、結芽の連撃を前に今度こそ防戦一方に持ち込まれ、そして斬り上げで上空にまで打ち上げられてしまいそのまま同じ高さまで跳躍した結芽に袈裟斬りで叩き落とされてしまう。
「だぁっ!」
「ぐあっ」
「沙耶香ちゃん!」
その力強さに地面が陥没し、ダメージにより写シが剥がされてしまう。
沙耶香が抵抗しないように妙法村正を持っている手を足で踏んで動けなくし、首元にニッカリ青江を突き付けて無力化をするが先程の高揚感は既に失せていて失望のような、落胆のような憂いを帯びた表情になる。
一暴れして冷静になったのか沙耶香の手から足を離して妙法村正を簡単には取って来られないように蹴り飛ばす。
そして、ゆっくりと首だけを舞衣の方へ向けて、無力化はしたが武装解除はしていない舞衣を気絶させようと振り返る。
ジリジリと舞衣の方へと近寄って行く結芽からは殺意は無いが強い敵意を感じるがそれでも構えて相対する舞衣。
「はぁ〜あ・・・ちょっと本気を出したのに思った程じゃ無いな・・・・もういーや。忘れてたけど次はおねーさんの番だね・・・・とっ!」
「くっ・・!」
舞衣が覚悟を決めて一旦眼を瞑り、結芽に向かって立ち向かおうと居合の構えをすると結芽はそんな舞衣に向けて容赦なく柄で殴って気絶させようと加速して接近すると上空から白いクモ糸が雨のように降り注いで来る。
「「・・・・・っ!」」
「ははっ、待ってたよ」
舞衣と沙耶香は驚いているが結芽はあまり動じずにバックステップで回避して上空を見上げている。
そして、上空から赤と青のカラーリング、夜なのであまり細かくは見えないが蜘蛛の巣のような模様の黒いラインと腰にウェブシューターのクモ糸の入ったカートリッジを入れるホルスター、黒の縁に囲まれた視界調節の為に動く白い眼。そして、アームガード状の両腕に装備されたウェブシューターを付けたスーツの人物が結芽と舞衣の間に右拳と右膝を同時に着地する独特な着地を敢行する。
ちなみにかなりの勢いがあったため、着地時に膝を強く打ち付けたためかなり膝が痛い様子で、小声で「痛っ」と呟いたが幸い誰にも聞かれていない。
あの時御前試合の会場にいた誰もが目撃したその姿とは異なるが現在逃走中の反逆者の一味、スパイダーマンだ。
「やぁ皆、まだ神社で肝試しする季節じゃ無いと思うけど。それとも椅子取りゲーム?なら僕も入れてくんない!・・・・にしても膝痛いなぁこの着地。スーツアクター膝壊しそう・・・」
「そ・・・・スパイダーマンさん!」
「え・・・・・?す、スパイダーマン・・・・」
スパイダーマンがいつもの軽いノリで軽口を叩きながら舞衣と沙耶香に視線を配ると今のところ無事な様子を確認してホッと一息着くと3人から視線を注がれる。
舞衣はスパイダーマンが遠くにいる事を知っていたがあの電話からどうやってここまで来たのかという疑問が湧いて来るがやはり無事な姿を確認できた事は嬉しいため心の中で一息着くが問題が解決した訳ではない為すぐに焦りにも変わる。
一方で沙耶香は無言でスパイダーマンを見つめていた。
マンションで戦闘した後に、去り際に「今は逃亡中で難しいけど親愛なる隣人スパイダーマンはいつだって困ってる君の味方だよ」と言っていた言葉を思い出した。
親愛なる隣人、その言葉を舞衣が言っていた事からスパイダーマンが持っていたクッキーを作った人物が舞衣であることを察した沙耶香。
スパイダーマンもまた自分に熱を与えた人物でもあるため再会自体は嬉しいのだがやはり状況は好転はしていないため不安は拭えない。
「はは・・・・あははははははは!!やっぱおねーさんが危ないと来るんだねクモのおにーさん。単純だなぁ!」
そして、結芽は夜空を見上げて高笑いを上げる。予定より早まったが自身の名を建て、存在を証明する上で相応しい存在。
自身が所属する管理局が血なまこになって捜索している人物で、自身が気になり出している栄人が捜索のために辟易している相手であり、倒して捕まえる事が出来れば彼に、何より皆にスゴいと褒めてもらえる。
手段を選ばない程までに執着していた相手が今目の前にいる。昂らない訳がない。
投降も降参も許さない。真っ向から勝負して全力で叩きのめして屈服させる。さすれば誰もが自身を認め、皆の心に功績者としてだけでなく1人の人間として、心に残るだろう。
そして結芽は不敵な笑みを浮かべてニッカリ青江を正眼に構えて1つだけ心の篭っていない謝罪をする。
「あー1つ謝っとくよ、ごめんねおにーさん。どんくさいおにーさんに伝言頼んだんだけど聞いてたかな?おにーさんは最後に倒すって約束したよね?」
「そうだ大佐助けて!」
正体を粗方知っている上で相手の心に揺さぶりをかけるように恐怖心を煽るかのように以前にスパイダーマンを倒しに行くまで負けるのは許さない、倒すのは最後にしてやると宣言したのだがスパイダーマンはその時の結芽の冷たい笑みと声を思い出して背筋がゾクリとしたが姿勢を比較して身構える。
次の瞬間結芽は獲物を見つけた肉食獣のような好戦的な顔になりながらスパイダーマンに斬りかかって来る。
「やっぱりあれは嘘!予定変更と行かせてもらうよ!」
「ネタが伝わるのって嬉しいなぁ!ったく!」
(2人は限界っぽいし、やるっきゃないか!)
直後、スーツのサポートAIであるカレンがスパイダーマン に話しかけて来る。
『危険度SSSと断定。瞬殺コマンドはロック解除済みで使用可能です。実行しますか?』
「はぁ!?何で!?と、兎に角瞬殺コマンドは人間相手にはダメだ!ごめんちょっと借りるよ!」
先日まではトニーにロックされていた筈の拡張戦闘モード、別名『瞬殺コマンド』の機能のロックが何故か解除されている事に疑念と戸惑いを抱きながらも人間相手には使いたくないとして使用を拒否する。
結芽が嬉々とした様子で接近してきたため、2人は既に戦闘での疲労により写シも貼れない程消耗している事が見て取れる為、スパイダーマンは沙耶香の妙法村正にクモ糸を飛ばして手元に引き寄せて手中に収めて、結芽の上段から叩き込まれた一撃を一振りの御刀で防ぐがかなりキレのある力強い一撃により防いだ姿勢のまま足を引きずるようにして押しのけられる。
「前よりは楽しませてくれる事を期待するよ!」
「ほんっと、勝てる気がしないなぁっ!」
スパイダーマンは弱音を吐きながらも再度身構えて結芽の追撃に備える。
長くなりそうなんで一旦ここで。
スパイダーマン MCU離脱の可能性・・・複雑っすね・・一番売れたしこれからやん・・・・まぁ新キャラバンバン増えるし集合映画もまだまだ先だし権利の問題もあるから仕方ないですが・・・・。
一応権利が向こうに戻ってもトムホスパイディは続きますが、向こうに権利戻っちゃうとトニーやアイアン・スパイダーの固有名詞使えなくなる可能性あるからさ、マジだったら辛いですよね・・・。
続くのは自体は嬉しいけど、でもなんかこれも後々視聴者を驚かせる戦略なのかなとすら勘繰ってはいますがwww
詳細な発表を待っております。