IS<インフィニット・ストラトス> ~白き騎士と黒き暴君~ 作:狂戦士
黒崎仭(くろさき じん)です。
第5話 一夏と仭の苦悩
「大丈夫か?」
仭が話しかけてくる。午後の授業は若干ふらふらしながらも参加し、無事に終了。しかし正直まだ気持ち悪い。
「ったく、無茶して食うからだ」
「いや…俺のために作ってくれたんだし、悪いだろ?」
「しかしまあ学園に入ってお前もISの勉強や実戦とかで大分参ってるように見える」
「ああ、だれか教えてくれねえかな」
「俺が教えてやろうか?」
「マジか?」
「どうせ箒は意味不明な事を言うし、鈴は勘だとか言ってるんだろ?」
そうなのだ。『ずばーっとやってから、ずだだだだ!という感じだ、わかるだろう?何?なぜわからない馬鹿者!!』という言う箒に、『何となくわかるでしょ?こう来たらこう返すのよ。感覚よ感覚、わからない?何でわかんないのよ馬鹿!!』など言う鈴だ。
「その様子だと図星か」
苦笑いをする仭。
「ありがとう仭!!大好きだぜ!!」
「やめろ、気持ち悪い。お前は友達として言ったんだろうが誤解されるような言い方はやめろ」
誰が誤解するんだ?
「山田先生とか?」
ああ、何となくわかる。
「勉強の方は大丈夫か?」
「おいおい、俺の両親を忘れたか?IS技術者だと忘れたか?」
「そうだったな、両親は元気か?」
「…………………」
ん?表情が少し暗くなったな
「あ、まだ教室にいましたか」
「「山田先生」」
噂をすればだ。
「えっと黒崎君の部屋を言いに来たんですが、織斑君はデュノア君と同室です」
おお、俺とか。
「えっと黒崎くんの部屋は……」
ん?どうかしたのか?
「どうかしましたか?」
「えっとその実は…………とです」
なん…だと…、まさかその部屋とは…、ん?仭が固まってる!!
「…しかたない、腹くくるか」
そうするしかあるまい。
「じゃあ、これから宜しくな、シャルル」
「うん。こちらこそ宜しく、一夏」
シャルルと合流してから夕食を済ませ、自室に戻ってきた。そして今は自室で食後の休憩という事で俺が入れた日本茶を飲んでいる。やっぱり日本人なら食後のお茶は日本茶に限る。
「紅茶とはずいぶん違う感じ。でもおいしいよ」
「気に入ってくれたようで何よりだ。今度機会があったら抹茶でも飲みに行こうぜ」
「抹茶ってあの畳の上で飲むやつだよね?特別な技能がいるって聞いたことがあるけど、一夏はいれれるの?」
「シャルル、抹茶はたてる、って言うんだ。まぁ、俺も略式のしか飲んだこと無いけど。今は駅前に抹茶カフェってのがあって、コーヒー感覚で飲めるんだ」
「ふうん。そうなんだ。じゃあ今度誘ってよ。1度飲んでみたかったんだ」
「おう。ついでに色々案内するぜ?折角だから今週の日曜にでも出かけるか」
「本当?嬉しいなあ。ありがとう」
そうやって人懐っこい笑みを浮かべるシャルル。やはりどうも引っ掛かる。
「えーと、そういやシャワーはどうする?その日その日でも俺はいいが」
「あ、僕が後でいいよ」
「そっか。じゃ、ありがたく使わせてもらう」
「そういえば、一夏は放課後にISの特訓をしてるんだよね?」
「ああ、まだまだ精進するところがたくさんあるし、他の皆より遅れてるからな」
「それ、僕も参加していいかな? 何かお礼もしたいし」
「おお、それはありがたい話だ。ぜひ頼む」
「うん。任せて」
*仭サイド
さて俺は今ある部屋にいる。当ててみろ。わからない?ならヒントだ。『出席簿』これでどうだ?これでもわからない奴に大ヒントだ。『一夏の姉』これでわかるだろ?わからない奴はこの作品をちゃんと読んでない奴だ。
正解は千冬さんの部屋だ。
俺は思った。何かの間違いであって欲しいと。一夏と俺が逆なんだと。しかしどうしようもない。今俺は千冬さんの部屋を絶賛掃除中だ。マジで汚すぎる。マジでここまで汚くした人は見たことない。足の踏み場すらない。くそ缶ビールとか下着くらいしっかり片付けてくれよ。昔もこうやって一夏と掃除したのを思い出す。
…あまりにも一夏が可哀想もとい見てられなかったから手伝ったんだったな。
*一夏サイド
「あれ?」
「どうしたの一夏?」
「いや、なんか無性に悲しくなってきて」
「えっ?大丈夫?」
「やべえ、なんか涙も出てきた」
「ちょっ、一夏!?」
そんなこんなで夜は終わった。しかし何で急に悲しくなってきたんだろう。なんか千冬姉にとてもがっかりしたような気がする。
シャルル達が転校してから5日たち、土曜日を迎えた。
「ええとね、一夏がオルコットさんや凰さんに勝てないのは、単純に射撃武器の特性を把握していないからだよ」
「そ、そうなのか?一応わかっているつもりだったんだが……」
「わかったつもりだろ?知識だけという感じだ」
今俺は仭とシャルルから訓練を受けている。現在はシャルルから射撃用武器の特性についてのレクチャーを受けている。フランスの代表候補生である彼の専用機は『ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ』といって、様々な武装を状況に応じて使い分けるというテクニカルな機体らしい。そういう事情も相まって、シャルルのISの装備に関する知識は相当なものだ。
「いかに相手の射撃をかいくぐり、近づくかがお前の今後の課題だ」
仭はそう言う。
「でも驚いたよ。一夏、近接戦はすごく強いんだね」
「そうか?……まあ、そっちはそこそこ上手くなってきた自覚はある」
「まあ、お前は近接オンリーだからな」
「そういえば黒崎君は山田先生との戦いじゃ近接武器しか使わなかったね」
「仭でいい。近接武器以外もあるがな」
「じゃあどんな武装があるんだ?」
「そうだな、あの短剣が5組、ブレードが3組ずつ計16本しかない」
「えっ、それでもかなりあるよ?」
「どちらも拡張領域(バススロット)であまり場所を取らないやつだ。ブレードはあまり耐久力が高くはないし、短剣は耐久力は高いがあまりダメージを与えるやつじゃない、場所取るやつ1、2ついれたらすぐ埋まる」
「じゃあ俺みたいに欠陥機なのか?」
「さあな、ただお前と同じで単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)によって埋まっているとだけ言っておこう」
「「仭の機体も使えるの!!(か!!)」」
「ああ、これ以上言うわけにはいかんな。知りたかったら使わせてみろ」
仭がそう言った後アリーナにいた他の女子達が騒ぎ出した。
「ねぇ、ちょっとアレ……」
「ウソっ、ドイツの第3世代型だ」
「まだ本国でのトライアル段階だって聞いてたけど……」
そこにいたのはもう1人の転校生のドイツ代表候補生ラウラ・ボーデヴィッヒだった。
「………………」
転校してきて以来、クラスの誰ともつるもうとしない、会話さえしない孤高の存在。俺達はラウラを見る。口を最初に開いたのは意外にもラウラからだった。
「おい、織斑一夏」
ISの開放回線(オープン・チャネル)を使って声が飛んでくる。
「何だ?」
「貴様も専用機持ちだそうだな。ならば話が早い。私と戦え」
「イヤだ。理由がねえよ」
「貴様にはなくても私にはある」
「今じゃなくてもいいだろ。もうすぐクラスリーグマッチ(学年別個人戦トーナメント)なんだから、その時で」
「ならば「俺と戦えよ」
ラウラが右肩に装備されている大型レールカノンで攻撃仕掛けたとき、仭が瞬時に俺との間に割って入った。
「断る」
「なぜだ?」
「私は織斑一夏を潰しに来たのだ。雑魚に用はない」
「…まるで駄々をこねるガキだな。本当にお前は軍人か?」
「何だと?」
ラウラの表情が変わる。
「やりたくないって言ってる奴に対して無理やり戦おうとするところが子供だっていってんだ。というか模擬戦なんてしたら被害が出る。そんなこともわからないのか代表候補生?」
「…………」
ラウラは何も言わない。だが表情は怒りを浮かべている。
「しかも気に食わなきゃ暴挙にでる、お前は代表候補生にふさわしくn「黙れ!!」
ラウラの右肩に装備されている大型レールカノンが火を噴く。仭は直撃を受けた。
「「仭!!」」
「…こんな簡単な挑発にのる、やはりガキだな。1度国に帰って指導され直した方がいいんじゃないか?」
煙の中から出てきた仭は両腕の装甲を盾にしてたいしたダメージはなさそうだ。
「…いいだろう黒崎仭、貴様から潰してやる!!」
「上等!」
次回仭バトル2回目です。