IS<インフィニット・ストラトス> ~白き騎士と黒き暴君~    作:狂戦士

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今回も長めです。


第8話 シャルルの告白と黒き乱入者

第8話 シャルルの告白と黒き乱入者

 

 

 一夏がセシリアに連行…いや食堂に連れてかれ…一緒に行った後、なにやら廊下で騒ぎがあり、どうやら箒も一緒に行くことになったらしい。

 

「…やれやれもう出てきても大丈夫だぞ」

 

 そう言うとシャルルがベッドから出てくる。

 

「一夏はいろんな人から好意を向けられているんだね」

 

「昔からあいつはそうだ。ああやって境界線の無い優しさと天然で女子をときめかせる言動や行動を見せる事からほとんどの女子は惚れていく。現に初めて会った2人の代表候補生から好意を寄せられているしな」

 

「オルコットさんと凰さん?」

 

「セシリアはそうだがもう1人はお前だよ」

 

「うっ、わかってた?」

 

「何人あいつに惚れた奴を見てきたと思ってる?正直いつかあいつが後ろから同年代の男子に刺されるんじゃないかって思うくらい見てきたんだぞ」

 

 …思い出すだけで頭をかかえたくなる。マジで刺されるんじゃないかと何回思ったことか。俺の考えていることがわかったのかシャルルは苦笑いしている。

 

「まあ、お前もあの天然に惚れてしまった1人というわけだ」

 

「…うん/////」

 

「ふぅ、まああいつのことを知ってる身として言っておくがあいつと恋人になろうとするのはあまり期待しない方がいいぞ」

 

「えっ、もしかして一夏に好きな人が…」

 

「ちがうちがう、あいつ恋愛に対してだけは呆れるほどに異常な鈍感だからだ。お前はそれを少しは知ってるだろ?」

 

「アハハ、確かに」

 

 天然で女を惚れさせ、それに気づかない奴だから余計にたちが悪い。

 

「あいつの恋愛に対しての鈍感は呪いか病気といっても多分一夏の知り合いはうなずくだろうな」

 

 あいつは数多くの女子に好意を寄せられるかわりに恋愛に対してだけは異常な鈍感になる呪いを受けたとしか思えないくらいだ。

 

「だからいまあいつに好きな奴は…いるかわからんが少なくとも箒や鈴だったとしてもあいつは好意を向けられているのに気づいていないだろう。絶対に」

 

「言い切っちゃう?」

 

「あいつが人の好意に気付くことは地球が滅びてもありえない」

 

 大げさだろうが箒や鈴、知り合いの妹も何度アプローチしても気づかなかったから断言できてしまう。

 

「まあ、がんばりな。案外曲者が間近にいるかもしれないがな」

 

「えっ、誰?」

 

「…男ではないことは言っておく」

 

 黙って変な勘違いされてはたまったものじゃないからな。曲者は誰か?みなさんの想像に任せるとしよう。さてこの話はおそらく後にまた思うことになるだろうが。

 

「最後に1つ、積極的にいったほうがいいぞ?幼馴染や専用機持ちの3人は特に手強い相手だからな」

 

「うん、ありがとう仭」

 

 さてさて一夏が誰と結ばれるは一夏の勝手だが、俺としては一夏とシャルルが結ばれたほうがお互い良いと思うが。何故か?1番一夏が死ぬ(殺される)確率が低そうだから。

 

「それとシャルル、後もう1つ質問があるんだが」

 

「んっ、何かな?」

 

「お前、俺と一夏の部屋に盗聴機を仕掛けたりしてないか?」

 

「えっ、いや僕はそんなことしてないけど?」

 

 どうやら本当に知らないらしい。

 

「そうか、変なこと聞いて悪かったな」

 

「んっ?それってもしかしてさっきのやり取りを聞かれてたんじゃ――「大丈夫だ。俺の部屋で見つかったとき無断で悪いがお前たちの部屋に入り、取り除かせてもらったし、それ以来ついていないからさっきのは聞かれてない」

 

 慌てて言うシャルルに俺は安心させた。

 

「ってことはずっとついていたの?」

 

「いや、初日に俺はお前達の部屋に上がらせてもらったときは仕掛けられてなかった、多分次の日に俺達がいない間に仕掛けられたのだろう」

 

 まあ、すぐにどちらも取り除かせてもらったがな。

 

「けど誰が付けたんだろう」

 

 ラウラの奴か?いや、一夏はともかく千冬さんの部屋に忍びこむことは考えにくい。盗聴機は同じタイプだったし、同一犯だろう。しかし誰だ?内部からだろうが一夏はともかく、千冬さんの部屋に入ってまで盗聴機を仕掛け、俺を知ろうとする奴は?千冬さんに知れたら……その前に何とかするとしよう。幸い千冬さんは気づいていないから……んっ?

 

「…この話はここまでにしよう」

 

「えっ」

 

「た、ただいまー」

 

 一夏がシャルルの分か食事を持ってドアを開けて入ってくる。…疲れているように見えるのは気のせいか?

 

「じゃあな、がんばれよ」

 

「?シャルル何の話だ?」

 

「い、いや、何でもないよ、うん」

 

 

 

 

 

*一夏サイド

 

 

 

 

 

 シャルルが女だとわかった翌日の朝。ある話題が教室で持ちきりであった。

 

「そ、それは本当ですの!?」

 

「う、嘘はついてないでしょうね!?」

 

「本当だってば!月末の学年別トーナメントで優勝したら織斑君かデュノア君か黒崎君とつ「俺達が何だって?」

 

『きゃああっ!?』

 

 一夏の声に女子達は驚いて声をあげた。ちなみ一夏以外に先程の話の2人もいる。

 

「で?何の話なんだ?俺達の名前が出ていたみたいだけど」

 

「う、うん?そうだっけ?」

 

「さ、さあ?どうだったかしら?」

 

「じゃ、じゃああたし自分のクラスに戻るから!」

 

「そ、そうですわね! 私も自分の席に着きませんと」

 

 その声を皮切りに集まっていた女子達がその場を離れていった。しかし1人だけその場から離れられない女子がいた。仭に手をつかまれた女子である。

 

「え、えっと」

 

「何の話か教えてもらえないか?」

 

「ご、ごめんなさい!!!////」

 

 仭の手を振りほどき逃げるように自分のクラスに帰っていった。ちなみに脅しを使ったわけではなく、手を握られたための拒否反応で逃げただけである。

 

「一体何なんだ?」

 

「さあ?」

 

「…………」

 

 一夏とシャルルは首を傾げるが仭だけは予感していた。ろくでもないことだと。

 

 

 

 

 

*箒サイド

 

 

 

 

 

(ど、どうしてこのようなことに……)

 

 窓側の席に座る箒は平静を装いつつも内心頭を抱えていた。というのも仭達がこの学園に来る前に実は少しの間一夏と同じ部屋だった箒は部屋の引っ越しの後、一夏の部屋に行き本人に学年別トーナメントで優勝したら付き合って貰うと宣言したからである。あの場には2人以外居なかったが声が大きくかったので誰かに聞かれたかもしれない。それが紆余曲折とあって先程の噂となったのだろう。

 

 

『学年別トーナメントの優勝者はこの学園の男子3人のいずれかと交際出来る』

 

 

 一夏だけでなくシャルルや仭が巻き込まれている辺り間違いない。噂は学園中の殆どの女子生徒が知っており、上級生がクラスの情報通に確認に来ていたくらいだった。ただでさえ鈴やセシリアという強力なライバルがいるのにこうなっては周りの『意識しているが行動に出れない』女子生徒達が意気込み、一夏争奪戦が大変なことになってしまう。

 

(いや、優勝だ。優勝すれば問題ない)

 

 箒は頭を左右に振って嫌な考えを追い出す。

 

(今度こそ、今度こそはあの時とは違う。大丈夫。大丈夫……なはずだ)

 

 『あの時』、それは箒が小学4年生の時だった。小学4年生の時、剣道の全国大会でも同じ約束を一夏にした事がある。小学生の部という括りで上級生も多数いる中実家が道場でありキャリアもある箒は優勝候補であった。だがその大会当日、姉の束の所為で引っ越しとなり大会不参加で優秀を逃してしまったのだった。束が発表したISは兵器への転用が危ぶまれ、政府の要人保護プログラムによって政府主導の転居を余儀なくされた。一夏からの手紙も情報漏洩防止という名目から政府の圧力で返事が出来なかった。そして気付けば両親と別居となり元凶である束は行方を暗ますという顛末である。繰り返される監視と聴取で心身共に参っていた箒が剣道を続けていたのも同じく剣道をやっていた一夏との繋がりを感じての事だった。

 だが実は違った。それは『只の憂さ晴らし』に過ぎなかった。そしてその後の全国大会で優勝した、だが、決勝戦で負かした相手が涙を流しているのを見て自己嫌悪と絶望に陥った。それは只の暴力だった。思いも信念も無い、強いとは言えないモノだった。

 『強さ』とは、こんなモノではない。

 

(今度こそ、私は……『強さ』を見誤らずに勝つ事が出来るだろうか……)

 

 

 

 

 

 

*第3者サイド

 

 

 

 

 

 放課後学年別トーナメント開催のために鈴はピットで自主練を開始しようとしていた。

 

「あら?てっきり私が1番乗りかと思いましたのに」

 

「学年別トーナメントに向けてあたしは特訓をするのよ」

 

「奇遇ですわね、私もですわ」

 

「丁度良いわ。ここでどっちが強いか白黒はっきりさせましょうよ」

 

「構いませんわよ?」

 

 2人はISを展開して模擬戦を始めようとした瞬間に、2人の間を砲弾が通り過ぎて少し離れた地点に着弾した。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒ…!!あれはドイツの第3世代型IS…シュヴァルツェア・レーゲン…」

 

「イギリスのブルー・ティアーズに、中国の甲龍か。まだデータで見た方が強そうだったな。」

 

「何の用?ドイツくんだりからワザワザボコられに来るなんてジャガイモ農場ではそう言うのが流行ってるのかしら?」

 

「あら鈴さん、この方は共通の言語をお持ちではない様ですからそんなに言っては可哀想ですわよ?」

 

 喧嘩の売り言葉に買い言葉だ。

 

「数だけしか取り柄が無い国と、古い栄光にしがみ付くだけの国にその様な事を言われる筋合いは無いな。」

 

「…どうやらスクラップをお望みの様ね!」

 

「とっとと来い。下らん種馬を取り合うメスに私が負ける筈も無い。」

 

 その言葉で2人は堪忍袋の緒が切れた。

 

 

 

 

 

*一夏サイド

 

 

 

 

 

 放課後、俺とシャルルはこの後どうするか話していた。

 

「一夏、今日も放課後、特訓するよね?」

 

「ああ、もちろんだ。本当は仭も誘いたかったんだけどな、見つからなかった。で、今日使えるのは、確か…」

 

「第3アリーナだ」

 

「「うわあっ!」」

 

 俺とシャルルが廊下を2人並んで歩いていると、いつからいたのか、箒に声をかけられ驚く。

 

「そ、そんなに驚くことか?失礼だぞ」

 

「ご、ごめんなさい、いきなりだったから驚いちゃって」

 

「つーか、いつからいたんだよ?」

 

「そんなの別に気にすることじゃないだろう」

 

 そう言い俺とシャルルと箒の3人はアリーナに移動していたのだが、アリーナの様子が慌ただしかった。

 

「何だろうね?」

 

「ああ、一体何があるのか」

 

 俺達はステージの様子を見ようと観客席に行った。その直後アリーナのステージに大きな爆発が起き、爆発が起きたアリーナのステージを見るとそこには大きな煙が上がっていた。

 その中からISを展開した鈴とセシリアが吹き飛ばされる様に出てきた。機体は所々破損し、アーマーの一部は完全に破壊されていた。そして爆発の後、そこから漆黒のISを纏ったラウラが飛び出してきた。2機に比べてかなり軽い損傷であった。

 

「このおっ!」

 

「無駄だ」

 

 鈴が衝撃砲を撃つもラウラは回避もせず右手を前に突き出すだけで、砲弾が届くことは無かった。

 

「くっ、こうも相性か悪いだなんて……!」

 

 ラウラは衝撃砲を無力化した後、肩からワイヤーを射出、複雑な軌道を描き鈴の右足に絡み付いた。

 

「そうそう何度もやらせるものですかっ!」

 

「ふん……理論値最大稼働のブルー・ティアーズならいざ知らず、この程度の仕上がりで第3世代型兵器とは笑わせる」

 

 セシリアがスターライトmkⅢで狙撃しつつビットで視界外攻撃援護を行うもその両方を躱しさっきと同じように、今度は両手を交差させ突き出すとAICに捕まったビットは静止した。動きが止まったラウラをセシリアが狙撃するも肩のレール砲で相殺され、狙撃態勢で止まってしまっているセシリアにラウラはワイヤーブレードで捕獲した鈴をぶつけた。その後ラウラは爆音と共に瞬時加速(イグニッションブースト)で2人との距離を詰めた。そして両手首からプラズマ刃を展開、ワイヤーブレードを6つ射出して鈴に襲い掛かる。鈴は双天牙月を分離させ2刀流で凌ぎながら衝撃砲の準備を行う。

 

「この状況でウェイトのある空間作用兵器を使うとはな」

 

 衝撃砲は発射される前に実体砲で吹き飛ばされ、そのままプラズマ手刀で鈴の胴体を突こうとするが割って入ったセシリアがスターライトmkⅢを盾代わりにし近距離で弾頭型ビットを射出、そして、ミサイルはラウラに当たり爆発した。

 

「無茶するわね、あんた……」

 

「苦情は後で。けれど、これなら確実にダメージが……」

 

 自殺行為ともとれる近距離でのミサイル攻撃。

 当然2人は爆発に巻き込まれ床に叩きつけられたが、煙が晴れたそこには殆どダメージを負った様子のないラウラが佇んでいた。

 

「終わりか?ならば、私の番だ」

 

 そこからは一方的な暴虐だった。瞬時加速(イグニッションブースト)で地上へと移動した、ラウラはワイヤーブレードで2人を捕獲しひたすら殴り付ける。2人のISのシールドエネルギーは残り少なく操縦者生命危険域(デッドゾーン)に達していた。このままエネルギーが尽きればISは強制解除され2人の命に関わる。

 

「ひどいっ、あれじゃシールドエネルギーが持たないよ!!」

 

「もし、ISが強制解除されれば2人の命に関わるぞ」

 

 ラウラの顔が無表情からまるで楽しんでるかのような笑みに変わる。

 

「おおおおおっ!!」

 

 俺は白式を展開すると同時に雪片弐型に最大出力で『零落白夜』を発動させた。そのまま観客席とステージを隔てるバリアーを破壊し瞬時加速(イグニッションブースト)でラウラに突っ込んでいた。

 

「その手を、離せぇぇぇっ!!」

 

「ふん……感情的で直線的、絵に描いたような愚図だな」

 

 雪片の刃が届く寸前にラウラが右手をかざし、なぜか俺の動きが止まり、体が動かなくなる。

 

「やはり敵ではないな。私とシュヴァルツェア・レーゲンの前では貴様も有象無象の一つでしかない、、消えろ」

 

 肩の大型レールカノンが俺へと砲口を向けた瞬間と同時にアサルトライフル2丁で弾幕の雨を降らせるシャルルが俺とラウラの間に入る。

 

「ちっ、雑魚が…」

 

「一夏、今の内に2人を!」

 

「わかった」

 

 拘束が解けたように動けるようになった俺はISを強制解除した鈴とセシリアを抱え、最大出力同時発動のせいで殆どエネルギーは無くなってしまったが、なけなしのエネルギーで瞬時加速を使い、ラウラとシャルルから離れる。

 

「う、一夏…」

 

「無様な姿を…お見せしましたね…」

 

「無理に喋るな…シャルル、そっちは大丈夫か?」

 

 シャルルの方を向くと、ラウラの周りを旋回しながら、アサルトライフルで撃ち続けている。

 

「面白い。世代差というものを見せ付けてやろう。行くぞ」

 

「くっ…」

 

 ラウラが遂に攻めの体制を取り、ワイヤーブレードでシャルルを捕らえようとする。シャルルはアサルトライフルで牽制するが、ラウラが手をかざし銃弾がラウラの目の前で止まり地面に落ちる。そして、遂にシャルルの片腕にワイヤーブレードが絡みつき、ラウラの方に引き寄せられていく。シャルルは引きずられながらも、ラウラに向けてアサルトライフルを撃ち続けているが、またラウラの前で止まる。

 このままではシャルルが危ないと思いシャルルのもとに向かう。だが、エネルギーがそこを尽きかけているため、スピードが乗らず、間に合いそうにない。

 

「終わりだ」

 

「シャルルーーーっ!」

 

 プラズマ手刀をシャルルに向け、斬りかかるがそれはシャルルに届くことなく、第3者の蹴りによって止められていた。

 

「あ…」

 

「貴様!!」

 

「……」

 

 第3者はプラズマ手刀から離れ、ラリアートをくらわす。

 

「がっ…」

 

 そのラリアート1発でラウラは舞い上がり、そのまま吹っ飛んで壁に激突する。

 

「…ふむ、知り合いに衝突(クラッシュ)ボンバーとか言われたが採用するのもいいかもしれんな」

 

「「「「仭!!(さん!!)」」」」

 

 そこには仭が立っていた。

 

 

 

 




いいかげん仭の単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)を出したいと思ってますがまだ出せない。
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