IS<インフィニット・ストラトス> ~白き騎士と黒き暴君~ 作:狂戦士
第15話 ラウラの宣言、そして騒動
「みなさん、おはようございます」
シャルロットが本当の名前を明かして翌日、先に行っててと言われ、教室に入りそのままホームルームに入るが、山田先生がやつれている。そういえば山田先生をなだめるのに大変だったと仭からメールが来た。もしやそのことを引きずってるのでは?
「織斑君、何を考えてるかわかりませんが先生を低評価してるのはわかります。怒りますよ?はぁ」
違うと言うのか、なら何でだろう。
「今日は、その、転校生を紹介します…」
「え…?」
教室に入ってきた転校生は女生徒姿のシャルロット。その姿を見て、俺も含め、女子生徒みんながこの状況についていけてない。ただ仭だけが表情には出してなかったが少し嬉しそうだった。何故だ?
「シャルロット・デュノアです。皆さん、改めてよろしくおねがいします」
「えぇと、デュノア君はデュノアさんって事でした。あぁ……また寮の部屋割を組みなおさなければ……」
「…は?」
山田先生の説明でクラスがポカーンとなる。だが、すぐに騒がしくなった。
「え?デュノア君って女……?」
「おかしいって思った!美少年じゃなくて、美少女だったわけね!」
「って、織斑君、同室だから知らないわけ…」
「ちょっと待って!昨日って確か、男子が大浴場を使ってたわよね!?」
その時不意に仭が
「嫌な予感が……」
奇遇だな。俺もだ。その直後教室の扉が吹き飛ぶ。
「一夏ぁ!後なんとなく仭も!」
「おいふざけんな!なんとなくって何だ!?後一夏I――――」
「死ねぇぇぇぇぇ!!!」
仭が最後まで言えず、鈴のISが部分展開され、衝撃砲が俺らを襲う。
(あ、死んだな………って死んでたまるかぁぁぁぁぁ!!!!!!!!)
ISの腕の所を部分展開、そして盾にする。あの状況でISの展開ができたのは自分でも奇跡だ…………………あれ?いくら待っても来ない。目を閉じていたので開けてみると
「ラウラ!」
そこには、シュヴァルツェア・レーゲンを纏ったラウラがいた。俺と鈴の間に入って、AICで衝撃砲を相殺したようだ。ちなみに仭はどうやら先に回避を行ってたため無事だ。
「おお、ラウラ助かったぞ」
「もう大丈夫なのか?」
「………………」
仭に返答をせず振り向いたラウラが
「織斑一夏!」
「お、おう」
「わ、私はお前を嫁にする!!日本では気に入った相手を『嫁にする』というのが一般的な習わしだと聞いた。だが、お前を私の嫁にするには教官に認めてもらわなくてはならない。黒崎仭!」
「ん?」
すると急にISを解除し、正座をする。てか嫁!?婿じゃなくて!?
「だから…教官に認めてもらうよう私を弟子にして鍛え直してくれ!」
「…頼れとは言ったがいきなりくるとは…でも俺弟子とかこれ以上増やす気は…お前の隣にいるし」
「俺か?」
いやまあ、いろいろ突っ込みたいが正直いろんなことがありすぎて脳が麻痺してる。
「頼む!!」
土下座をするラウラ。
「あっ、あっ、あ……!アンタねぇぇぇぇ!!」
再び衝撃砲を構える鈴。
「ま、待て!俺は悪くない!てか何もされてない!!」
「今回は一夏の言う通りだ鈴!」
「んなわけ無いでしょ!!そいつは乙女の純真をもてあそんでるのよ!!絶対!!だからあんたは悪い!!!!!」
えぇい、わけのわからんことを!!とにかく命の危険を回避するため後ろの扉から出ようとするが
「危ねえ!」
チュドン
間一髪仭の手によって頭を下げられレーザーをかわす。
「ホホホ、外してしまいましたわ」
セシリアがブルー・ティアーズを部分展開している。
「一夏、窓から逃げろ」
言われるまま窓から逃げようとするが俺の目の前に刀が突き刺さる。
「一夏、死ぬ覚悟はできているか?」
「できてねえよ!!」
「問答無用!」
「ちっ、ああもう面倒くせえな!!」
箒が切りかかってくるが突如ナイフが飛んできて足止めされる。仭が投げた物らしく感謝しつつ箒から逃げようとするが誰かにぶつかる。
「そういえばボーデヴィッヒさんに何を話したかまだ聞いてなかったね」
「あの、話してやってもいいけどなんで武器を展開してんだ?」
「何でだろうね」
シャルルの部分展開されたシールドの裏に装備されている69口径のパイルバンカーが出てくる。
「一夏、今度こそ死ぬ覚悟はできたか」
「一夏、死んで」
「フフフ」
絶体絶命。そしてそれぞれの攻撃が放たれたが
「あれ?」
「ったく、迷惑をかけるなよ」
仭がISを展開していて俺を担いで天井近くにいる。言うなれば飛んでいる。
「お前ら武器を納めろ。その方がお前らのため…あ、お前ら後ろを見たほうがいいぞ?それで早く謝れ。そうすればお前たちは反省文10枚、グラウンド10周で済むかもしれないぞ?後死人を防ぐためISを展開しました。ごめんなさい」
「そうか。だが黒崎、プラス懲罰トレーニングをつけようと思っている。さらに反省文は30枚、グラウンド50周だ。ボーデヴィッヒと黒崎は被害が広がるのを防いだ為不問とする。文句はあるまいな、貴様ら?」
4人はギギギギギと機械のように後ろを振り向いた。そこには我ら1年1組の担任織斑先生が立っていた。
「お、織斑先生、私はISを使ってなどいませんが?」
箒がそう言う。おい、ふざけんな、こっちは殺されかかったんだぞ。
「人を殺しかけておいてか?」
「す、すいません」
「はあ、まあ織斑にも少しは責任がありそうだ。貴様ら織斑、黒崎、ボーデヴィッヒの3人と篠ノ之、オルコット、凰、デュノアの4人、放課後にアリーナで決着をつけろ」
「3対4ですか?」
ラウラが聞く。
「ああ」
「織斑先生、そのことについて」
仭が千冬姉に意見を出す。
「何だ?3対4では不公平か?」
「いいえ、そうじゃなく、俺だけにしてもらってもいいですか?」
「どういう意味だ?」
「1対4でやらせてください」
『!?』
この言葉にはさすがにクラス中が驚く。
「ちょ、黒崎君本気!?」
「いくら強くても1対4はさすがに…」
「で俺が勝ったら頼みがあります」
「何だ?」
「俺の部屋を変えてください」
「…いいだろう、要望はあるか?」
「織斑先生!?」
「一夏と同じ部屋でいいですよ」
「わかった。だが負けたらどうする?」
「そこの4人の罰を俺がうけます」
「仭!?」
いくらなんでもそれは…
「いいだろう、では放課後にアリーナで戦え」
決まってしまった。
「おい、仭大丈夫なのか?」
「師匠、それはいくらなんでも」
ラウラに限ってはもう師匠と呼んでいる。
「だいぶ余裕だな」
「全くですわ。ご自分が今どのような立場かわかっていらっしゃらないですもの」
「そういうことなら手加減はしないわよ」
「悪いけど勝たせてもらうよ」
怖い、そこの4人が怖いよ!!
「はあ、まったく結果がどうであれお前ら一夏を殺そうとするのやめろよ?今回に限ってはお前らが自分勝手すぎる」
「「「「うっ」」」」
「というかもう席に戻ろうや」
こうして俺達の言葉を聞かず、1対4の勝負になってしまった。だが俺だけは不安がなくなった。何故か?悪い笑みを仭は浮かべてたからだ。
そして放課後、現在アリーナで箒は打鉄を、残りは専用機を展開している。
「師匠は大丈夫なのだろうか」
「あ~、多分大丈夫」
俺とラウラは観客席にいる。
「何で言い切れるのだ?」
「すぐわかる」
俺はそう言っておく。
「悪いが勝たせてもらうぞ」
「リンチになってしまっても恨まないでくださいね?」
「あんたは地獄に行くという選択肢しかないのよ」
「なにか言い残すことはない?仭」
「御託はいいからとっととかかって来い」
「「「「上等」」」」
『試合を開始します』
それぞれ一斉に攻撃してくる。箒はブレード、セシリアはブルー・ティアーズによるレーザーとミサイル、鈴は龍咆、シャルルはショットガンのレイン・オブ・サタデイを放ってくる。 仭は箒に突っ込み、ブレードによる攻撃を避け続ける。そして残り3人の攻撃が来ると箒を捕まえた。
「ちょっ、何をする!?」
仭が何をするかは程なくして箒にもわかった。箒を盾にするつもりだ。
「き、貴様!!まさか…!?」
「そのまさかだ」
その直後仭は箒を盾にしてたため、3人の専用機持ちの攻撃が全弾ヒット。箒の機体が強制解除される。
「まずは1人…」
邪悪な笑みを浮かべる仭。仭がこの笑みを浮かべる時はマズイ。絶対ろくでもないことが起こるからだ。
「次…」
こうなった時の特徴、倒せそうな奴から攻める、言葉遣いが変わる、そして容赦しないのである。
「アタシ!?」
矛先は……鈴だ。仭が瞬時加速で突っ込む。まるで獲物を狩る獣のように。鈴は衝撃砲を放ってくるがそのまま無理やり突っ込む。そして先程と同じように鈴を捕まえる。
「なぁ!?離しなさいよ!この変態!!」
「貴様は死刑決定だ…」
「ヒィ!?」
「鈴さん!!」
「ちょっ、馬鹿!!」
セシリアがスターライトmkIIIでレーザーを放ってくるが仭が鈴を盾にする。シャルロットは鈴に当たることを考えてか攻撃してこない。
「きゃああ!?」
そのまま鈴を盾にしながらまた瞬時加速を使い、セシリアに突っ込む。セシリアやシャルロットは鈴に当たらないよう攻撃してくるがそんなことお構いなしにセシリアに近づき盾(鈴)を左手に持ち、ブレードを右手に展開する。ちなみに鈴は暴れていて仭は攻撃されているが、仭は首を持っていて締め付けているようだ。
「ふん」
「「きゃあ!!」」
うざかったのかなんと鈴を武器にしてセシリアに攻撃(ぶつける)する。そして用済みかとそのまま離れたセシリアに投げつける。
「ちょっとは人間扱いしなさいよ!!!」
しかし鈴のそんな言葉にお構いなしとのばかりにブレードで斬りつけていったん離れる。
「こいつぅぅぅぅ!!」
「落ち着いてください鈴さん。それでは前のラウラさんとの二の舞ですわよ?」
「でも慎重に行かないとね、僕達の攻撃を盾にして味方が減るばかりだよ」
3人が話し合う。はっきり言って今の仭は無双だ。
「よし」
「ではそれで行きましょう」
「うん」
作戦タイムは終了したみたいだ。すると一斉に遠距離攻撃を放つ。
「近づけさせないってか…それだけでは俺に通用せんぞ」
すべてをギリギリくらいながら近づく。そして
「さあ、死ね鈴」
「またアタシ!?違う奴狙いなさいよ!!」
「まだお前の死刑宣告は終わってない」
どうやら変態と言われたことを相当根に持ってるらしい。そして鈴に近づき、右足が光始める。鈴は双天牙月を展開するが時既に遅し。
「レッグスラッシュ」
仭の蹴りが決まる。しかしエネルギーの斬撃?が蹴りと一緒に放出され鈴はそれによってまだダメージを受けていて、壁に激突。そのままISが解除された。
「これで2人目」
するとすぐに今度はセシリアに矛先を変える。しかし隣にはシャルロットもいて2人して攻撃してくる。
「ふん」
しかし今度は近づかず、短剣を5本ずつ計10本を両手に展開、それを5本ずつ2人に投げた。
「「!!くっ」」
刀身が光ってるため、それを撃ち落とすのに標的を変える2人。セシリアはブルー・ティアーズで撃ち落とすが2本当たって爆発。シャルロットは3本だった。
「…でもこれで」
「あの剣は底をついたはず…」
「その通り」
「「!?」」
2人は驚き、後ろをむくが、シャルロットにラリアートが炸裂し、壁に激突。
「っ!!」
セシリアは仭に攻撃しようとするが仭がセシリアの半身に回り込み、向こう側の脇腹を手で押さえて肩の内側で当てる。セシリアは衝撃が走ったかのように離れる。その表情は苦痛の表情を浮かべている。そして追撃に肩で体当たりをする。それもセシリアに効いたらしい。
「何だ?あれは普通に攻撃してるだけではないのか?」
「あいつのあれは『八極拳』っていう中国拳法の『擠身靠(せいしんこう)』と『貼山靠(てんざんこう)』って確か言ってたな。『発剄』っていう技術を使うらしい。簡単に説明すると、呼吸法や重身移動、身体の運動法など攻撃に必要な要素全てを絶妙のタイミングで融合させて、爆発的攻撃力を得る技術らしいぜ。擠身靠は、内部に打撃を与える暗勁の技。貼山靠は体当たりし内部の勁と外部の打撃を同時に与えるって言ってた」
ラウラに説明する。あれは生身の訓練で幾つか仭が見せてくれた。…サンドバックを破壊したが……
「それと何か他にも中国拳法の技を持ってるらしいぜ?」
「…本当にか?」
ラウラは驚いている。
「くっ………」
「止めだ」
どうやら俺達が話している間にも仭は攻撃を叩き込んでいたらしい。そして俺に見せてくれた手の側面を相手の体に密着させ、強く踏み込むと同時に掌を押し出して勁を与える『浸透勁』を放つ。PICを使ってるため、空中でも使えていた。そしてセシリアも壁にぶつかりISが解除される。
「これで終わ――「まだ終わりじゃないよ!」
仭が勝利を確信しようとしたところにシャルロットが瞬時加速を使って突っ込んでくる。
「ちっ、まだ倒れてなかったか」
仭はそのまま腕の装甲でガードしようとするがシャルロットは第2世代では最高クラスの威力を持つ『灰色の鱗殻(グレー・スケール)』、通称:盾殺し(シールド・ピアース)が既にある。
「くそっ」
仭は拳で迎え撃つがシャルロットはそれをくらいながらもパイルバンカーを当てようとする。その時死刑宣告をするかの如く、シャルルは笑みを浮かべた。
「しまっ――『私達の勝ちだ!!』
仭は焦ったような声を出し、倒れた3人も勝利を確信した。そして観客席にいる誰もがシャルロットの勝利を確信していた。…俺以外は。
ニヤリ
シャルルが笑みを浮かべた後、仭もわずかだが笑みを浮かべていたのを俺は見逃さなかった。それはまるで罠にかかったかと思っているようだった。
ズガンッ!!
「ぐっ…」
パイルバンカーの一撃が叩きこまれ、リボルバー機構の装備によって、炸薬交換による連続打撃が可能となっており、連射されると思ったが
ドゴッ!!
「かっ…!?」
今のはパイルバンカーの一撃が叩きこまれた音ではない。仭がパイルバンカーを打ち込まれたにもかかわらず、体制がまったく崩れないまま渾身の一撃で叩き込んだ仭の拳の音である。先程の攻撃が効いたらしく、シャルロットの手が緩み、仭によって腕を掴まれている。
「な、何で…確実に入ったはずなのに、何でそんなにピンピンしてられるの…?」
ISにはシールドバリアーを突破するほどの攻撃力があれば操縦者本人にダメージを与えることができる。そのため仭は本当なら衝撃に怯んでいるはずである。
「ああ、確実に入ったよ。普通の奴だったら為す術もなく、連射をくらい、そこで終わるだろうが」
仭はその理由を説明し始める。
「あいにく俺はそういう衝撃には耐性があるとは言わんが怯まないよう単純に耐えただけだ」
「そ、そんな」
「お前はなかなか面倒な相手だからな、余裕の振りをして、油断してるところを狙わせ、一気に灰色の鱗殻で勝負をつけようとするところを狙わせてもらった。…もう終わらす『暴食』」
そう言い仭の機体が光り始める。そしてシャルロットの腹を殴り、怯んでいるところで手を放し、仭の背中から6本の鎖が出てきて周辺に先端を向ける。
「エンドレス・トラジディ!!」
そう言うと仭が出した鎖から黒いエネルギーがシャルロットと仭の周りに放たれ、周りに黒い空間が出来始め閉じ込められる。その後に斬り刻む音が聞こえてくる。おそらく仭が中でシャルロットを斬りつけているのだろう。そしてブレードクローを両腕に展開した仭が中から出てきた後黒い空間が光りなんと爆発。その後シャルロットが落ちてきてそれを仭が支える。
「俺の勝ちだな」
その言葉で勝負が決まり、仭の勝利になった。
*第3者サイド
場所は代わり奇妙な一室。部屋の至る所に機械の備品がちらばり、ケーブルが樹海の様に広がっている。
「む~」
その部屋に設置されているイスに座り、目の前のディスプレイのキーボードを打っている女が1人。女の格好は空色のワンピースにエプロンと背中に大きなリボンイメージ的には『不思議な国のア〇ス』に似ている。だが、1番気にするべきとこは豊満な胸と頭につけているウサギのカチューシャだ。胸はサイズが合っていないのか、ボタンをギリギリのところまで止め、白いブラウスの隙間から大人の肌が覗いている。
ぱらりろぱらりろ~、携帯の着信音が鳴る。
「この着信音はぁ!トゥ!」
カチューシャがピンと立ち、ガラクタの山にダイブ。すかさず、ケータイを掴み、耳に当てる。
「も、もすもす?終日(ひねもす)?」
ブツッ
切れた。
「わー、待って待って!」
女の願いが通じたのか、再度、携帯が鳴り響く。
「はーい!みんなのアイドル、篠ノ之束ここに『切るぞ』待って待ってぇ、ちーちゃん!」
『その名前で呼ぶな、束』
電話の相手は織斑千冬。そしてこの女の正体はISの生みの親、篠ノ之束である。
「おっけぃ、ちーちゃん」
『はぁ、…まあいい。今日は聞きたいことがある』
「何々!?」
『VTシステムの件だが…お前は今回の件に一枚噛んでるのか?』
「?何のことかな?でもちーちゃん、あんな不細工な代物をこの私が作ると思うかな?」
『……』
「ていうか、忘れていたけど、つい2時間ほど前にソレを作った研究所はもう地上から消えてもらったよ。言わなくても分かると思うけど、死亡者ゼロね」
『そうか。では、邪魔したな』
「いやいや、邪魔なんてとんでもない。私の時間はちーちゃんのためならいつでもどこでも24時間フルオープンだよ!」
『なら、もう1つ聞かせろ』
「うん?」
『…仭のIS、あれはお前が作ったのか?』
「…ごめん、ちーちゃんあれは私も知らないの。少なくとも私が作ったものじゃないの」
『…そうか、ではまたな』
電話は切られる。もうかかってこない。
「…あ~あ、終わっちゃった」
束はケータイを放り投げ、イスに座り、ぐるぐるとイスと共に回転する。すると、ケータイがまたもや鳴る。千冬の時とは違う着信音で…すかさず誰かわかり、ケータイを拾い上げて耳に当てる。
「ハ『すいません。間違えました』―――ちょ、待ってじーくん!?まだハしか言ってないんだけれども!?」
『おや?『ハロー、ラブリィ束、参上!!』と俺には聞こえたんですが聞き間違いだったみたいですね』
束は固まった。なぜ言おうとしたことがわかったのかと。ちなみに仭も小学生のころから箒達と知り合ってきたので束とは知り合いである。
「ま、まあ久しぶりだね!!」
『そうですね束さん。今日は聞きたいことがあるんですが』
「何かな?もしかしてVTシステムの件?」
『知ってましたか?』
「というかちーちゃんからもその件で来たんだけどね。私じゃないよ?」
『そうですか、もう用が済んじゃったな…』
「じゃあ私じーくんに質問があるんだけどいいかな?」
『?まあいいですよ』
「じーくんのIS、あれどうしたの?」
『…………………』
沈黙、そして数秒。
「あっ、答えたくなかったら別にいいよ?」
仭が本気で怒った時の怖さも知ってるのであまり追求しない。
『…他言無用でお願いします。それと信じてもらえるかどうかわからない内容ですが?』
「別にいいよ?じーくんは嘘をつく子じゃないって知ってるし」
『なら話します。言えることは2つです。まず1つ目、剣闘士はあなたの技術を盗んだりして作ったものではありません』
「うんうん」
『2つ目は…あれを作ったのは俺がほとんどですが、設計されていたのを俺が作っただけです』
「それは誰かわかる?」
『…………………』
「?じーくん?」
『設計図は……俺の両親から受け継いだものです』
「!?えっ?ちょ、ちょっとどういうこと!?」
『俺にもわかりません。…ただ両親が書いたものではないとだけ言い切れます』
「で、でも単一仕様能力は?」
『それに関しては本当にわかりません。設計図にも当然ありませんでしたから…』
「単一仕様能力について心当たりは?」
『…すいません。それと他言無用で本当にお願いします。嘘みたいな話ですが…』
「じーくんは嘘はつかないってわかってるから!」
『ありがとうございます。そういうところが俺は好きですよ』
「もしやそれは愛の「違います。では」
そして切れるもまたかかってくる。…違う着信音で。相手はわかっている。その人物は親友の千冬と同じくらい、いや、それ以上かもしれない大切な妹からの電話だ。すぐに切り替える束。
「やぁやぁ、そろそろくると思ってたよ」
『…姉さん』
「うんうん、用件は分かってるよ。欲しいんだよね、君だけの専用機が!」
『!?』
電話越しに驚いてる箒の反応に笑顔を浮かべる束。その反応をちゃんと録音し、話を続ける。
「もちろん、用意してあるよ」
すると、束は照明をつける。すると、そこには赤色に染められている1機のIS。
「高性能にして規格外。そして白と並び立つもの。その機体の名前は……『紅椿(あかつばき)』!」
こういう展開にした方が面白そうだったのでそうしました。それと仭のISについては後に。