IS<インフィニット・ストラトス> ~白き騎士と黒き暴君~    作:狂戦士

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昨日に引き続き投稿できました。


第27話 作戦開始、VS銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)

第27話 作戦開始、VS銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)

 

 

「では本作戦は織斑・篠ノ之の両名による目標の追撃及び撃墜を目的とする。作戦開始は30分後。作戦要因はただちに準備にかかれ。束、紅椿の調整は任せたぞ」

 

「ん~任されたー」

 

「織斑」

 

「はい」

 

「お前はオルコット達から高速戦闘のレクチャーを受けておけ」

 

「わかりました」

 

 福音は俺と箒で対処することになり、箒は束さんに紅椿の調整をしてもらい、俺は高速戦闘のアドバイスをもらうためにセシリア達の方に向かった。

 

「それでは高速戦闘のアドバイスをさせて頂きます。超高感度ハイパーセンサーを使用されたことは?」

 

「いや、仭に使ったらどうなるか聞いただけで実際に使ったことはない。確か使うと最初の内は世界がスローになったように感じるんだろ?」

 

「うん。操縦者に対して詳細な情報を送るために感覚を鋭敏化させるんだよ」

 

「だから、自分より世界が遅くなったように感じる…けど、最初の内」

 

「注意するのはブーストの残量だな。高速戦闘での残量は普段の倍近い速度で減るから瞬時加速は特に気をつけろ」

 

「それと普段より相対的な速度が上がるから射撃武器のダメージが大きいわね。下手したら1発でアーマーブレイクも有りうるわ」

 

「ああ、みんなありがとな。他にも注意するところがあったら教えてくれ」

 

『………………』

 

「ん?どうしたんだ?」

 

「ちょっと残念なんだ…一夏と一緒に戦えないことが」

 

「私も高機動パッケージが届いたところだったので…是非一夏さんと共に行きたいのですが…」

 

「仕方ないだろう。教官の決めたことだ」

 

「今回の、作戦は零落白夜が鍵になってる…」

 

「だから瞬時加速はあまり使うんじゃないわよ」

 

 鈴が拳を出して俺の腹に軽く当てる。

 

「頼んだわよ一夏」

 

「!ああ…!」

 

 

 

 そして高速戦闘のレクチャーが終わって俺は白式に異常がないか調整をしていた。簡単なくらいだったら俺にもできるようになっている。

 

「…よし、特に異常はないな」

 

 白式の調整も終わり廊下を歩いていると箒を見つけた。

 

「ほ「箒」

 

「仭…」

 

 俺が話しかけようとすると仭が奥から現れて箒に話しかけた。

 

「何か用か仭?」

 

「まあな、箒、いくら強い専用機を持てたからって相手は軍用だ。作戦には冷静に当たれよ」

 

「ああ、わかっているさ。私は大丈夫だ。何せ姉さんの作ったISだ。一夏の方にもさっきのことは言っておいた方がいいんじゃないか?」

 

「…ああ、そうするか」

 

 箒はそのまま仭と別れる。

 

「……で何してんだよお前は。そこの角にいることぐらいわかってるぞ」

 

「…バレたか」

 

 本当に仭はすごい奴だとつくづく思う。

 

「…そんなに俺と箒じゃやっぱ心配か?」

 

「ん?ああ、福音か。別にお前に関しては心配なんかしてないさ。冷静に対処すればお前なら大丈夫だ」

 

 俺が何を言いたいのかわかったのか仭がそう言ってくる。

 

「一夏、気をつけろよ」

 

「ああ、俺の白式と福音は相性が悪いからな。しかも軍用だから充分に気をつける」

 

「それもだが箒にも気をつけろ」

 

「!どういう意味だ?」

 

「お前も薄々感づいてるだろ?今の箒は完全に浮かれてる。さっきの忠告も本人は否定してたが浮かれてる様子だったからな。大方専用機が手に入ったのと性能の強さに浮き足だってるんだろ。…あのままでは作戦に支障が出るかもしれない」

 

「じゃあ箒を今回の作戦から降ろした方が良いんじゃないか?」

 

「…俺もそう思ったが状況が状況だし箒のことも考えると逆効果になるだけで多分変わらない。だから一夏、できるかぎりお前が意識しておいてくれ」

 

「ああ、わかった」

 

「ん、改めて言うが気をつけてな。くれぐれも5体満足で帰って来い」

 

「そこは無事に帰って来いって言えばいいんじゃないか?」

 

「違いない」

 

 そう言って俺は仭と別れる。

 

「織斑先生」

 

 後ろを向くと仭と千冬姉が何か話していたがその内容は聞き取れなかった。

 

 

 

 時刻は11時半。現在砂浜には俺と箒がいる。

 

「来い、白式!」

 

「行くぞ、紅椿!」

 

 砂浜に俺の白式と箒の紅椿が展開される。紅椿の背中に乗るための準備を始める。

 

「じゃあ、箒よろしく頼む」

 

「本来なら女の上に男が乗るなど私のプライドが許さないが、今回だけは特別だぞ」

 

 …箒はどこか喜色を含んだ声で、それは仭の言う通りどこか浮かれている様子だった。

 

「それにしてもここに私達がいた事が幸いしたな。私と一夏が力を合わせれば出来ない事はない。そうだろう?」

 

「ああ、けど箒、これは訓練じゃないんだ。仭も行った通り注意して…」

 

「無論解っているさ。どうした、怖いのか?心配するな。私がちゃんと運んでやるから大船に乗ったつもりでいれば良いさ」

 

 …やはり仭の指摘は的を得そうだった。

 

「あのな、箒―――『織斑、篠ノ之、聞こえるか?』

 

 ISのオープン・チャネルから千冬姉の声が聞こえた。

 

『今回の作戦の要は一撃必殺(ワンアプローチ・ワンダウン)だ。短時間での決着を心がけろ』

 

「了解」

 

「織斑先生、私は状況に応じて一夏のサポートをすればよろしいですか?」

 

『そうだな。だが無理はするな。お前はその専用機を使い始めてからの実戦経験は皆無だ。突然なにかしら問題が出るかもしれない』

 

「わかりました。できる範囲で支援をします」

 

『―――一夏』

 

「はい」

 

『これはプライベート・チャネルだ。篠ノ之には聞かれない。どうも篠ノ之は浮かれているな。あんな状態では何かをし損じるやもしれん。いざというときはお前がサポートしてやれ』

 

「わかってます。仭にも言われたので注意を払っておきます」

 

『頼むぞ』

 

 それから再びオープン・チャネルに切り替わる。

 

『では始め!!」

 

「では、行くぞ!」

 

「おう!」

 

 俺を乗せた紅椿は一気に瞬時加速を越えたスピードで飛翔する。…速い。

 

「暫時衛星リング確立…情報照合完了。目標の現在地を確認…一夏、一気に行くぞ!!」

 

「おう!!」

 

 脚部と背部装甲がスライドし、展開装甲からエネルギーがさらに噴射する事によって、さらに加速した。しかし俺はそんな中どうにも箒のこととは違う不安があった。

 

(何だ?この感じは…)

 

「見えたぞ、一夏!」

 

(っ、どちらにしろそんなことを考えている暇はなさそうだ)

 

 箒の言葉に俺はハイパーセンサーで目標を表示する。

 

「あれが福音…」

 

 銀の福音の名前にふさわしく、全身が銀色になっている。そして、頭部から生えてきている一対の翼。大型スラスターと広域射撃武器を融合させたものらしい。

 

「10秒後に接触する…構えろ!!」

 

 その言葉に俺は雪片弐型を握り締め、零落白夜を発動する準備をする。

 

「うおおおぉっ!」

 

 零落白夜を発動。しかし光の刃が福音に触れる直前、福音は反転。雪片弐型を避ける。

 

『敵機確認。迎撃モードに移行。『銀の鐘(シルバー・ベル)』、稼動開始』

 

 抑揚のない声と共に、翼が開かれる。仭の言った通りならマズイ!!

 

「箒!いったん体制を立て直すぞ!」

 

「了解した!」

 

 俺達は『銀の鐘』が稼働する前にすぐに離れる。すると翼の内側には合計36個の砲門。その砲門から一斉に光の弾丸が撃ちだされた。

 

「…くそっ!」

 

『La…♪』

 

 

 

 

 

*仭サイド

 

 

 

 

 

「…中尉」

 

「何だレイラ?」

 

 現在、俺とレイラは一夏達が福音に向かう前より早く海上にいて、一夏達の戦いを遠くから見守っていた。なぜいるかと言うと万一福音がそのまま旅館の方に向かって行ったら止めに入るためである。…表向きはだが。

 

「念のために言っとくが千冬さんには許可は取ってあるぞ」

 

「そんなことを聞こうとしたんじゃありません」

 

「じゃあ何で福音を一緒に倒しに行かないのかってか?」

 

「はい」

 

「あいつらがいると俺も全力を出せんしな」

 

「そうですけど…」

 

「心配するな。本当にマズイと感じたら援護に向かう」

 

「でもあの2人なら大丈夫じゃないんですか?」

 

「一夏は私情抜きにしてもそうだが箒はそうはいかん」

 

「浮かれている…からですか?」

 

「ああ、今のあいつははっきり言って力に溺れている」

 

 俺達が本当に来た目的は箒の件である。千冬さんにだけは本当の理由を言って一夏達にも極秘でここに来ていた。

 

「だがそれだけじゃない」

 

「なら何ですか?」

 

「このことは正直俺ももっと早く気付いてあいつらに伝えとかなきゃいけなかった。紅椿についてだ」

 

「?篠ノ之博士があのISは他のISの現スペックを上回るっていってたじゃないですか」

 

「確かにそうだ。ならレイラ、白式の零落白夜の弱点は?」

 

「…エネルギーを使い過ぎることですか?」

 

「そうだ。そして紅椿には全身に雪片弐型と同じ展開装甲が仕込まれている」

 

「…ということは!!」

 

「多分お前の考えは当たってるだろう」

 

「紅椿もエネルギーを使い過ぎる?」

 

「ああ、展開装甲が使われている白式の弱点、零落白夜によるエネルギー切れは発動する時間を減らさせたが紅椿は全身だからそういう応用が効かん。強すぎるが故にエネルギーを多く使う。白式と同じ、いやそれ以上の短期戦向けのISだ」

 

「で、でも今回は一撃必殺(ワンアプローチ・ワンダウン)だから大丈夫じゃ?」

 

「白式はともかく、紅椿はそうはいかん。あれだけの速さで一夏を運んだんだ。それは=エネルギーを多く使ったってことだ」

 

「じゃあ、篠ノ之博士はミスをしたってこと?」

 

「それはおそらくない。多分何かしら能力が隠れてるだろうがあいつは専用機を使って数時間しかたってない。このタイミングでそんな都合いいことはそう起こらないだろう」

 

「…………」

 

「…正直俺も福音があそこまで速いとは思わなんだ。紅椿はあのスピードに追いついているが白式が駄目だ」

 

「…このままじゃマズイんじゃ」

 

「ああ、紅椿はどのくらいエネルギーを持ってるか知らんがもういつガス欠になってもおかしくない。白式も瞬間的な零落白夜を使ってるがエネルギー切れになるのはそう遠くないし…!?」

 

 故に一夏達のところに向かうと言おうとしたところ、予想外のことが起こったことを剣闘士を通して知った。

 

「どうかしました?」

 

「…マズイな。一夏達のところに向かう。説明は後だ!」

 

「えっ?了解!」

 

 マズイな、手遅れにならなきゃいいが。そう思いつつ俺はレイラの背中に乗り、一夏達のもとへ向かう。

 

 

 

 

 

*一夏サイド

 

 

 

 

 

「箒、左右から同時に攻めるぞ。左は頼んだ!」

 

「了解した!」

 

 現在俺達は福音と交戦している。福音は仭の言う通りかなり厄介な相手で、俺たちの攻撃がまともに当たらず、福音には掠る程度であった。よって追いつけないなら、追いつけるようにするまでということで、福音に2面攻撃を行うことにする。

 

「一夏!私が動きを止める!!」

 

「わかった!」

 

 箒は2刀流で突撃と斬撃を交互に繰り出す。さらに背部の展開装甲が開き、ビットのように自動で射出し、それにより発生したエネルギー刃が攻撃に合わせて自動で射出、福音を狙って動きを止めた。

 

「はあああっ!!」

 

 これならいける!そう思ったがそこに福音の前面反撃が待っていた。

 

『La………♪』

 

 翼はその砲門すべてを開き、全方位に向けての一斉射撃。

 

「やるなっ……!だが押し切る!!」

 

 箒が光弾の雨を紙一重でかわし、迫撃する。福音に隙ができた。

 

「っ!」

 

 だが、俺は福音とは真逆の直下海面へと全速力で向かう。

 

「一夏、何をしている!?せっかくのチャンスを!!」

 

「船がいるんだ!海上は先生たちが封鎖したはずなのに―――ああくそっ、密漁船か!!」

 

「一夏!そんな奴らに構うな!」

 

「駄目だ!見殺しには出来ない!」

 

 続いてくる光弾の雨を俺は零落白夜でかき消す。瞬間的な零落白夜を覚えていなければ今頃エネルギー切れになっていただろう。しかしどのみちエネルギーが少ない。

 

「馬鹿者!犯罪者などかばって!!そんな奴らは放っておけば…」

 

「箒!!」

 

「ッ―――!?」

 

「箒、そんな寂しいことは言うな。…言うなよ。力を手にしたら、弱い奴のことが見えなくなるなんて……どうしたんだよ。らしくない、全然箒らしくないぜ」

 

「わ、私は……」

 

 箒は明らかな動揺をその顔に浮かべ、それを隠すかのように手で覆う。そのときに落とした刀が光の粒子となって消える。

 

(やばい!具現維持限界(リミット・ダウン)だ……!)

 

 具現維持限界―――つまりエネルギー切れだ、そして今は訓練ではなく実戦である。

 

「箒ぃぃぃっ!!」

 

 俺は残りのエネルギーを全て注ぎ込み、瞬時加速を行う。ISはシールドエネルギーが無ければもろい。視線の先では福音が一斉射撃モードへと入っており、その標準は箒にかかっていた。

 

(間に合え!!)

 

 そしてちょうど発射されるタイミングで俺は箒と福音の間に入り込み、箒を庇う様に抱き締める。

 

「ぐあああああっ!!」

 

 爆発光弾が一斉に背中に降り注ぎ、シールドバリアで相殺し切れないほどの衝撃が連続で続き、みしみしと骨があげる軋みが聞こえる。同様に悲鳴をあげる筋肉、アーマーが破壊され、熱波で肌が焼かれるのを感じる。気が狂いそうな痛みの中、俺は箒を見る。

 

(…良かった。無事だったんだ…何だ?何泣きそうな顔をしてるだよ。らしくねぇなぁ…ああ、リボン焼けちゃったか。…それにしてもふーん、髪を下ろしても悪くねぇじゃん…)

 

「一夏っ、一夏っ、一夏ぁっ!!」

 

 俺と箒は爆発で海に落ちていき、福音の姿を最後に俺の意識はそこで途絶えた。

 

 

 

 




次話は福音と仭が戦います。
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