IS<インフィニット・ストラトス> ~白き騎士と黒き暴君~    作:狂戦士

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束と千冬のシーンです。まあ、重要でもあります。


第35話 束の推測

第35話 束の推測

 

 

「ふふ~ん」

 

 岬の柵に腰掛け、空中投影ディスプレイに紅椿のパラメータを表示させ、子供の様に微笑む束の姿があった。

 

「紅椿の稼働率は絢爛舞踏を含めても40%くらいかぁ。まぁ、こんなもんかなぁ…じゃあ、次々っと」

 

 束が手を動かすと、新たなディスプレイを出現。そこに表示されてるのは、福音との戦闘を繰り広げている白式の第二形態の姿。

 

「それにしても、白式には驚かされたなぁ。まさか操縦者の生体再生まで可能だなんて、…まるで」

 

「まるで『白騎士』のようだな。コアナンバー001にして、お前が心血を注いだ1番目の機体にな」

 

 その声の主は千冬で、音もなく束に近づき、木に体を預ける。

 

「やあちーちゃん」

 

「ああ」

 

 束は振り向かず、千冬も腕を組み、束の方は見ない。

 

「いきなりだけどちーちゃん、問題です。白騎士はどこに行ったんでしょうか?」

 

「…白式(びゃくしき)を白式(しろしき)と呼べば、それが答えなんだろう?」

 

「ぴんぽーん。さすがはちーちゃん。白騎士を乗りこなしただけのことはあるね」

 

 白騎士と呼ばれた機体は、コア以外を解体され、第1世代機の作成に大きく貢献した。そして、そのコアは行方が分からなくなった。

 

「例えばの話だよ。ちーちゃんの1番目の機体『白騎士』と、2番目の機体『暮桜(くれざくら)』が、コア・ネットワークで情報のやりとりをしていたら、同じ単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)が開発されても不思議じゃないよね」

 

「…かもな。なら今度は私が例え話をしてやろう」

 

「へぇ、ちーちゃんが例え話って珍しいね」

 

「…とある天才がとある男子の高校受験場所を意図的に間違いさせる事ができるとする。そこで使われるISを、そのときだけ動くようにしておく。すると男では使えない筈のISが使えるように見える」

 

「うーん、でもそれだと継続的に動かないよねぇ」

 

「そうだな。だが、現実にはその男子は今でもISを動かす事ができる。どうなんだ?とある天才?」

 

「う~ん…実のところ白式がどうして動いているのかはわからないんだよねぇ。いっくんはIS開発に関わっていないのにね」

 

「なら……」

 

「あ、じーくんの方も知らないよ。じーくんは確かにIS整備をしてたけど動かせる理由にはならないしね」

 

「……まぁいい。次の例え話だ…とある天才が大事な妹を晴れ舞台にデビューさせたいと考える。そこで用意するのは、妹用の専用機とどこかのISの暴走事件だ。暴走事件に際して、妹が乗る高性能機を作戦に加える。妹は華々しく、デビューというわけだ」

 

「……へぇ、すごい天才もいたもんだね」

 

「ああ、すごい天才がいたもんだ。……かつて12カ国の軍事コンピューターをハッキングし、約2千発ものミサイルを発射させ、それをたった1機のパワードスーツで撃墜……その結果ISの名を世界に轟かせた天才がな」

 

「…………」

 

「…………」

 

 束は答えない。千冬もそれ以上は追求しない。

 

「……ねぇ、ちーちゃん。今の世界は楽しい?」

 

 その場の空気を変えるかのように束は話を変える。

 

「……そこそこにな」

 

「…そうなんだ………あっ」

 

「?何だ?」

 

「私ももう1つ例え話があった」

 

「…何?」

 

「じーくんのことだけどね」

 

「そういえば仭のあの機体については聞いてなかったな」

 

「それも含めて話すよ。…ちーちゃん、もしじーくんがISに乗れるようになったんじゃなくて、ISに()()()()()()()?」

 

「…どういう意味だ?」

 

「そのままの通りだよ。じーくんがISに乗れるのは機体、『剣闘士(グラディエイタ-)』のおかげじゃないかって考えてるんだよねえ」

 

「…確かにISコアに独自の意識がある…だがそんなことが可能なのか?」

 

「正直わかんないけど、このことを聞いたら多分信憑性が高まると思うよ?」

 

「言ってみろ」

 

 千冬の言葉に束は体を千冬の方に向け、向かい合う形になる。

 

「ねぇ、ちーちゃん。確かISの制御が効かないって事件があったよね」

 

「?ああ、確か『暴王(メルゼズ)』という機体で…」

 

「うん。それに乗ったIS操縦者は制御が効かなくて、訓練中に絶対防御が発生しなくて大怪我や操縦者に負担が多くかかった。…あっ、私のせいじゃないよ。そんな連中に時間なんか使いたくないもん」

 

「…確か機体を解体してコアを取り出し、他の機体に馴染ませたが…」

 

「結局は同じだったんだよね。3回ぐらいやったみたいだけど全部失敗らしいし」

 

「だが確かそのコアをお前は初期化した筈だろう?」

 

「そうだよ。ちーちゃんから渡されて初期化したけど…」

 

「駄目だったようだが」

 

「うーんしたけど、駄目だったのは知らなかったね…いやごめんごめん!!本当に試してなかったからわかんなかったんだよ!!だからその手を下ろして!!」

 

「…それでその話が仭の機体とどう関係がある?」

 

「大いにあるよ。だって『剣闘士』の機体、…そのコアが使われてるもん。じーくんが言ってた」

 

「何だと!?」

 

 千冬は驚く。

 

「…なら何故仭は無事なのだ?」

 

「それは本当にわかんない。『暴王(メルゼズ)』のコアが何で制御が効かなかったり、じーくんだけは大丈夫なのかはわからないんだよね」

 

「…そうか。それはもういい。だがなら何故だ?お前の言った通りなら仭が乗れる理由にはならない筈だが」

 

「そうなんだよね。…でももし乗せられていたなら、じーくんはあれに利用されてることになるね」

 

「……………」

 

「そういえば納得はいくでしょ?じーくんを利用して何かをしようとしてるとか」

 

「…操縦者をコア人格が操る、なんてのは可能なのか?」

 

「さあ?けど自己進化できるようにもしたし、コアにじーくんの情報も送られてきてるしね」

 

「……………」

 

「でも今のところは大丈夫だと思う。第二形態移行したってことはね…」

 

「…なるほどな。『暴王』のコアを使ったISは何故かスペックなども高かった。お前の話を聞いて『剣闘士』の強さに合点もいった」

 

「そういうこと」

 

「っ!」

 

 強い潮風が岬に吹きつけ、千冬は目を瞑ってしまい、目を開けると今まで居た束が忽然と姿を消していた。

 

(…仭、お前は大丈夫なのか?)

 

 千冬は束の推測を聞いて問題をおこしている剣闘士、いや暴王のコアを使って戦っていることに内心戸惑っていた。

 

 

 

 

 

*一夏サイド

 

 

 

 

 

「ふう」

 

 臨海学校3日目。花月荘に別れを告げ、今はISと専用装備の撤収が行われている。当然男である俺は積極的に撤収作業に取り組まされ、仭は大怪我を負っているため荷物を運んだ。そしてそれも終わり、バスの中で休んでいると

 

「ねぇ、織斑一夏君っているかしら?」

 

「あ、はい。俺ですけど」

 

 鮮やかな金髪の女性が、バスに乗ってきた。サングラスをかけた20歳ぐらいの女性で、格好は青色でおしゃれ全開のカジュアルスーツ。

 

「君がそうなんだへぇ~」

 

 手に持っていたサングラスを開いた胸の谷間に掛け、俺を好奇心の目で見てくる。

 

「あ、あなたは…?」

 

「私はナターシャ・ファイルス。『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』の操縦者よ」

 

 そう言って顔を俺に近づけてくる。…えっ?

 

「…あら?」

 

「はあ…火種を残そうとしないでいただけますかナターシャさん」

 

 俺の頬に唇が触れる寸前に止まり、その後ろを見ると仭がナターシャさんのスーツを後ろから引っ張っていた。

 

「一夏、とりあえず離れろ」

 

「わ、わかった」

 

「つれないわね」

 

 残念そうに言う。何故だ!?

 

「ところで仭君。あなたには話があるんだけれども」

 

「…では外で」

 

「わかったわ。それとありがとう、白いナイトさん…じゃあまたね。バーイ♪」

 

 そう言ってナターシャさんは手をひらひらと振って、仭と共にバスを降りていく。

 

 

ゴゴゴゴ!!

 

 

「!?」

 

 殺気を4つ後ろから感じ、振り向くと修羅が4人いた……。

 

 

 

 

 

*千冬サイド

 

 

 

 

 

「おいおい、余計な火種を残そうとしてくれるなよ。後が面倒なんだ」

 

「そうですよ…いや、止めるのが少し遅かった時点でもう手遅れか?」

 

「思ってたより素敵な男性だったから、つい…」

 

「…………」

 

 仭は苦笑している。

 

「やれやれ…それより、昨日の今日で動いて平気なのか?」

 

「ええ。私はあの子に守られていましたから」

 

「…そうか」

 

「ええ。あの子は私を守るために望まない戦いに身を投じた。だから許さない。あの子の判断能力を奪い、全てのISを敵と認識させた元凶を。何より飛ぶ事が好きだったあの子の翼は奪われた。相手が誰であろうと、私は許しはしない」

 

 福音は今回の暴走事件により凍結処理が決定され、ナターシャ自身も査問委員会にかけられる事になった。

 

「査問委員会などもあるのだろう。しばらくは大人しくしておけ」

 

「それは警告ですか『ブリュンヒルデ』?」

 

「その名で呼ぶな。あまりそう呼ばれるのは好きではない。…ただの忠告さ」

 

「…じゃあ、しばらくは大人しくするとするとしましょう」

 

「…ナターシャさん?何か終わりの雰囲気を出してますが俺に用はないのなら…」

 

「これからよ…ついてきて」

 

「…えっと……」

 

 私の方を見てくる仭。

 

「出発時間まで、まだあるから行ってこい。…とその前に仭」

 

「何ですか織斑先生?」

 

「…お前、そのISを使っていて大丈夫なのか?」

 

 すると仭の顔が少し険しくなる。

 

「…束さんに聞いたわけですか。…ええ、大丈夫ですよ」

 

「本当にか?」

 

「あなたが心配するのも当然かもしれませんが大丈夫です。現にこうしてピンピンしているでしょう」

 

「…まあ、そうだな…」

 

「なるべく早く戻りますので。っと早く一夏を助け…いや、問題起こしてる奴らを沈めた方がいいですよ?」

 

 そう言ってナターシャの後を追う仭。

 

「ちょ!千冬姉!!助けてくれ!!」

 …バスの中で一夏の悲鳴が聞こえる。仭の言ったことはこういうことだったか。…はあ。

 

 

 

 




ぐだぐだにまたなってしまった。わかりにくくて本当にすいません。
…で本編で束の言ったことについては何も言えません。まあ、本編が進めば本当のことが語られますので。そして次話はきったところの続きです。多分3章が次で終わると思います。
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