刀使ノ巫女 -蜘蛛に噛まれた少年と大いなる責任-   作:細切りポテト

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PS4版スパイダーマンがゲーム大賞受賞めでたい!ムズいけどロード超短いからオススメです(ステマ)

今回は長くなり過ぎて申し訳ないっす。

2019/9/24。少し、セリフ修正


第35話 離別

「沙耶香ちゃん、大丈夫!?」

 

「うん、大丈夫」

 

舞衣と沙耶香は戦闘の喧騒から少し離れて身を寄せ合い、結芽とスパイダーマンの一騎打ちを見ていた。

両者共ダメージの蓄積による疲労困憊でこれ以上の戦闘続行は厳しいからだ。

 

「気を付けて!その娘かなり強いの!」

 

「イヤって程知ってる!」

 

スパイダーマンが沙耶香の手元から引き寄せた妙法村正を構えて結芽の攻撃に備えた矢先に結芽は眼前まで迫っていた。左からの横一閃、次に右からの横一閃。スパイダーマンは超人的な動体視力により動き自体は見えているがやはり素早い上に一撃一撃が抉り込むように鋭い結芽の剣戟は防ぐことが精一杯である。

そして以前はスパイダーマンの予想だにしない怪力により力負けして一瞬のふいを突かれた経験を忘れていないのか八幡力も込めている為威力もかなり高い事が伺える。両者共刀と刀がぶつかる度に互いの掌にビリビリと気を抜くと痺れるのではないかと錯覚する衝撃が伝わってくる。

鍔迫り合いには敢えて持ち込まない結芽のパリィは順当にスパイダーマンの選択肢を奪って行く。

 

「ははっ!ほらほらどうしたのかなぁっ!」

 

「ぐっ!やっぱヤバいなコイツ!」

 

剣術に関しては小学生までは習い事レベル、中学校に上がってからは可奈美達の付き合いでたまに振るったりする位であるためやはり実際に戦闘訓練を積んでいる上に、流派の極致に達しかけている相手には圧倒されてしまう。

文字通りウェブシューターを使う隙さえも中々与えない。

 

結芽が放った突きをスパイダーマンが上体を反らして回避し、回避と同時に結芽に向けて空いている手でウェブシューターを放つが結芽身体を軽く傾けるだけで回避される。

 

「前より早いね、でも私を捉えるにはまだまだだよ!」

 

「簡単には当たらないかっ!」

 

「もらいっ!」

 

結芽がそのまま流れるようにスパイダーマンに袈裟斬りをお見舞いしようとするとスパイダーマンは放ったウェブシューターのクモ糸の端を手に持っていた。

 

「そら罰当たりだ!」

 

「ん?」

 

スパイダーマンが手を自身の方へと強く引く姿に違和感を感じて後方を振り向くと背後に先程沙耶香と戦闘した際に沙耶香の猛攻を受けた際に防ぎ切れずに押し飛ばされて激突し、半壊した像が結芽が激突した部分から下と分離して迫って来ていた。

スパイダーマンは回避される事は知っていて後方の像に狙って当てて力強く引き寄せていたと察することが出来る。

 

「ちょっ!」

 

「後方注意ってよく言うでしょ!」

 

スパイダーマンの怪力には驚かされるが、既に背後に迫っている像を回避するにせよ振り下ろした袈裟斬りの姿勢から回避に転じるのは難しい。そこで空中で身体を捻ってニッカリ青江を振り下ろす勢いを殺さずに像に向けて振り抜く事で像を両断することに成功するが、ここで隙を作ってしまった事を警戒しない結芽ではない。新しくなっているスーツから察するに何か仕掛けてくると警戒の視線をスパイダーマンに向けて着地すると、機械が何かに反応したかのような音を耳が拾うと左右の像に取り付けられた黒い球体、トリップ・マインから一直線にクモ糸が結芽を狙うかの如く発射される。

結芽は周囲を見渡して他にもトリップ・マインが無いかを確認してスパイダーマンに一直線に突進する事で回避と同時に攻撃を仕掛けようとする。

 

「おっと!危ないなぁ!」

 

「吹っ飛ばされたい人は手上げて!」

 

スパイダーマンは掌に隠し持っていたオレンジ色のヒトデの様な形状の球体を結芽の足元に向けて叩き付けると突然青い光が炸裂したことで眼が暗順応した事で暗さに慣れていた為か突然の光に過敏に反応して眼を細めたが本能的な勘で八幡力で上方へと跳躍する。

 

「あっぶな」

 

すると、先程まで自分がいた所にあった砂利が空中に浮かび上がり、空中に静止していた。効果範囲内の重力を変換して敵を空中に短時間留めるサスペンション・マトリックスが発動していた。もし、まともに効果範囲に入っていた場合。そのまま空中に固定されてしまい逃げられていたことは想像に難く無い。

そして、跳躍したはいいがスパイダーマン の真上であるためスパイダーマンが両腕をこちらに向けて掌のスイッチを押してクモ糸を飛ばしてくる。

スパイダーマンの方もサスペンション・マトリックス自体かなり特殊なウェブであるため2つしか搭載されておらずショッカーとの戦闘と先ほどの一発で使い切ってしまい同じ手を使用出来ないため、追撃の手を止める訳にはいかない。

 

「もらいっ!」

 

「嘘っ!」

 

「良い子はおねんねしてな!」

 

「ちぃっ!」

 

空中での方向転換は難しいためスパイダーマンのクモ糸が結芽の右腕と左足に命中して張り付く。そしてスパイダーマンがHUDに接続してそのまま電気ショックウェブを作動させると蒼白い光が糸を伝って結芽に向けて伝導しようとして来る。結芽はクモ糸に捕らえられ続けるとそのまま追撃を受けて御刀を取り上げられて無力化されると判断して即座に写シを張っている右腕と左脚を切断してエネルギー体と化している部分を切断してダメージを軽減しつつ、クモ糸から逃れて八幡力を発動して地面に着地する。

手足であるが写シをもう一度貼り直す羽目になるとは予想だにしていなかったが、分かってきた事がある。

 

「前よりはやるね、おにーさん。でも結芽分かっちゃったー」

 

「な、何を?」

 

「にひっ」

 

言葉でスパイダーマンを動揺させると一瞬のうちに前方に接近したかと思いきやまたしても一瞬でスパイダーマンの左横に接近して更なる猛攻を仕掛けて来た。結芽は先程見たサスペンション・マトリックスが砂利を浮かせていたのがスパイダーマンの前方から数メートル程の範囲内のみであり、その範囲にさえ入らなければ空中に固定される事はないと判断して直前で狙いを逸らす事にした。

所謂、本気を出し始めたということだ。

そして、その更に激しい猛攻によりスパイダーマンはまたしても劣勢に立たされてしまう。

余裕の表情のままの結芽から放たれる剣戟は更に鋭さを増して行く。スパイダーマンは攻撃を逸らして体勢を仰け反らされて行き所々スーツの上を掠って行く。

 

「ぐあっ!」

 

「やっぱりおにーさん身体能力は高いけどおねーさんや沙耶香ちゃんの方が手応えあるね。それに・・・・・」

 

スパイダーマンが何とか反撃の隙を突いて横一閃に妙法村正を振ると結芽はニッカリ青江の刃で受け止めてそのまま流れるように華麗に受け流して口を三日月のように吊り上げながらスパイダーマンの肩にニッカリ青江の突きをかますとスーツの肩の部分の素材を裂き、そのまま腹部に回し蹴りを入れて押し退けて来る。

 

「私の不意を付けたのも全部その着ぐるみのおかげだよねぇ!」

 

「クソ!気にしてるのに!」

 

スパイダーマンは以前にもショッカーと戦闘をした際にも身体能力は超人的に高くとも戦闘に関する経験が訓練を積んでいる面々より少ない為、同程度の身体能力を持つ戦闘技術の達人が相手になると押され気味になることを指摘された事やこれまでの戦闘もトニーの作成したスーツの性能とその性能の初見殺しがハマっていた点が功を成して切り抜けて来たことを自身でも自覚はしていたがやはり堂々と言ってのけられるのは精神的にクる物がある。

そして慢心を捨て完全にスパイダーマンを狩りに行くスイッチが入った結芽の息切れ1つせず、余裕の笑みを崩さない態度は今の実力差と自身のレベルを突き付けられ、圧倒され焦りが生じている自分とは真逆な様がスパイダーマンの思考力を鈍らせていく。

そして、結芽は軽く溜め息を吐いた後に蹴り飛ばしたスパイダーマンに向けて迅移で加速して肉薄して来る。

 

「はぁ〜あ、確かに前よりは幾らかマシだけどおにーさんもまだまだだね。悪いけどサクっと倒させてもらうよ!」

 

「うわぁっ!」

 

結芽の剣戟は更なる威力と凄まじさを増して行く。スパイダーマンは先程の斬り合いでは防ぎつつも一歩も引かずにその場に立って留まれる程であったが完全に押され始めれて今の自分ではまともに結芽と対決しても勝機はない。何か別の方法を考えなくては。

 

しかし、そんな思案を読んでか否かスパイダーマンは結芽の横長の一閃に力負けして、後方へと吹き飛ばされる。

そして結芽は宙に浮いたまま防御の姿勢を崩されて怯んで反撃する余裕が無いスパイダーマンに対し、それなりに耐久力が高くてしぶとい相手であるため一気に勝負を決める事にした。渾身の力を込めて天然理心流における自身の必殺技三段突きで勝負を決める事にした。

結芽は息を潜め、地を強く蹴り力の全てを攻撃に回す。

 

しかし、正攻法では勝てないと判断したスパイダーマンは結芽が自身を倒すために全力の大技で勝負を決めに来て集中力の全てが攻撃に向いている今、この攻撃を一瞬でも回避出来れば、またはほんの一瞬だけでも隙を作れれば反撃の糸口に繋がると判断して一か八かの賭けに出る。

 

(うまく行くと良いけど!)

 

全力でこちらに向けて突進して来る結芽はスパイダーマンを捉え、ニッカリ青江を握る両腕を前に突き出して渾身の力を込めた突きを入れて来る。

しかし、手を前に突き出した瞬間スパイダーマンは手に持っていた妙法村正を地面に思い切り突き刺し、妙法村正の柄に手を置いて反動を利用して勢いに乗って空中で身体を捻る事で結芽の突きを寸での所で回避する。

結芽の方も完全に倒す気で放った突きを回避された事には驚いたが戦闘の素人が何度も自身の攻撃に対応できる訳が無い。すぐに攻撃に転じる事にする。

しかし・・・・

 

「へぇ実力で勝てなきゃ発想を変えるのかぁ、嫌いじゃ無いよそういうの。でも・・・・私を倒すには全然、程遠いんだよねぇっ!・・・・・ぐっ!」

 

「電気ショックウェブ!」

 

次の一瞬、胸の辺りで心臓を握り潰される様な痛みが走る。どうやら思ったよりも()()()()()()()()ようだ。

その痛みにより胸元を抑えてしまった事により大きな隙が生じてしまい、ニッカリ青江を落としてしまい写シが解除されてしまいスパイダーマンが空中で放ったクモ糸が身体に接着してしまう。

そして、結芽のその様子に気付かないスパイダーマンはすかさずにHUDに接続して電気ショックウェブを選択してスイッチを押す。すると、蒼白い電流が糸を伝導して結芽に向けて結芽の身体に人間が気を失う程度に設定した電流が流れ込む。

 

「しまっ・・・うああああっ!」

 

「何だ・・・・・・・っ!?カレン電気ショック切って!」

 

『何故ですか?このまま倒せますよ?』

 

「いいから早く!」

 

電気ショックウェブを使った瞬間結芽が胸を抑えて一瞬動きが止まり、自分の攻撃以外の要因で苦しむような素振りを見せて苦しみ出した為、心配になったスパイダーマンはすぐさま電気ショックのスイッチを切って地面に着地する。

電気ショックウェブの電流から解放され、胸を押さえたまま咳き込む様子の結芽に対してスパイダーマンは心配そうに少しずつ近く。

結芽は一瞬の隙を、自分よりも弱い筈の相手のスパイダーマン相手に作ってしまった上にまともなダメージを受けてしまい胸部に走る痛みが焦燥感と憤りを掻き立て、冷静さを奪って行く。

 

「ゲホッゲホッ!クソっ!私がこんなっ!」

 

「だ、大丈夫・・・・!?」

 

「・・・・・ナメるな!私はこんな・・・・っ!」

 

スパイダーマンの心配そうな声色と戸惑っている様を見聞きして結芽は自身の弱みを見せないようにスパイダーマンを力強く睨み付けて威嚇して威圧して来る。その先程までとは打って変わって激昂する結芽の様子を見て恐怖感よりも結芽に対してあれだけ厄介な相手、危険な相手だと言って忌避してきたが目の前で突如苦しみ出した様を見て戦意は失せて心配と言う感情が湧き上がってくる。

すると背後から不機嫌そうな声が結芽の背に向けて突き刺さる。

 

「何をしている結芽」

 

「この声って確か・・・っ!?」

 

その場にいた全員が声の方向を振り返る。

沙耶香の捜索に来ていた雪那が鎌府の刀使複数人を引き連れてこの場所に辿り着いたようだ。不機嫌そうな形相で結芽を見下ろし、苛ついた声でがなりたてる。すると視界にスパイダーマンが映ると驚愕した表情へと変貌し、取り巻きの刀使達も身構えて臨戦態勢になり、多勢に無勢の状況に陥った事によりスパイダーセンスが発動し、危機を感じ取りカレンは雪那の顔と刀使達を認識し、装着者であるスパイダーマンを守るために防衛手段として強制的に拡張戦闘モード。通称『瞬殺コマンド』を起動し、スパイダーマンのスーツの普段は白い眼が急激に赤く光る。

 

「スパイダーマン !?逆賊の一味がノコノコと戻ってきたか!」

 

『鎌府女学院学長、高津雪那と刀使の数名と認識。ターゲットを高津雪那に設定。瞬殺コマンドを実行します』

 

「げっ!あのヒステリックおばさんかっ!ていうか何でカレンは事あるごとに瞬殺コマンドを薦めるの!?」

 

『私は貴方のサポートAIです。貴方を全力で支援して守るのが私の務めです。貴方は私が守ります』

 

「なにこのイケメンAI、ちょっと惚れそう・・・と、とにかく僕は誰も殺したくない!OK?」

 

『了解、瞬殺コマンドを停止』

 

 

「何を一人でブツブツ話してる?壊れたフリか?」

 

スパイダーマン的にはスーツのAIであるカレンと会話しているだけなのだがやはり側から見ると一人でブツブツと話しているようにしか見えない様に全員が懐疑的な視線を向けている最中、何者かが鳥居をくぐってこちらに走って来る。

 

「やっと見つけたっ!結芽ちゃん!柳瀬は俺の友達なんだ!手荒な真似はしないでくれ!・・・・スパイダーマン!?」

 

自身の権限を使い結芽に舞衣に手荒な真似をしないように説得するために携帯の位置情報を探り、位置情報が途絶えて以降近辺を捜索していた栄人であった。

相当懸命に走り回っていたことが伺えるが雪那には目もくれずに結芽の元に駆け寄り、手で両肩を掴んで息切れを起こしながら真剣な表情で懇願する。

顔と顔が近くなった事とこれまでにない真剣な様子に結芽は驚いてしまうが直後に栄人は沙耶香と舞衣の前に立ち、雪那と鎌府の刀使達と対峙するスパイダーマンの姿が視界に映ると瞳孔を散大させながら驚愕する。

結芽としては天才と謳われている沙耶香、そして現在逃亡しているスパイダーマンを倒して捕獲すれば皆に認めてもらえると思って行動したのであり、認知して欲しいのは今の不意を突かれた自分ではない為結芽の方も栄人に食い下がって来る。

 

「おにーさん・・・・これからなんだよ・・・っ!これから逆転して私が勝つから!だから・・・っ!」

 

舞衣とスパイダーマンも聴き慣れた声に、反応し何故こんな所にいるのか。という疑念もあるが最悪のタイミングだ。中でもスパイダーマンは特に動揺してしまっている。ここ最近の中で一番焦っているのではないかと思う程に心拍数が上がり、冷や汗もかきはじめる。

スパイダーマンになっている間は最も遭遇したくない。友人でありながら自分たちを追いかける側の人間。その矛盾した関係性にお互いに苦しんでいる者達が遭遇したことがスパイダーマンの精神を焦りと不安が塗りつぶして行く。

 

「針井・・・・君?」

 

(ハリー!?何で君まで!?もう最悪!)

 

「もう下がりなさい。お前ごとき欠陥品の出る幕ではないのよ!」

 

「ちっ・・・・・はいはい分かりましたー」

 

痺れを切らした雪那は結芽を不機嫌な表情で見下ろしながら後は自分達で片付けるとでも言わんばかりにふてぶてしく言い放つと結芽はこのような状態のまま引き下がるのはプライドが許さないが、ここでヒステリックを起こしては自分らしくない。そんなみっともない姿を誰かに見せるのは癪であるため雪那の上から目線の指図に対して他人には聞こえない程度に舌打ちをしながら起立し、栄人から離れて雪那の横を通り過ぎようとする。

 

「さぁお前たち!紫様に刃向かう逆賊の一味を捕らえろ!そして必ず残りの残党の居場所も吐かせてやる!手柄は私達の物になる!やれぇっ!」

 

雪那の高圧的な、神社であるにも関わらず自身の目的、うまく行けば紫に貢献できるチャンスが目の前にある事に高揚感を抑えきれずにスパイダーマンを指差して鎌府の刀使達に指示を出すと刀使達も身構えて戦闘態勢に入り、一斉にスパイダーマンに斬りかかる。スパイダーマンが身構えて姿勢を低くして、迎え撃とうとしだ直後

 

「人のデザート勝手に取らないでくれる?」

 

鎌府の刀使達が雪那の横を通り過ぎるフリをした結芽にいつのまにか斬り伏せられたいた。やはり自身が倒すと決めているターゲットを他人に横取りされるのが不愉快な上に雪那に言いたいように言わせたままにしておくのは許せないからだ。

あまりに一瞬の出来事に全員が驚いているが連れてきた鎌府の刀使達がいないと逃亡した面々を捉える手段がほぼ皆無の雪那は結芽に対し怒りをぶつける。自身の目的をパーにされただけでなく沙耶香にも逃げられる可能性が高くなってしまったからだ。

 

「結芽・・・っ!貴様何を!?」

 

「結芽ちゃん・・・・何で・・・・」

 

「あーあ、無駄な時間使っちゃったー。また今度にしてあげるよ」

 

雪那は自身の行動をフイにした結芽に対し、視線で人が殺せるので無いかと思う程の殺気の篭った視線を向けるが、結芽は我関せずの態度のまま鞘に納刀し、雪那の横を通り過ぎて行く。沙耶香と舞衣、そしてスパイダーマンは最大の脅威が去った事により一安心し、舞衣は先程よりも強く沙耶香を抱き締める。

 

「助かった・・・・・のかな?」

 

『最大の脅威は去りました。瞬殺コマンドの実行の必要はありません』

 

雪那は結芽に対する憤りは消えないが悪足掻きで一縷の望みにかけて沙耶香に対し、強く命令して来る。最も、雪那としては沙耶香は従順で自分の言う事には素直に従うと信じているという事もあるのだが。

 

「沙耶香何をしている!?わがままはお終いよ、さっさとそこの逆賊を捕まえて鎌府に戻りなさい!」

 

「沙耶香ちゃん・・・・・」

 

雪那の高圧的な態度から放たれる言動を聞き、沙耶香は舞衣の抱擁から離れてスパイダーマンが地に突き刺した自身の御刀妙法村正の柄を持って引き抜く。

自身の言う事を聞いたと確信した雪那は唯一無二の今の自分の願望を叶えられる存在。今の雪那は沙耶香に縋るしか無いため余計に心強く感じられる。

 

「そうよ、沙耶香。お前は親衛隊共や新装備もロクに使えないバカ共のような欠陥品とは違う。完璧な刀使になるのよ」

 

しかし、引き抜いた妙法村正を鞘に納刀し雪那の正面に立ち、雪那の眼を強く見つめ、一瞬手は震えながらも初めて面と向かって雪那に自身の意思を伝える。

 

「私は貴方が望む刀使なはなれない・・・・ううん、なりたくない」

 

「は?何を言っているの?」

 

沙耶香の意思は雪那がこれまで押し付けていた願望を真っ向から否定する物だった。

一瞬何を言われたのか脳の処理が追いつかず、理解することに多少の時間がかかってしまったがすぐに反撃を開始する。嘘だと信じたい気持ちが、今ここで自身の後継者、もとい代わりとして見出した沙耶香に言ってのけられたのが信じられなかった。

 

「空っぽのままでいいと思った・・・でも私をいっぱいにするこの熱・・・・失くしたくない。だから」

 

「この熱をくれた人達と・・・・もう一度戦いたい・・・・一緒に」

 

今目の前にいる沙耶香が自身の意思を伝えたことにより、雪那は冷静さを欠いていたのもあるが自身が見出した相手が自身の元から離れると言う言葉を聞き、ついに堪忍袋の尾が切れてしまい沙耶香に向けて激昂して彼女の言葉を途中で遮り、溢れ出る限りの罵詈雑言をぶつける。賢いやり方では無いがそれだけ彼女を損失することは痛手どころでは無いことも要因ではあるが。

 

「何を寝言を言っているんだ貴様ぁっ!?お前は妙法村正の継承者、私の代わりに・・・・いいえ、私として紫様にお仕えすべき存在!紫様だけの道具なのよ!お前より私の方が頭がいいの!分かるでしょ!?貴方みたいは道具はどうせロクな事なんか考え付かない、貴方みたいな道具は何も考えずに私の言う事だけ聞いてろこの・・・・・っ!ひいっ!」

 

雪那が手を振り上げた矢先に雪那の顔面スレスレに蒼白い光を纏った弾丸のような糸が横切り、後方の鳥居の柱に当たって光が消える。

傍若無人な態度の雪那を沈黙させるために電気ショックウェブを発射していた。雪那は電撃を帯びた糸が後少しズレていれば直撃していたことに戦慄し、情けない声を上げてしまう。

そして、舞衣は沙耶香の手を強く握り、自分たちが付いている。自分の気持ちを伝えれば良いと言う意味を込めて勇気を分け与える。

スパイダーマンは強い口調で雪那を嗜めながら最後にジョークを交える事を忘れずに雪那に自身の行動や言動にも問題がある事を自覚するように告げて舞衣と沙耶香と共にその場を去ろうとする。茫然自失としている栄人には申し訳ない気持ちを抱えながら、重い足取りで歩いていこうとする。

 

「はい、お口チャック。今彼女が話してるんだ。貴女のターンじゃない。僕は人に何か教えたり導いたりなんて柄じゃないけど貴女みたく人の意志を無視して自分の生徒を道具呼ばわりするなんて教育者としていただけないと思うよ。後、一々カッカし過ぎ、カルシウム足りてないんじゃない?毎日牛乳飲みな」

 

「今までお世話になりました」

 

沙耶香が深々と雪那に御礼し、立ち去ろうとするが雪那は喪失感により、目の前が真っ暗になるような感覚に追い込まれ、去って行く背中を目で追うことすらできずに膝を付いて石畳を見つめることしか出来ず、譫言で沙耶香に呼びかけることしか出来なかった。

 

「ま、待ちなさい・ま・・待って・まって・・・沙耶香・・・・!」

 

「お、おいお前ら」

 

舞衣と沙耶香、そしてスパイダーマンは更なる追っ手が来る前に移動しようとする背中に震えた声で先程から、いや今でも状況を飲み込み切れていない栄人が一同を呼び止めてくる。特にスパイダーマンは生きた心地がしないままそちらの方を振り返ると困惑と不安。それ以上に心配だという表情でこちらを見てる。そして重々しく口を開ける。

 

「スパイダーマン 、お前にはトゥームスが暴走した際に被害が拡大する前に止めてくれたことは感謝してる。今じゃ何か事情があったのかとも思う。だが、お前がやった会場でやった事は自殺に等しい。あの人は今や警察関係者・・・国単位で組織を動かせる、なんでそこまで命を懸けるんだ?」

 

「それに、柳瀬も分かってるのか・・・っ!?そいつに、スパイダーマンに付いて行くって事は国中が敵になるんだぞ!どこに逃げる気なんだ!?あの人は0から証拠をでっち上げられる。あの人が一言お前らをテロリストだって宣言すればすぐさま見つけ出して殲滅される・・っ!引き返した方が良い」

 

会場から現在に至るまで御前試合の会場でスパイダーマンと可奈美と姫和が起こした騒動以降、可奈美は自分の意思で行動した事であるが自身は事情を何も知らない一味であるため可奈美は姫和とスパイダーマンに巻き込まれたのではと言う疑念と彼らを追跡することによるストレスと不満。溜めていたフラストレーションをスパイダーマンにぶつける。

スパイダーマンに辟易していたこともあるが言葉が次から次へと溢れ出てくる。そして、今目の前で舞衣が可奈美のようにスパイダーマンに付いて行き共に行動をするという事は次にスパイダーマン達と戦う時は舞衣とも戦わなければならない事に対する不安が胸の内を埋めていく。

 

「これは俺のワガママだけど・・・・こんな事を言う資格なんか無いのは分かってるけど、スパイダーマンに付いて行くって事は管理局はまたお前達を狙う。そして俺はまた刺客を送らなきゃ行けなくなる・・俺に・・・お前と・・・お前らと戦わせないでくれ!」

 

いつもは明るくフレンドリーな態度とは一変し、まるで子供の様に深夜の神社であるにも関わらず自身の願望をぶつける。その真剣な様にどれだけ心苦しいのかがよく分かる。そして何より、管理局と折神紫を敵に回すことが自殺行為に等しいという事が何よりの懸念だと言うこともひしひしと伝わってくる。

言いたいことはよく分かる。もちろん自分たちも友と争う事などしたくない。だが、既に舞衣とスパイダーマンは自分の行く道を、やるべき事、出来ることを見つけ出していた。だから、引き下がる訳には行かない。譲ることの出来ないものだからだ。

スパイダーマンは折神紫を止めるために、舞衣は自身に助けを求めた沙耶香を放って置けない。だから、栄人の言う事は理解は出来ても進むしか無い。

 

「聞いて、折神紫はメッチャ危険なんだ。十条姫和さんだって意味も無く警察組織の要人を狙った訳じゃ無い。あの人はあら・・・・あの人はこれまでの現体制を粛清して自分に都合の悪い相手は排除して来たんだ。そんな相手が伍箇伝も、管理局も統治して今の平和な社会が続いたって事はヤバいことを企んでるって考えた方がいい。彼女を放置してたら国中が危ない!だから僕はあの人を止めなくちゃいけないんだ。だから行くんだ」

(ダメだ、あの人は荒魂で伍箇伝や政府を支配してて人の身体にノロを入れるなんて危ないことをしてるなんて話してハリーはそれを調べられる立場だから詮索しようとして消されたりするかも知れないっ!こっちの情報も話す訳にはいかない!)

 

「なんだよそれ!そんなの憶測じゃねぇか・・・それでも命を賭けるって言うのかよ・・・」

 

スパイダーマンはマスクの下で唇を血が出るのでは無いかと思うほどに強く噛んでいた。出来るのなら本当のことを言いたい。だが、栄人は管理局側の人間だ。調べようと思えば紫の研究の秘密や、紫の正体さえも調べられる立場だ。もし、今本当のことを話して調べたのだとしたら秘密を知ったことで粛清されるかも知れない。そして彼には家が管理局に協力している会社だ。管理局を裏切る事など出来る訳がない。

そんな覚悟をいきなり彼に強いるのは酷だとスパイダーマンは判断し、心苦しさを残しながらも出来るだけのことをするしかない。

 

「約束する。必ず折神紫と管理局を止めて君にいつもの日常を返す。だから本当にゴメン」

 

謝る事しか出来ない自分に嫌気が指しながら踵を返して神社から去ろうとするスパイダーマン。そして舞衣も栄人の前に立ち、沙耶香の手を強く握り自身の意思を伝える。

 

「針井くん、私も今は沙耶香ちゃんを放って置けないの。だから私も行く。これが私が遠回りしながらやっと見えてきた私に出来ることなの。だから・・・・」

 

「柳瀬・・・お前まで・・・・」

 

 

「でも、これだけは言える。また皆で笑い合える日は来る。だから信じて待ってて」

 

舞衣も栄人に対して申し訳なさと晴れない気持ちがある最中、既に自分のやれること、やりたい事が明確に決まったわけでは無いが自身に助けを求めた沙耶香のことを放っては置けない。それでも必ず元の日常を取り戻せると言葉を添えて神社から去っていく。

 

栄人は3人の背中を目で追う事しか出来なかった。今の自分のスタンスが如何に中途半端で皆の様に明確な強い意志を持って行動出来ていない事への劣等感。そして、またしても友人達を追わなくてはならないことや心のどこかでは使命や立場を捨ててでも舞衣達に付いて行きたい。彼らの話をもっと聞きたいという気持ちも無くは無いが自分は管理局に技術提供をしている企業の跡取りだ。自身を育ててくれた親と仕事のクライアントを裏切る事は出来ない。

何より、今の栄人はどちらの事も大事になってしまっているため誰のことも裏切る事ができなくなっている。

 

「ダメだ、俺は会社の事も局長のことも、結芽ちゃん達のことも、裏切るなんて出来ない・・・・っ!」

 

俯きながら今の自分の不甲斐なさに項垂れて、何もする事が出来ない自分の悔しさを吐露しながら朝陽が昇り始める。そんな様子を去ったと思われていた結芽は鳥居の柱の陰に背を預けて複雑そうな顔をしながら聞き、日の出の方向を見つめていた。

 

 

3人は神社からそれなりに離れた海岸沿いの防波堤付近まで来ていた。スパイダーマンのマスクを取った颯太は持って来ていた逃走用の私服をスーツの上から着て、クモ型の偵察ドローンに近辺を偵察させて追っ手の有無を確認していた。

沙耶香と舞衣は偵察ドローンが起動して飛んでいく様を目の当たりにするものの流石にもう慣れたのか大して驚かなかったがスーツの高性能ぶりには感心させられる。

そして、敵がいないことを確認するとドローンがこちらに飛行して戻って来てリュックのポケットの中に入る。

すると同時に途端に浮かない顔をしながら舞衣に謝罪する。こちらに情報を送って貰うという形で協力してもらっていたが結果として舞衣を、そして沙耶香のことも結果的に完全に巻き込んでしまった事は悔やまれるからだ。

 

「ドローンちゃん、ここら一帯で僕らを追ってる敵はいる?あぁいないのね、まず一安心かな・・・。ごめん。本格的に巻き込んじゃったよね・・・・舞衣の事も、糸見さんのことも」

 

「ううん、これは私が選んだ事だから。いつか針井君も分かってくれる。また皆で会える日が来るよ」

 

「別に、問題ない。皆がいるなら私は大丈夫」

 

「うん・・・・あーでも、なっさけないなぁ・・・君に何もかも終わらせて生きて君の所に帰るって言ったのに色々中途半端なままっていうか終わらせられて無いのに戻って来ちゃったのがダサいって言うか・・・・」

 

申し訳無さそうに俯く。管理局を出発する前日の夜に可奈美達と合流し、紫の野望を止めて生きて帰ってくる。これまでの日常を取り戻すと約束したのだが実際のところは可奈美達とは合流したはいいがまだ何も終わらせられていないのに戻って来てしまった事は情けないと思い気恥ずかしさとみっともなさが込み上げてくる。

そして、介入したはいいものの状況を悪くした上に本格的に舞衣のことも巻き込んでしまったこと、それでいて戦闘では結芽には圧倒されてしまった自身の戦闘技術の未熟さを思い知らされ自身はまだまだだと認識が更に強くなる。そして、自身が憧れるアイアンマンの様に手際よくそれでいて的確にやるべきことをこなせる様になることは今では確実に無理だという現実も突き付けられてしまう。

そんな様子を知ってか否か舞衣は颯太の手を両手で包み、お互いの顔の前まで持ってくる。そうすることで自然に視線は上の方へと引っ張られていくと海岸沿いであるため海面で反射する朝陽に照らされ、包み込むような笑みを溢す。その美しさに目を奪われ、見とれてしまう。

 

「ううん。それでも貴方は1つだけ約束をちゃんと守ってくれたよ。だって、今こうして生きて私の元に戻ってきてくれたから」

 

逃亡生活の最中様々なトラブルに見舞われ中々連絡を取る事が出来なかっただけではない。親友の可奈美も同様に自分の知らない、手の届かない場所で命懸けで戦っていたこと。常々彼女は皆の身を案じていた。

連絡も欲しかったが何より皆が無事でいてくれること、それが何よりも嬉しい。今目の前に友が無事な姿で自分の元へ帰って来たこと、まだまだ拭えない不安要素もあるが今はその事実だけで嬉しかった。

だから今はその小さな喜びを噛み締めたくて安堵によって溢れそうな涙を堪えて笑いかけると颯太も釣られて笑い返す。

沙耶香もその2人の様子を見て暖かい気持ちが心に暖炉を灯す。自分ももっと誰かとこの気持ちを共有して行きたいと思わせられる。

 

「お帰り」

 

「・・・・・ただいま・・・・・あーでも結局何も解決してないんだよなー・・・皆無事だったとは言え可奈美達がいる所まで結構距離あるし、状況自体はむしろ前より悪くなってるし戻ったら戻ったでスタークさんに怒られるの確定だし前途多難だよトホホ」

 

「だ、大丈夫大丈夫!皆で一緒に頑張ろ!ねっ!」

 

先程の雰囲気を台無しにするかの如く、実際に今の状況を整理すると何も解決出来ていない事は事実であるためその事を再確認すると一気に現実に引き戻されてしまった為頭を抱え、早口でボヤキ出すのを舞衣は宥める。

そして、3人で切り抜けようと言う意志を持って沙耶香の手を握って1人では無いことを強調する。

 

そして、昇りゆく早朝の朝陽が水平線から顔を見せると皆が一斉にその輝きに魅せられて、眺めていると舞衣は隣に立つ沙耶香に声をかける。

 

「沙耶香ちゃんのしたいこと、一杯、全部やろ!私も可奈美ちゃんもスパイダーマンも一緒だから!」

 

「すぐには見つからないかもだけど、これから見つければいいと思うよ。まだまだ先は長いしね」

 

「食べたい。また、クッキー食べたい」

 

「喜んで!」

 

舞衣が沙耶香に抱き着くと同時に一見すると外国産の車と見られる黒塗りの高級車が3人の後ろで停車する。

すると、運転席から小太りの50代前半程の白人の男性が降りてきて3人に声を掛けてくる。

颯太のみこの男性をどこかで最近見たような記憶があるが思い出せない。

 

「おいガキンチョ共!」

 

「あーえっと・・・・・どちら様?どっかで見たことある気がするけど・・・」

 

「オレだ!スタークインダストリーズの警備部長で社長の運転手してるハッピー・ホーガンだ!覚えとけ」

 

東京のスタークインダストリーズを訪問した際に一瞬すれ違った程度であまり印象には残っていなかったが何となく思い出してきた。

この人物は社長であるトニーとは古い付き合いの人物で運転手でありボディガードもとい警備部長を務めている。現在は出張で日本に来日しており、東京のスタークインダストリーズ日本支部で仕事をこなしている

普段の不機嫌そうな様子からとてもハッピーには見えないがスタークインダストリーズの人間であるということは味方であるため、一瞬のうちに安堵する。

しかし、何故そのような人物がこの様な場所に来たのか一同が疑問に思っていると後部座席が開き、誰かが降りてくる。

 

「あー何となく思い出しました!でもなんで警備部長さんがここに?」

 

「私がご足労願ったからよ」

 

その声は舞衣と颯太は良く知っている声だ。しかし、颯太は声を聞いた瞬間にビクッと反応してしまう。

降りてきた人物は美濃関学院学長羽島江麻。どうやら言葉通り江麻がハッピーに連絡を取って舞草の里までの運転手としてここまで来てもらったようだ。

 

「羽島学長!」

 

「あぁっ!学長!ほんとすみません、事態をよりややこしくしちゃって・・・」

 

「全く貴方は・・・・おおよそ事情は把握してます。3人とも今はこの地を離れなさい。ハッピーさん、3人をお願いしますね」

 

慌てる両者を見てどうやら全員が無事であることを確認すると内心で安堵するが今この地に長く留まるのは危険であるため、3人を舞草の里まで移動するように指示してくる。

 

「はいはい、分かりましたよ。学長さん、後でボスにもこの件で俺が一役買った事は言っといてくださいねっと。ホラ、お前ら乗れ。坊主は助手席だ」

 

その言葉に応答したハッピーは運転席に乗り込み、舞衣と沙耶香を後部座席、颯太を助手席に乗せて発進していく。

その様子を見送り、誰もいないことを確認すると江麻は海岸の朝陽を眺めながら独りでに何かに話しかけ始める。

 

「無茶する子の後始末ばっかり得意になったのは誰のせいかしらね・・・・・・・3人は無事よ社長さん」

 

『気付いてたのか?』

 

すると江麻から少し離れた位置にいた姿は現さないが隠れて3人の様子を見守っていたアイアンマンの機械声が聞こえてくる。

どうやら、再帰性反射パネルを切らずに隠れて3人を追撃する追っ手がいないか、

無事に里まで辿り着けるのか護衛をするために遠隔操作状態のまま隠れていたようだ。ちなみに偵察ドローンが報告しなかった理由は敵はいる?という聞き方をした為味方だと判定して報告しなかった為である。

 

「あの子達が心配で隠れていたんでしょ?」

 

『別にそんなんじゃあない。坊主が捕まって僕らの機密が漏れて足がつくのはマズいからな。念のため装着者を守る為に付けた瞬殺コマンドのロックも解除していたが、断固として拒否していたな』

 

「もう中学生が着るスーツにそんなの付けて」

 

『仕方がないだろう。何が起きるか分からないのが戦いってもんだ。できるなら僕だってど素人の坊主は補助輪機能で徐々に慣れさせて行きたかったが状況が状況だからな』

 

トニーは隠れていた理由を江麻に見透かされているが素直に心配だからという事は認めずにぶっきらぼうに江麻に言葉を返す。

すると直後に江麻の携帯に着信が入り、携帯を取り出して応答する。

 

「もしもし沙南?ええ、匿うだけでいいの。そこから先は自分で決めることよえ?私?私はもう腹を括ったわ」

 

ここまで来たのならもう後戻りは出来ない。自身も覚悟を決め正式に舞草として行動する事を決意する。その表情はようやく重い腰を上げて立ち上がったかのように晴れやかな物だった。

江麻の決意を感じ取ったアイアンマンは自身もこの地に留まる理由が無いためそろそろ移動する事を決める。

 

『覚悟を決めたようだな学長さん。さて、僕もそろそろ行かないとな。夕方までにはとある場所には着くためにもうすぐテイク・オフなんだ』

 

「スタークさん、あの子達をお願いしますね」

 

アイアンマンが脚のスラスターを点火させて移動する前に江麻がアイアンマンに生徒達を預けると姿は江麻からは見えないが振り向いて江麻にも一言添えて発進しようとする。

 

『僕らに子供のお守りが務まるかね。ま、取り敢えず他の生徒さん達のことも気にかけてやれよ』

 

「ええ、勿論よ。貴方もいつか自分の引っ掛かっている事に折り合いをつけてみたらどうかしら?」

 

『・・・・・簡単に言うな。じゃあな』

 

江麻もアイアンマンの事情は大方把握している為、アイアンマンも今は難しいかも知れないが自分から一歩を踏み出して見ないかと告げるが、その事を持ち出された瞬間に声色が強張り、更にぶっきらぼうな口調になる。

そして、脚のスラスターを点火して宙に浮き、鎌倉の地から離れて行く。

 

そして、アイアンマンは遠隔操作のまま海上を突き抜けて行く。

そして、今回力を貸した颯太の言葉を思い出し、そしてある人物の事を思い出しボソリと独りでに呟く。

 

『友達か・・・・・僕も少しだけ踏み出してみるか・・・あーでも嫌だなーアイツに連絡するの・・・・。ま、それはさておき僕にここまでさせた坊主、バシバシしごいてやるから覚悟しとけよ』




エンドゲームの円盤とマーベルレジェンドの金魚鉢野郎のフィギュアが届きました。お、思ったよりもデカい。つ、次はマーク85のS.H.figuretsだ。

余談:交渉が始まってヴェノムをmcuに参戦させるというのが条件という噂も流れてますが公式発表があるまで安心はできませんねぇ・・・向こうもシリーズ化決めてるヴェノムを簡単に手放すとは思えないですし。公式発表があるまでこれも金魚鉢が見せる幻影のように思えてしまう・・・。
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