IS<インフィニット・ストラトス> ~白き騎士と黒き暴君~ 作:狂戦士
第50話 楯無の悪戯
「…つまり簪とは姉妹仲が悪いと?」
「ええ…」
俺は仭が道場から出た後、楯無さんに簪とについて話を聞いた。簪は俺のせいで専用機を完成されず、俺達が手伝う前までは1人で組み上げようとしたらしい。楯無さんに対して強いコンプレックスを抱いて、専用機を自分1人で完成させることでコンプレックスを解消しようとしたらしい。
「あの子は私が専用機を1人で組み上げたから自分も…って思ってたのよね」
「え!?」
「でも私だって虚ちゃんや薫子ちゃんにも手伝ってもらったのよ?」
「ああ、あの人ですか…ってあの人ですか!?」
黛薫子。俺を格好の取材対象として頻繁にインタビューをしにくる人だ。そういえば最近見ないな。仭に対してインタビューしてるとこも見てないし。
「そうよ?整備科に所属してる2年のエースだもの」
意外とすごかったんだ。
「驚いてるけど仭君だって簪ちゃんの専用機の組み上げで、ほとんどやってくれたそうじゃない?」
そうだった。確か設計をほぼ1人で直したりし、完成したら性能がめちゃくちゃよかったんだ。間近にいたせいかすごさを忘れてた。(実は仭が所属してる軍で、仭が色々と参考にさせてもらってたのを知らない)
「…それで専用機は完成したけど仲についてはまったく進展しなかったわけですか」
「ええ、どうもうまくいかなくて…ね」
でもおそらく簪だって楯無さんとの仲を何とかしたいと思ってるはずだ。
「なら俺が話をつけましょう」
「…いいの?」
「はい」
「じゃあお願いするわね」
そう言って楯無さんは立ち上がる。
「さて、いろいろまとまったところで行こうか」
「?どこに?」
「第3アリーナよ」
「あれ?一夏?」
「一夏さん?今日は第4アリーナで特訓と聞きましたけど?」
楯無さんが着替え、2人で第3アリーナに行くと意外にもいたのはシャルとセシリアだった。訓練中だったらしい。
「…どうして生徒会長と一緒にいるの一夏?」
「まあ、そう邪険にしないで。あ、それとこれから私が一夏君のISの操縦のコーチをする事になりました」
「「はい?」」
あれ?何か嫌な予感が…
「え?どういうこと?」
「一夏さん!」
「ちょ、待て待て。楯無さんからそう提案があったからそれを受け入れただけだ」
「「何で!!(ですの!!)」」
何故だ!?
「そうよ。私が提案したら、即決断してくれて、ね」
ちょっと!?
「「一夏!?(さん!?)」」
「嘘をついて話をややこしくさせようとすんじゃねーよ…」
ん?この声は?
ビュッ!
横にいる楯無さんの方に音が鳴ったのでそっちを見ると、仭が後ろから楯無さんの頭があったところに正拳をかましてた。楯無さんはしゃがんでいる。
で、仭の近くにはラウラもいた。
「…てか一夏この野郎。俺を置いてくとかどういうことだ。そもそもお前が今日特訓手伝えって言ったんだろうが」
「いや…ごめん……」
素で忘れてた。
「まあいい…」
「おい一夏!それよりさっきの話はどういうことだ!!」
「どうって…そのままの意味だぞ?」
そう言うとラウラの他にシャル、セシリアが
「師匠、何とか言ってくれ!!」
「そうだよ!!」
「納得がいきませんわ!!」
「…何で俺に振るんだよ」
仭に助け舟を求めていた。え?何?俺が悪いのか?
「納得がいかない…って言われてもな。一夏が決めたことだぞ?」
「「「だから何とか言って(くれ)と言ってるの!!(ますの!!)(るんだ!!)」」」
「はあ…実力者に教えを乞うのは普通のことだろ?はっきり言う。ここにいる会長はISではまず間違いなく最強だ。それは=ISの操縦技術と実力は高いということだ。この中で1番な。文句あるか?」
「「「…………」」」
「…にしてもお前もしっかり説明しろよ」
「いやぁ~、面白くてつい」
「ついじゃねぇよ…てかわざわざシャルロットとセシリアがいるところに来て、一夏に何見せようっていうんだ?」
「今からさせるわよ。じゃあ、シャルロットちゃんにセシリアちゃん、『シューター・フロー』で、
「え?でもそれって、射撃型の
「やれと言われれば、やりますが……一夏さんのお役に立ちますの?」
「…なるほど。白式が第二形態移行して、射撃武器…荷電粒子砲が追加されたからか」
「仭君が言った通りよ。でも、一夏君の射撃能力の低さは皆知ってるでしょ。つまり、射撃戦は一夏君には向かない。だからあえて―――」
「近距離で叩き込む」
楯無さんの言おうとした言葉を、そうラウラが先に出す。
「そう。鋭いね、ラウラちゃんは」
そう言って扇子をパンッと開き、扇子には『見事』と、達筆で書かれてあった。
「……ラウラちゃん……」
「じゃあシャルロットちゃん達の準備もできたみたいだから、しっかり見ていてね」
『じゃあ、始めます』
『一夏さん。どうぞしっかりとご覧になってください』
2機のISが相手に砲口を向けたまま正面から接近しようとせず、右方向に旋回し始め、背中を壁に向けて円軌道を描いていく。
『行くよ、セシリア』
『いつでもよろしくてよ』
徐々に加速し始めた2人は、射撃を開始。円運動を続けながら加速をして、相手の射撃を避け、決してお互いに減速を行わない。
「これは…」
「あれはね、射撃と高度なマニュアル機体制御を同時に行ってるんだよ。しかも、回避と命中に意識を割きながら、だからね。ISを完全に自分のものにしないと、なかなかああはいかない」
機体制御のPICは本来オート制御になっている。その場合細やかな動作は難しい。かと言ってマニュアルにすると機体制御を同時に意識しなければならない。俺も夏休みで少しやったが難しく、制御がなかなかできなかった。
「経験値も必要だけど、高度なマニュアル制御も必要なんだよ。2人とも」
「ん?何で俺まで言うんだ楯無?」
「だって重要でしょ?」
「あれ?言ってなかったか?俺は基本マニュアル制御でIS使ってるぞ」
『は?』
「おい!馬鹿!!」
『あ』
2人同時に止まってしまったため、銃弾、レーザーを浴びてしまう。そしてその衝撃で体勢を崩してお互い壁に突っ込んだ。
「……」
「ひどいよ仭!!」
「私達が真面目にやっている途中で!!」
「人のせいにするな。お前らが未熟なだけだ。アリィやレイラだって基本マニュアル制御で動かしてるぞ?注意がそれても続けられてるんだし」
「おい仭!?それ本当か!?」
「ああ、そうだが?てかあいつらが戦闘中オート制御で動かしたところなんて見たことがない。もうほぼ自然にできてるからな」
『………』
その言葉に楯無さん以外は俺を含めて唖然とする。にしてもあいつらの強さはそれもあったのか。
「じゃあ仭もか?」
「さっき言っただろ。俺も基本マニュアルだって。戦闘でオートは…あまりないな。それでもまだ少し意識しなくてはいけないから未熟だが」
未熟じゃないだろ、そう全員が心の中で突っ込んだであろう。
「あー、疲れた」
あれから2日、連日楯無さんに教えられながらマニュアル制御の訓練を行った。今日も当然行ったがやはりきつかった。
『一夏、お前は年上にずいぶんと甘いな』
箒が睨みながら言ってきたのを思い出す。そういうわけじゃないと簪以外の5人に説明したのだが信じてくれなかった。仭は慰めてくれたが…違うってのに。にしても簪とは最近会ってないな。そう思いながら俺は自室のドアを開ける。
ガチャ
「お帰りなさい。ご飯にします?お風呂にします?それとも、わ・た・し?」
バタン
ドアを閉める。
「…え?」
「どうした一夏?」
仭も来た。うん、間違いない。1年の寮で俺と仭の部屋だ。
「いや…ドアを開けたら楯無さんが裸エプロンで出てきて……」
「…ちょっと待ってろ」
すると仭は持ってた携帯を操り始めた。おい、まさか…
「ん…ドアを開けてみろ」
「あ、ああ」
そして俺は再度ドアを開ける。
「お帰りなさい。私にします?私にします?それともわ・た・し?」
カシャッ!
「…え?」
「簪へ『一夏の部屋に痴女が(さっき撮った写真付き)!!』…送信、と」
「ちょっと待ってぇ!!」
「ごめん、もう送った」
その宣告を聞くと楯無さんはがっくりとうなだれた。
「ああ…もう終わった……」
「仭……」
「…ああ、送る人物間違えた」
「え?じゃあ誰に?」
「おっ、コール音が」
仭の携帯電話にコール音が鳴り、仭は出る。
「ああ、はい。…楯無にだと」
「え?」
おそるおそる携帯を取る。
『私だ』
「織斑先生!?」
『写真を見たが…あまりからかうな。そいつは色々と怖いところもあるぞ』
「肝に免じておきます!」
『よろしい』
そう言って千冬姉は切った。てか千冬姉に送ったのかよ仭。
「さて、服を着ろ。でないと今度こそ簪に送るぞ?いや、それどころか生徒全員にばらまく」
「わかったからお願い!!さっきの消して!!」
「お前が服を着たら消してやる」
それを聞くとすぐに部屋に戻っていった。
「…てか鍵を勝手に開けやがったな。ラウラでさえもあの件以来入ってこれないようにしたのに…」
楯無個人に対してのセキュリティをつけるべきだろうか。仭はそんなことをを言っていた。
楯無を脅しました。(汗)