IS<インフィニット・ストラトス> ~白き騎士と黒き暴君~ 作:狂戦士
そしてタイトルから前話の出来事がわかると思います。
第62話
「……これは睡眠ガスか…それも強力な…」
俺は煙に包まれるとすぐに顔面すべてを覆う全面形タイプのガスマスクをする。これは防塵マスクに改良を加えたものである。そして煙の正体は周りにいる者達が倒れ、首に触れると脈はあることから睡眠ガスということが予想された。
「ちっ…アリィとレイラは同じものを持ってるし、いつも持ち歩いているのだから今日に限って忘れるということはないだろう。…問題は一夏だな」
一夏にも万一のことを考え、渡してあるが問題はそこではない。
「よっと…楯無!」
俺は野戦服を脱ぎ、ISスーツを出現させる。そしてISを展開、チャネルを通じて楯無に呼びかける。
『あっ、仭君無事だったのね』
「アリーナの外はどうなってる?」
『生徒達は避難しているところよ。特に問題は起こってないわ』
「お前はどうしてる?」
『今は更衣室の方に向かってるわ!』
よし、さすが楯無だ。防音が施された更衣室ならアリーナから1番近いし、そこでなら戦闘が始まっても気付かない。そこを狙うと踏んだか。
「わかった。アリィかレイラもどっちかがそっちに向かっただろうから協力して一夏を手助けしてやってくれ。何の策もなしに一夏をそこへ連れて行くとは思えんからな」
こういう展開に備えて一夏に発信器を付けておいたので、今頃アリィとレイラのどちらかが向かっていることだろう。
『わかったわ。あなたは?』
「一夏を連れて行くのが囮で、狙いが代表候補生のISという可能性も否定できんから…ひとまずこのアリーナ内のガスを吹き飛ばす」
そして俺は暴君の剣斧、グラムを展開、そして周囲に何もないことをハイパーセンサーで確認し、大剣で周囲を薙ぎ払う。すると風が巻き起こってガスを吹き飛ばす。俺が回転を数度繰り返すとガスが完全に吹き飛んでいったので視界が完全にクリアする。周囲に立っているのは俺だけであった。
「…やはり一夏はいないな。更衣室にいると見てほぼ間違いない。楯無、お前はそのまま更衣室に向かってくれ。俺はひとまず何人か専用機持ちを叩き起こしてここを任せる」
『ええ、頼むわよ』
そう言って楯無はチャネルを切る。さて…ひとまずラウラとクラリッサさん辺りをと思って近づくと
「ラウラ!お前マスク付けてたのか!」
「え、ええ…何とかクラリッサから受け取ったのを付けました」
近づくとラウラは意識があったのが確認された。敵に備え、うつ伏せになって顔を隠し、近づいてきたところを攻撃するつもりだったらしい。クラリッサさんも起き上がって俺に近づいてきた。
「さて、もうマスクはしなくても大丈夫。…クラリッサさん、あなたは専用機持ちですよね?」
「ええ」
「ではひとまずこのアリーナを任せたい。俺は他の敵がいるとも限らないからそれを探す。2人のうちどちらかが敵に備えておいて、もう1人は他の専用機持ちを叩き起こしてほしい」
「「了解」」
現状ですぐに行動を示したり、理解する者はやはり良い人材だな。そう思ってると
ドオォン!!
「「「!?」」」
何かがぶつかった大きな音がした。更衣室の方ではない。
「…師匠」
「…おそらく陽動か、敵と誰かが戦ってる音だろうが…無視するわけにはいくまい。俺が行く」
「頼みます」
「ああ、2人ともここを改めて任せる」
2人に任せて俺はアリーナを出る。
(空気が冷たい…アリィはこっちに向かったか)
しばらく進むと少し冷気を感じる。それで氷を操る機体を持つアリィが向かったと認識したが俺は内心嫌な予感を感じていた。
(ちっ、嫌なことが起こらなければいいのだが…)
俺はそう思いながら音がした方へと急ぐ。
*第3者サイド
「何なんだよお前はっ!」
アリーナに睡眠ガスが充満したとき、一夏は仭に渡されたマスクを付けようとすると、いきなり腕を引かれ、更衣室へと連れてこられた。腕を引っ張ってきたのは一夏に名刺を渡してきた女性、巻紙礼子であった。
そして急に白式を寄こせといってきたり、一夏に蹴りを入れると一夏は女性を敵と認識、ISスーツとともに白式を展開した。すると相手はクモのように禍々しく、黄色と黒の配色のISを展開して一夏に襲いかかってきた。現在交戦中である。
「ああん?知らねぇのかよ。秘密結社『亡国機業』が1人、オータム様だ!」
「何が秘密結社だ!中二病も「中二病なんかじゃねぇよ!!だからガキは――「おらぁ!!」――ぐぁ、このガキ!!」
完全にISを展開したオータムに対して一夏はマシンガン等は普通に避け、相手が怒ったところを雪片弐型で斬りかかる。
「そうだ、てめぇに良い事教えてやるよ!第2回モンドグロッソで、てめぇを誘拐したのは、ウチの組織だ!感動のご対面だな、ハハハハハッ!」
「なっ…だったら、あの時の借りを返してやらぁ!!」
オータムの言葉を聞いた瞬間、一夏はそれが嘘とも考えず、雪片弐型を構えて瞬時加速をした。
「ククッ、やっぱガキだなてめぇは。馬鹿正直に突っ込んで来やがってよぉ!」
するとオータムは指先をあやとりのように動かし始め、エネルギーの塊を構築させる。そしてそのエネルギーの塊を投げつけ、クモの糸のように巨大な網を張る。
「そんな物!」
一夏はその網ごと、オータムに斬りかかる。
「おっと」
オータムには避けられたが、網は斬り裂く。
「おいおい、クモの糸を甘く見んじゃねぇよ」
「何っ!?」
すると斬り裂いたはずの網が、ユラユラと白式に巻きつきこうとしてくる。
「くっ!」
一夏はそれに何か触れてはいけないと感じ、網から急いで離れた。
「ヒャハハ!それに触れねぇようにしたのは良かったが、甘ぇよ!!」
が、オータムは一夏の離れようとした場所へ回り込んでいた。そしてオータムの手元にはいつのまにか構築した4本足状の機械を持っている。
オータムはそれを一夏の白式の胸部につけた。
「何だ!?」
「くらえ!」
「!?がああああっ!」
その瞬間一夏の身体に激痛が全身を襲った。
「…と、何だこれは?」
仭はISを展開してある通路を通るとあちこちに氷の破片が散らばっていたり、一部が凍っていた。
「ここで戦闘があったのは間違いなさそうだな。…アリィはどこだ?」
そして仭はコア・ネットワークを使ってさらにアリシアの位置を確かめる。
「…アリーナ!戦闘の最中に移動したか」
通路をさらに進むとアリーナがあるのでそこへ向かう。アリーナを見るとバリアーが一部破られていて、アリーナ内で2人のISを装備した人物が確認された。
「ぐっ…」
「どうした?そんなものか?」
アリーナ内、襲撃者は緑髪のショートがかかった顔の両横にISの武器なのか顔のような物があり、自身の2本ある腕の下にそれぞれ機械の腕が2つずつある阿修羅のような機体を装備していた。そして現在1番上にある両腕を使ってアリシアの首を締め、2番目の両腕はアリシアの胴回りを抱き込み、ベアハッグを決め、3番目の両腕は両足を抑えつけていた。
「ぐぁ…」
「アリィ!」
「!!」
すると襲撃者の横から仭が突っ込んできたため、アリシアを解放して離れる。支えを失ったアリシアは倒れかけるが、仭がすぐに支える。
「たい…い……」
「大丈夫か?お前は少し休んでろ」
「すいません…」
仭はダメージはあるが、無事ではあるアリシアを抱えてアリーナの端に降ろす。機体の方は幾分かは傷ついているが、ビットがどこにも存在しないところを見て、襲撃者によって全て破壊されてしまったのであろうと考えた。
「…………」
そして襲撃者の方へとある程度近づき止まった。
「さて…お前は何者だ?」
「そうだな…亡国企業の一員とだけ言っておこうか」
「やはりか…」
「そういうお前は黒崎仭…ベルセルクだな。珍しくシヴァクが褒めてたぞ?」
「そうか(しかし…まさかアリィがああも簡単にやられるとは…奴の機体は攻撃型か?データにないな…造られたものか)」
「ヒヒヒ。私の機体『
「それはアメリカから強奪された機体『アラクネ』がベースか?」
「うん?ああ、オータムの奴のか。まあ、確かそんなふうに私は聞いたなぁ」
(やはり
「それでまあ、私は学園入ったら問題起こして適当に相手しろって言われたからしてしてたわけだが…あの女はあんまり強くなかったなぁ…」
「…それを言っていいのか?」
「おっとそうだった!…まあ、言っちまったものは仕方ねぇか」
(…何だこいつは)
思わず仭はそう思った。
「…さて、ベルセルク。お前に遭遇したらしたで…任務が言い渡されてるんだよなぁ」
するとやる気をあまり見せなかった襲撃者は仭を見据え、殺気を放つ。
「お前のISを強奪しろ…とな」
「…………!……上等だ」
すると仭も殺気を放ちお互いの殺気を相殺、アリーナ内が殺意で充満する。
「ひゃあ!」
仕掛けたのは相手の方で仭に突っ込む。仭は蹴りをかますが相手は機械の腕1本でガードする。
「ちっ、その自前以外の4本の腕厄介だな」
「装甲腕(そうこうわん)っていう代物だ。耐久力も申し分ない」
そう言いながら相手はいつのまにかオータムが使った物と同じ4本足状の機械を持っていた。
「なっ…まさかそれは
「その通り!!」
相手は機体の胸部に押しつけた。
「ぐああああああ!!」
「ヒッヒッヒ!」
「―――あああぁ、と叫ぶとでも思ったか!!」
「!?」
だが仭はその機械を付けられているのを手で握り潰し、相手に正拳を叩き込む。
「ぐお!」
すると吹っ飛び、地面に倒れて煙を撒き散らす。
「剥離剤。ISに装着させると強制解除させる兵器。が、1度使用すると装着解除させたISには耐性が付いてしまい、そのISには2度と使用できなくなる欠陥がある。残念だがもう剣闘士には軍でそれをやられて耐性がついてるから効かねぇよ」
仭は剥離剤をくらってあることを思い出していた。軍でそれを付けられた際、紫電が走って身体中に激痛を感じたが、その途中いきなりISが光り、剥離剤が爆発。その後再びつけたが耐性ができていたのである。
(確かに遠隔コールができるようになると聞いたが…剣闘士はISコアとして俺から離れてからではない。…これはやはりどうしてもわからんな)
「…ヒヒヒ。まあ、耐性ぐらい付けてくるよなぁ」
「!」
すると煙の中から相手は出てくる。
「が、白式には耐性が付いてるかぁ?」
「付いてないな。…が、俺は別に気にせん」
「おぉ?」
「あいつはそんな軟ではない。俺が心配するだけ思考の邪魔だ」
「そうかい」
「!」
すると相手はいきなり突っ込んで仭の背後に回り、後頭部辺りで両手を組んで固め、装甲椀で仭の両腕を掴み、下にある装甲椀は胴体に抱き込んでドラゴン・スープレックスで投げる。
「うぐぁ!」
「大尉!!」
仭は完全に極められ首から叩き付けられた。
「ふう、ここね!」
一方楯無は更衣室の扉の近くにまで来た。内部から戦闘による音が響いていたので、すぐに更衣室へ入ろうとすると
「やぁ!」
「ぐっ!」
通路の奥の方から声が聞こえ、ISを装備した誰かが飛ばされてきた。しかも楯無に向かって。
「っと!…あなたはレイラちゃん?」
楯無は敵か味方か判断する前に避けた。するとその人物は床に大きな音を立てながらぶつかり、止まった。楯無はその人物がレイラとわかり声をかける。
「ええ…!避けて会長!」
「!」
「はぁ!」
レイラが返事をすると同時にすぐに楯無へそう叫ぶ。楯無はさらに誰かが突っ込んで殴りかかってることがハイパーセンサーで確認できたので、その相手の方を向いて拳をかわす。
「てやぁ!」
かわされると今度は蹴りをしてきたので楯無は両腕でガードするも少し後ろへと押し出される。レイラも下がって楯無の横に立った。
「まったくお邪魔虫が増えたか。…オータムは何を手こずってるんだか。やっぱり任せなきゃ良かったよ」
「あなたは亡国企業かしら?」
「お前達に教える義務なんてないね」
相手は仮面で素顔を隠しているので表情はわからず、肩から腰の間ぐらいまである黒髪は後ろに縛ってある。
「まあ、増えたら増えたで関係ないや。2人同時にかかってきたら?」
相手は拳と拳をぶつけてそう言ってきた。
「会長…気をつけて下さい。彼女は体術だけしか今のところ使ってませんが強いです」
「そう…なら2人で倒しちゃうわよ!」
楯無とレイラは相手に構える。
「……っ」
「ほらどうしたぁ!」
再び視点は変わり、仭は相手に跨がられた状態で攻撃を加えられていて防戦一方だった。殴ってくるがそれを仭は手で防ぎ、弾くなどをして何とか防いでいる。
「どうやらベルセルクってのは名前倒れのようだな!」
そして顔面目掛けて殴りかかろうとすると
「!」
仭はその拳を取る。
「うおらっ!」
そして相手を引き寄せ、空いてる方の手で拳を作り、腹に叩きこむ。その後相手を押し出して抜けだした。
「何のこれしき」
「ベルセルクが名前倒れ?」
仭は相手の後ろに回り
「なら本当に名前倒れか」
掌を構え
「これから確かめろ」
掌打を叩き込んだ。
原作と違い、3箇所で戦闘が発生しました。(汗)次話は仭サイドからです。