IS<インフィニット・ストラトス> ~白き騎士と黒き暴君~ 作:狂戦士
第19話 フィールドを支配する魔術師
1組と3組の合同授業が終わり、放課後。
「しかしまあ、レイラは強かったな」
「そうだな、あそこまでやるとは」
「そうですわね、私達も負けていられませんわね」
現在俺とラウラ、そしてセシリアでアリーナに向かっている。
「そういえばシャルロットはどうしたんだろうか?」
「私は見ていないが…」
「私もです」
「アリーナにいるみたいですよ?」
「「「うわっ!?」」」
後ろから声をかけられる。3組で未だ実力が未知数のアリシア…もといアリィだ。
「何だアリィか、てかラウラも気付かないように近づくなんて大したもんだな」
「そうですか?それとちゅ…仭さんとシャルロットさんはどうやら模擬戦をアリーナで行ってるみたいですよ」
「そうか、多分レイラとやったのが響いてるんだろうな」
…ん?ラウラとセシリアからの視線が冷たいような?
「いつからあだ名で呼ぶようになった?」
「2人はずいぶんと仲がよろしいようで」
???
「アハハ、私がそう呼ぶよう頼んだの。レイラの方も呼び捨てでって彼に頼んだから別にそういうわけじゃないよ?」
ん?どういう意味だ?
「むう」
「まあ、そういうわけなら…」
よくわからないが納得したらしい。
「まあ、私も仭さんに用があるので一緒に行きましょう」
「ん?シャルロット、一旦中断だ」
「えっ?あっ、わかった」
仭とシャルロットが俺達に気付き、手を止める。
「…両手に華だな?一夏」
仭が何か言い出した。てかシャルロットさん?視線が怖いんですが?そしてラウラとセシリアはなぜ顔を赤らめる。
「と、まあちゃかすのはここまでにして…何か用か?」
「いや、レイラのあれを見たら俺も負けられないなと訓練を…」
「熱心だな、その本人は部活見学に行ったがアリィも行ったのか?」
「えっ?」
あれ?さっきまではいたはずだが…するとISを解除してる仭の後ろからいきなりレイピアが仭の首元によせられていた。
「フフフ、動かないでくださいよ?動くと命は―――」
ドゴッ!
「ふぐっ!?」
みぞおちに仭の肘がクリーンヒット、アリィは膝立ちになり腹を抱え込んで抑えている。…容赦無い。
「じ、仭それはやりすぎじゃ…」
「俺を殺そうとした奴にそんな事が言えるか?」
…それを言われると何も言えない。てかこいつらいったいどういう関係なんだ?
「てか別にやりすぎてないぞ、それといつまで狸寝入りしてんだアリィ。そこまで強く肘入れてないし何より笑ってるだろ!」
「あっ、バレました?」
すると腹を抑えていて下を向いていたアリィはすぐ起き上がる。
「肘への感触が変だ、鉄板でも腹に仕込んでるんじゃないか?」
「正解です」
そう言うと鉄板を見せる。軽く凹んでるぞ!?
「てかお前は部活見学に行かなくていいのか?」
「そういう仭さんも部活に入ってないじゃないですか?」
「俺もあらかた見たり、体験したりした。あるとしたら候補は将棋部かな」
渋いな仭。
「えー、運動部の方じゃないんですか?」
「俺に女子に囲まれながらサッカーやバスケをやれと?俺が行っても練習メニューを組んだりとかするマネージャー役ぐらいだろ」
別にそれでもいいと思うが。
「まあ、そんなことより何か用か?」
「いやあ私と模擬戦をしてくれないかなと」
「…お前とか、結構お前も相手にするのは面倒だからな…」
「ありがとうございます」
「褒めてないぞ」
「裏を返せばそれぐらい私の実力を認めてくれているということですから」
「…まあ、そうだが、というか俺はまだ左腕が完治してないからな。もう回復に専念して早く治そうと思うからやっぱり無理だ」
「…ではアリシアさん」
するとセシリアが声をかける。
「アリィでいいよセシリアさん」
「わかりましたわ。それでアリィさん、ならば私と模擬戦をしてくれませんか?」
「いいよ?」
「…ほう」
仭がおもしろそうだという感じで言う。
「決まりましたわ」
「大丈夫かセシリア?」
「レイラであの強さだぞ?」
「心配ありませんわ!!」
俺とラウラがそう言うが自信満々だ。
「セシリア、いきなりどうしたの?」
「いえ、ただどのような実力なのか気になりまして」
「…なら俺は担当の先生に許可を取ってくるとするか」
そう言うと仭はアリーナから職員室へ向かった。
「…で何でこうなった」
仭はそう言う。まあ、そう言うだろう。何せどこからもれたのかセシリアとアリィが決闘するのを見に一般生徒が集まり、観客席にいつもの面子に加え、多くの生徒にそれに千冬姉もいた。
「何かアリシアさんが…みんなに、話してたの見た」
「…あいつかよ」
簪が言うと呆れたように仭が言う。
「というか何で織斑先生も?」
「前のようにアリーナが破壊されるような事が起こってはたまったものじゃないからな」
「「うっ」」
その事件を起こしたラウラと俺は申し訳ない気持ちになる。
「しかし、よくこんなに集まったものだ」
「多分、アリィの実力も見たいがためなんでしょう。1組か3組の連中がレイラの実力を他の連中に話したから同じ転校生のアリィの実力が気になったかと」
「なるほどな」
「てかシャルロットあんた負けたの?情けないわね!」
「そういうお前もラウラに2対の1の状態にもかかわらず負けただろうが」
「ううっ」
仭に正論を言われ黙る鈴。
「仭はどう思う?セシリアは勝てると思うか?」
「そうだな…レイラはどう思う?」
「…うーん、やっぱりアリィが負けるのはさすがに…」
「そうか、俺も同意見だ」
箒が仭に聞くとレイラと同じく厳しいらしい。
「師匠はセシリアが負けると思っているのか?」
「別にセシリアが弱いって言ってるわけじゃない。ただあいつは弱点が多すぎる。一夏から聞いたビットの制御に意識を集中させてるから他の攻撃は出来ないとか1番反応しにくいところに撃ってくるとかな」
「ということは?」
「レイラのように厄介な相手だからな、正直俺もあいつを倒すのは苦労する」
「はい、私が姿を消して攻撃しようとしても効かないこともあるから…」
ここまで2人が言うのならアリィはいったいどんな能力を…
*第3者サイド
「アハハ、何かたくさん人が集まっちゃったな」
「…あなたのせいですか」
アリーナではセシリアとアリシアがISを展開している。アリシアのISは白と水色で、色により氷のような装甲になっている。周りにはセシリアと同じようにビットが6基アリシアの周りにある。
「それがあなたのISですか」
「まあ、レイラと違って私の能力はすぐわかると思うよ」
『試合開始!!』
その合図と共にセシリアはレーザーライフルで攻撃するが放たれた蒼い閃光は相手のビットでガードされる。そしてその攻撃によってパリィンと音がしてビットから破片が飛び散る。しかし音がおかしいことやその破片がビットではないことにセシリアや観客は気付いた。
「仭、アリィの機体は…」
「ああ、全員の思ってる通り、あいつは氷を操る」
「なるほど…アリィさん、すぐにわかるとはそういうことでしたか。あなたは氷を操るのですね」
「正解です」
「でも、攻撃は緩めませんわよ?」
するとセシリアはビームライフルを雨のように降らせてきた。しかしアリシアは最小限の動きで躱す。
「さあ、踊りなさい。私、セシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でる円舞曲(ワルツ)で!」
*一夏サイド
「…ああいうこと言う人になるなよレイラ?」
「言い方が親みたいだよ仭。大丈夫、なったりしないから」
「いや、黙っておこうぜそこは2人とも?あれ一応決め台詞みたいなもんだから」
突然仭が何か言い出してそれに苦笑いしながら返すレイラに俺は突っ込む。
「いや別に決め台詞を言うなって言ってるわけじゃない。でもさ、あんなこと言って負けたらめちゃくちゃ恥ずかしいぞ?」
「そういえば前に私と戦った時に言っていたような…」
『……………』
ラウラのその一言で全員黙ってしまう。
「…ま、まあこの話はとりあえず終わりにしよ?」
「そ、そうね。それにしてもあいつすごいわね!!」
「…セシリアさんはビームライフルを撃つのをやめたみたい」
「…やっとブルー・ティアーズをだしたか」
空気に耐えられなくなったシャルロットと鈴が無理やり話を変えようとしてるが、そんなことおかまいなしに仭とレイラは淡々と試合を見ている。
「おっ、さすがにアリィもかわすことに集中してるな。あっ、当たった」
「……いや、今のはわざとだ」
『!?』
仭のその言動に周りにいるほとんどの奴が驚く。
*第3者サイド
「やっと当たりましたわ」
セシリアはやっと攻撃が当たったことに笑みを浮かべていた。
「油断大敵ですよ?」
「!?」
ブルーティアーズのレーザーによって起こった爆風の中からアリシアが瞬時加速で突っ込んできた。そして油断していたセシリアにレイピアの突きがもろに決まり、絶対防御が発動してしまう。
「!?どうして…?」
何とか後ろに退避したセシリアの驚愕はレーザーをまともに喰らって相手がまったく怯んでいないことではなく、ダメージを受けている様子が見られないことであった。
「ああ、これですか?攻撃を受ける直前にビットに自分を撃たせたんです。このビットによるレーザー攻撃は凍らせますから。それでビットによる攻撃で自分の機体に沿って氷の膜を貼らせたのでダメージがなかったんです。名付けて氷膜(アイス・フィルム)」
「なるほど…もう油断などいたしませんわ!!」
「じゃあ私もそろそろ実力をだそうかな?」
そうアリシアが言うと6基のビットからいくつか蒼白いレーザーが放たれる。セシリアは何とかかわして後ろを見るとレーザーが当たったところが凍っている。
「…当たったらただじゃすまないというわけですね」
「そういうことです。まだまだ行きますよ?」
「くっ」
続けてアリシアはレーザーを撃ってくるが、セシリアも何とか応戦する。
*一夏サイド
「撃ち合いになったね」
「ああ」
「まあ、そうなるだろうな。もともとあいつの機体はセシリアと同じようにビットを操るからな」
俺とシャルロットが話していると仭がそう付け加える。
「じゃあ決着はエネルギー切れになるわけ?なんだかありきたりね」
「まったくお前の目は節穴か?凰」
「織斑先生?」
鈴がそんなことを言うと千冬姉が呆れたように言う。
「えっ?どういうことですか?」
「…わからないのかお前は?」
「何ですってラウラ!ちょっと表に―――「やめい」――痛っ!?」
鈴がラウラに喧嘩をしかけようとしたとき仭の拳骨がクリーンヒットする。めちゃくちゃ涙目だ。というか今のは自分が悪いだろう。
「何よ一夏!!あんた調子に――」
ドゴォッ!!!
「…………」
先程よりいい音が響く拳骨が決まり、頭を抑えながら黙る鈴。てか頭から煙が出てるぞ!?
「これ以上うるさくするならあのアイアンクローを食らわすぞ?頭じゃなく顔面に?」
「ご、ごめんなさい」
そう仭が脅しをかけると謝る鈴。というか仭に感謝しろ?どこから取り出したか千冬姉が出席簿を持っていたんだから。
「…でさっきの織斑先生の言葉だが俺とレイラ以外にラウラも気付いたか」
「はい」
何事もなかったかのように始めるなよ」
「いや流れを戻すためだ」
「何で考えてることがわかった!?」
「いやだから言葉に出てるっての」
ああ、そうか。
「というかわからないのか一夏?」
「あ、ああ」
「セシリアとアリィの動きとビットを見てみろ。セシリアと戦ったお前ならわかると思うが?」
そう言い試合を再び見るとセシリアが押され始めてる!?ビットの動き、機体の動き……あっ!
「気付いたか?」
「ああ、どういうことかわかった。このままじゃおそらくセシリアが負ける」
「どういうことだ一夏?」
「教えなさいよ一夏!!」
「セシリアが、押され始めているのと関係があるの?」
箒、鈴、簪が聞いてくる。シャルロットは多分気付いているな。
「ああ、多分このままじゃセシリアの負けだ。セシリアとアリィはビットの操り方に問題があるんだ」
「「「?」」」
そう言うと3人は戦っている2人をよく見る。すると3人は気付いたようだ。
「わかったか?ブルー・ティアーズの操縦者のセシリアはビットの制御に集中するためにセシリア本人が無防備になるという弱点があるのに対し、アリィはビットを使いながらもセシリアの攻撃を普通に避けている。つまり使用中に他動作不可能というセシリアの弱点をアリィは持ち合わせていないというわけだ」
「その通りだ一夏、説明は100点満点だ。それで皆が気付いたようにアリィはセシリアのようにビットを使っているときに動けないと言う訳ではなく、普通に行動できる」
「それが仭とレイラが厄介と言った意味か?」
「まあ、あながち間違いってわけじゃないけど…」
「ああ、あいつが厄介な理由の1つはまずあのビットだが…こんなのまだまだ序の口だぞ?」
「マジか?」
驚いていると突然歓声が響く。
*第3者サイド
「さて、もうそろそろ終わらせるよ?」
アリシアが握っているレイピアの右手から煙が立ち上り凍っていき、そして氷のレイピアがアリシアの手に完成した。
「では行きます」
するとアリシアが左手を地面につけると手を付けた場所から徐々に辺りが凍っていく。
「?何を…」
「さて、これで私のフィールドは完成です」
「…ああ、とうとうやったか…」
「どういうことだ仭?」
「1つ言えることはおそらくこれからセシリアの攻撃はアリィにまともに当たることはないだろう」
「何!?」
「フリーズランサー!」
「っ!?」
アリシアはレイピアを地面に離し、離した右手をセシリアに向けると無数の氷の塊が小さめの槍となって出てくる。セシリアはそれをビットからのレーザーで何とか攻撃を受けなかったが蒼白いレーザーがセシリアのビットに当たって凍ってしまいビットが地面に落ちる。
「!?くっ!」
すぐにセシリアは反撃するとアリシアは左手を氷の地面に当て
「アイシクルウォール」
するといくつもの氷柱がセシリアの攻撃を遮った。
「あのようにアリィは自分の周りを凍らせることで自分のフィールド…まあ、『陣地作成』みたいなことをして自分の有利なフィールドにしてしまう。あれによって相手が遠くから攻撃をしてもさっきのように氷柱を出して防いだり、接近戦をしようとしてもおそらく凍らされる」
「だから私が姿を消して攻撃した後あのように氷柱を出されたりしてしまうとそれにぶつかってばれちゃうんだよね」
仭とレイラはそう言う。
「弱点とかは?」
「…弱点か、あのように防戦をするには左手を常に当てていなければできないとかか…」
「どうして左手なんだ師匠?」
「あいつは攻撃する時、まあ、何かを氷で作ったりするときは右手、ただ単に固まらせるだけなら左手をあいつは使う。右手から出す氷の方が少し時間はかかるがたいていの物は作れるし、硬い。が左手から出す氷は…何と言ったらいいか……何かを凍らせる、…つまり地面とか武器に触れなきゃ凍らせられないんだ。まあ氷に触れていればさっきのように氷柱も出せる。ようするに凍ってるところに氷を出したり強化できる…っていえばいいかな」
「…左手は氷に触れていれば多少は操れるってこと?」
「…まあ、動かすことは無理だがだいたい合ってる。あいつの機体「フロスト・ソーサレス(氷の魔術師」は自分の有利な場所を作る。その場所で相手の攻撃を無力化しつつ相手を倒す。あいつはおそらく軍の中でこと防戦に関しては1,2番を争うだろう。フィールドができたらだが。…いっとくがあんなフィールドはまだ序の口だぞ?」
「うそ、じゃあどれだけセシリアと差があるの?」
「別にセシリアが弱いわけじゃない。そしてあらゆるエネルギー攻撃を無効化するのだから当然零落白夜が脅威だが、あいつが本気を出したら一夏の零落白夜を使っても突破できるかどうかわからない」
「マジでか?」
「ああ、俺もはっきり言って厳しいからな。…どうやら決着がついたか」
一夏達は見てみるとセシリアの武器はことごとく凍らされていて使い物になりそうにもなく、アリィの凍ったレイピアの攻撃で絶対防御が発動、戦闘続行不可能となりアリシアの勝利になった。
次回も戦闘だと思います。多分一夏か仭が戦います。