IS<インフィニット・ストラトス> ~白き騎士と黒き暴君~ 作:狂戦士
第30話 白の復活に黒との出陣
「失礼します」
俺は扉を返事も聞かずに開ける。
「…何の用だ?今は待機を命じているはずだろう」
「話があっt「織斑先生!!大変です!!」
「どうした?」
俺が言おうとすると山田先生に遮られた。どうやらただごとじゃないらしい。
「IS反応があります…あの子達が!!」
「何!?」
「…あの、馬鹿共が…」
俺は頭を抑えたくなった。釘は刺しておいた、あいつらだけでは危険すぎるというのに……。
*第3者サイド
「……………………」
海上200メートル。そこで静止していた『
「――?」
不意に福音が顔を上げる。次の瞬間、超高速で飛来した砲弾が頭部を直撃、大爆発を起こした。
「初弾命中。続けて砲撃を行う!」
5キロ離れた場所からの砲撃。レールカノンが左右に1つ。正面と左右には4枚の物理シールドをつけられている。それは砲戦パッケージ『パンツァー・カノニーア』を装備したシュヴァルツェア・レーゲンによるものだった。
(敵機接近が予想よりも早い!何なんだこの加速は…!?)
砲撃を受けた福音は反撃行動に移り、超高速でラウラに接近する。その間にも飛来してきた砲弾は半数以上が打ち落とされ、福音がラウラに右手を伸ばす。今のシュヴァルツェア・レーゲンは機動性には欠け、この攻撃は避けられない。その筈だがラウラの口元は笑っていた。
「――セシリア!!」
伸ばした腕が突然上空から垂直に降りてきた青1色の機体、強襲用高機動パッケージ『ストライク・ガンナー』を装備したブルー・ティアーズによって弾かれる。6機のビットはスカート状に腹部に接続され、銃口が塞がれているためにスラスターとして活用。
頭部には時速500キロを超える速度下でも反応を補うためにバイザー状の超高感度ハイパーセンサー『ブリリアント・クリアランス』、そして手に持つ2メートルほどある大型レーザーライフル『スターダスト・シューター』を使っている。
『敵機Bを確認。排除行動に移す』
「遅いよ!」
反撃に出ようとした福音を、後ろから別の機体が襲う。それは先程の突撃時にセシリアの背中に乗っていた、ステルスモードのシャルロットの攻撃だった。
ショットガン2丁による近接射撃を背中に浴び、福音は姿勢を崩す。けれど決まったのは1度きりで、すぐさま3機目の敵機に対して『
『優先順位を変更。現空域からの離脱を最優先に』
福音が3人から距離を置くため、反対方向に加速。
「させるかぁ!!」
だがそこには海面から飛び出してきた『紅椿』、その背中に乗った『甲龍』、そして『打鉄弐式』がいた。
「逃がさないわよ!」
福音へと突撃する紅椿。その背中から飛び降りた鈴は、機能増幅パッケージ『崩山』を放った。パッケージをつけたため龍砲が2門から4門に増設、通常時の「不可視の弾丸」ではなく「赤い炎を纏った弾丸」を放つ拡散衝撃砲が福音に向かって撃ち続けられた。
「はああああぁっ!!!」
箒は鈴から離れ、福音に突撃して刀を振り下ろすものの上空に避けられる。
『銀の鐘、最大稼動…開始』
「そうは…いかない」
福音が銀の鐘を放とうとした瞬間、後ろから簪が第3世代技術のマルチロックオン・システムによって6機×8門のミサイルポッドから最大48発の独立稼動型誘導ミサイルを発射する最大武装『山嵐(やまあらし)』を発動する。福音はすぐにミサイルに反応し、全弾はくらわなかったが体制を崩した。
「今のうち!」
「言われなくても!」
直下からの鈴の斬撃、先程の攻撃を受け、ダメージが蓄積されていた右翼は鈴の斬撃と衝撃砲によって完全に停止し爆発を起こす。しかし即座に体勢を立て直した福音は脚部スラスターと左翼のスラスターで急加速し、鈴に接近。脚部スラスターでスピードが上がった回し蹴りをくらわして鈴を海へ墜とす。
「鈴!おのれ!」
箒は一瞬反応を失った福音へ斬りかかる。『空裂』の刃から放出されるエネルギーで福音の装甲を焼き切り左翼のスラスターを切り落とす。ついに両翼を失った福音は崩れるように海面へと墜ちていった。
「終わったな…」
「ああ、私達の…」
私達の勝ちだとラウラが言おうとした瞬間、海面が球状に蒸発する。そしてその中心、青い雷を纏った福音が自らを抱くかのようにうずくまっていた。
「マズイ、これは…第二形態移行(セカンドシフト)だ!!」
ラウラの言葉に全員が息を呑む。
『キシャアアアアアアッ!!』
咆哮と共に福音の翼が切断された頭部にエネルギーの翼が生える。そしてエネルギーの翼を広げ、福音の頭上にエネルギーが集められ、荷電粒子砲並の威力を持つ攻撃を箒達に向けて放った。
*一夏サイド
ザザァン…ザザァン…
「……あれ?ここは……」
波の音に白砂がしきる世界に、いつの間にか制服を着ている状態で俺は立っていた。そして海の方を見るとくるぶしまで水に浸かっている白いワンピースに白い帽子をかぶっている少女を見つけた。少女へと近づいていくと
「呼んでる…行かなきゃ」
「呼んでる?誰が……!?」
少女が突然何かを言い出し、質問をするがさっきまでいたはずの少女がいなくなっていた。
「―――力を欲しますか?」
「え?」
声がしたほうを振り向くと、膝下まで海に沈め、白の甲冑を身に纏い、大剣を逆手に海に突き刺す騎士がいた。その顔は下の部分しか見えず、表情が伺えないが、女性である事だけは分かる。しかも背景はさっきの青空ではなく、夕方の風景に変わっていた。
「力を欲しますか?何のために?」
「んー?難しい事聞くなぁ…そうだな、俺は力が欲しい。仲間を…守るために」
「仲間を…」
「何ていうか、世の中って色々と戦わないといけないからさ。道理のない暴力だって結構多い。そういうのから出来るだけ仲間を助けたいと思う。この世界で一緒に戦う、仲間を…」
「そう…」
騎士は静かに、短く答える。
「だったら、行かなきゃね」
「えっ?」
隣にはさっきいなくなったはずの少女がいて、俺の手を掴む。
「ほら、ね?」
「ああ…」
そういえば…さっきの騎士に見覚えがあった。昔、日本に向けて放たれたミサイル2341発の内、約半数を1人で破壊したという
白騎士に――――
*仭サイド
「ちっ…あいつらと早く合流しなければ…」
福音を倒しに行った馬鹿達を追いかけるために俺は砂浜にいた。
(まったく、私情に流されては駄目だと俺が言ったばかりだろうが)
「仭!」
後ろからまず聞こえてくるはずのない声が聞こえた。後ろに振り返ると重症を負って未だに意識が戻らないはずの一夏がいた。
「「一夏!?」」
一夏の後ろの方に千冬さんの姿もあった。おそらく一夏の姿が見えたか、部屋に一夏の姿が見えなかったなどで砂浜に来たんだろう。…そんなことより
「一夏、お前傷は?いやそれ以前に動けるのか?」
「ああ、大丈夫だ」
「そうか…お前の仇を討とうと専用機持ちの馬鹿6人が命令違反で福音を倒しに行った。…奴らの状況はかなりマズイ、今から俺も向かうところだ」
「1人でか?」
「これ以上専用機持ちを行かせたらここが手薄になるからな」
「……千冬姉」
それを聞くと一夏は千冬さんの方を向く。
「何だ一夏?」
「俺を行かせてくれ」
「!正気か!?」
「傷は治ったし、ちゃんと動ける。だからあいつらを助けに俺も行かせてくれ」
「…………」
…やれやれ。
「織斑先生、行かせてやってください」
「仭…」
「今度は絶対に負けない。だから行かせてくれ千冬姉!!」
「…絶対に生きて帰って来い」
「当然」
「そうか…では命令だ。あの馬鹿達を仭と共に助けて来い」
「はい!!」
…さて
「乗りな一夏」
俺は剣闘士を展開、一夏を背中に乗せるための準備を始める。
「仭…大丈夫なのか?」
「ああ、お前の零落白夜があった方が福音倒すのが楽だ。福音のところに行くために使うエネルギーくらい俺が受け持ってやる」
「ありがとな」
一夏が白式を展開したらしく、俺の背中に乗る。
「じゃあ行くぜ、『暴食』!」
そして単一仕様能力によって作られたエネルギーが満タンになる。
「さて、箒の紅椿ほどじゃないが、けっこうな速さで行かせてもらうぞ!!」
「充分だ!!」
そして俺は『
*箒サイド
「ぐっ……」
他の仲間は第二形態移行した福音により、ほぼ戦闘不能に追い込まれ、私はエネルギーの翼で包み込まれかけていた。
(…会いたい、一夏に会いたい)
未だに目覚めていないであろう人物に会いたいと願う。そしてエネルギーの翼に包まれ、零距離から銀の鐘を受けると覚悟を決めかけたその時
ドオオン!!
突然福音が強力な荷電粒子砲に吹っ飛ばされた。その攻撃が来た方向を見るといつもの姿とは違う白式を纏った一夏だった。
「俺の仲間は誰1人としてやらせやしねぇよ」
「い、一夏?一夏なのか!?」
「ああ、待たせたな箒」
「もう動いて大丈夫なのか!?き、傷は…?」
「大丈夫だ、それより箒も大丈夫か?」
「あ、ああ」
「よかった。それとリボン焼けちゃったな。でもちょうどよかったかもしれない」
そう言って私にリボンを一夏は渡してくる。
「これは…?」
「誕生日おめでとう。今日はお前の誕生日だろ」
「あっ…」
7月7日、覚えていてくれたのか。
「じゃあ…俺は行ってくる。まだ決着がついてないからな」
*仭サイド
一夏が箒と話してる間俺は残りの馬鹿5人に下がるよう言った。一部は苛立っていたようだが苛立ちたいのはこっちの方だってんだ。ったく、俺1人で福音を倒しに行く予定だったのを狂わせた挙句に福音がどうもやばそうな感じになってるってのはどういうことだ!?
ん?死亡フラグ的な台詞は終わったのだろうか?箒との話を終えた一夏が俺の隣に立つ。
「待たせたな仭」
「ああ、それにしてもある意味お前を乗せてエネルギーを使わせなかったのはよかったかもしれんな」
俺は第二形態移行したらしい福音を改めて見る。頭部からエネルギーの翼が生えており、さらに全身からエネルギーの翼のようなものを出している。
「どうやら防衛機能として無理やり第二形態移行したのだろう。操縦者の身をそれほどまで守ろうとするとは…敵ながらあっぱれだ」
「褒めてる場合じゃないぞ」
「わかってるって。というかお前もいつのまにか第二形態移行してるし…」
背中に乗っけてたときは気付かなかった。気付いたのは一夏が荷電粒子砲を放ってからである。一夏曰く『第二形態・雪羅』という名称らしい。大型化したウイングスラスターが4機備わってあってどういう能力を秘めているかは俺もまだ知らん。
『状況変化。敵レベルをSと断定。現空域からの離脱も不可能と断定。リミッターを解除します』
「よかったな。お前を見てそう言ったってことはそれだけ強さを認められたってことだ」
「全然嬉しくねえよ馬鹿野郎!!」
「冗談だ。…さて俺も
「!?」
一夏が俺の言ったことの意味がわからなかったようだが気にしない。ハイパーセンサーの下にあるファイルを開く。
『ロック解除…リミッターを解除します」
そしてシールドエネルギーがMAXになり、スペックが上がる。
「さて、剣闘士の全力の力を見せてやろう」
「お前、今まで本気じゃなかったのか?」
「正確には少し違うな。もともとこのリミッター解除はこういう軍用ISとかを相手にするときのみに発動を許可されたものだ。だから全力を出さなかったというよりお前らと同じ舞台に立っているために出せなかったというべきだな」
「……………」
「ああ、勘違いするなよ。別にお前らを格下と思っているわけじゃないし、これを使うとスペックは上がる。それで軍用ISとも渡り合えるからこれは本当に緊急のときだけしか使えないんだ」
能力がチートみたい?言っとくがこれは剣闘士の能力ではない。これを解放すると競技用ISとしてみられないだろうから普段は使わん。
「じゃあお前が最初から行けばよかったんじゃないのか?」
「馬鹿野郎。こっちにはいろいろと事情ってのがあってそう気安く使えないんだよ」
主に国とか委員会とかデータ盗もうとしてる奴とか。…束さんに後で頼んでおこう。
「まあ、これを使うと判断したからお前を運んだわけだが」
「てかシールドエネルギー回復するんなら『暴食』を使っていた方がよかったんじゃないか?」
「悪い、エネルギーを確かに全回復させて量も増えるがそういうのはリセット、つまり除去されちまうから意味ないんだわ」
不便だがそんなことはしょうがない。
「…まあ、無駄話はここまでにするか」
福音を見るといつこちらに襲いかかってもおかしくない状態だ。
「ああそうだな」
「念のため言っとくが最初相手にしたときより確実に強いぞ。おまけに第二形態になってるし」
おそらく俺1人だったら殺す気でいったとしても厳しいだろう。
「ああ、わかっている。…絶対に勝つぞ!!」
「何を当たり前なことを…もし死んだら地獄でも千冬さんに殺される」
「それは有り得ない話じゃないかもな」
そう他愛もない話をする。そして俺と一夏はそれぞれ両腕にブレードクロー、雪片弐型を構える。
「行くぜ!!」
「絶対に仕留めるぞ!!」
福音目掛けて突っ込む。福音も全身のエネルギーの翼からエネルギーの弾丸を撃ち出してくる。…上等!!
仭、馬鹿言い過ぎたか?だが気にしない。次話は福音との本当?の再戦です。