IS<インフィニット・ストラトス> ~白き騎士と黒き暴君~    作:狂戦士

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44話です。昨日投稿するつもりでしたが少し時間がかかってしまいました。


第44話 夏祭り

第44話 夏祭り

 

 

「…あー、久しぶりの学園だ」

 

「1週間ぶりだな」

 

 俺と一夏、2人はなんやかんやで奴(カノン)の訓練を終えて、IS学園へと戻ってきた。経過?聞くな。あれは辛かった、それでいいだろう。特に一夏に対しては聞くな。真っ白に燃え尽きたジ〇ーみたいになってたこともあるのだから。そういえばお盆だ。確かこの時期に箒のところの神社に、夏祭りがあったな。

 

「一夏。俺はまだ用があるからここで」

 

「まだあるのか?」

 

「まあな、学園でまた外出届けだしてくるために戻ってきただけだ」

 

「そうか」

 

「じゃあな」

 

 そう言って俺は一夏と別れる。…しかしあいつは祭りに行くだろうか。

 

(…祭りに行ったらどうだ?って言っとくべきだった。…メールするか)

 

 俺はそう思いながらひとまず部屋へと向かう。ちなみに用とはISアリーナでの破損した部分の修理請求等の件だ。用が終わり次第に俺も祭りに向かう予定だ。

 

 

 

 

 

*第3者サイド

 

 

 

 

 

「よっ」

 

「…………」

 

「おつかれ」

 

 一夏と箒の会話?である。現在、神社の夏祭りのお守り販売の場所である。箒は夏祭りの手伝いに来ており、神楽舞を終えた後、巫女服に着替え、お守り販売の手伝いに来たところで一夏とばったり、現在にいたるわけである。

 

「それにしてもすごいな。神楽舞、様になってた」

 

(こんな有り得ないことが…こんなことが起こるときは大抵夢だ)

 

 ちなみに箒は一夏に夏祭りに誘うことはしなかった。学園にいなかったからなどではなく、神楽舞を見られたくなかったからである。女らしいことをしている、昔このことで男子に冷やかさられたことで箒は若干トラウマになっている。もし一夏に『女らしいことは似合わない』と言われたらトラウマどころではない。『一夏は来ない』、当然それはそれで面白くないとも考える自分もいたが、『一夏は絶対に来ない』と1人で勝手に決めつけたわけである。

 

「それに……綺麗だった」

 

「っーー!!」

 

 その言葉で顔を一気に真っ赤に染める箒。

 

「夢だ!!」

 

「な、何?」

 

「夢だ!!これは夢に違いない!!」

 

「あらあら箒ちゃん、大きな声を出してどうしたの?…あら?」

 

 そんな箒の異変に気づいて40代後半の女性、箒が雪子叔母さんと呼ぶ叔母さんがやってきて、箒の様子と一夏の姿を交互に見る。

 

「ああ…えい」

 その状況を見て得心すると、鋭いチョップを箒にかます。

 

 

「あいた!?」

 

「箒ちゃん、後は私がやるから夏祭りに行ってきなさいな」

 

「え?は、はあ…?」

 

 現実から帰還したが、突然そのようなことを言われ、間の抜けた返事を返す箒。するとすぐさま雪子が箒の背中を押す。

 

「ほらほら、まずはシャワーで汗を流してきてね。その間に浴衣を出しておくから」

 

「あ、あの「いいからいいから」

 

 箒に反論を許さず、強引に背中を押していく。去り際に振り向いて

 

「少し待っててあげてね。女の子を待つのも彼氏の役目よ」

 

「は、はあ」

 

 ポカンとしている一夏にウインクを送ってそのまま箒とともにいなくなる。そして箒が浴衣を着て一夏の元へ戻ってきたのは1時間後だった。

 

 

 

「あっ、箒に一夏さん」

 

「アリィ、お前も来てたのか」

 

 一夏と箒が合流して屋台を見て回っていると浴衣姿のアリシアと会った。

 

「はい。実はた…仭さんに誘われて来たんですけど…」

 

「見つからないのか?」

 

「ええ、まあ、この辺りで待ってろって言われたんですけど、少し早く来すぎてしまいましたからね」

 

「人を待たせるとはけしからん奴だな」

 

「いや箒、1時間近く俺を待たせたお前がそれ言ったらどうなるんだよ」

 

「う…」

 

「ア、アハハ…」

 

 一夏に指摘されて黙る箒。これにはアリシアも苦笑ぎみに笑うしかない。

 

「じゃあこの辺りの屋台で回ってみたらどうだ?」

 

「それもいいかもしませんね。…?あそこは何です?」

 

 アリシアが人だかりが集まっているところを指さす。

 

「ん?ああ、型抜きだな。型が取られてる溝を、針なんかで周りをまんべんなく削っていって、うまく取れるとお金がもらえるんだ」

 

「懐かしいな。私も昔によくやったが全然できなかったからな」

 

「へぇ、時間かかりそうですね」

 

「まあ、型は砂糖菓子でできていて、食べられるから舐めたりしてイカサマする奴もいるぐらいイラつく、もとい時間がかかるからな」

 

「少しやってみようかな?」

 

「いいんじゃないか?…にしてもあんなに集まるもんなのかな?」

 

 そう言ってアリシアと一緒に、一夏と箒もその店に近づく。

 

「すげえ…」

 

「なあ、どうしたんだ?」

 

 人だかりができていて店主に話しかけられない状況のため、周りにいる者に一夏が聞く。

 

「ああ、5枚連続で抜いた奴がいてな、今3000円くらいのにチャレンジしてる」

 

「マジでか?」

 

 それを聞いて一夏達は野次馬連中を避けて奥に行くと1人の男が膝立ちで型を抜いている姿が見られた。

 

「…よし、これでどう?」

 

「ん……」

 

 そして型を抜いたと思われる牛を店主に渡す。

 

「……いいよ。3000円」

 

「ありがとうございます。…さて、そろそろ時間かな」

 

 周りからオオと声が揃う。そして立ち上がって屋台から出ようとすると

 

「「「仭(さん)!?」」」

 

「ん?何だ、お前達か。てかここであまり大きな声を出すな。誰もやってなかったからいいものの、それのせいで失敗する奴も多い」

 

 とりあえず屋台から出ようと仭は言い、一夏とアリシアが合流した近くに来た。

 

「しかしまあ、待たせてしまったみたいで悪かったなアリィ」

 

「いえ」

 

「それにしても仭。お前、そんなに型抜きうまかったんだな」

 

「まあ、祭りに来たときはいつもやってたな。…軍資金稼ぎに」

 

 それに対して3人はそういうもの?と内心揃えながら苦笑いをする。

 

「で、まあ、1万円近く集まったし行くかアリィ」

 

「はい。けどあの…どのくらいあそこにいたんですか?」

 

「ん?えーと…8時間?」

 

「「「は!?」」」

 

「ああ、悪い。6時間だった。どうも1000円以上のものがなかなか認められなくてな」

 

「「「…………」」」

 

 その言葉に3人はただ、ただ絶句。

 

「まあ、花火が始まるまで時間があるから行こうアリィ。お前達もまあ、2人で楽しめ」

 

「あ、ああ、そうする」

 

 仭は箒の顔に近づいて

 

「学校とは違って2人きりだ。まあ、がんばりな」

 

「!…/////」

 

「クックック」

 

 箒にしか聞こえないくらいの声で言い、仭はアリィと共に、一夏と箒の前から去る。

 

「それにしても2人っきりにするなんて優しいですね」

 

「ん……まあ、臨海学校の最後辺りでの出番を奪ってしまった責任もある、からな……」

 

「?」

 

「いや、何でもない。…それはともかく浴衣似合ってるぞ」

 

「ありがとうございます」

 

 

 

「でどこから行くか」

 

 仭達と別れ、どこへ行くか考える一夏。

 

「そ、そうだな…」

 

 先程仭に2人きりと言われ、現状が嬉しくなってくる箒。

 

「そういえば箒って金魚すくいが苦手だったな」

 

「い、いつの話だ!!」

 

「今は違うのか?」

 

「当然だ。何なら勝負してもいいぞ?」

 

「じゃあ負けた方が食べ物おごりな」

 

「いいだろう」

 

 そう言って2人は金魚すくいの屋台を見つけ、2人はお金を払ってモナカを持つ。

 

「じゃあ、勝負!」

 

「望むところ!」

 

 2人のモナカが同時に水に触れる。

 

 

 

 

 

*仭サイド

 

 

 

 

 

「あれ?仭さん?」

 

「蘭か。奇遇だな」

 

 俺はアリィと屋台をまわっていると話しかけられ、振り向くと蘭がいた。

 

「1人か?弾は来てないのか?」

 

「さあ?家で寝てるんじゃないですか?それと今日は生徒会のメンバーと一緒に来ました」

 

「ああ、そういえば生徒会長もやってるんだっけか?」

 

「はい。秋の文化祭で参考にしようと思いまして」

 

「そうか。それと浴衣姿似合ってるぞ。一夏もいたらそう言うだろうな」

 

「そ、そうですか?ありがとうございます」

 

「あー、会長が照れてるー」

 

「めずらしー」

 

「そっかぁ。他校の男子はもちろん同校の女子になびかない理由はこれかぁ」

 

「会長、ふぁいとっ♪」

 

 蘭の後ろにいた浴衣姿の女子達が蘭をはやし立てる。

 

「こらこら失礼でしょ。2人はデート中なんだから」

 

 デートって。まあ、2人きりだとそう見えるか。そう言われたせいかアリィは若干頬を赤らめている。

 

「3番目に喋った子に対して返答しよう。蘭のそういう意味の奴は俺じゃなくて――」

 

「そういう意味ってどういう意味ですか!?私にそんな人いませんよ!!」

 

 いや、顔赤面しまくりながら言われても…そうだ。

 

「あっ、一夏」

 

「え?ど、どこですか?」

 

『……』

 

「あっ……」

 

「なるほどー」

 

「会長はその人に脈ありかー」

 

「なるほどなるほどー」

 

「会長、がんばっ♪」

 

「違うわよ!!////」

 

 おいおい、そう言うとこういう年頃の女子は…

 

「きゃー♪」

 

「会長が怒った~」

 

「逆鱗触れた~」

 

「こわーい」

 

 こんな風になるんだ。

 

「あの、大尉?」

 

 アリィが小声で話しかけてきた。

 

「ん?ああ、そういえば自己紹介がまだだったな。彼女は五反田蘭。この前ニアさんと会ったって話しただろう?」

 

「なるほど彼女が…」

 

「あの、ところでそちらの人は?」

 

「ああ、アリシアだ。IS学園に通ってる」

 

「アリシア・マーフェウスです」

 

「あ、五反田蘭です」

 

 2人とも自己紹介する。

 

「じゃあ、私達はこれで」

 

「行くのか?」

 

「お2人方の邪魔をするのはあれですので。それにさっきも言ったように、目的があるので」

 

「そうか。またな」

 

「はい、また」

 

 そう言うと、蘭達は去っていったので俺達も見て回ることにする。

 

 

 

 

 

*第3者サイド

 

 

 

 

 

「いや悪いな。奢ってもらって」

 

「な、納得いかん」

 

 蘭達が実はすぐ近くにいたのだが、仭達が話してる間にすれ違いになってしまったのも露知らず、一夏は箒から焼きそばを奢ってもらっていた。金魚すくいの勝負は一夏と箒、ともに3匹ずつ取ってそのまま終わるかと思いきや、箒の金魚が入った器から1匹の金魚が跳ね、水面に着水。2人が呆気にとられる間に2人のモナカが破れて決着。

 

「あの金魚め。真剣勝負に水を差すとは」

 

「まあ、いつまでも怒ってもしょうがないだろ。それより焼きそばうまいぞ。食うか?神楽やって腹減ってるんだろ?」

 

「!?い、いただこう。…うまいな/////」

 

「だろ?」

 

 一夏にあーんをしてもらえるため、箒は嬉しくも恥ずかしがりながら、一夏に悟られないよう焼きそばを貰う。

 

「さて、次はどこに行こうか…おっ、射的だ」

 

 2人が屋台を再び見て回っていると、一夏が射的屋を指さす。

 

「そういえば射的も箒、苦手だったよな」

 

「い、いつの話だ!!」

 

「それさっきも言ったぞ」

 

「何だったらやってみせてもいいぞ」

 

「へぇ、じゃあやってみせてもらうか」

 

 そして店に入って箒がチャレンジするものの

 

「くっ…」

 

「やっぱ駄目じゃんか」

 

「う、うるさい!弓なら100発100中だ!!」

 

「いやそれ景品壊れるだろ。はあ、ほら貸してみろ」

 

 空になった箒の銃に弾の弾を詰め、一夏は密着して箒に持たせる。

 

「いいか。まず銃の持ち方自体が変で―――」

 

 しかし一夏がすぐ近くにいるため

 

(い、一夏が…わ、私に…ち、近い)

 

 アドバイスがまったく届いていなかった。

 

「―――ほら、撃ってみろよ」

 

「えっ?あ、ああ」

 

 そう言い狙いもつけずに、ぱんっと玉が発射される。

 

「お」

 

「おお?」

 

 それが見事1等身のペンギンのぬいぐるみに当たり、倒れる。

 

「おっ、やるじゃん箒」

 

「あ、ああ(隣のダルマの方が良かったのだが…)」

 

「がっはっはっ。今日は大損だな」

 

「「大損?」」

 

 突然射的屋の大将がそう言ってきたため、2人はどういうことか聞く。

 

「いや実はな。兄ちゃん達が来る前によ?兄ちゃん達と同じ黒髪の男女が来てな?その2人にけっこう倒されちまってな。赤字だ赤字!」

 

「…あの、もしかして男は俺と同じぐらいの身長でちょっと長めの髪、女の方は腰まで髪がありませんでした?」

 

「おうそうだ。何だ?兄ちゃん達の知り合いか?」

 

「「…………」」

 

 明らかに仭とアリシアだとわかり、黙ってしまう一夏と箒だった。

 

 

 

「おー、変わって無いな。ここも」

 

 花火の時間が近くなったため、一夏と箒は神社裏の林に来ていた。そこの中に、一夏達しか知らない秘密の穴場がある。知っているのは一夏、千冬、箒、束の4人で仭も知らない場所であった。

 

「にしても今年は色々あったな」

 

「気の早い奴だな。そういう台詞は年の瀬までとっておけ」

 

 IS学園の方を見ながら言う一夏に箒はそう突っ込む。

 

「そうだけどさ。俺がISを操縦できるようになったのが知られて、全世界を騒がせて、IS学園に入ることになって、俺と同じ男でISを動かせる旧友と再会して、いろんな奴に出会って、いろんな事件が起こって…」

 

「…そうだな」

 

「いろんなことがあったけど…IS学園に入って良かったと思ってる」

 

 そう言って一夏は

 

「お前にも出会えたしな」

 

「っ……////」

 

 箒の方を見ながらそう言い、当然そんなことを言われた箒は恥ずかしくなる。

 

「ん?どうした箒?」

 

 当然本人はただ純粋に言っただけである。そして箒はある決断をする。

 

「い、いや…その…」

 

 手を遊ばせながら、箒は一夏に告白しようとする。

 

「い、一夏!」

 

「?」

 

「わ、私はお前がす――」

 

 

ヒュ~~~、ドオォン!

 

 

「おー、花火始まったか」

 

 好きだ、そう言おうとしたが花火によって邪魔されてしまった。この花火は100連発で有名なうえ、1度始まると1時間以上続く。箒はがっくりしたが、諦めて花火を見ることにし、箒は

 

「ん?何だよ」

 

「このくらいは許せ」

 

 腕を一夏の腕に絡めた。

 

「まあ、いいけどよ」

 

 そして一夏は再び花火に視線を戻し、箒も花火に視線を移した。

 

 

 

「たーまやー!」

 

「子供か」

 

「どうせ子供ですよ」

 

「開き直るか」

 

 一夏と箒とは別の場所で仭達も花火を見ていた。

 

「それにしても箒、一夏さんに告白できましたかね?」

 

「余計な横槍が入って、できなかったに賭けてもいいぞ?」

 

「断言できちゃいます?」

 

「そうだな。長年一夏の周りにいる奴らを見てきたが、そう簡単に告白できる性格でもないし、そう簡単に結ばれるとも思わん」

 

「それはまずほとんどの女子が告白なんて簡単にできないと思いますけどね」

 

「ほう、ならお前やラウラは例外か?」

 

「アハハ、そうかもしれませんね」

 

「……………」

 

「それにしても綺麗ですね」

 

「…そうだな」

 

「?大尉?」

 

「…これが最後に見る…いや、最後の夏になるかもしれない…と思ってな」

 

「!…亡国企業のことですか?」

 

「………ああ、正直夏休み中に奴らの動きは特になかった。だから余計に、この先厄介なことになりそうだからな……」

 

「………」

 

 それを聞いてアリシアは仭が、自分が死ぬかもしれないという思いが強くあることを認識した。

 

「…アリィ?」

 

「大丈夫です大尉」

 

 そう言ってアリシアは仭の手を握った。

 

「あなたは1人じゃないんですから、私や軍の皆や学園の皆だっているんですよ?何でも背負いこもうとしないでください」

 

「…そうだな。どうやら、俺は少し気弱になっていたようだ」

 

「少しじゃないですけどね」

 

「やかましい」

 

 そう言いながら笑みを浮かべる仭を見て、いつもの仭に戻ったことがアリシアはわかった。

 

「また今日みたいに来年も楽しみましょう?」

 

「そうだな。束の間の平穏を楽しむとするか」

 

「むー、今日ぐらいは羽目を外してもいいじゃないですか」

 

「クク…それもそうか」

 

 そう言って再び仭達は花火を見始めた。

 

(…違うぞアリィ、確かに俺は奴らと戦って死ぬかもしれないという思いを抱いているが、俺が言いたかったのは違う)

 

 仭はISの待機状態でもある、左腕につけている黒い腕輪を見て

 

「…俺自身が、この先ISを使い続けられるかもわからないのだからな…」

 

「?大尉?」

 

「いや、何でもない」

 

 そう呟いた。仭が呟いたことは小さく、花火の音にも混じってアリシアには聞こえなかった。

 

 

 

 




型抜き懐かしい。祭りのときにあったら昔はやってたが、時間だけが過ぎていったからもうやらなくなったが。(汗)
そろそろ4章も終わるかな。
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