IS<インフィニット・ストラトス> ~白き騎士と黒き暴君~ 作:狂戦士
第58話 五反田兄妹への招待
「ふ、ふ、ふ……」
IS学園の正面ゲート前で、1人の男子がチケットを手に笑いをこらえている。一夏と仭の悪友である五反田弾だ。
「ついに、ついに、ついにっ!女の園の…IS学園に来たぁぁぁぁぁ!!!」
「お兄うるさい!!」
そして今しがた突っ込んだのは隣にいるその妹、五反田蘭である。
何故2人がいるかはさかのぼること3日前。
「そーいやさ、一夏は彼女できたん?」
「あー、女子に興味ないって寝言言ってたぞ」
「まだ言ってんのかよそれ……じゃあ仭は?」
「あいつか?…どうなんだろうな。とりあえず一夏が刺されないようにはしてるらしい」
「あいつの仕事になってんなー、相変わらず……」
弾の部屋。弾は一夏、仭とも友人である御手洗数馬とベースの練習をしていたときであった。ベースの弦を張り直している弾とアンプの調整を繰り返している数馬、この2人はバンドを組んでいるわけではなく『楽器を弾けるようになりたい同好会』の(私設)メンバーである。全2名(笑)ちなみに仭は2人が同好会を作ったと聞いて
『そのままじゃ一生うまくならないだろう』
と口にしていた。
「そういや今度学園祭だってな。弾のとこは何やるん?」
「うちか?ラグビー部が『マッチョにパイをぶつけようゲーム』やるぜ」
「何だそら……」
「お前んとこはバンドやんねーの?」
「人前で弾ける腕前かってーの」
「あ~、そうだよな~。俺達1年経っても全然上達しねーもんなー。仭の言う通りになっちまった」
「いや、マジでマジで。どうにかせんといかんよなぁ」
どうにかする気のない調子で言い、2人で笑う。ちなみに仭が独学でやってもうまくならないだろと言い、どっかの教室にでも通ったらどうだ?言ったのだが
『そんな金はない』
と一掃された。
「しかし、いいよなぁ。美少女揃いで有名なIS学園だろ。俺も行きてーぜ」
「だよなぁ。一夏、女子に興味ないとか言ってよ。アホな奴だ」
「大アホだよな。それに仭も彼女作らねぇとか」
その時弾の携帯の着信音が鳴る。
「ん?おお、一夏からじゃん!」
そして弾は携帯を耳に当てる。
『おっす』
「おう、一夏どうかしたか?」
『前にお前IS学園に来たいとか言ってたよな?』
「おう、言った言った。何だ?招待状でもあんのか?」
『ああ』
…………………。と数秒固まり
「………………………え?」
『返答遅ぇな。ちなみに学園祭の日で、招待状知り合いに譲って貰ったから俺のと合わせて2枚だ。だから蘭と一緒に来いよ』
「ちょ、ちょっと待て。マジでか!?」
『マジだ。でどうだ?行くのか?』
「行く!!…ちょっと待ってろ」
弾は通話口に手を当て
「お~い、蘭」
「な~に~、馬鹿兄」
「一夏から連絡があったんだがな」
「え!…な、何で早く教えてくれないのよ!!」
「今連絡来たばっかだ。でIS学園の学園祭の日は暇か?一夏が俺と一緒に来るかって言ってきたんだが」
「行く行く!行くに決まってんじゃん!!」
「わかった。…で一夏」
『おう、どうだった?』
「行くってよ」
『わかった。招待状は封筒で送るから、2枚ともちゃんと持ってこいよ。1枚だと1人しか入れねぇから』
「おう、わかった!」
弾は携帯を切り、天井に向かって
「やったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「うっさい馬鹿兄!!」
吠えた。そして蘭の正拳が決まったのはその1秒後である。ちなみに招待券を譲ったのはシャルロットである。弾と蘭のどっちを誘った方がいいかと懸念してると、一夏と買い物をすれば譲ってあげると言ってきて、承諾をしたわけである。
そして時は経ち(つまり今日)、こうしてIS学園にやってきたわけである。
(ああ、たくさんの女子が……レベル高いよなー)
「お兄変な目で見ない」
やはり10代男子がいるのは目立つらしく、すでに噂になっていた。
「あそこの男子、誰かの彼氏かな?」
「でも妹いるみたいだけど?」
「どうだろうねー。ちょっといいかな」
「えー、私は織斑君がいいなー」
「うーん、私は黒崎君の方だな」
「そういえば黒崎君、今暴れてるみたいよ」
(暴れてる!?)
注目されているのに気が付き、心臓の鼓動を早くしていたが友人がよくわからないが暴れてると聞き、一気に落ち着きを取り戻す。もしかして誰かがキレさせたのではないかと。
「そこのあなた達」
「え?あっ、はいっ」
「はい、何でしょう?」
不意に声をかけられ、弾は若干驚くも蘭とともに振り向く。そこには眼鏡と手に持ったファイルがいかにも堅物イメージの布仏虚であった。
「あなた達誰かの招待かしら?一応チケット確認させてもらえる」
「は、はいっ」
「はい」
弾と蘭は虚に招待状を指し出す。
「配当者はシャルロット・デュノアに…あら、織斑君ね」
「「知ってるんですか?」」
「ここの学園で彼を知らない人はいないでしょう。はい、返すわね」
(こ、この人……可愛い!!何とかお知り合いに…話題、話題……)
「あ、あのっ!」
「何かしら?」
「今日は、いい天気ですね!?」
「そうね」
会話終了。
(うぅ、俺って奴は…俺って奴は…)
落ち込む弾を不思議そうに眺めながら虚は去っていき、蘭は呆れながらもさすがに声もかけることはしなかった。
*一夏サイド
「お、いたいた。お~い弾!蘭!」
「おー……」
「お久しぶりです、一夏さん」
弾はまるで半死のような表情で一瞬驚いてしまう。
「ああ、久しぶりだな蘭。…で弾、何かあったのか?」
「ああ、それがですね。お兄に綺麗な人が話しかけてきたんですけど、その時に会話をしようと思ったんでしょうが話題を振ったんですけど、センスがなさすぎてあのありさまです」
「何だ、そんなことか」
「そんなことって何だ!そんなことって!」
「待て待て暴れるな。追い出されるぞ」
「お兄!恥ずかしいんだから止めてよね!」
「くっ……。ここはおとなしくしていよう」
とりあえず立ち直ったらしい弾は、蘭とともに俺の後を付いてくる。
「鈴のところでも行くか。あいつ、驚くだろ」
「あー、鈴かー。元気?」
「元気すぎるくらいにな」
「…ところで一夏」
「ん?」
「さっきからずっと気になっていたんだが、その格好何?」
「あ、私も気になっていました」
ああ、そういや上着脱いでも執事服のままだったからな。
「俺のクラスはご奉仕喫茶をやってるから、その衣装だ」
「似合ってますよ一夏さん」
「ありがとな」
それでも恥ずい。そうしてるうちに校舎に俺達は入る。
「で、鈴のとこに行くか?」
「いや、すぐじゃなくてもいいや。せっかくだし色々見て回りてえなぁ。蘭もそれでいいか?」
「うん」
「わかった。俺も全然見れてなかったからちょうどいいな。行こうぜ」
俺の隣に弾、その後ろに蘭となって俺達は歩き出す。
「あ、織斑君だ!やっほ~」
「あとで絶対お店行くからね!」
「えへ、執事服の織斑君を激写!げーっと♪」
行く先々に声をかけられ、俺は手を振ったりなどで忙しい。
「一夏、お前無茶苦茶人気あるじゃねーか」
「いや、男のIS操縦者が珍しいってだけだろ」
「一夏さんは格好いいですからね」
「うーむ、羨ましいな。なあ、入れ替わろうぜ」
「お兄無理言わない!」
「替われたらそれでもいいが、IS訓練大変だけどがんばれよ」
「はっはっはっ、女子に囲まれるなら火の中、水の中!」
「死ぬかもしれないけどな。IS実戦は」
「……………」
「お兄がんばってね」
「命を大事に」
「いや、地球を大事にみたいに言うな」
「俺は死にたくねーよ!」
「うるさい!」
「ぐほっ!?」
蘭の肘打ちが弾の脇腹に見事に入る。とりあえず近くにあった美術部のクラスに入ってみる。脇腹を抑える弾と何事もなかったかのように蘭もついてくる。
「芸術は爆発だ!」
…何だか嫌な予感がする。
「というわけで美術部では爆弾解体ゲームを行っていまーす」
「あ!織斑君だ!」
「それに男友達も一緒だ!」
「さあさあ、爆弾解体ゲームをレッツ・スタート!」
そう言って強引に爆弾を押し付けるのは部長と言う腕章をつけた女子だった。いいのか、こんな人が部長で美術部。
「えーと……まずはセンサー類を無効化するんだったな。……よし、ジャンパー線がなくても大丈夫なタイプだな。で、次は――」
「……一夏」
「何だよ?」
「お前、そんなことまで学ぶのか?」
「ああ」
「……やっぱり俺普通の学校でいいや」
「そうか」
まあ、どの道ISを動かさないと無理だが。
「こんなこともやるのか…がんばらないと……」
蘭が何やら言っているがそう話してるうちに最終フェイズまで俺は入った。2本あるコードの赤か青のどっちを切るあれだ。
「…弾」
「お、おう?」
「金髪と黒髪、どっちが好きだ?」
「金髪!」
「えー、私は黒髪だけど」
「わかった」
俺はばつんと赤のコードを切る。すると爆弾のタイマーが止まった。
「お、成功した」
「いや、一夏。まず俺と蘭のどっちを聞いたんだ?」
「蘭」
「で、何でそれが赤を選んだことになる?」
「いやだって、紅椿だから」
「意味がわからんぞ!?」
どうしてだと騒ぐ弾を、蘭が再び肘打ちで黙らし、俺は景品の飴玉10個を貰う。高校にもなって飴玉って…。いいのか、本当にそれでいいのか美術部?
「あー……変な汗かいたわ。どっかで飲み物飲もうぜ」
「じゃあ鈴のところへ行くか?」
「ああ。ところで鈴のところは何してるんだ?」
「飲茶だってよ」
「ならちょうどいいか。蘭もそれでいいか?」
「それでいいよ」
話は決まり、俺達は階段を上って1年2組に入る。
「いらっしゃいませ~」
「ぶはっ!?り、鈴、お、お前っ……な、何してんの?」
「鈴さん……お久しぶりです」
「なぁっ!?どうして弾と蘭がここにいるのよ!」
「ちゃ、チャイナドレス……似合わねー。大体、何で―――ぶご!?」
弾の言葉は強制的に遮られる。鈴の投げたお盆によって。
「か、か、帰れ!」
「何だよ!あー、さっき会った可愛い人とは大違いだ」
「はぁ?誰それ?」
「ふっ、ふっ、ふっ……教えてやらん」
「一夏、蘭。アホが壊れたわよ」
「アホって言うな!」
「元からだろ」
「否定しろよ!」
「そうですね」
「おい!!」
「うるさい!」
そして3度目の蘭の肘打ちが決まる。…とりあえず俺達は席についた。
「で、弾が会った人って蘭の言った綺麗な人か?」
「ああ、すっげぇ可愛い人だった」
「子じゃなくてか?」
「うーん、多分年上だからな」
「へー」
「お前あの人のこと知らない?」
「誰だよ」
「それでわかるわけないでしょ」
まったくだ。
「はい、水」
「おわ!?鈴、もう少し静かに置けよ」
「そうだそうだ」
「うっさい、弾。ぶっとばすわよ」
「……やめて。テレビで見たけど代表候補生なんだろ?俺、死んじまうよ…」
「そうよ。だから敬いなさい」
「お兄、謝った方がいいわよ」
「ははは、面白いな」
「冗談で言ってないわよ。ったく……」
そんなふうに話していると、俺の携帯が鳴った。
「はい、もしもし?」
『一夏、今どこ?一夏はどこだってお客さんのクレームがすごいからすぐに戻って!』
シャルから焦りのある言葉に、俺は戻らなくてはならないと焦る。
「わかった。隣の教室だからすぐ戻る」
『うん。お願いね』
そして俺は通話を終える。
「弾、蘭、悪いけど俺たちはもう戻らないといけなくなった」
「しっかり働きなさいよ、執事」
「そうだそうだ」
「お仕事、頑張ってくださいね」
「おう」
そして俺が1組に戻ろうとすると
「あっ、そういえば一夏!」
「何だ?」
弾が話しかけてきた。
「何か聞いたんだけど仭が暴れてるって聞いたぞ」
「はっ?」
何だそれは?
「…とりあえず教室に戻って聞いたら誰かに聞いたらいいんじゃない?」
「あ、ああ」
鈴にそう言われたので俺はとりあえずすぐに教室に戻る。
連続投稿しましたが、明日投稿するのはさすがに厳しいので、2,3日後にまた。