IS<インフィニット・ストラトス> ~白き騎士と黒き暴君~ 作:狂戦士
第47話 新学期早々の一夏の苦悩
一夏と仭が楯無に遭遇した翌日、朝からIS学園1年の生徒を全員集めて集会が行われた。内容はもう直ぐ開かれる学園祭の事についてである。
「それでは、生徒会長から説明をさせていただきます」
生徒会長、つまり楯無が現れると聞いて仭は内心嫌な予感を感じてた。
「やあみんな。おはよう」
「っ!」
「……………」
一夏が反応したのを仭が見て、やはり彼女だったかと確認した。
「さて、今年は色々と立て込んでいてちゃんとした挨拶がまだだったね。私の名前は更識楯無。君達生徒の長よ。以後よろしく」
少し騒がしくなり、意外と人気があるんだと仭は内心思っていた。
「では、今月の一大イベント学園祭だけど、今回に限り特別ルールを導入するわ。その内容と言うのは」
その題名が楯無の後ろにあるスクリーンに投影される。そこに書かれていた文字を見た瞬間、仭は嫌な予感が当たったことと、その内容に2つの意味でため息をついた。
「名付けて『各部対抗織斑一夏争奪戦』!」
「…は?」
『ええええええええ~~~~~~~っ!?』
「…馬鹿か?馬鹿なのか?」
ホールに叫び声が響く中、仭は一夏の様子を見て、一夏の承諾が(やはり)ないことがわかり、そうつぶやいていたが当然周りの声にかき消される。
「静かに。学園祭では毎年各部活ごとの催し物を出し、それに対して投票を行って、上位組は部費に特別助成金が出る仕組みでした。しかし、今回はそれではつまらないと思い―――」
扇子で一夏を指し示す楯無。
「織斑一夏を、1位の部活動に強制入部させましょう!」
『うおおおおおっ!』
女子達の雄叫びが上がる。その様子を楯無は面白そうに見ていた。
「素晴らしい、素晴らしいわ会長!」
「こうなったらやってやる!!やってやるわ!!!!」
「今日からすぐに準備にはじめるわよ!秋季大会?ほっとけそんなの!」
「…俺の了承どうなんの?」
「あきらめろ。あの人は常識知らずの人たらしなんだから」
「……………お姉ちゃん………」
声が響く中、唖然とする一夏にもう受け入れるしかないと仭は言い、楯無の妹である簪はどうにも言えない感情に包まれていた。
「よしよしよし、盛り上がってきたぁぁぁ!」
「今日の放課後から集会するわよ!意見の出し合いで多数決取るから!」
「最高で1位、最低でも1位よ!」
「最後の矛盾してないか?」
「気にするな。火が付いた女子の群れは止まらない」
そして仭は内心あることを思っていた。
(昨日生徒会に入ると、承諾しといてよかった……)
もし承諾してなかったらなかったで、自分も景品にされていたと思うと仭はとりあえずよかったと考えていた。ちなみに仭が景品に入ってないことを問いただす人がいなかったのは、学園のツイッターで仭が生徒会に入ると(楯無により)伝えられていたからである。
集会が終わり、ホームルームの時間、1年1組は学園祭の出し物を何にするか話し合っていたが上がった内容が『織斑一夏と黒崎仭のホストクラブ』『織斑一夏と黒崎仭とのツイスター』『織斑一夏と黒崎仭とのポッキー遊び』『織斑一夏と黒崎仭との王様ゲーム』で、当然
「「全て却下」」
『ええええええええ~~~~~~~!!!?』
全て一夏と仭ががんばらなくてはならないため、拒否する。
「アホか!誰が嬉しいんだ、こんなもん!?」
「私は嬉しいわね、断言する!」
「そうだそうだ!女子を喜ばせる義務を全うせよ!」
「織斑一夏と黒崎仭は共有財産である!」
「…山田先生、ダメですよね?こういうおかしな企画は」
「えぇ!?私に振るんですか!?」
女子はもう駄目だと思い、真耶に一夏は振る。千冬は『時間がかかりそうだから私は戻る。終わったら織斑、職員室に結果報告にこい』といない。
「え、えっと~…わ、私はポッキーのなんか良いと思いますよ?」
「…てかまず俺達2人がいる前提だろ。もし当日になって病とかどうしても外せない用事とか出てきたらどうすんだよ。詐欺になるぞ?」
頬を紅くしながら言う真耶につk…話にならないと感じたのか、仭は口を開いた。
「いや、黒崎君、2人ともってのはさすがにないと思うけど?」
「100%言い切れるか?」
『……………』
屁理屈のようなことを言って仭は全員を黙らした。
「…と、とにかくもっと普通の意見をだな!」
「メイド喫茶はどうだ?」
「……え?」
そう言ってきたのはまさかのラウラであり、その予想外なことに仭を含め、クラス全員が固まった。
「メイド喫茶なら、客受けはいいだろう。それに飲食店の経費を回収が行えし、招待券制で外部から来た人達の休憩所としての需要も少なからずあるはずだ」
淡々とした口調で説明するラウラ。
「えっと…皆はどう思う?」
「いいんじゃないかな?一夏と仭には執事か厨房を担当してもらえばオッケーだし」
そう言ったのはシャルロットで、ラウラをサポートするように発した言葉に皆は賛同し始める。
「織斑君と黒崎君の執事!いい!」
「それはそれで」
「あっ、でも黒崎君って髪長いから女装してメイドでも――」
ヒュンッ!!
最後に言った女子の目の前をナイフが通過した。
「ん?聞こえなかったな。大きな声でもう1回」
「な、何でもありません!!」
そのナイフを投げたのは仭であり、笑顔だったが黒いオーラもとい殺気を纏っていて、先程の女子は禁句かと思い、取り消した。
「…まあいい。ところで執事服とメイド服はどうするんだ?演劇部にでも頼むか?」
「そうだな。ラウラ、どうするんだ?」
仭はとりあえず機嫌を少し直し、問題について問いただすと一夏がラウラに聞く。
「それならツテがある。執事服とメイド服を借りられるか聞いてみよう。……シャルロットがな」
「え、えっとラウラ…それって先月の?」
「うむ」
「き、訊いてみるだけ訊いてみるけど、無理でも怒らないでね?」
『怒りませんとも!』
かくして、1年1組の出し物はメイド&執事喫茶改め『ご奉仕喫茶』に決まった。
*一夏サイド
クラスの出し物が決まったので職員室の千冬姉に報告し終わった俺は帰り途中に
「やあ」
「…はあ」
「ちょっと!出会い頭にため息はないでしょ」
俺を景品にした張本人が現れた。というか誰のせいだと思ってるんですか。とりあえず、俺はアリーナの方に歩き出す。
「…………」
すると更識先輩もごく自然な流れで、俺と並んで歩き出す。
「…はあ」
「まぁまぁ、そう塞ぎ込まずに。若い内から自閉しているといい事無いわよ」
「誰のせいですか、誰の」
「んー、それなら交換条件を出しましょう」
「交換条件?」
「これから当面、私が君のISコーチをしてあげる。それでどう?」
「いや、コーチはいっぱいいるんで」
仭やシャルとかラウラとか。
「そんな事言わずに。私は生徒会長なんだから」
「それが?」
「あれ、知らないのかな?IS学園の生徒会長というと――「おーい一夏…って何だ。あなたもいたのか」――2人とも私と会ったとき厄介者扱いしてないかしら?」
「さあ?それよr「覚悟ぉぉ!!」
「は!?」
仭が何か言おうとした瞬間、前方から竹刀を片手に襲ってきた女子。だが、驚いている俺とは対照的に仭は即座にその女子に近づき、竹刀を蹴り上げ、得物を失い無防備になった女子の首元に手刀をくらわした。
「一夏、伏せろ」
「え?…!」
ガシャン!!
仭にそう言われ、どういう意味かわからなかったが、窓の外から矢が飛んできたのが見え、即座に伏せた。そして窓ガラスが破裂、そこから次々と矢が中に入って飛ぶが、それを仭は上空から落ちてきた(戻ってきた)竹刀を片手に持ち、叩き落としながら、懐から手榴弾を取って口でピンを抜き、隣の校舎に投げた。
「…止まったか?」
矢が飛んでこなくなったので、俺は窓から顔を出すと、隣の校舎の廊下にガスが充満していた。
「…睡眠ガスだよな?」
「当然だ」
「あら、すごいわね」
「どうも。けど――「もらっ――」
ドッゴォ!!
「……………」
今度は掃除ロッカーから第3の刺客が現れるかと思いきや、すでにそこで待ちぶせしていた仭が、ロッカーが少し開いた瞬間に、扉に豪快な音を立てながらパンチを繰り出して閉め、それきり声がしなくなった。
てかロッカーのパンチを叩きこまれた部分が凹んでるし。
「大丈夫だ。気絶してるだけだろうし。…今度こそ終わりだな」
「すごいわね黒崎君」
「あなたに言われても、生徒会長」
「?どういう意味だ仭?」
「何だ、知らないのか」
「生徒会長という肩書きはある1つの事実を証明してるの。生徒会長、即ち全ての生徒の長たる存在は最強であれ。さっきのようにか弱い私は常に危険に晒されているから
「さっき自分で最強と言ってませんでしたか?」
「念のため言っておきますが、俺は生徒会に入っただけであり、
「あは♪」
いや、『あは♪』じゃなくて。
「とにかく、最強である生徒会長はいつでも襲っていいの。そして、挑戦者が勝ったなら、その者が生徒会長になれるって訳」
「はぁ…」
何ともまあ、無茶苦茶な。
「それにしても私が就任して以来、襲撃なんてなかったのになぁ…やっぱり、これは君のせいかな?」
「何でです?」
「ん?ほら全校集会で言った事よ。運動部とか、格闘系は1位を取るのは難しいからね。だから実力行使に出たんでしょう。私を生徒会長から失脚させて、景品キャンセル、ついでに君も手に入れる」
「というかそれ一夏のせいじゃなく、あなたのせいでしょ。一夏に何も言わずにこんなことしでかしたんですから」
確かに、しかし当の本人は
「あは♪」
「そう言えば何でも許されると思ってんじゃねぇぞ先輩」
「怖いわよ?ではまあ、1度生徒会室に招待するから来なさい。お茶くらい出すわよ」
否定の選択はなさそうだ。
「行きます…」
「うむ、よろしい。素直な織斑一夏君はおねーさん好きだよ」
「…一夏でいいですよ」
「ん、じゃあ俺も仭で」
「そう。では私も楯無と呼んでもらおうかな。もしくはたっちゃんでも可」
「楯無さん1択で」
「むー、まあいいでしょう」
「…了解した
「「!?」」
「?何だ2人とも」
「い、いや」
「じゃあ楯無、呼び捨てで呼べって言うならタメ口にするな」
「え?ああ、構わないわよ」
そう言って再び歩き出すせ…楯無さん。
「さて、俺も今日行くと言ってあるし付いて行くか」
「てか仭、お前先輩相手にいきなり敬語やめたりとか抵抗感ないのか?」
「ないな。10歳年上の奴でも、呼び捨てや敬語を使わずに話してるし」
「えぇ~~」
「大丈夫だ。俺だって場合によっては敬語使うし、何より本当に敬意に値する人なら、さん付けだってする」
「どういう意味かしらそれは?」
「何だ、聞いてたのか。盗み聞きはよくないぞ?」
「聞こえてきただけよ」
うわー、何かもう友人みたいに気軽に話してるし。そして刺客が隠れて集結してるところに出くわしたりすると仭が閃光手榴弾を使って気絶させて一掃するなどして、俺達は生徒会室に向かった。
もうそろそろ本編で50話か。次話は…どうするか。