IS<インフィニット・ストラトス> ~白き騎士と黒き暴君~    作:狂戦士

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原作2巻が終わって、原作3巻に入る前にオリジナルが入るかもしれません。


第14話 シャルルの決意と仭の暗躍

第14話 シャルルの決意と仭の暗躍

 

 

『トーナメントは事故により中止となりました。ただし、今後の個人データ指標と関係する為、全ての1回戦は行います。場所と日時の変更は各自個人端末で確認の上―――』

 

 誰かが学食のテレビを消す。

 

「シャルルの言うとおりになったな」

 

「だな」

 

「そうだね。あ、一夏、七味取って」

 

「はいよ」

 

「ありがと」

 

 一応、俺と仭は事故の当事者なんだが、少しぐらいゆっくり夕食を食べさせてほしい。聴取が終わって寮食堂に行ったら時間ギリギリだったのだ。女子たちの質問攻めにあったが仭が学食を食べたらと、とりあえず女子達は解散した。ちなみにシャルルは待っててくれたから今一緒に食べている。

 

「ん?」

 

 仭が何か声を上げて向こう側にいる女子十数名の方を見る。こちら側を落胆した様子で見ている。

 

「……優勝……チャンス……消えた……」

 

「交際……無効……」

 

「……うわあぁぁぁぁんっ!!」

 

 そのまま走り去っていく。

 

「どうしたんだろうね?」

 

「さあ?……仭は何でかわかるか?」

 

「…知らぬが仏だ」

 

「えっ?」

 

「どういうこと?」

 

「知らない方がいい。特にシャルルは…」

 

「「??」」

 

 女子達が走り去った意味が分からず、シャルルと首を傾げる。仭はその理由を知っているようだが教えてくれない。そういえば中止と聞いて、小声でよかったと言ってたような…。

 

「…それより一夏、あっちを見ろ」

 

「ん?」

 

 女子達が走り去った後の場所を見ると、箒が立っていた。しかしまるで魂が抜けたような姿になっていて仭に限っては苦笑いをしている。とりあえず箒に話しかける。

 

「箒」

 

「…………」

 

「先月の約束だけど、付き合ってもいいぞ」

 

「……な、なに?」

 

「だから、付き合ってもいいって……おわっ!?」

 

 箒が意識を取り戻すと俺の首もとを締め上げてくる。何故!?

 

「…何か嫌な予感が……」

 

 仭が何か言ったみたいだが俺には聞こえなかった。

 

「本当に!本当にいいのだな!?」

 

「お、おう…」

 

「な、何故だ?り、理由を聞こうではないか…」

 

 俺から手を離し、咳払いをする。箒の頬は少し赤く染まっていた。

 

「そりゃ幼馴染の頼みだからな。付き合うさ」

 

「そ、そうか!」

 

「買い物くらい」

 

 

ピシッ

 

 

 何かそう言う音が聞こえた気がする。箒を見ると顔が怒りに染まっていた。そんな時仭が

 

「…やっちまったよ、あいつ」

 

 そう言ったような気がした。どういう意味だ?

 

「そんな事だろうと思ったわ!!」

 

「うおっ!?」

 

 箒のキレのいい正拳突きが来るがかわし、その手を取る。学年別トーナメントが始まるまで俺はISの特訓だけを行なっていたわけじゃない。ISを使わない時は仭によって生身での格闘術などの訓練も行った。そのため反射神経も上がり、先程の正拳をかわすことができたのだ。

 

「箒、いきなり殴りかかるのは良くないぞ?俺が悪いなら何でか教えてくれ」

 

「///言えるわけがないだろう!!」

 

「危なっ!?」

 

 顔を真っ赤に染め、今度は鋭いミドルキックが飛んで来る。無論かわしたがそのまま箒は走り去っていった。

 

「一夏ってたまにワザとやってるんじゃないかって思うときがあるよね」

 

「そういう奴だ、俺も諦めてる。前の話の意味がわかったろ?」

 

「うん」

 

「何の話をしてるんだ?」

 

「「別に」」

 

 見事に噛み合う。

 

「そういえばちょっと聞きたいんだが」

 

「うん、何?何でも聞いて」

 

「答えられる範囲なら」

 

「ISで会話ってできるのか? えーと、プライベート・チャンネルとは違う、なんか二人だけの空間、みたいなところでの会話なんだが」

 

「…それはおそらく、相互意識干渉(クロッシング・アクセス)だな。操縦者同士の波長が合うと起こると聞いたことがある」

 

「そうなのか」

 

「他にもコアの深層には独自の意識があるとされていて、あの人でもわからないことがあるらしい」

 

「へぇー、調べたらわかるかもしれないのにな」

 

「…お前、あの人の性格知ってるだろう」

 

「ああ、なるほど」

 

 わからないじゃなくて調べるのが面倒くさいのか。ふとシャルルから視線を感じる。

 

「一夏、2人だけの空間ってボーデヴィッヒさんと?」

 

「あ、ああ、そうだが……」

 

「ふーん。そう」

 

 何故かシャルルが不機嫌である。仭はため息をついているし。

 

「あ、織斑君、デュノア君、黒崎君ここにいましたか、2人はお疲れ様でした」

 

 山田先生が俺達に歩み寄ってきた。

 

「山田先生こそ、ずっと手記で疲れなかったですか?」

 

「いえいえ、私は昔からああいった地味な作業が得意なんです、心配には及びませんよ、そうそう、それよりも朗報です!」

 

「朗報?」

 

 仭が聞く。

 

「なんとですね!遂に遂に今日から男子の大浴場使用が解禁です!」

 

「おお!そうなんですか!?てっきり来月からになるものとばかり」

 

「それがですねー、今日は大浴場のボイラー点検日だったので元から使えない日だったんですが、点検はもう終わりましたからそれなら男子3人に使ってもらおうって計らいなんですよー」

 

「ありがとうございます、山田先生!」

 

「あ、あのっ、そんなに近づかれると、先生ちょっと困りますというか、その……」

 

「はいっ?」

 

「い、いえっ! なんでもありません! なんでもありませんよ?」

 

「あー、ゴホンゴホン!」

 

「…一夏、離れろ、今すぐに」

 

 シャルルと仭の声が聞こえて、離れた後2人の方を見るが、なぜかシャルルの目が冷たい。そのせいか仭も若干顔が引きつっている。

 

「そ、それじゃあ早速3人とも大浴場に」

 

「あ、はい。じゃあ早速、風呂に……あっ」

 

 そうだ。シャルルは女なのだ。仭の方を見ると任せろと目で語っていた。

 

「?どうかしましたか?」

 

「あ、いや、なんでもないです……」

 

「そうですか、では私は先に行って鍵を開けて待ってますから3人は着替えを……」

 

「それなんですが、ちょっとISの様子を見なくちゃいけないんで、俺と一夏は整備室に行くので先にシャルルだけ行かせてください」

 

 うまい、これで何とかなる。そう思ったが

 

「えっ?織斑君は別に整備室に行かなくても良いんじゃ?」

 

 固まった。いや、マズイと感じて一瞬時が止まったと言えるかもしれない。

 

「え…?」

 

「確かに織斑君も戦闘に参加しましたけど別にISに損傷などもなかったと思いますが…」

 

「あー…そうでしたね、じゃあ、俺1人で行きます」

 

 すると仭がこっちを向き、無理と目で語っていた。

 

「それでは、織斑君、デュノア君、鍵を開けて待っていますので着替えを持って来て下さい!」

 

 そう言って食堂を去っていく山田先生。

 

「ど、どうしよう……」

 

「…お前ら当然だが別々に入れ。時間を決めて交代して入ればいいだろう」

 

「着替えとかどうすれば…」

 

「自分で考えてくれ」

 

 そう言い、食堂から整備室に向かう仭。

 

「と、とりあえず行こう、行かなかった山田先生に悪いし」

 

「そ、そうだね……」

 

 

 

 大浴場に着いた俺達は仭の指示に当然従うことにして俺が先に入ることになった。だが、扉が開く音が聞こえ、音がする方に向くとそこには身体にタオルを巻いたシャルルが居た。

 

「な、ななあっ!?」

 

「あ、あんまり見ないで。一夏のえっち…」

 

「す、済まん!」

 

 そう言い俺はシャルルから回れ右をする。

 

「シ、シャルル!?ど、どうしたんだよ、交代で入るんじゃなかったのか!?何故にどうして入ってきたよシャルルさん!?」

 

 ああいかん混乱しとる。俺はもう頭がボーットしてきた。

 

「僕が一緒だと…嫌…?」

 

「嫌とかそういうわけではなくてだな!!」

 

 誓って嫌ではない。ではなく…困る。俺とて健全な15歳「嘘つけ」おい、誰だ今の声!?人並みに異性に興味はあるし、性的興奮がないと言えば嘘になる。

 

「や、やっぱり僕もお風呂入ろうかなって。迷惑なら上がるよ?」

 

「いやそれなら俺が上がるべきだろ!俺はもう堪能したしな!」

 

 そう言って俺が立ち上がろうとした時だった。

 

「ま、待って!そ、その…一夏に聞いて欲しい話があるの」

 

「…わかった……」

 

 大声で呼び止められ、俺は座りなおした。シャルルは風呂に入ると俺と背中合わせにしながら話を始めた。

 

「前に言った事、なんだけど…」

 

「前って言うと、もしかして、学園に残るって話か?」

 

 俺と仭がシャルルが女の子と気づいた晩に話した事だ。

 

「…僕ね、ここにいようと思う。僕はまだここだって思える居場所を見つけられていないし、それに……」

 

「それに?」

 

「…………」

 

 沈黙から数秒。シャルルの手が俺の背中に触れ、そのまま後ろから抱きしめられた。

 

「シャ、シャルル!?」

 

「…一夏が」

 

「ん…?」

 

「一夏がここにいろって言ってくれたから。そんな一夏がいるから、僕はここにいようと思えるんだよ…」

 

「そうか…」

 

 俺にとっては何でもない事だったんだが、それがシャルルの救いになったなら何よりだ。今まで俺の周りの人達がそうしてくれたように、今度は俺が誰かの助けになりたい。僅かの優しさでもそれが誰かの助けになるのなら…。

 

「それと、もう1つ決めたんだ。僕のあり方を、一夏が教えてくれたんだよ?」

 

「…そうか。頑張れよ、シャルル」

 

「シャルロット」

 

「え?」

 

「これからは僕の事をシャルロットって呼んでくれる?2人きりの時だけでいいから」

 

「それが本当の…?」

 

「うん。お母さんがくれた僕の…私の本当の名前」

 

「…わかった。これからもよろしくな、シャルロット」

 

「うん…」

 

 後ろから抱きつかれているため、シャルル…いや、シャルロットの表情は分からないが、おそらく嬉しいと顔に出ているのだろう。

 

「そ、それよりさ。そろそろ離れてくれないか?この状態じゃ、色々危ない気がして…」

 

「え!?あ、う、うん!そうだねっ!ぼ、僕先にシャワー使うからっ!」

 

 シャルロットはパッと俺の体から離れ、湯船から出る。その後お互い身体を洗い、交代で湯船に浸かり、大浴場から出た。当然着替えは別々である。

 

 

 

 

 

*仭サイド

 

 

 

 

 

 俺はISの整備が終わり、現在屋上でプライベート・チャネルを使ってある人と話している。

 

『どうかしら?学園生活は?』

 

「まあ、楽しいですね。あいつらの顔も見れましたし」

 

『そう』

 

「でもやっぱそっちにいた方がマシです。ここは女子が多すぎて困る…」

 

『ふふ、なかなか楽しそうね』

 

 …この人は、まあ仕方ないのだが。

 

『それで彼はどうかしら?』

 

「一夏のことですか?というかこの学園に男は俺を除くと一夏とIS学園の用務員…いや、運営者しかいませんがね。…あいかわらずというか、天然で女を落としているというか、シスコン気味というか……」

 

『そ、そう』

 

「真面目に話すとあいつは1聞いて10知るタイプ、飲み込みが速い。ISの知識や戦闘も皆無だったにも関わらず腕を上げている。まあ、他の奴らに追いつきたいという考えもあるんでしょう。あいつは千冬さんに守られていたから女子に負けられないとか、誰かを守りたいとか思ってるのでしょう。よく聞かされました」

 

『でも多分それだけじゃないわよ。多分あなたの影響もあるんじゃないかしら?』

 

「…かもしれませんね。ああ、それと生身での格闘術も教えてます。ISの戦闘にも役立つでしょうし、襲われた時用に護身術にもなるでしょう」

 

『首尾は上々ってわけね。それなら彼も大丈夫そうね』

 

「全然大丈夫じな無いですよ!小学校、中学校と同じ、いやそれ以上にここは死亡率が高いですよ!」

 

『?ISの訓練でかしら?』

 

「違います」

 

『じゃあ女子の嫉妬かしら?』

 

「正解です。あいつ女を惚れさせるものだから、前に言った2人以外に1人惚れてましたし、俺と一緒に来た転校生2人も奴の手に落ちました。箒+専用機持ちは嫉妬深そうで…いや、深くて怖いです…」

 

『その言い方はちょっと誤解を招くんじゃないかしら?転校生2人ってことは…ああ、もう彼、いや彼女は男装してたことがわかったのね』

 

「やっぱり知ってましたか」

 

『ええ、彼女の本名はシャルロット・デュノア、あなた達イレギュラーのISのデータを盗むために来たみたいよ?』

 

「知ってます。後そのことですがどうやら彼女は無理やりそれをやらされてたみたいです。というかそれもわかってるでしょう?」

 

『ええ、もちろん』

 

「だからまあ、デュノア社についてはまだ手を出さないでもらえますか?IS学園にはとりあえず3年間手を出せません。所詮は会社ですからね。あいつがデュノア社に対してどうするか待ちます」

 

『そう』

 

 下手をすれば一夏も巻き込まれることになるしな。強硬手段はさすがに取らないと思うが…。

 

『で、実力行使で来たら?』

 

「そのときはあなたたちにも協力を求めますよ?あの馬鹿は1人でも彼女を助けるためにたち向かうでしょう。あいにく俺も事情を知ってる身でね。たとえIS部隊が来ても…クックックッ」

 

『…悪い顔になってるわよ?』

 

 おやそうかな?こういう時一夏とは意気投合するのだが。昔もよくいじめてた奴に対していろいろやったものだ。

 

「まあ、そういうわけでその時は軽く殺り合いになると思います」

 

『…………………』

 

 そして沈黙する。

 そうなったらそうなったで、フランスを脅す材料にもなるし、色々やってくれるだろうが。

 

「まあ、多分そんなことは起こりませんよ。女尊男卑が常のこんな情勢でもしこれがフランス政府に流れればデュノア社は間違いなく処罰されますから。万一通用しなくてもそのための3年間です。駄目だったらその時は…まあ、汚職でもバラしましょう。そちらにも一応メリットあるわけですし」

 

『ふう、わかったわ。それで用件はそれかしら?』

 

「まあ、それもありましたが…VTシステムの件です」

 

『…何があったの?』

 

 俺は何があったかを説明。どうやらさすがにまだそっちには今回のことが知られてないようだ。

 

『…そんなことが、あなたはどう思ってるの?』

 

「…奴らしか考えられませんね。けど一応あの人にも聞いてみますけどね。それととりあえずこっちも警戒はしておきます。そっちも何かあったら携帯にメールして呼び出してください」

 

『わかったわ、それじゃあおやすみなさい、まあがんばりなさい』

 

「おやすみなさい、まあがんばります」

 

 そう言い俺はプライベート・チャネルを閉じる。何となく携帯を開き、メールを見ると一夏から来ていた。先程の話で聞こえなかったのだろう。開いてみると風呂から出たこととシャルル、いやシャルロットが何故か風呂に入ってきたということだった。

 

(…一夏、そのことについては普通相手に知らせるものじゃないぞ。俺だからかもしれないが死ねって普通は返されるだけだぞ。てかシャルロットもシャルロットだ。積極的に行った方がいいと確かに言ったがそれはやりすぎだ。…良くないがまあいいや。俺も風呂に入って、多分汚くなってるだろうから部屋を掃除して寝よう)

 

 そう考え俺は大浴場に向かう。

 

(しかしということはシャルロットはしばらく男装を続けるのか。しかし、俺としては女子に戻って欲しい。そうなれば部屋も変わるだろうし。けど女子がいるのはさすがに嫌だな…)

 

 その望みは見事に叶うのと山田先生が大浴場の前で俺がなかなか来なかったことにより、泣き崩れていて_| ̄|○になっているのをなだめたのは別の話。

 

 

 

 




仭が誰と話しているかはまだ語られません。
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