IS<インフィニット・ストラトス> ~白き騎士と黒き暴君~ 作:狂戦士
第43話 修行
「…で仭」
「何だ?」
「ここで修行ってか…訓練するのか?」
「ああ、貸切だ」
「1週間?」
「そうだ。寝袋もあるし、食料も用意したから問題あるまい」
「………」
現在、俺はIS学園を出て、学園外の市のISアリーナにいる。1週間仭に『修行もとい訓練をあるコーチにしてもらうからお前も来い』と言われて来たわけだ。とりあえず言えることは…広い。よく貸切れたなと先程言ったら
『ああ、まあ金を積んだ』
思わず苦笑いをしてしまった。
「さっきも言った通り、ここは貸切だ。どんなに傷つけても構わんからな。…にしてもあいつはどこだ?」
「あいつ?」
「ハーハッハッハ!!ハーハッハッハ!!」
「何だ?」
「………」
突然高笑いが聞こえた。仭の方を見ると頭を抑えている。
「天が呼ぶ、地が呼ぶ、仭が呼ぶ!!」
すると上空からISを装備した者が現れた。
「仭が来いと、あたしをy「黙れ」
仭がそう言うと同時にISを部分展開、短剣を投げた。
ヒュン!ドオオオン!!
…って
「おいぃぃぃぃ!?」
「どうした一夏?」
「いやいやいや、何やらかしてんだお前!?」
「ああ、大丈夫だ。あいさつみたいなもんだから」
「台詞を遮って、相手を爆発させることがか!?」
「んなわけあるかーーー!!!!!!!!」
すると爆発の中からさっきの人が出てきた。あっ、案外元気だ。
「そこの男子!!今あたしのこと子供扱いしたでしょ!!」
そして何故いつも考えることがバレるんだろうか。しかも他人に。
「おー、カノン。生きてたか」
「生きてるわよ!!てか勝手に殺すな!!いやそれ以前に何で台詞遮んのよ!!」
「うるさいからだ。てかお前『――仭が呼ぶ』の後『仭が来いと――』って言ってたぞ?」
「えっ?別に間違って言ってなかったけど?」
「…まあいいや」
「であの仭?」
「ん?ああ自己紹介がまだだったな」
そう言うと彼女は地に着地、そして俺達の元へ走ってくる。
「あたしはカノン・ローア、仭のお姉ちゃんよ」
「えっ!?そうなのか?」
「そんなわけあるか。こいつとは何の関係もない。俺が所属してる軍の1人であって俺達より年下の15歳だ」
それでお姉ちゃんって…。もしや
「当然言わしてるわけじゃないからな」
ああ、よかった。
「何よ~。いつもみたいに『姉ちゃん』とか『姉貴』とか「言ってない」――連れないわねぇ。乗りなさいよ。IS乗りではあたしの方が上でしょ」
「やかましい」
「…でその、カノンさんは何でここに?」」
「さんなんぞ付けなくていいぞ。でここにこいつが来た理由はお前のためでもある」
「へ?それってもしかして…」
「ん。こいつが俺達のISコーチだ。…あー、別に馬鹿にしてるわけじゃないぞ?こいつは俺なんかよりISの操縦技術や実力は上だ」
「本当にか?」
「マジよ。いやーそれにしてもあたしが頼まれるとは思わなかったわ」
「お前が1番ひm…頼みやすかったし、剣の腕もいいからな」
「まあ、あたしより強いのもいるけどそれは利口よ。いい子ね~」
「頭を撫でようとするな」
ガツン!
「いったぁ!?グーで女子を殴った!最高裁判所に訴えてやる!!」
「行き過ぎだ、てかダインみたいなことを言うな。それと一夏が困ってるだろ」
「ああ、ゴメンゴメン。であんたのことは一夏って呼ばしてもらうわよ」
「あっ、はい」
「で仭?この子の実力はどのくらい?」
「そうだな…1年の代表候補生の中で言うとドイツ代表候補生のラウラ・ボーデヴィッヒ、フランス代表候補生のシャルロット・デュノアと互角…と言ったところかな」
「ふーん…なるほどね。であんたは一応その一夏には勝ってるのよね」
「ああ」
「了解了解。なるほどね。来週ぐらいまでに鍛え上げる…か」
「可能か?実力でひとまずいい。操縦技術の方は、基礎は大体理解してるから学園で俺達は何とかする。時間は限られてるしな」
「んー、まあ大丈夫ね。…で自分の弱点ってのは理解してる?」
「俺は間合いかな。基本的に近・中・遠で戦えるようにもなったがまだ遠距離戦は慣れてない…とまでは言わんが完全に対応しきれなかったからな。臨海学校でよくわかった」
「一夏はどうかしら?」
「…間合いとエネルギー配分です」
間合いは言うまでもなく、武装が零落白夜の発動するタイミングや技術はほぼできるようになったが、第二形態移行してさらに燃費が悪くなった。ああ、どっかにエネルギー落ちてないかなぁ」
「ないものうだうだ言っても仕方ないだろ」
「ていうか落ちててもISの許容量があるから増えないわよ」
「な、何故w『声に出てた』
何かもうお約束になってきた気がする。
「でまあ、一応理解はしてるみたいね。じゃあやることを言うわ。仭、あんたはまあ、遠距離武器と新装備が手に入ったんだしそれを使いこなせるようにするのと、間合いの縮め方ね。アリィとレイラも後で来るから」
「了解」
「で一夏、あんたは…基本ブレード1本で戦えるようにしなさい」
「はい?」
「だってあんた、荷電粒子砲がついたらしいけど遠距離から当てられる?」
「…当てられないです」
「だから単一仕様能力使わないときには唯一使いこなせる武器、ブレード1本で何とかするしかないじゃない。時間も少ないんだし」
「え?じゃ、じゃあ仭には何で遠距離武器を使いこなせるようにと?」
「あんたね…あいつは近距離で直すとこはある?短剣、2刀流、数多の剣の使い方、それに武器使わなくても中国拳法とかも使えて拳で戦えるのよ?」
「そうでした…」
そうだった。近接戦闘じゃあいつすげぇんだった。
「あっ…でもあれは…まあ、いいか。でも操縦技術の方はあたしより劣るわよ?」
「それは当然だ。お前と俺ではIS使いこなす時間帯が圧倒的に違うんだ」
「あら?聞いてたの?」
カノン…に言われてすぐ向こうの方に行ったかと思った仭がいつのまにかこっちに来ていた。
「てか俺のことはいいから一夏のことだろ」
「あっ、そうだったわ。てなわけでがんばりなさい!」
「え、えと…じゃあエネルギー弾や実弾とかは?」
『ぶった斬れ(りなさい)』
「…銃弾の嵐とかでは?」
『捌けるようになれ(なりなさい)』
「……相手が速くて攻撃が当てられなかったら?」
『当てられるようにするための修行だろうが(でしょうが)』
「…はい」
「じゃあ特訓開始よ。仭、あんたは離れて自分の訓練をしてなさい」
「りょうか~い。一夏、死ぬなよ。こいつとの修行はけっこうきついぞ?」
「マジで?」
「さあ、お姉ちゃんが遊んであげるわよ♪剣を出しなさい」
そしてカノンはISを展開して、極細の片手直剣を持つ。俺もISを展開して雪片弐型を構える。
「あんたには剣“道”じゃなくて剣“術”を叩きこんであげるわよ♪」
…とりあえず思ったことを1つ。笑顔が怖い!!!
*仭サイド
「おーい!一夏!!生きてるか?」
「……………」
返事がない。ただの屍のようだ。……………………いや当然本当に死んではないぞ!?
「ああ、こりゃ駄目だな」
「アハハ、ちょっと厳しすぎたかぁ」
俺は途中に来たアリィとレイラも混ぜて訓練をして、夜になって2人が帰った後、一夏の方に行ってみたら一夏が力尽きていた。どこぞの真っ白に燃え尽きたボクサーのように。
「ったく…まあ、でもお前の訓練に夜まで耐え切ったからいいとしよう」
「うん。今日はここまでって言ったら即ぶっ倒れて、寝ちゃった。あたしが気合注入したけど逆にぐったりしちゃったし」
「お前の気合注入は手荒だろ!?ビンタしたのか!?」
「やあね。背中に気合注入しただけよ」
それを聞いて恐る恐る一夏の背中を見るともみじマークがいくつかあった。…相変わらず恐ろしい。
「はあ。とりあえずもう起きねえだろうし布団被せて寝かしてやるか。…面倒だが着替えさせて」
「え?何ならあたしが起こしてあげるけど?」
「…サソリ固めを決める気じゃないだろうな?」
別名スコーピオン・デスロック。プロレスで使われるサブミッション技であり、こいつが人を起こすときにやる。(俺もくらったことがある)倒れている相手の両足の間に右足を入れて相手の左脇腹の横へ踏み込んで、相手の両足を膝でクロスさせて相手の右足を自分の右腕でロックし、右足を軸にして反転(ステップオーバー)して相手をひっくり返すしてから腰を落とす。掛けられた相手の姿がサソリのように見えることからこの名が付いた。てかこれ下手したら窒息死するんだぞ!?
「え?駄目?…じゃあキャメルクラッチでいいわよ」
「え?駄目?じゃねえよ!!じゃあでもねえよ!!駄目に決まってるだろ!!」
別名はカバージョ。または馬乗り固め。同じくプロレスの技の一種。うつ伏せ状態になった相手の背中に乗り、首から顎を掴んで相手が海老反り状になるようにする。技をかけている様子がまるでラクダに乗って手綱を引いている様に見えることが技の名称の由来。ラ〇メンマンが使うそれだ。ちなみに俺のラリアートの『衝突(クラッシュ)ボンバー』はこいつが付けた。
「はあ。いいからもう今日は『テレシア』に帰れ」
「そうするわ。…にしても」
カノンが一夏を見る。
「そう遠くないうちに化けるかもしれないわね」
真面目な口調で答える。
「ああ、初めてのIS戦で、イギリスの代表候補生相手に武装が近接ブレード1つという状況、しかも初期状態で戦っていた。剣道とかもやめて、実戦での感覚を失ってるにもかかわらずだ」
「へえ、確かセシリア・オルコット。IS適正だけじゃなくってBT適正も高い、第3世代兵器ブルー・ティアーズを相手に?ブレード1本でしかも初心者に対して厳し過ぎない?」
「まったくだ。ギリギリになって届いたっていうのもあったらしいが…ふざけすぎてる。…で結果はまあ、負けたって知ってるだろうが、セシリアを追い詰めたのは確かだ。零落白夜で斬りかかる寸前でシールドエネルギーが尽きたんだが、あれさえ通っていれば勝ちは一夏だったかもしれん」
「へえ、すごいじゃない」
「だろ?にしちゃ本人には姉上からの厳しいお言葉『あれだけ大見得切って結果がこれか?大馬鹿者』とファースト幼馴染からの『負け犬』だ」
「………」
さすがに苦笑いしている。奇遇だな。俺も最初聞いたときは苦笑いしかできなかった。
「まあ、千冬さんは厳しいからな。期待や心配の裏返しで、内心はとても大切に思っているさ」
「…ま、一夏の凄さはわかったわ。私情抜きにしても充分すごいことだと思う」
「ああ…」
「でそんな彼の目標は?」
「俺を超えることだと」
それを聞いてカノンは一瞬目を見開き、笑った。
「アハハハハ!!そ、それはずいぶんと厳しい目標で!!」
「それで自分や仲間達も守れるくらいに、だとよ」
「!……守る、ね」
先程とは一転し、少し厳しい表情で一夏を見るカノン。
「まあ、そんなこと軽々しく口にするもんじゃないってことはわかってるさ。だが一応覚悟はあるらしいしな」
「そう。…それは1番難しいことよね」
「ああ、守るってことは難しい。こいつの言う守るってのは命をかけて…だからな」
「アタシはそういう口先だけを何十人と見てきたわ」
「俺もだ。…だがこいつはまだ口先だけはわからんぞ?」
「まあ、福音についてのことは聞いてるわ。…死にかけて人を守ろうとしたことも」
「俺やお前も死にかけたことはあるが、こいつと俺達は相容れぬところがある。ISという
知識ではない。ISの恐ろしさだ。こいつがISを使って守るということは、これからいつか殺し合いを経験することになるかもしれないからで…いや、経験するだろう。絶対防御は完璧ではない。元にシールドバリアーを突破するほどの攻撃力があれば操縦者本人にダメージを与えることができる。つまり絶対防御でも突破することもできるともいえるからだ。
シールドエネルギーがなかったというのもあるが一夏が箒を庇ったときに、福音の攻撃を相殺しきれなかったのも例だ。エネルギーがなかったら
「『インフィニット・ストラトス』、通称『IS』。世界最強の兵器、裏を返せば簡単に人を殺すことができる兵器」
「使い方によって人を助けるものにもなり、殺すものにもなる。そして世界をも滅ぼしかねん兵器だ。正直言って学園の生徒らも意識が薄い。…と言っても1年専用機持ちだが」
まだ一夏を敵視してたころに言ったラウラの言葉、『この学園の者の生徒達はISをファッションか何かと勘違いしている』これはある意味(1年専用機が主だが)正しいとも言える。ISをスポーツと考えるのならそれは無理なものだ。ただ目を背けてスポーツだと言い訳しているに過ぎず、元に『白騎士』が兵器というものにさせたし、俺や一夏も死にかけた。どんなにスポーツだと言い訳しようと、世界はISを兵器としか見ていない。それはそれほど恐ろしい
「…本当に何でそんな物を元凶は作ったんだろうね」
「さあな…とりあえずこの話はここまでにしよう。織斑一夏、こいつを俺は見届けてやる。口先だけじゃないかな」
「…まっ、あんたがそこまで特別視するならそこまでの奴なんでしょ。あたしはそろそろ帰るわね。おやすみー」
「ああ、おやすみ」
そう言ってカノンはアリーナから出ていく。
「…何で束さんがISを作ったか、ね」
俺はとりあえず今日寝る準備などを始める前に一夏をどうにかするため、動いた。
第4章がなかなか終わらせられない。(汗)テスト期間でまだペースが……。