IS<インフィニット・ストラトス> ~白き騎士と黒き暴君~ 作:狂戦士
第23話 波乱の自由時間
「海っ!見えたぁっ!」
バスの中で誰かが叫び、全員は窓の外に目を移した。…仭とシャルロット以外。
「えへへ」
「そんなに嬉しかったのかシャル?」
「え?あっ、うん、えへへ」
腕につけている銀色のブレスレットを見ながら、にこにこ笑っていたシャルロットの隣に座っている一夏は聞いてきた。そのブレスレッドは、水着を買いに行ったときのお礼にと、一夏が選んだものプレゼントされた物である。好意を抱く男子からの贈り物(少し違うが)を喜ばない筈はない。
「黒崎君!!海が見え…」
女子の誰かが仭に話しかけるが仭は寝ていた。
「ん?何だ仭寝てるのか」
「しかしまあ、いい顔で寝てるな」
「ええ…」
「疲れてるんだよ。確かずっと訓練に付き合ってたもんね。…誰かさんの」
「いや、だって仭は構わないって言ってたぞ」
「…師匠の寝顔を撮ってしまおうか」
『!』
ラウラのその言葉で全員が仭に視線を向ける。
「いいかもそれ!!」
「やめといたほうがいいぞ」
「多分無理だよ」
一夏と仭の周りの女子はそう言う。
「どうしてですの一夏さん?」
「こいつそういうことはされないんだ」
「??どういう意味だ?」
「論より証拠!」
そう言ってラウラがケータイのカメラでシャッターを押そうとするが
カシャッ!ヒュン!
「な!?」
シャッターを押すと同時に仭が動いてカメラには映らない。
「こんなふうに撮ろうとしても躱されちゃうの」
『…………………』
そのことに知らなかった者たちが絶句。
「くっ、なら近づけば…」
「あ、馬鹿!」
一夏が静止するのも聞かずラウラは近づき、写真を撮ろうとすると…
グシャッ!!
「ちょ、師匠!?痛だだだだだだだだだ!!!」
仭の魔のデーモンクローが炸裂していた。
「ったく、うるさくて眠れやしないぞ」
「…ずっと起きてたのかお前?」
「いや、写真を撮ろうとしたときぐらいには目が覚めて避けたぐらいだな」
「師匠!!いいかげんに離し、痛いです!!!!」
「お前たち静かにしろ!!もうすぐ着くぞ!!」
千冬のその声で全員が席に戻り、静かになる。そしてラウラも涙目になりながら戻っていった。
*仭サイド
「それでは、ここが今日から3日間世話になる花月荘だ。全員、業務員の仕事を増やさないように注意しろ」
「「「よろしくお願いしまーす」」」
千冬さんの言葉の後、全員で挨拶する。…それにしてもまったく寝れなかった。
「はい、こちらこそ。今年の1年生も元気があってよろしいですね」
そう女将さんも挨拶を返す。
「あら、こちらが噂の……?」
「ええ、まあ、今年は2人だけの男の為に浴場分けが難しくなってしまって申し訳ありません」
「いえいえそんな、それにいい男の子じゃありませんか、しっかりしてそうな感じを受けますよ」
「織斑一夏です。よろしくお願いします」
「黒崎仭です。お世話になります」
千冬さんから挨拶をしろと言われる前に俺達は頭を下げる。
「ご丁寧にどうも、清洲景子です」
女将さんも丁寧にお辞儀をする。
「それじゃあ皆さんお部屋の方にどうぞ、海へ行かれる方は別館の方で着替えられるようになってますから、そちらをご利用なさってくださいな」
そして生徒全員が動き出す。とりあえず一夏に聞きたいことがあったので近づくと本音が俺達に近づいてくる。…めちゃくちゃ遅い。
「ねぇねぇ、おりむー達の部屋ってどこなの~?一覧にも書いてなかった~」
「さあな、廊下にでも寝るんじゃないか?」
「何だ一夏も知らなかったのか。っていや一夏、さすがにそれはないだろ…」
「あ~それ気持ちよさそうだね~、床冷た~いって」
「2人だけでやってくれ」
そんなことを話していると
「織斑、黒崎、何を遊んでいる。お前達はこっちだ。早く来い」
そう千冬さんが来てついていくと
「…ここだ」
「ここは…」
「織斑先生の部屋の隣…」
連れて来られたのは襖に【教員室】と書かれた紙が張られている部屋、その隣。
「私の部屋と隣ならおおむね女子達も近づかないだろう」
「なるほど」
「それで先生、大浴場とかは?」
「一応大浴場は使えるがお前達は時間交代だ。本来ならば男女別になっているんだが何せ1年全員だからな。お前2人のために窮屈な思いをするのはおかしいだろう。よって一部の時間のみ使用可能だ。深夜、早朝に入りたければ部屋のを使え」
「「了解しました」」
「さて、今日1日自由時間だ。荷物を置いたら、好きにしろ」
「ちふ…織斑先生は?」
「仕事だろう」
「そうだな、だが軽く泳ぐくらいはしよう。せっかく弟が選んだものだしな」
「さようで」
そして俺達は荷物を置き、別館に向かう。
「…何だこれは?」
旅館の別館に向かう途中、俺達と箒は出くわした。俺達は『引っ張ってください』と書かれた立て札と機械のウサ耳があった。…あの人か……
「なあ、箒「知らん、私に聞くな、関係ない」
言い切る前に即否定、ああ、やっぱりそうか。そしてそのまま箒は別館に行ってしまう。
「どうするか仭?」
「そうだな…バズーカ砲でもあれば…」
「何するつもりだよおい…」
「まあ、当然あるわけないから…」
手榴弾は爆発するタイプはないのでナイフを空中にいくつか投げる。するとガキンと音がする。ああ、当たりだ。
「?お2人方は何をしていらっしゃいますの?」
「…セシリア、ちょっと来るから下がれ」
「ああ、これはきっと来るな」
「?何を…」
その途端樹キイーーーーンとどこからかこちらに向かってくる音がする。…来たな。そしてドガーーーーーンと謎の物体が降りてきた。いろいろ突っ込むところがあるがとりあえず言わせてもらおう。
「「なんでにんじん?」」
一夏とかぶったか。まあ、そんなどうでもいいことは置いといて…にんじん型の飛行物体が落ちてきたのである。
「あっはっはっ! お久だね、いっくん、じーくん」
高笑いと共にぱかっとにんじんが真っ二つに割れ、その中から登場したのは不思議の国のアリスの格好をした束さんだ。しかし普通に登場することが出来ないのだろうか?
「それにしてもじーくん、いきなり攻撃なんてひどいよ!!」
「こういう展開で俺が遭遇した時引っこ抜こうとしたら落とし穴に引っかかってそのまま落ちたのですが?」
「あれ?そんな事あったっけ?」
「さっきのように高笑いしながら『あっはっは!!引っかかったね、じーくん!!』って出てきて楽しんでましたから今回は兎狩りを」
「…じーくん、そういえばさっきの攻撃手加減した様子が見られなかったんだけど…まあ、IS用の装甲使ってたから大丈夫だったけど」
「おやそうですか。では次からISを使って攻撃するとしましょう」
「もしかして前のこと根に持ってる?」
「そんな事ありませんよ。写真に取られて一夏や箒や千冬さんに見せられて笑われたことなんて全然根に持ってなどいませぬぞ?」
「言葉が変だよ!?」
「そ、それと束さん、何でいつもそういう登場の仕方なんですか!」
強引に話を変えようとするのが見え見えだぞ一夏。だから別に怒ってなどいないZO?
「ア、アハハ、やー、前はほらミサイルで飛んでたら危うくどこかの偵察機に撃墜されそうになったからね。私は学習する生き物なんだよ。ぶいぶい」
「束さん。学習する生き物だったら普通の登場の仕方も学習してくださいよ」
「一夏、天才と馬鹿は紙一重って言うだろ?」
「ああ、なるほど」
「じーくん、さらにひどい!!てかいっくん!?いっくんも納得しないでよ!?」
「大丈夫です、紙一重なだけで馬鹿とは言ってません。まあ、馬鹿に近いですが紙一重なだけです」
「2回も言わなくていいよじーくん!?ということは2人とも私を馬鹿って思ってるわけ!?」
「「はい」」
当然のごとく俺と一夏は考える素振りも見せず返答する。
「ひどい、2人ともひどいよ。兎はガラスのハートなのに…」
埋まっていたウサ耳を頭に装着して_| ̄|○の格好になる。てかウサ耳もしゅんってなってる。ああ、ぐれたか、こうなると面倒だ。……そうだ。
「そういえば箒「そうだ!!箒ちゃんはどこかな?」
OH!!復活速い!
「あー、あっちに行きました」
箒が行った方向とは真逆を指す。
「本当かなー、まあいいや。箒ちゃんはこの私が開発した箒ちゃん探知機ですぐに見つかるよ。じゃあねいっくん、じーくんまた後でね!!」
ウサ耳が1点を向く。『箒ちゃん探知機』ってあのウサ耳だったのか。そしてウサ耳はダウジングのように俺が指した方向を向いていて走り去る束さん。意外に速い。ってあれ!?
「あれ仭?お前が指した方向には箒いないよな?」
「ああ、冗談だって言おうとしたが探知機があるって言ったから大丈夫だと思ったんだが。ウサ耳に手を加えては……あっ!」
「どうした仭?」
「いや、ナイフを投げて落っこちたのがウサ耳に確か当たってた」
「おい、それって…」
「わざとじゃない。けど壊れたんだろうな」
「…あの……一夏さん、仭さん。今の方は」
おっと失礼だがセシリアの存在を完全に忘れていた。
「ああ、あの人が篠ノ之束さん。箒の姉さんだ」
「え……えええええ!?今の方が篠ノ之博士ですか!?」
「ああ、それとこのことは口外しない方がいいぞ」
そう言って俺達は更衣室に向かう。束さん?知らん。
*一夏サイド
そして仭と一緒に俺達は自由時間で海に出た。仭と別れて準備体操をしていると
「いっちかーーー!!」
「おわっ!?」
オレンジの水着を着た鈴が俺に飛び乗ってきた。まるで、猫のように。
「おー、高い高い。一夏ちょっとした監視塔になれるわよ」
「おい、鈴、降りろ!てかちゃんと準備体操しないと駄目だろ!溺れたらどうするんだ。後監視塔かよ!!」
「あたしが溺れるわけないでしょ?それにしても、一夏に乗るといつもより遠くが見えるわ~」
「背が低いからだろ」
いつから居たのか仭がそう言う。それは禁句だぞ仭!!
「なんですってー!!!!」
そう言うと俺から飛び降りて腕を振り回しながら仭に突っ込んでいく。しかし仭は鈴の右腕をあっさり掴んでそのまま背負い投げの大勢になる。そして一本背負いで海に投げ飛ばした。かなり遠くまで飛んでザブーンと激しい音を立てながら落ちる鈴。
「一夏、いいことを教えてやる。背後からの攻撃は絶対に避けろ」
おそらく鈴が背中に乗ってきたことにたいしてだろう。鈴のおかげで新しいことを覚えた。ありがとう鈴、お前の犠牲は忘れない。遠くから「あたしは死んでないわよ!!!!」って聞こえるがおそらく幻聴だろう。仭はそのままどこかに行った。てか仭!ライフセーバーみたいなの着てるなら死んでても「だから死んでないわよ!!!!!!」…鈴を助けたほうがいいだろ。ちなみに青と白の2色。
「一夏さん!!」
声がした方を向くとビニールシートとパラソルを持つ青のビキニを着たセシリアがいた。
「なになに?」
「何かしてもらえるの?」
先程の騒ぎを聞きつけたのか女子達が集まる。
「一夏さん、サンオイル、塗って頂けますわよね?バスで約束しましたもの」
『えっ!?』
「そ、そうだけど……」
てかなぜそんな大きな声で女子は?
「私サンオイル持ってくる!!」
「じゃあパラソル持ってくる!!」
「私はシート持ってくる!!」
「ならサンオイル落としてくる!!」
っておい!!塗ってあるなら手間を…ああ!!海に入っていく!!
「ではお願いします」
そしてセシリアはパラソルの日陰にシートをひいて寝そべる。俺はサンオイルを手に塗り覚悟を決めて背中に塗る。
「ひゃ!い、一夏さん、塗るときは手を温めてからでありませんと…」
「す、すまん!こういうのは初めてなもので…」
「は、初めてですの…それでは、しかたありませんね」
改めて、手を暖め、再挑戦する。
「ん…その調子ですわよ。一夏さん…」
「お、おう」
セシリアの肌、スベスベしてるななどと考えながら塗っていると背中を塗り終えた。
「い、一夏さん。そろそろ、下の方も…」
え?下?
「背中だけでいいん、だよな…?」
「い、いえ、この際、手の届かない所もお願いいたしますわ。脚とか、その、お尻とかも…」
それはまずい!と思っていると
「はいはい、そんなのあたしがやってあげるわよ」
「ちょ!?鈴さん!つ、冷たっ!!」
いつのまにか生き返っていたドゴッ!痛い!殴られた!!…戻ってきてた鈴がセシリアの要求どうりに脚やお尻にまでサンオイルを塗りだす鈴。
「鈴さん!もういいかげんに!」
「あ!」
『あ…!』
「きゃ、きゃああっ!!」
頭にきたセシリアは上半身を起こし、鈴は距離をとる。だが、今のセシリアは水着を外している状態、間一髪腕で隠したが…
「あー、ゴメン」
そう鈴が言うと俺を引っ張ってく。っておい!俺を巻き込むな!!
「ちょ、待ちなさい!!絶対に許しませんわ!!」
セシリアの声も虚しく、そのまま拉致られ海に俺達は飛び込んだ。
*仭サイド
「…………………」
「あっ……はぅ……」
「……アリィ、お前わざと声出してんじゃないよな?」
何かやましいことをしてるんじゃないかと思った読者達。これはR-18ではないので違う。現在アリィに頼まれてサンオイルを塗ってるのである。ちなみにアリィは水色のビキニを着ている。
「わざとじゃないですよ…それにしてもうまいですね、中尉…」
「まあ、マッサージもしてるからな。周りの奴らもいるからマジでその声やめてくれ」
「自然と……出てしまうんですよ……中尉の手が気持ちよくて……」
「中尉はやめろって……よし、終わった」
「ありがとうございました」
『黒崎君!!』
「ん?」
見るといろいろ持った女子が多数いた。嫌な予感…
「えっと…どうかしたか?」
『私達にもサンオイルを塗って!!』
適中したよ。5,6人はいるな…
「仭さんはサンオイル塗るのうまいですよ」
「余計な事吹きこむなそこ!!」
「本当に!?」
「私も塗ってもらお!!」
ほらーーーー!!!5,6人だったのが10人ぐらいに増えた!!さすがにこの人数でやるわけにはいかない。
「い、一夏はどうした?一夏の方には誰か行かないのか?この人数だと全員やるのに時間がかかるし…」
これなら女子は半分は行くだろうと思っていたのだが
「それが織斑君どこか行っちゃったの」
「セシリアに塗ってたから塗ってもらおうと思ったんだけどね」
おのれ一夏ぁぁぁぁぁぁ!!!!
「じゃあ私は行きますので…」
おいこら逃げんな!!
「続きは部屋で♪」
「しばくぞ!!」
てかそれ誤解されるだろうが。幸い俺の耳元だったから周りに聞こえなかったが。
「じゃあお願い!!」
「私から!!」
「抜け駆けはずるいわよ!!」
「私が先に黒崎君にしてもらうのよ!!」
「えーい、やかましい!!2人ずつやってやるから並べ!!」
ずらっと並ぶ。
「でもサンオイル手に取るのに手間かかりませんか?」
「大丈夫だ、手伝う奴がいるから」
「…私ですよね?」
「当然♪念のために言っとくがお前のせいでもあるからな」
「はあ、わかりましたよ。でもサンオイルを仭さんの手に出すだけですよ?」
「充分だ」
しかしこの後地獄を見ることを俺はまだ知らなかった。
オリ主がボケ担当になってきている。多分束とは今後もそうなってくると思います。