IS<インフィニット・ストラトス> ~白き騎士と黒き暴君~ 作:狂戦士
第33話
「はぁ、はぁ…ちっ、さすがに…厳しいな」
「…………」
現在、俺は赤黒いISを装備した奴と交戦して苦戦している。
「はあ…『リベンジクラッシュ』!!」
俺は『生命の鎖(ライフ・ライン)』を相手に向かって放つ。
「ふん」
しかし相手のブレードによって鎖は斬られる。……だが狙い通り!
「!?」
「遅い!」
俺はその隙をついて『光速の突撃(ライトニング・チャージ)』で突っ込む。
「ぐあ!?」
それにより相手を抜き、そのさいに斬りつけたのがダメージになって相手に襲いかかる。
「…ぐっ!?」
そして俺にも肉体への負荷がかかる。…マズイな。さすがに福音との戦闘後はキツイ。しかもそのうち1回は長時間使用だったからな。
「…どうやらお前の取った行動は代償の方が多かったようだな」
「はっ…確かに…」
これは相手が悪すぎたな。手負いを言い訳にしても強すぎる…。正直俺が全開の状態でも勝てたかどうかの相手だ。何せ相手は
「さて、そろそろ終わりにしようか」
そう言って相手は突っ込んでくる。
「(いよいよ…腹くくるか)……らあ!」
俺は奴が近づいてきたところを渾身のブレードで斬りかかる。
「ぐ…『豪旋牙』!」
すると敵は回転し、斬り続けられ、吹き飛ばされる。
「ぐあ!!」
回転での斬りつけでダメージが多い…。
「(せめて、致命傷は…)…はあ!!」
俺は突撃。そして装甲に斬りつける…
「……」
はずだったが相手のブレードによって止められ、反撃をくらう。
「どうやらここまでのようだな」
「っ……(マズイ、意識が……)」
「さらばだ」
そして俺は相手に斬られて、海に叩き落された。
(…ああ、やっちまったか……悪いなお前ら…)
俺は海に接触、勢いと怪我により強烈な痛みを感じる。そしてISも解除された。
(…すまねえ、な………みn……な……)
俺はそのまま旅館の方に向かうであろう奴の姿を見ることもなく、意識が途絶えた……。
*一夏サイド
「…もう少しだ」
「そうだな。…しかし応援はまだなのか?」
俺達はやっと旅館まで後半分の半分というところまで来ていた。旅館には現在の状況を当然報告しており、アリィ達が向かっているとのことだ。
「師匠……」
仭の身を案じたラウラが心配そうな声を出す。
「大丈夫だよラウラ。仭は大丈夫だって」
「シャルロット…そうだよな」
「ああ、あいつなら大丈夫だ。きっと…」
「きっと…何だ?」
『!?』
俺が『死んではいない』と言おうとしたその時、この場の者ではない声がオープンチャネルから聞こえた。そして後ろから何かが近づいてくる音が聞こえる。振り返ると瞬時加速でこちらに向かってきている赤黒いISを装備した者がいた。
「やれやれ、やっと追いついたか」
『…………』
全員声に出さない。否、出せない。威圧感が俺達を襲う。
「まあ、時間稼ぎにはなったか?」
「あんた…仭はどうしたのよ!!」
鈴は相手にそう問う。だが、仭の足止めしていたであろう人物がここに来た。…それが意味することは……
「海に落ちた。ISは解除されてな」
『なっ!?』
「あそこには何もない。万一生きながらえてどこかの小島までたどり着いたとしても重症の身だ。遅かれ早かれ死ぬだろう。あきらめろ」
「ふざけんじゃないわよ!!」
「そうですわ!そんなこと…信じられるはずがないですわ!!」
「信じる信じないはお前達の自由だ。だが奴は来ない」
「「っ……」」
「福音の操縦者を渡せ。そうすればお前達は見逃してやる」
ドオン!!
相手がそう言うとラウラが砲撃する。しかしそれを持っているブレードで容易くぶった斬る。
「答えは、これだ」
「そうか…どうやらお前達もか…」
相手のISの状態を見ると傷ついてはいるがまだ戦える、そういう状態だった。
「奴にやられたダメージがあるが…仕方がない!」
そう言って突っ込んでくる。…仭、こいつを倒したら絶対に助けに行く!!
*仭サイド
「…どこだ?ここは?」
俺は目を覚ますと空間、もうそれしか言い表せない何もない黒い空間にいた。
「確か俺は奴に落とされて海に落ちたはず…」
死ぬ寸前なのかとでも考えていると
「お前はまだ死んではいない」
「………」
後ろから声がして、振り返ると黒い霧に包まれた騎士がいた。その姿は霧でぼやけるが全身は闇のような漆黒のフルプレート、そして頭部にも黒い兜をかぶっていて、スリットの奥からは不気味な輝きが見える。そんな黒尽くめの騎士だった。
「…ああ、
「…………」
「…はあ、あいかわらずだな」
俺はこいつを知っている。あまりしゃべらないというかそういうところも相変わらずだ。…それでもマシな方だが。
「単刀直入に聞こう。俺は今死にかけているんだろう?」
「…そうだ」
「そうか。…俺が相手した奴は?」
「知ってどうする?」
「あいつらの安否の確かめだ」
「…今ちょうどそれらと交戦をしているな」
「やはりか……俺をあっちの世界に戻せるか?」
「…………」
「わかってる。お前のことぐらいわかっている。だが頼む。奴を倒す間だけでもいい」
「…できなくはない。だがダメージまでは回復しきれんぞ」
「構わん」
「お前が勝てなかった奴には今度こそ勝てるという保証はないぞ?」
「わかっている。だがこのままできるのに何もしないまま死ぬより俺は奴に立ち向かって死を選ぶ方がまだマシだ」
「…理解できぬな。何故お前はそこまで仲間という者を守ろうとする?」
「まあ、異常かもしれんな。人間ってのは自分のことを考えてる奴が多い。他人のことを考えてる奴もいるにはいるが、その中では俺は変わり者だろう」
「…………」
「で何でか、か…俺はそういう奴だから。では駄目か?」
「ふん。結局はわからないか」
「ああ、わからん。ただ自分のことを考えてる奴がいるように、他人を守るために馬鹿やろうとする奴は少なくともここに1人いる」
「…お前もあいかわらずか。…いいだろう。お前のそれを見届けてやる。それが奴に通用するかどうかな」
「助かる」
「我の力もやろう。だがその力を使いこなせるかはお前次第だ」
「ああ、ありがとよ…――…」
俺に痛みが全身に走る。そして手を出してきたため、俺はその手を取った。
*一夏サイド
「…さて」
「くっ…」
「ここまでとは…」
仭の言った通り、相手はやばすぎる奴だった。ブレード2本だけで俺達を圧倒し、追い詰められている。
「もう1度だけ言う。福音の操縦者を渡せ。お前達に用はない」
「…断る。絶対に渡さない!」
「そうか…なら…」
ドパァン!!
『!?』
相手が突っ込んで来ようとしたその瞬間。突然俺達と相手の間の海面が音を上げ、舞い上がった。
*第3者サイド
「…何だ!?」
「……………」
一夏も敵も何が起こったかわからずにいた。しかし舞い上がった水の中からその姿が少しずつ確認できた。
『仭!?』
その姿を見て一夏達は驚愕の声を上げ、敵も驚いている。がそれは仭が生きていたことだけではなかった。
「戻ってきたぞお前ら」
「仭、生きてたんだな」
一夏は仭に近づいて言葉をかける。
「ああ、約束は守ってやったぞ?」
「仭…」
「まあ、いろいろ聞きたいことはあるだろうが下がってあいつらと待っててくれや。俺は奴と決着をつける」
「大丈夫なのか?」
「……………」
一夏のその問いに答えず仭は相手に向かい直す。
「さて…今度こそ決着をつけようか」
(……こいつ…まさか…)
相手は仭が復活したことと共に1つ理解したことがあった。
「まさか生きていたとはな」
「俺も死を覚悟したさ…だが、お前はその死の覚悟を知らないようだがな」
「ふん…しかし戦えるのか?傷だらけのようだがな」
「お前もだろうが」
仭は少しずつ相手と距離を近づけていく。
「そして今の俺はさっきとは違う。お前も相応の覚悟はしておいた方がいいぞ」
それははったりなどではないと相手にはわかっていた。
(間違いない。
仭のISの姿、その両拳は大型化し、左右それぞれ少し違う。さらに元々ついてたウイングスラスターの他に小型スラスターが腰に2つとりつけられていて、機動力も上がっていることが相手にはわかった。
「…面白い」
そして2人はある程度距離が近づき、止まる。
「そういえばお前の名を聞いていなかったな」
「私の名はシヴァク。望み通り今度こそ決着をつけてやろう」
「…俺的には接近戦で挑んでくれるとは思わなんだが…」
「私にとってこの戦法が1番いいのだ。それに黒崎仭…」
そこまで言ってシヴァクはブレードを構える。
「お前のその実力など、たかが知れている」
「……そうか…なら」
遠慮無く――そう言うかのように、不意をつく勢いで拳で殴りかかる。
「ふん…」
それに対し相手は素早い斬撃をくらわそうとするが
「はあ!」
「!?」
仭にその刃が触れようとした瞬間、ドン!!と仭の右拳によるエネルギーの衝撃波のパンチが炸裂してシヴァクが吹き飛ぶ。
「アンガーナックル…」
「っ!!」
シヴァクはすぐに体勢を立て直す。
「なるほど…さすがのパワーだ」
「…言っておくがまだ序の口だ。『剣闘士(グラディエイタ-)』の第二形態『狂暴(バーサーク)』の本当の力を見せてやろう」
すると仭の全身が淡い光に発光した。
*仭サイド
「仭!?…お前それは自分の強化には使えないんじゃ…」
「ああ一夏。自分には使えないさ…いや、使えなかったと言うべきか」
俺は蓄えたエネルギーを使って『フォース』を
「余所見をするな」
そうこうしてる間にシヴァクは俺に突っ込んで来る。
「してないさ。アンガーバースト!」
俺は右拳でアッパーをし、黒い衝撃波を数発放つ。…どうやらこれも『疵獣咆哮(マッスル・リベンジャー)』のエネルギーから構成されているようだ。さっきのパンチも拳にエネルギーを纏っていたため威力が上がっていた。左右の拳から『疵獣咆哮(マッスル・リベンジャー)』のエネルギーを放出できる、つまり攻撃方法が増えたわけだ。
「ふん!」
だが相手はいとも容易くそれを避け、俺に斬りかかる。だがそのブレードに俺は左手をかざしている。
「インパクトキャノン」
それと同時に俺の左手からエネルギーの砲弾が放出、相手のブレードがそれにより粉々になった。
「!?くっ、だがまだ左g「俺も右が空いている。アンガーラッシュ!!」
俺はアンガーナックルを連打。どうやらこれはエネルギーのナックルも飛ばせるらしく、その無数のナックルがシヴァクを襲う。
「ぐああ!!」
シヴァクはそれにより後ろへと飛ばされ、体勢を立て直す、が
「…………」
残念だが、俺はすでに間合いを詰めている。
「なるほど…ここまでか…」
「なに、殺しはせん。…が帰れるかどうかは保証できない」
「…甘い奴だ。…まあ、とりあえず礼は言っておくとして…また会おう。黒崎仭…」
「…リジェクトナックル!!」
俺は右腕にまでエネルギーで黒く染まった拳を叩き込んだ。
ドオォォォン!!!
「…ぐっ……」
相手はその攻撃で豪快な音を立てながら遠くまで飛んでいった。…これ模擬戦じゃ使えんな。
「…ふう」
とりあえず右腕を抑えため息をつく。さっきのはかなり腕に負担がかかった。連発はまずしばらく無理だな。これ自体腕に負担がある撃ち方だし。
「仭!!」
一夏達が近づいてくる。
「あいつは?」
「ああ、まあみねうちだな」
「はあ!?何でIS解除させないのよ!!」
「あいつが1人でここに来たとは思えない。ボロボロでも無事にさせとけば回収しに行くだろ」
「そういうこと言いたいんじゃじゃないわよ…」
「師匠。奴を捕まえなくていいのですか?」
「…さっきも言ったが奴が1人とは思えない。現時点ではもう俺でも新手を相手にするのは厳しい。あれほどの奴を見殺しにするとは思えない。ISが解除されて海に落ちたら諦めるだろうが。だからみねうちにさせた」
「…何もあそこまで飛ばす攻撃をしなくても違う攻撃をしてIS解除させれば…」
「だからもう新手を相手にするのは厳しいって言ってるだろ箒。絶対に旅館に戻る前に取り返しに来て福音の操縦者も奪われる」
「…なら急いで帰った方がいいんじゃないか仭?」
「ああ、念のため急いで戻…っと」
「大丈夫か?」
「ああ、悪い。ちょっとふらついただけだ。何とかなる」
何で右腕を痛めただけなのにふらつくかって?俺のISは白式じゃねえんだから傷は回復してねえんだよ!!てか何で一夏は傷回復してんだよ!!俺のISはエネルギーは回復してたけど俺自身はボロボロだよ!!気がついた時はやっぱ海の中で(意識がないときはまあ、さっきの空間で会った奴に守られてたのだろうが)息できずに死ぬと本気で思ったわ!!…はあ、心の中で叫んだけど何か疲れた。
「………………帰ろう」
「おい。何で俺にそんな視線かますんだよ…」
「…さあな」
俺は旅館に向かうと他の奴らも慌ててついていった。…まあ、俺と一夏以外は説教だろうがな。
はい。仭のISが第二形態移行しまして第二形態『狂暴(バーサーク)』になりました。タイトルの意味は狂暴化。仭がパワーアップしたのと『フォース』を使ったことです。まあ、ぼちぼち能力については出していきます。
そういえば応援どうした?と言う方心配なく。忘れたわけではなくて理由がちゃんとあります。それについては次話で。第3章終わるかな?