IS<インフィニット・ストラトス> ~白き騎士と黒き暴君~    作:狂戦士

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タイトル通り仭による時間稼ぎです。


第28話 剣闘士による足止め

第28話 剣闘士による足止め

 

 

 一夏が福音によって落とされる少し前。

 

「密漁船!?」

 

「ああ…福音の攻撃から、護ろうとする奴がいるだろうからな…急がなければいけない!」

 

「…見えた!!えっ!?けど様子が…」

 

「…どうやら密漁船は無事だったみたいだが、箒は救おうとはしなかったみたいだな。てか何やってやがるあの野郎共…」

 

 あの馬鹿…。やはり力に溺れてたか。人の命の重さを理解すらしていない奴があんな行動を取るとは…周りが反対してでも他の奴に行かせた方がやはりよかったか。というかこんな状況の場合の対処の仕方は教わってないのか?

 

「……!?具現維持限界(リミット・ダウン)!?」

 

「しかも実戦だぞ!?何やっているんだあいつらは!!」

 

 一夏が何か言って箒が顔に浮かべた動揺を隠すかの様に手で覆っていた。敵の前であんな無防備な姿を見せたら…。

 

「…ちっ!間に合え!!」

 

 紅椿ほどのスピードをレイラは持っていないため俺は干将・莫耶を合わせて3本を展開、『壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)』として全力で福音に投げる。たとえ避けようとしても攻撃をかわすために射撃を中断せざるを得ないはずだ。…ただこの攻撃が間に合うかどうかだがそれは実にぎりぎりである。

 

「…後少し!」

 

 今の箒があんな攻撃を受けたら下手すれば死んでしまう。そして

 

「…駄目k「箒ぃぃぃっ!!」――!?」

 

 結果間に合わず箒が福音の総攻撃を受けようとしたその時一夏が箒と福音の間に入り込み、箒を庇う様に抱き締め、福音の攻撃をその背中に受けた。

 

「一夏っ、一夏っ、一夏ぁっ!!」

 

 そのまま箒とともに海に落ちる一夏。…どの道マズイ。

 

 

ドゴォォ!!

 

 

 先ほど投げた光る短剣が福音に当たり、爆発する。

 

「レイラ!今すぐ一夏と箒を回収、旅館にただちに戻れ!!ただし一夏のことも考えて運べよ」

 

「中尉は?」

 

「俺達が撤退するのを黙って見てるとは思えない。…少し遊んでやる」

 

「でも…」

 

「いいから早く行くんだ!こうしてる間も一夏はさらにマズイ状態になって来ているんだ!別に最後までやりあう気はない。福音が怯んでいる内に早く行け!!」

 

 爆発によるダメージで怯んでいる間に俺はレイラに指示を出す。そしてレイラが海の方に向かっている間に福音が爆風から姿を表す。

 

『La…♪』

 

「…………」

 

 そしてすぐに銀の鐘による爆発光弾が放たれるが俺は展開した両手のブレードで弾き、福音に1太刀浴びせ、距離をとろうと離れる福音に『発勁』をくらわす。

 

「さて、奴らの仇を取ってやらなきゃ気が済まんな」

 

 まあ、死んでいないし最後までやりあう気もないがな。福音の気をひくため殺気を最大限に出し、敵対意思を出す。

 

『…敵レベルをAと断定。最大の攻撃で撃墜します』

 

 おいマジか?殺気でレベルAって…俺自身はとにかく警戒はされているみたいだ。気をひくには成功したからよしとしよう。…急いで離脱しろよレイラ。しかし相手が人が乗っていてよかったと思うべきかもしれんな。

 

「相手がもし無人とかだったら俺はぶっ壊していただろうな」

 

 それに福音の操縦者であるナターシャさんのこともある。彼女にはアメリカで軍にいたときずいぶん世話になったからな。早く助け出したいという気も当然あるが、今はレイラが離脱する時間を稼いで俺も離脱することが最優先だ。

 

「さあかかって来な福音」

 

 福音は銀の鐘36門を回転しながら放ち、福音の周りに光弾が放たれる。

 

「ふん」

 

 俺は距離をとって向かってくる光弾をブレードで全て弾くが、その間に福音が瞬時加速をして突っ込んでくる。 

 

「くっ…」

 

 福音による蹴りをなんとか避け、反撃の1太刀を浴びせ、再び距離をとる。

 

『La…♪』

 

「…このヒット・アンド・アウェイ戦法は続けるのは厳しいな」

 

 おそらくこれの繰り返しで福音の接近攻撃を万一避けられない、もしくは受け止められなかった場合はその後の銀の鐘による光弾の雨を零距離でくらうことになるだろう。

 

「…まったくアリィでもいればもっと楽に時間を稼げるのだがな」

 

 だがいない奴のことを考えても仕方がない。例え俺とアリィで来ていたとしても福音は結局俺1人で相手だったろうしな。

 

「さてこんなものか?銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)よ?」

 

 俺は再び時間稼ぎを始める。福音の高出力の多方向推進装置(マルチスラスター)の精密な急加速で正直相手にするのが厳しい。まあ、相性が悪いぐらいでやられるわけはないがな!!

 

 

 

 

 

*千冬サイド

 

 

 

 

 

「……剣闘士、もうすでに数十分近く福音と交戦しています」

 

「…………」

 

 一夏と篠ノ之が作戦に失敗し、現在仭が1人福音相手に戦闘しているという情報が入った。

 

「中尉……」

 

 マーフェウスも心配そうに声を出す。

 

「剣闘士の状態は?」

 

「…ダメージを受けていますが、戦える状態ではあります」

 

 なるほど、しかしいくら奴でもいつまで保つか…。するとラウラが突然立ち上がり、部屋を出ようとする。

 

「ちょっとあんた!どこに行くのよ!?」

 

「そんなの決まっている、師匠の援護に向かうんだ」

 

「お待ちなさい!いくらあなたでも福音が相手では返り討ちにされるだけですわ!」

 

「そうよ!今行ってもただやられるだけよ!」

 

「…いくら何でも危険……」

 

「ならこのまま黙って見てろと言うのか!?私は1人でも行くぞ!!」

 

 そして部屋から出ようとしたところを、私が止める前にマーフェウスが部屋の入り口の前に立ってラウラを止める。

 

「…どけ」

 

「どきません」

 

 ラウラの殺気を含めた言葉に意にもかかさずマーフェウスは頑なにどかない。

 

「どけと言っている!!」

 

「………」

 

 ラウラは平手打ちをかまそうとしたがその手はあっさり止められた。

 

「…何故だ?お前は師匠の事が心配じゃないのか?」

 

「…心配ですよ。でもあなた達を行かせるなって彼から言われているんです」

 

「何!?」

 

「…ああ、私にも『もし福音と戦うことになっても誰も行かせないでください』と聞かされている」

 

「教官…」

 

 おそらく、だから機動力のあるオルコットと更識を差し置いてまでハーベストを連れて行ったわけか。

 

「…仭は福音と戦う可能性があるのをわかってたんだね、だから僕達にも秘密にして機動力のあるセシリア達にも話さずに行ったんだ」

 

「何!?」

 

「どういうことシャルロット!?」

 

「仭さんはこうなることがわかっていたんですの!?」

 

「私達を連れて、行かなかったって?」

 

 デュノアの言葉に4人は問う。

 

「…一夏達がもし福音に負けて仭と誰かがその場にいたなら福音と一夏達の救助のどちらかにしなければいけない」

 

「…シャルロットの言う通りです。中尉はセシリアや簪では一夏さん達を助けて帰還しようとしても中尉のことを気にかけてしまうだろうって」

 

「なるほどな、だから誰にも話すなと私に言ったわけか」

 

 一方が一夏達を救出、そして仭は福音相手に時間稼ぎ、か。仭を見捨てるような行為を確かに小娘たちはするのを躊躇うだろうしな。マーフェウスとハーベストの機体を比べるとハーベストの機体の方が機動性がよかったから連れて行ったのだろう。

 

「…だが……」

 

「わかってます。中尉にとって相性が悪い相手であることは…けど大丈夫だと思います」

 

「?なぜ言い切れる?」

 

「中尉の相手する時に1番やっかいなのは頑丈さと負けん気ですから。勝とうとさえしなければ私とレイラの2人がかりでも楽に耐えられます」

 

『本当なの!?(か!?)(ですか!?)』

 

「はい」

 

 なるほどな、こいつが信頼するもっともな理由がこれか。まあ、それ以外もあるのだろうが。

 

「!織斑先生!!救助に向かった教師陣とともに織斑君達が帰還してきました!!」

 

「そうか、医療班の準備を!私も行く!!」

 

「はい!」

 

「山田先生、中尉にもこのことを伝えてください」

 

「わかりました!!」

 

 そして私は5人とともに部屋を出る。

 

 

 

 

 

*仭サイド

 

 

 

 

 

「…ふぅ、しんどいな」

 

『La…♪』

 

 福音の一斉射撃が俺めがけて放たれた。刀身をエネルギーの刃に変化済みのブレードクローの状態で全てカッ消す。しかし福音は射撃を行いながら俺に接近し拳や蹴りが繰り返される。

 

「はあ!!」

 

 無論そこそこ生身での肉弾戦で鍛えてるためかわして反撃する。

 

「…っと」

 

 あー、もう正直しんどすぎる。勝とうとしない戦闘では自慢じゃないがそこそこ持ちこたえられる。…ただそれは相手が人間の場合であって。

 

『…………』

 

 人は乗っているが人の意思関係なしの暴走状態の場合は別である。何せ機械のように同じような戦法をしてもミスをほぼしない。だからさっきから同じようにやっているが俺は攻撃の避けそこねを受けている。

 

「はあ、前回のVTシステムといい、こう何でこういう奴ばっかと戦うことになるんだか…」

 

 と思わず言ってしまう。するとオープン・チャネルから

 

『黒崎君黒崎君黒崎君黒崎君黒崎k「何度も言わないでいいです、聞こえてますから」――ああ、よかったまだ大丈夫のようですね!』

 

 山田先生が話しかけてきた。正直うるさいとどなりたくなったが中断した。なぜ?今実戦だぞ?福音の一斉射撃がまた来たんだよ!!!!

 

「山田先生?こっちも悠長に話してる暇がないんで用件だけ言ってください」

 

 爆発光弾をいなしながら言う。

 

『あっ、はい、織斑君達が帰還しました!!』

 

 やっとか。ならやっと帰還できる。

 

「わかりました。俺も何とか帰還します」

 

『了解しました…ところであの、福音と戦っている最中に話していたんですか?』

 

「現在進行形で戦いながら話してます」

 

 ちなみに現在進行形で福音が近づいてくる。そして未来進行形ではおそらく肉弾戦になるだろう。てか普通じゃない?軍の連中は話しながら戦闘ぐらい全員できるぞ?

 

『…では切ります。…黒崎君ってマーフェウスさんの言った通り人外並なんですね』

 

 聞こえてるぞそこ!!せめて切ってから言えや!!てかアリィこの事件に決着ついたらしばく!!

 

「まあ、それはさておき…」

 

 俺は福音に蹴りをかまして距離をとる。

 

(さて…どう撤退するか。…負担かかるがやはりあれか?)

 

「…仕方ねえ、『疵獣咆哮(マッスル・リベンジャー)』によるパワーも満タンだし、とっとと撤退するか!」

 

 そして俺は福音との戦闘で唯一残った干将・莫耶3本全てを展開、そして『壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)』として回転を加えながら投げる。

 

『敵投影武器を確認、排除行動に移す』

 

 まっ、1度くらった物をまたくらうとは当然考えていない。それに不意をついてないため射撃であっさり撃ち落とされる。…だが時間稼ぎとしては()()だ。

 

『………!?』

 

 福音が気付いたようだがもう遅い。俺はすでに瞬時加速の準備をしている。もちろん…普通の瞬時加速じゃないがな!!

 

 

ドォン!!

 

 

 俺が行ったのは、『疵獣咆哮(マッスル・リベンジャー)』によって蓄えたパワーを使って行った瞬時加速、『光速の突撃(ライトニング・チャージ)』。その名のとおり、光速のごとき瞬時加速だ。福音は射撃体制だったが、この瞬時加速をした後に対応をしたのでは、()()()()

 

 

ドゴォン!!

 

 

『ガ……!?』

 

「どうやらこんなに速く瞬時加速をしたのがまだ認識できてないようだな」

 

 俺は福音の腹に渾身の拳で殴りつける。不意の一撃に『光速の突撃(ライトニング・チャージ)』の速さが加わってかなりのダメージになった筈である。

 

「はあ!!」

 

 そして追撃とばかりに上から殴り、福音を海に叩き落す。

 

「…ぐっ!?…やはりかなりの負担がかかるか…」

 

 『光速の突撃(ライトニング・チャージ)』にもその速すぎるためにデメリットが当然ある。1つは『疵獣咆哮(マッスル・リベンジャー)』によって蓄えたパワーを使いすぎること、もう1つはISの絶対防御を無視して肉体にかなりの負担がかかることである。

 

「くっ…だが福音が立ち直る前に俺も撤退するとしよう……」

 

 そして俺は福音が落ちた海の方を見る。

 

「…必ず助けますナターシャさん、だからもうしばらく辛抱してください」

 

 聞こえてはいないだろうが俺はそう言い残し、旅館へ逃げるように撤退する。

 

(…一夏は無事だろうか)

 

 俺は一夏の容態を気にかけていた。

 

 

 

 




なかなか戦闘書くのが難しい。そう思うこのごろです。
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