IS<インフィニット・ストラトス> ~白き騎士と黒き暴君~    作:狂戦士

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13話目です。


第13話 決着

第13話 決着

 

 

「…まさかこれほどとは…」

 

 正直困った。なんとか教師が到着するまで時間を稼いだが、問題はその結果だ。教師陣はすべてあの黒いISによりリタイアしてしまったのだ。

 

「…偽物(フェイク)でもさすがに元世界最強か…」

 

 あなたを相手してるわけじゃないが化物じみてるとしか言いようがない。一夏が聞いたら怒るだろうな。

 

(しかしどうするか、ここで起こったと聞いた無人機とかだったら容赦はしないんだが、ラウラがまだあの中にがいるのは間違いない。先程の試合でラウラはかなりダメージを持ってるはずだ。本気で攻撃して、殺生沙汰になったらまずいしな。どうするか……)

 

 この難題をすぐ解決し、ラウラも無事助ける方法はあるがやはりできない。これは自分にはできないことだからだ。

 

「しかたない。『暴食』」

 

 俺は『暴食』を発動。剣闘士の全身が発光する。『暴食』は自分のシールドエネルギーを使って機体のターボチャージャー機能をフル稼働し、一気に単一使用能力の『疵獣咆哮(マッスル・リベンジャー)』によって蓄えたエネルギーを満タンにすることができる。ただ暴食の意味の通り、シールドエネルギーが絶対防御のように極端に消耗されるため、あまり使うことはできない。

 

「さて第2ラウンドといこうか」

 

 俺は両腕にブレード3本ずつをブレードクローにして構える。当然ブレードに蓄えたエネルギーを送っている。

 

 

 

 

 

*千冬サイド

 

 

 

 

 

「…マズイですね。黒崎君1人になってしまいました」

 

「そうだな…」

 

 奴の単一使用能力『疵獣咆哮』が何かしらの手で満タンになったようだが分が悪いのには変わりない。更識簪から聞いたがあれはやはりVTシステムだとわかった。今現在観察室に私と山田先生と更識簪がいる。

 

「黒崎君はさっきの攻撃を使えないんですか?」

 

「相手の武器を破壊するやつか、おそらく可能だろうが使えないだろう」

 

「…何故ですか?」

 

「あれは諸刃の剣だ。だが今回のような暴走してる奴には有効だろう」

 

「…なら……」

 

「話を最後まで聞け。あれは相手の武器を破壊させるために相手に攻撃させるが、もし当たったらかなりダメージを受けるものだ。あの斬撃は速い。おそらく強化させたらあれより速くなる。おまけにあいつはかわすのがギリギリだ。強化させたら避けられないことがわかってるからやらないのだろう」

 

「でも確かいろんな使い方ができると言ってました!攻撃用のもあるはずでは…」

 

「あるだろうがあいつは使うのをためらっている」

 

「「えっ?」」

 

「おそらくラウラの身を案じているのだろう」

 

「じゃあ、どうしたら……」

 

 そのとき誰かがこの部屋に入ってきた。

 

「千冬姉!」

 

「お前か、何だ?今はお前に構っている暇はないのだが」

 

 私に声を掛けてきたのは一夏だった。後ろにはデュノアもいる。

 

「――――俺に行かせてくれ」

 

「却下だ。だいたいお前は教師でも止められないあれを止められるのか?」

 

「一夏、織斑先生のところに行って何を言うかと思ったけど…それは……」

 

「…一夏、何か勝算でもあるの……?」

 

「…ない」

 

「なら「けどやる」

 

 私が言おうとしたのを遮って一夏は言葉を続ける。

 

「だがお前が行っても変わらないと思うがな」

 

「俺が行っても変わらないかも知れない。だけどあの場には仭がいる。あいつを助けなきゃならない。もしあそこにいるのが千冬姉でも箒でも鈴でもセシリアでもシャルルでも簪でも俺は何が何でも行動する。大事な存在を守る為に」

 

「……………………」

 

「だから俺は行く。それにあいつに、ラウラに本当の強さを教えてやらなきゃならない」

 

「……………………」

 

「だから俺に行かせてくれ千冬姉!このままじゃ仭がやられるだけだし、何も変わらない!!」

 

「織斑先生、一夏を行かせてあげてください」

 

「私も白式の零落白夜でシールドエネルギーを削った方が、安全にボーデヴィッヒさんを救出が出来ると思います……」

 

「……………」

 

「頼む、千冬姉!」

 

 考え込む私に3人は強い視線を私に送る。

 

「―――――無理だと判断したら即座に引かせる。いいな?」

 

「構わない。じゃあ行ってくる!」

 

 私は一夏の言葉を信じる事にした。

 

 

 

 

 

*一夏サイド

 

 

 

 

 

 千冬姉の許可を取った俺は観察室からでようとするとシャルルに簪と目が合う。

 

「一夏っ!僕も行くよ」

 

「私も、役にたつと思う……」

 

 連れて行ってくれと俺に頼んでくる。けど2人を危険な場所に行かせたくない。

 

「俺のわがままだろうけど、お前達を危険な目に合わせたくない。それに千冬姉の教え子のあいつの目を覚まさせてやるのは、俺の役目だと思うんだ。だから俺に任せてくれないか?」

 

「…わかった」

 

「…なら一夏、絶対に負けないと約束して」

 

「ああ、もちろんだ」

 

「…………」

 

 観察室の入り口を見ると先程の話を聞いてたのか無言で俺を見つめる箒がいた。その目には不安の色しかなかった。

 

「箒。絶対に勝ってくる。俺を信じてくれ」

 

「……わかった。絶対に死ぬな」

 

「当たり前だ」

 

 そして俺はアリーナに向かう。待ってろ仭。

 

 

 

「―――くっ!!」

 

 俺がアリーナに入ると仭はあの黒いISを相手に苦戦していて、ブレードすべてにひびがはいっている。ふと俺に気付くと、笑ってきた。

 

「…千冬さんに許可はもらったか?」

 

「ああ」

 

 俺は仭の前に立つ。

 

「1つ聞く。お前は何のためにあいつを助ける?」

 

「あいつに本当の強さを教えるため」

 

「意外だ。てっきり千冬さんの姿をしているのが気に入らないからだと思ってたが…」

 

「その気持ちも当然ある、けどそのことについては助けだしてからだ!」

 

「…どうやら任せて大丈夫そうだ、生命の鎖(ライフ・ライン)!」

 

 仭の背中から鎖が出て俺の機体に刺さる。

 

「仭?」

 

「俺もわずかながら手を貸す。心配するな、これは『フォース』、ただの普通の強化だ。相手に巨大エネルギーを送って強化できるなら、普通に強化もできる。これでお前の機体の動きや武器によって与えるダメージも上がるだろう。ああ、これによって壊れたりしないから心配するな」

 

「…なら何で自分に使わなかったんだよ。いや、それ以前にさっきのラウラに使った異常強化を、自分に使って機体多少犠牲にすれば勝てたんじゃないのか?」

 

「悪い、機体へ普通にエネルギーの割り振りはできるんだが、自分には使えないんだそれは。今のこれは全体的に少しバランスよく強化なんだが、如何せん性質?がさっきの異常強化と同じでな。容量(かげん)によって薬にも毒にもなるってことだ」

 

「もうわかった。だから早く終わらせろ」

 

「…今終わった」

 

 俺の全身に淡い光が残る。先程とは違い、強すぎない、柔らかな光だ。

 

「…行ってこい、そしてあいつに本当の強さを教えてこい」

 

「ああ!!」

 

 そして仭はISを解除する。あの黒いISは仭がISを解除した途端に動きを止め、俺と対峙する。俺は右手に意識を集中させ、雪片弐型を展開。

 

「零落白夜、発動!」

 

 雪片弐型から本来の2倍の長さでバリアー無効化の力を持った刃が出てくる。俺は意識を集中させ、雪片弐型のエネルギー刃の形状が細く鋭いものへと結束していき日本刀のような姿になる。

 

(ありがとよ、白式)

 

 雪片弐型を腰に添え、俺は居合いの構えを取り、黒いISに向かう。

 

「行くぜ、偽者野朗」

 

 黒いISは刀を振り下ろす。それは千冬姉と同じ動き。だが

 

「それはただの真似事だ」

 

 腰から抜き放って横に一閃。刀を弾き、すぐに雪片弐型を頭上に構え、縦一直線に断つ。一閃二断の構え。千冬姉に学び、箒の姿を見て覚えた一足目に閃き、二手目に断つ技だ。

 

「ギ、ギ…ガ……」

 

 黒いISは真っ二つに割れ、中から眼帯が取れ金の瞳が顕になったラウラと目があった。目が合った時、ラウラの目はひどく弱った子犬のような眼差しをしていた感じがした。助けてほしいと俺には言っているように見えた。力を失って崩れるラウラを俺は受け止めた。

 

「一夏、そいつは?」

 

「気を失っているだけみたいだ」

 

「そうか、まあおつかれさん」

 

 仭が話しかけてきて、片手をかざす。そして俺も片手を上げハイタッチをした。

 

 

 

 

 

*ラウラサイド

 

 

 

 

 

「1つ忠告しておくぞ。あいつに会う事があれば、心を強く持て。あれは未熟者のくせにどうしてか、妙に女を刺激するのだ。油断していると惚れてしまうぞ?」

 

 そんな風に言う教官は嬉しそうで、それでいてどこか照れくさそうだった。だが今ならわかる。あれはちょっとしたヤキモチなのだと、それであんなことを訊いてしまった。

 

「教官も惚れているのですか?」

 

「姉が弟に惚れるものか、馬鹿者め」

 

 ニヤリとした顔で言われても、私の心は落ち着かない。私は思った。教官にこんな顔をさせる男が―――羨ましい。

 そして、その男と出会った。そして理解した。強さとはなんなのか。私は男に問う。なぜ、そんなに強いのかを

 

『強くねぇよ。俺は強くない』

 

 断言。あれほどの力を持って強くないと言う。それが理解できない。

 

『俺なんかより強い奴なんて他にいるよ。実質俺のすぐ近くにいるしな』

 

 それは教官か?

 

『千冬姉もそうだけどお前と戦った奴だよ』

 

 …あいつか。

 

『それに、もしあいつに追いつくくらい強くなったらやってみたいことがあるんだ』

 

 ――――やってみたいこと?

 

『誰かを守ってみたい。自分の全てを使って、誰かのために、守るために戦ってみたい』

 

 それは、まるで…あの人のようだ

 

『そうだな。だからさ、お前の事も守ってやるよ。ラウラ・ボーデヴィッヒ』

 

 『守ってやるよ』と、言われ、私の心がときめく。

 

 そうか。これが……そうなのか。こいつの前では私もただの『女』なんだと。

 

 

――――織斑、一夏。

 

 

 ああ、これは確かに。惚れてしまいそうだ。

 

 

 

 

 

*第3者サイド

 

 

 

 

 

「う、ぁ…」

 

「気がついたか」

 

 声がする方に視線を向けるとそこには千冬が立っていた。

 

「無理に動かない方が良いぞ。全身に筋肉疲労と打撲がある」

 

「教官……何があったのですか?」

 

 ラウラは上半身を起こそうとしたが全身に痛みが走り、顔を歪める。しかし瞳だけはまっすぐ千冬に向けていた。

 

「…一応、これは機密事項だが…VTシステムは知ってるな?」

 

「はい……正式名称はヴァルキリー・トレース・システム……過去のIS世界大会『モンド・グロッソ』の部門受賞者(ヴァルキリー)の動きをトレースするシステムで、確かあれは……」

 

「そう、IS条約で現在どの国家・組織・企業に於いても研究・開発・使用全てが禁止されている、それがお前のISに積まれていた」

 

「………」

 

「巧妙に隠されていたがな。操縦者の精神状態、機体の蓄積ダメージ、そして何より操縦者の意思、いや願望か。それらが揃うと発動するようになっていたらしい。現在、学園がドイツ軍に問い合わせている。直にIS委員会からの強制捜査が入るだろう」

 

「私が……望んだからですね」

 

 ラウラはこの時、気付いた、自分がなろうとしていたのは『織斑千冬』そのものだった事を。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒ!」

 

「は、はい!」

 

 いきなり名前を呼ばれ、驚きながら、千冬の方を向く。

 

「お前は誰だ?」

 

「わ、私は……」

 

「誰でもないのなら、丁度いい、お前はこれから、『ラウラ・ボーデヴィッヒ』になれ、何、時間は山の様にあるぞ。何せ3年間はこの学園に在籍しなければいけないからな、その後も死ぬまでは時間はある、たっぷり悩めよ、小娘」

 

 そう言い残して千冬は保健室を出ようとしたが、最後にこう言った。

 

「ああ、それとお前は私にはなれないぞ、あいつの姉は、こう見えても心労が絶えないのさ」

 

 ニヤリと笑顔を見せながらそう言って、部屋を去っていった。

 

「…ふふ…ははっ」

 

 なぜかラウラは笑いがこみ上げてきた。

 

「ズルイ姉弟だ。言うだけ言って去って行ってしまうのだから」

 

「そうだな」

 

「!?誰だ?」

 

 カーテンの向こう側から声がした。

 

「俺だ、黒崎だ。…とりあえず大丈夫そうだな。少し寝てたらお前と千冬さんとの会話が聞こえて起きた」

 

「そうか」

 

「まったく、こっちは左腕がやられた。折れちゃいないがあまり動かすことができないな」

 

「その…すまん」

 

「別にいいさ、日がたてば治る程度だ。それにお前の意思でやったわけじゃないしな。一夏に助けられて強さを理解したか?」

 

「…ああ」

 

「…いい顔になったな。安心もした。…俺も取り調べがあるから戻る」

 

「あ、ちょっと待ってくれ!」

 

「なんだ?」

 

「その、悪かった」

 

「?…お前が暴走した件か?それとも今まで言ってきたことか?どちらにせよ別にいい」

 

「だが……」

 

「そう引きずるな、まあ、戻ったら学園生活を楽しみな。…恋愛とか」

 

「!?……/////」

 

「まあ、何か頼みたいことがあれば頼ってこい。…常識の範囲内でな」

 

 仭はラウラを置いて保健室を出た。

 

 

 

 




どんどん剣闘士の能力や技を増やしたいと思います。
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