IS<インフィニット・ストラトス> ~白き騎士と黒き暴君~    作:狂戦士

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文字打ちが進んだのでなんとか投稿します。


第25話 天災、紅椿、そして異常事態の幕開け…

第25話 天災、紅椿、そして異常事態の幕開け…

 

 

 臨海学校2日目、場所は四方を崖が囲み、毎年使われているIS試験用のビーチ。今日は1日目とは違い、朝から夜まで丸1日、ISの各種装備試験運用とデータ取り。特に専用機持ちは本国から届けられた新装備の運用データを取る。まあ、一夏はともかく俺とアリィ、レイラも新装備というのは諸事情で来てないが。

 

「ようやく全員集まったか。―――おい、遅刻者」

 

「は、はいっ」

 

 で現在ラウラが寝坊をしたようで遅刻した。まあ、ちょっと昨日の夜中イロイロO★HA★NA★SI★したからな。ガクガク震えながら帰ってたからそのせいでラウラは寝れなかったのだろう。こっちも少し寝れなかったが。まあ、自業自得ってことで。

 

「そうだな、ISのコア・ネットワークについて説明してみろ」

 

「は、はい。ISのコアはそれぞれの相互位置情報交換のためのデータ通信ネットワークを持っています。これは元々広大な宇宙空間における相互位置情報交換のために設けられたもので、現在はオープン・チャネルとプライベート・チャネルによる操縦者会話など、通信に使われています。それ以外にも『非限定情報共有(シェアリング)』をコア同士が各自に行うことで様々な情報を自己進化の糧として吸収しているということが近年の研究でわかりました。 これらは製作者の篠ノ之博士が自己発達の一環として無制限展開を許可したため、現在も進化の途中であり、全容は掴めてはいないとのことです」

 

「さすがに優秀だな。遅刻の件はこれで許してやろう」

 

 その言葉で安心するラウラ。よほど千冬さんの怖さをドイツで味わったのだろう。

 

「さて、それでは各班ごとに振り分けられたISの装備試験を行うように。専用機持ちは専用パーツのテストだ。全員迅速に行え」

 

 1学年全員が並んでいるため、かなりの大人数だ。傍から見ればかなり奇妙な光景であろうな。

 

「ああ、篠ノ之。お前はちょっとこっちに来い」

 

「はい」

 

「お前には今日から専用―――「ちーちゃ~~~~~~~~~~ん!!!」

 

 ああ、この声は…。ずどどどど……!と砂煙を上げながら崖を駆け下りる人影、そして千冬さんをあんな呼び方をするのは少なくとも俺が知っているなかでただ1人。そう、束さんである。崖を下るとか人間技じゃない?あの人は人間扱いしなくても構わん。ひどいと思う奴は千冬さんのしてきた行動を考えろ。

 

「はぁ…」

 

 てかここは関係者以外立ち入り禁止…通用するわけ無いか。千冬さんの方を見ると箒と一緒に頭を抑えていてため息を吐く。一夏に至っては苦笑いをしている。

 

「仭……」

 

「はい?」

 

 ん?プライベートの呼び方だ。

 

「あの馬鹿を止めろ」

 

「!了解…」

 

 ということは殺っていいということか。

 

「仭…」

 

「ああ、一夏大丈夫だ、手加減はする」

 

 そうこう言っているうちに俺は束さんの進路に立ち、崖を登って行くが束さんはかわそうともせずそのまま突っ込む。そして俺は左腕を出し

 

「衝突(クラッシュ)ボンバー」

 

 と小さく声に出しておこう。そしてそのまま束さんの首に…

 

「!?」

 

「ふふーん♪」

 

 当たるところをしゃがんでかわす。崖だぞここ!?だがその勢いで回転して右足で追撃の回し蹴りをくらわそうとするが……

 

 

ヒュン!!

 

 

「はあ!?」

 

 突然加速した。いや比喩ではなく本当にいきなり速くなった。光〇の世界か!?アイシー〇ド21じゃないぞ!?

 

「やあやあ会いたかったよちーちゃん!さあハグハグしよう!愛をたしかめぐっ!?」

 

 そして地面の手前で飛びかかった束さんの顔面を容赦なく片手で掴む千冬さん。ちなみに俺はああいうのを見て覚えた。

 

「うるさいぞ束」

 

「ぐぬぬぬ……相変わらず容赦のないアイアンクローだね!!」

 

「それはそうと早く降りてこい黒崎」

 

 あ、呼び方が戻った。ちなみに現在崖の中間地点で立っている。どうやってるか?両足を岩に突き刺して踏ん張っているからだ。戻るために俺は両足を抜いて地面にしっかりと着地する。そしていつのまにかアイアンクローから逃れた束さんは隠れてた箒の後ろに来て、満面の笑みを向けている。

 

「じゃじゃ~ん!やあ!!」

 

「……どうも」

 

「えへへ~、久しぶりだね~、こうして会うのは何年ぶりかな~?大きくなったね箒ちゃん!特におっぱいが……」

 

 

がんっ!

 

 

「殴りますよ!」

 

「な、殴ってから言ったぁ、し、しかも日本刀の鞘で叩いた!箒ちゃんひどぉい!!」

 

 どっから取り出したんだあの日本刀?

 

「じーくんもひどいよね~?」

 

「さあ?」

 

「ひどい!ひどすぎる!!じーくん、私との昨日の夜は嘘だったんだね…」

 

 この人は誤解されそうなことを…そう言うならこっちにも考えがあるぞ。

 

「く、黒崎君そんなことしてたんですか!?」

 

 乗るなや山田先生…

 

「さあ?別人でしょう。臨海学校に来てこの人と会うのも今が初めてですし」

 

「じーくん!?昨日いっくんと一緒に会ったよね!?」

 

「そうでしたか?いやー昨日は疲れていたせいか記憶があまりなくて…」

 

 絶対に覚えている、そう周りから聞こえるが幻聴だろう。束さんを見ると_| ̄|○になっている。

 

「冗談ですよ束さん。いいからとっとと固まっている生徒に自己紹介をしてくれや」

 

「半分命令形になった!!ひどいよねちーちゃん!?」

 

「知るか。黒崎の言うように自己紹介くらいしろ。うちの生徒たちが困っている」

 

「えーめんど「ギロリッ」――ひい!!しますします!!」

 

 全員が若干ひいている。念のため言っておくがさっきのは千冬さんだ。

 

「私が天才の束さんだよ、はろー。終わり」

 

 短い自己紹介だな。だがその自己紹介でも皆にも伝わったようで騒がしくなる。

 

「はぁ……もう少しまともに挨拶ができんのかお前は…。そら1年、手が止まっているぞ。こいつのことは無視してテストを続けろ」

 

「こいつとはひどいなぁ、らぶりぃ束さんと呼んでいいよ?」

 

「うるさい、黙れ」

 

 相変わらずだなこの2人は。いやでも千冬さん、成長した方でしょ。

 

「それにしても束さん、成長したな」

 

「そうだな一夏。いつまでも子供じゃなかったんだな」

 

 人に対して挨拶ができるようになったとは。

 

「さっきからじーくんひどいよ!!」

 

「ああ、聞こえてましたか」

 

「…それで、頼んでおいたものは……?」

 

 その箒の言葉で束さんの目が光る。

 

「んっふっふ~、それはすでに準備済みだよ。さあ、大空をご覧あれ!」

 

 束さんが空に指を差し、その場に居た全員が指差した先を見ると、上空から何かが落ちてきた。それは銀色の立体水晶体の様な何かであり、束さんが持つリモコンを操作すると、落下した水晶体が開き、中から紅いISが出てきた。

 

「じゃじゃーん!これが箒ちゃんの専用機こと『紅椿』!全スペックが現行ISを上回る束さんお手製のISだよ!」

 

 ……話からこれが箒の専用機となるのか。てかさらっと重要な事カミングアウトしたなこの人は…

 

「さぁ、箒ちゃん!今からフィッティングとパーソナライズを始めようか!」

 

「…それでは頼みます」

 

「堅いよ~箒ちゃん。実の妹なんだし、こうもっとキャッチーな呼び方で…」

 

「早く始めましょう」

 

 そう言って紅椿に乗り込むと箒を包むように装甲が元の状態に戻る。そして紅椿に数十本のチュープに繋がれ、束さんは空間投影されたキーボードを物凄い速さで打っていく。…俺以上だ、そこら辺はさすがだな。それにしてもやはり箒は束さんのことを毛嫌いしているようだ。

 

「あの専用機、篠ノ之さんが貰うの?妹だからって?」

 

「何かずるいよねぇ」

 

 …俺が言えたことではないが、そうだな。確かに本来、専用機を持つということは(俺や一夏という例外はいるが)それ相応の努力や、それを持つことの意味を理解しなくてはならない。

 

「おや?おかしなことを言ってる人がいるね。歴史の勉強をしてこなかったのかな?有史以来、人類が平等であった事なんて1度もないよ?」

 

 少なくとも現代で平等ではなくなってしまったのは、あんたのせいだよ。…と、思ったことは何度もある。現在(いま)もそうだ。が、少なくともそうなったのがこの人だけのせいかといえば微妙なところだ。

 白騎士?それもあるが…世界をこのように変えたのはその世界でもあるし、それで見下すほど多数の女達が馬鹿になったのもある。だが、この人のやり方のせいで、ISが兵器とでしか見られなくなったのも当然ながらあるのだ。

 何とも複雑だよ。俺がこの人に抱いてる感情は…。

 

「はい、フィッティング終了~。後は自動処理に任せておけばパーソナライズは終了だよ…じゃあ、次はいっくんの番だよ。白式見せて、束さんは興味津々なのだよ」

 

「あっ、はい」

 

 そうこうしてる内に、フッティングが終わったらしく、一夏のとこに行く束さん。

 で、たじろぎながらも白式を展開する一夏。そして束さんは端末のコード端子を白式の装甲に刺す。俺は一応昨日見てもらったからな。…まあ、多分役にたたなかったろうが。

 

「ん~……何だろ、不思議なフラグメントマップを構築してるね。いっくんが男の子だからかな?」

 

 フラグメントマップとは人間で言う遺伝子の様なもので、それぞれのISが独自に発展していくその道筋の事だ。

 

「束さん、その事なんだけど、どうして男の俺や仭がIS使えるんですか?」

 

「ん?ん~……わかんない、ナノ単位まで分解すれば解る気がするんだけど、していい?」

 

「いい訳ないでしょうが……」

 

「じーくんは?」

 

「ん?何か言いました?」

 

「な、何でもないよ!!」

 

 はて?どうしたのかな?その後の展開でも予想して早々に切り上げたのだろうか?賢明な判断だ。

 

「さ、さて箒ちゃん、もう紅椿のパーソナライズも終わったはずだから稼働テストに入ろっか」

 

「は、はい……」

 

 さて、あのISはどんなものか。

 

「じゃあ試運転を兼ねて飛んでみてよ。箒ちゃんのイメージ通りに動くはずだよ」

 

「では、行きます!!」

 

 箒が顔を上げると同時に、衝撃波と砂塵が発生すると箒の姿はそこには居なかった。

 

「どうどう?箒ちゃんが思った以上に動くでしょ」

 

「ええ、まぁ…」

 

 ちなみにこの会話は束さんが開いたオープンチャネルで紅椿に繋いでいる。

 

「じゃあ次は刀使ってみてよ。右のが『雨月(あまづき)』で左のが『空烈(からわれ)』ね。武器特性のデータを送るよん」

 

 再度、さっきと変わらないスピードでキーボードを打つ。すると、紅椿の手元に2本の刀が握られる。

 

「雨月、行くぞ!」

 

 雨月を握った右腕を左肩まで持っていき、突きを放つ。するとその瞬間に数個の赤色の球体が雨月が振るった場所に現れ、レーザー状に上空に飛んでいく。そのレーザーが通過した雲を穴だらけにした。

 

「雨月は対単一仕様の武装で打突に合わせて刃部分からエネルギー刃を放出、連続して蜂の巣にする武器だよ~。射程距離は、まあアサルトライフルくらいだね。スナイパーライフルの間合いでは届かないけど、紅椿の機動性なら大丈夫」

 

 ふむ、近接型かと思ったが遠距離攻撃も可能か。

 

「次は空烈だけど、こっちは対集団仕様の武器だよん。斬撃に合わせて帯状の攻性エネルギーをぶつけるんだよ!振った範囲に自動で出せるから超便利…じゃあ、これ打ち落としてみてよ。ほーいっと!」

 

 言うなり束さんは十六連装ミサイルポッドを呼び出し、一斉射撃される。

 

「やれる、この紅椿なら!!」

 

 箒は右脇下に構えた空裂を自身が一回転するように振るう。帯状のレーザーが剣筋に添って円を描くように放出され、ミサイル全機を撃ち落とした。なるほど、さすがに束さんお手製だ。なかなかやるじゃないか。…しかし何かがひっかかる。

 

「すげぇ……」

 

 紅椿の性能に声を出す一夏。俺も流石と言いたいところだが…今の箒は、な…

 

「いいねいいね!さっすが箒ちゃん!」

 

 束さんは満足したのかごきげんそうに笑っている。さて、これ以上見ていると千冬さんに怒られるかもしれないのでそろそろ行動を始めようと思っていると

 

「た、大変です!織斑先生!!」

 

 突然山田先生が慌ててやってきた。…何かあったか……。

 

「どうした?」

 

「こ、これを…」

 

 山田先生が持っていた端末を見て千冬さんの表情が曇る。…ただごとじゃないらしい。人の目を気にしてか手話でやり取りをし始めたからな。さすがに内容はわからないが。

 

「全員注目しろ!これより我々は特殊任務に入る。今日のテスト稼動は中止。各班、ISを片付けて旅館に戻れ。一般生徒は自室にて待機すること。以上だ」

 

「え……?」

 

「ちゅ、中止?なんで?特殊任務って……」

 

「状況が全然わからないんだけど……」

 

 やはり状況がまったく読めていないようで騒ぎ出す。当然だろう。

 

「とっとと戻れ!以後許可なく室外に出たものは我々で身柄を拘束する!いいな、これは命令だ!!!」

 

『はっ、はい!』

 

 そして全員急いで準備していたものを片付け始める。さて…

 

「専用機持ちは全員集合しろ!篠ノ之も来い!」

 

「はい!!」

 

 箒の気合の入った返事が聞こえる。…やはりな。そして専用機持ちは宿に戻っていく。

 

「…………………」

 

「「中尉」」

 

 海の方を少し見ていた俺はアリィとレイラに声をかけられる。

 

「早く戻りましょう」

 

「ああ、わかっている」

 

 真面目な話、一応俺らも軍人だ。当然このような状況にも対応するようにも訓練はしている。しかし…腑に落ちない点がある。それに…

 

「…………………」

 

 俺は再び海の方を少し見てアリィ達に続いて宿に戻る。

 

「嫌な予感がする……」

 

 箒のことだろうか…あるいは……

 

 

 

 




真面目な展開になってきました。次話は束に対していろいろひどくなりそうですが。
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