IS<インフィニット・ストラトス> ~白き騎士と黒き暴君~    作:狂戦士

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前話に引継ぎ仭と楯無の戦闘です。仭がいつもとちょっと違うかもしれません。(汗)


第54話 仭の戦術

第54話 仭の戦術

 

 

「やはりこれを使う羽目になったか…」

 

「仭君?それは第二形態移行して加わった武器かしら?」

 

「いや、その前から持っていた。扱いが難しいから今まで戦闘には使えなかったからな。夏休みでも努力はしたが…まだ完全に扱えるとは言い切れんな」

 

「…よく言うわ。それを片手だけで扱ってるというのに……」

 

「まあ、おそらくお前ほどの手練れならすぐわかる」

 

 そう言うと仭はその巨大な斧を右手に構え、楯無もとりあえず様子を見ようと蛇腹剣をしまい、ランスを構える。

 

「はあ!」

 

 すると仭はジャンプ、上から斧を楯無に叩きつけようとしてきた。楯無はそれをかわすと仭は地面に叩きつけかけた斧を停止、そのままなぎ払いへと移る。が、それも楯無は間一髪でかわし、ランスで攻撃しようとするが、それを斧で受け止める。ランスの攻撃を楯無は次々と撃ち込んで来ているが

 

「…いくら大きくて速かろうが所詮は竿状武器。隙がある!」

 

 仭は楯無の攻撃を斧で受け止める、またはかわしていき、隙をついて仭は左拳を楯無の腹に叩きこむ。

 

「くっ…」

 

 楯無はその攻撃を受け、後退する。しかし仭は再び近づいて斧を振りかぶるとその瞬間()()()()()()()()()

 

「!?」

 

 若干驚きながらも楯無は何とかかわす。

 

「…さすがに驚いても動きまで止まってくれると考えるのはむしが良すぎるか」

 

「なるほど。その武器はそういう類ね」

 

「今は破滅の魔剣(グラム)という形態だ。…この武器自体は名前がないから『暴君の剣斧』と俺は呼んでいる」

 

 大剣…もといスラッシュアックス(モンハン武器)を肩に置いて仭はそう言う。

 

「あら、そう。…それとあなたが扱いきれないと言った意味…わかったわ」

 

「そうかい」

 

 仭は大剣を構える。

 

 

 

「ああ、あの様子だと会長さんは気付きましたね」

 

「何を?」

 

 観客席。一夏達から少し離れたところでアリシアとレイラは話していた。

 

「大尉があの武器を使う上での欠点」

 

「欠点?」

 

 レイラは少しわからないという様子だ。現在大剣の連撃に楯無はランスでガードしているが1撃1撃が重く、後退していく。

 

「見たところ大尉が押してると思うけど……」

 

「でも彼女は1撃もくらってはいませんよ」

 

「…?……ああ、そういうこと」

 

 

 

「仭君、あなたはその武器を扱いきれてはいるけれどまだ遅いわよ?」

 

「わかってる。が、こればっかりは俺自身の力が足りないからな。夏休みだけじゃ扱うようにはできてもスピードについてはまだな」

 

 大剣とランスが触れ合うたびに火花を散らして激しい攻防をしてる中、2人は平然と会話をしていた。

 

(それでも簡単には行けないのよね……)

 

 先程楯無は遅いと言ったが、それでも普通に両手で扱っている者より仭の繰り出す斬撃は幾分かは速い。が元々大剣や斧の繰り出す攻撃は遅いので、多少速くなったところで楯無は避けられる。

 

(それに片手で扱ってるとは思えないほど普通に扱ってるし、何より隙がない)

 

 現在仭は左手のみで大剣を扱って攻撃をしてきている。切り返しが速く、普通に扱う者より隙を見せない。が、それでも隙を付いて攻撃をしようとするもその時に限って右拳で攻撃をし、下手に手を出せないのである。なぜなら1発でもくらえばその次に大剣による攻撃を直撃するのが目に見えているからである。

 ならば離れようとすれば仭が大剣を右手に瞬時に持ち替え、再び攻めに入る。左右どちらに変えてもスピード等変わらないが、戦法が少々変わるであろうと楯無は考えていた。仭が剣を左手に持ってる場合は相手が近接で戦っているときであり、剣による攻撃の合間にできる隙を右拳の攻撃などでカバーをし、剣を右手に持ってる場合は相手が近接から逃げようとするときであり、逃がさないように剣で攻撃するが、それでも逃げられそうになった場合は左手からの何らかの遠距離攻撃をしてき、動きを止める等の役割をして相手を逃がさないようにする戦法であろうと楯無は予測をした。

 

(どちらにせよこの斬撃の嵐からどうやって抜け出すか考えないとね)

 

 仭の攻撃は楯無だから避けたり防げるというわけではなく、おそらく代表候補生レベルであれば大半は避けられる。がそれでも回避に専念しなければならない。仭はシャルロットが得意とする押しても引いても一定の距離と攻撃リズムを保ち、攻防ともに高いレベルが安定した戦闘方法の砂漠の逃げ水(ミラージュ・デ・デザート)を応用した戦法を使っていた。そして

 

(…ちっ、やっぱまだ未熟だな俺は)

 

 仭の攻撃から逃げられない楯無が苦戦する中、仭も苦戦をしているという意味では楯無と同じだった。

 

(まったくここまで速度を速めたのは初めてだ。ちょっとでも気を抜くとすぐに懐に入ってきそうでひやひやする)

 

 そのたびに右拳で攻撃をするが相手を攻撃から追い返すのが精一杯だった。

 

(にしてもこいつ俺の戦法に気付いたな)

 

 楯無が予測した戦法は当たっている。楯無の予測通り、右手と左手に持っている場合で戦法が変わる。そしてこの戦法を仭は強引に動けなくさせ、チェスの引き分けを意味する『ステイルメイト』と名付けている。

 

(ここまで1発も当たらないのは楯無自身のIS技術にもよるな。オートとマニュアルを見事に使い分けている)

 

 楯無のIS操縦技術は仭を上回っている。それはISを動かす時間帯が単純に違うからである。仭は自分の戦闘技術で補っても楯無とは良くて5()。自身はまず楯無より上手く動かせないと考えていた。

 

(…逃げられないわね。けどいつまで…)

 

「いつまでこのイタチごっこを続けるのか?…とでも考えていそうな顔だな」

 

「!!」

 

「心配せんでもこの均衡はすぐに崩れる。だが楯無、お前はこの戦術にハマった時点で俺の…いや、正確には剣闘士の手の内だ。今はまだ5分の均衡状態でも、な…」

 

「今は?……っ!!」

 

 仭のその意味が含まれている言葉を聞いて悟ったのか、楯無は急に攻撃を仕掛けてきた。

 

「気付いたか。が、残念だが遅かったな」

 

 そう言うと同時に仭はランスを蹴って楯無の攻撃を中断させ、仭は後退する。

 

「お前は俺の戦法に気付いたようだが、この戦法はお前を倒すために行ったのではない」

 

 すると仭の全身が発光し始める。

 

「時間稼ぎだ」

 

「…やられたわね」

 

 楯無は完全に状況が悪くなったと認識した。仭の思惑は自分を追い詰めて疲労させると考えていたため、完全に予想違いになってしまった。仭の単一仕様能力は攻撃を受けたらエネルギーを蓄えるだけではなく、機体内で増幅させることを忘れていたのである。完全にミスってしまったと楯無は内心悔しい思いを寄せるが、それどころではないので意識を仭に戻す。

 

「さて、俺の攻撃(ターン)はまだ続くぞ?」

 

「…受けきるしかないわね」

 

「やってみな」

 

 仭はグラムをしまい、ブレードを両腕に3本ずつ展開、ナックルの状態にすると鉤爪のような感じになる。

 

「…行くぜ」

 

 そう言うと同時に仭はブレードをエネルギーの刃に中途半端に変化させ、刃にエネルギーが纏わりつくような状態になる。仭が大きくその場でなぎ払うと3つのエネルギーの斬撃が飛ぶが、それを楯無は何とかかわす。

 

「…エネルギーの斬撃を飛ばすなんてね……」

 

「色々模索してみた結果、可能になった。まだまだ続くぞ?」

 

 すると仭は両腕のブレードクローを上に振りかぶり、次々と斬撃を飛ばす。

 

「くっ…」

 

 その速い斬撃を楯無はかわし、そのたびに斬撃が地面に当たり、ザグンと音を立ててえぐる。そして斬撃が飛ばされている中、楯無は突っ込んで来た。楯無は器用にかわして仭に近づいてくるとエネルギーの無駄遣いと感じたのか展開装甲を解除して、普通のブレードに戻し楯無に斬りかかる。

 

「はっ!」

 

 それに対し蛇腹剣を展開し、それで対抗しようとしたがその瞬間斬りかかろうとした仭のブレードが消える。蛇腹剣が空を切ると同時に仭のアンガーナックルが至近距離で炸裂し、楯無は吹き飛ぶも仭の追撃を阻むためランスに仕込まれているガトリングガンを発射した。

 

「俺は何も至近距離からしか攻撃できないわけではない。ブラストレーザー!」

 

 そう言うと同時に仭の左のブレードクローもしまうと左手から黒きレーザーが楯無に向かって放たれる。それを横に避けた瞬間突然レーザーが分かれ、その際に分かれたレーザーが楯無に被弾する。

 

「っ!!攻撃のときに言ったことと違ってるわよ!?」

 

「ああ、悪い。正確にはディフューズ(分かれる)レーザーだった」

 

「……あなたもしかして嘘つき?」

 

「さあどうだろうな?」

 

「……………」

 

「さて今度こそディフューズレーザーを放つか?」

 

 左手を再び仭は楯無に向ける。

 

(…どっち?またさっきのやつかしら…でもまた裏をかいて…)

 

 そう考えているとふと改めて仭の方を向く。そのときには仭は目の前にいなかった。

 

「!?っ!!」

 

 すぐに楯無はハイパーセンサーで探そうとするが

 

「遅い。インパクトナックル」

 

「!?」

 

 楯無の下から仭は突っ込んできて右拳で楯無の腹を殴る。

 

「まだ終わらん」

 

 仭は攻撃の手を緩めずに楯無に掌打や蹴りを加えるが

 

 

ドッ!!

 

 

「いつまでもやられっぱなしじゃないわよ?」

 

 楯無が仭の顎を蹴りあげた。よろめき仰け反った状態の仭に楯無は追撃の攻撃を加えようと、先程の攻撃で手放してしまったランスの代わりに蛇腹剣で斬りかかるが

 

「な!?」

 

 仭はまだ仰け反っている状態にもかかわらず、蛇腹剣を真剣白刃取りで受け止めていた。しかし楯無の蛇腹剣は高圧水流を発することができるため、普通に掴んだ場合危険であるがエナジーグローブでしっかり防護していた。蛇腹剣が軋む音を上げ、楯無は仭を蹴飛ばすもいっこうに真剣白刃取りを緩めない。そこで楯無はいったん蛇腹剣を離し、思いっきり蹴りをくらわせる。これにはたまらず仭も手を緩め、蛇腹剣が少しずり落ちた瞬間楯無は自分の手に再び取って地面に着地、ランスを取る。

 

「…さて、次はどのように攻めるか」

 

「…あなた結構嫌な感じに攻撃をしてくるわね……」

 

「言葉も相手を騙したりすることができるからな。言葉も俺にとっては戦術に使う物と思ってる」

 

「…それなのにベルセルクってコードネーム?」

 

「まあ、それ自体が異名として知れ渡ってるのもいるが、そうだな。コードネームを変えたらどうだ?と仲間に何度も言われ――っと!」

 

 楯無は蛇腹剣を鞭のように奮ってくるが、仭は掠らせる程度に収めた。

 

「悪いけどもうこれ以上あなたに時間をやるわけにはいかないわよ。あなたに有利になっちゃうから」

 

「何だ、バレてたのか。半分は本当にお前の質問に答えていたんだがな」

 

 にやりと笑いながら仭は言う。

 

「まるで悪役、私が勝つのは決まりね」

 

「正義は勝つってか?勝てば官軍負ければ賊軍という感じだな。が卑怯と言われようが外道と言われようが戦い方は人それぞれだ」

 

 仭は大剣モードであるグラムを展開、左手に持つ。

 

「そうね。けど勝つわ。私の方が強いから♪」

 

「ククク。それはマズイな。負けちまう」

 

「…嘘つき」

 

「知ってる。負けるなんて思っちゃいねぇよ!!」

 

「こっちの台詞よ!!」

 

 楯無はランスのみを展開、瞬時加速で仭に突っ込んできた。

 

 

 

 




はい、仭の武器はスラッシュアックスです。少し仭がひどかっただろうか?
少し長くなりそうですか何とかがんばります。
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