IS<インフィニット・ストラトス> ~白き騎士と黒き暴君~    作:狂戦士

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キャノンボール・ファストが始まります。


第74話 キャノンボール・ファスト

第74話 キャノンボール・ファスト

 

 

 キャノンボール・ファスト当日

 会場は満員で、空には花火が打ち上げられている。

 アリーナで一夏は観客席の方を見ていた。

 

「結構人が来ているな」

 

 プログラムはまず最初に2年のレースがあり、それから1年の専用機持ちのレース、そして1年の訓練機組のレース。そのあとに3年のエキシビジョン・レースになる。

 

「…おい、そこの会場の光景に圧倒されている男子」

 

「ん?ああ仭か。いや、すげぇ客入りだなーって」

 

「IS関係者やら政府関係者やらいるからな。…って時間もあるんだから早く来い。どやされる」

 

「ああ、けど…」

 

「何だ?」

 

「いや、蘭大丈夫かなーって」

 

「?…ああ、席か。迷子になるようなことはないだろう」

 

「そうだよな」

 

「ああ…ほら、もう行くぞ」

 

「わかった」

 

 そう言って一夏はピットへと戻るために歩いていった。

 

「…………」

 

 だが仭は一夏につられず、仭は観客席の方を少し見て呟く。

 

「嫌な予感がするな。…やはり今回も襲撃者…か?おそらく観客達(あの中)に1人くらいは紛れ込んでるだろうが……ま、何もしてこないんなら、それはそれでありがたいんだがな」

 

 一応千冬さんも楯無も警戒はしてるだろう、そう思いながら仭もピッドへと戻った。

 

 

 

 

 

*仭サイド

 

 

 

 

 

「あれ?このサラ・ウェルキンってイギリスの代表候補生なのか」

 

「そうですわ。専用機はありませんけど、優秀な方でしてよ」

 

 一夏とセシリアが何やら話している。そのセシリアはISを展開しており、高速機動パッケージの『ストライクガンナー』を装備している。

 ピットには1年専用機持ち全員が控えていて、俺はすでにISを展開していて、一夏もさっきISを展開。準備に入り始めた。

 

「た…仭さんは準備がもう終わったんですか?」

 

「…もういいかげんお前は言い間違えそうになるのをやめろ」

 

「すいませーん」

 

 そう舌を出しながら謝ってくるアリィ。こいつもISを展開していて、セシリアのようにビット、サテライト・アイス6基の内4基を封印してスカート状のようなスラスターとして運用する氷の魔術師(フロスト・ソーサレス)の高速機動パッケージ『サテライト・ブースター』を装備してる。

 残った2基のビット?肩に展開してあって(くっついていて?)、それを離脱させて相手にぶつけてくるんだよ。4基でもかなり速いんだ。

 

「まあ、仭さんといえど容赦しないのでそのつもりで♪」

 

「笑顔が怖い」

 

 一夏の方を再び見ると今度は簪と話している。聞いた話では、簪はどうやら荷電粒子砲のエネルギーを全部機動力に回したらしい。武装は減ったが、白式やブルー・ティアーズとはいい勝負になるだろう。

 

「てか、何かごつくなってないか?鈴のIS」

 

「ふふん。いいでしょ、最高速度ならセシリアにも引けを取らないわよ」

 

 そう言う鈴のISは増設された4つのスラスターを積み、追加胸部装甲が大きく前面に突き出している。その他にも衝撃砲の砲口が真横を向いていて、妨害攻撃のためと思われる。これが甲龍の高速機動パッケージ『(フェン)』。

 

「ある意味鈴が私達の中では有利な方かもしれませんね」

 

「そうだな」

 

「ですね」

 

「レイラか」

 

 俺とアリィに近づいてきたレイラ。霧を放出する用のエネルギーを機動力に回していて、増設スラスターを背中に2基積んでいて、衝剄は鈴と同じく出力を落とし、近距離用の拡散使用となっている蜃気楼の妖精(ミラージュ・フェアリィ)の高速機動パッケージ『ホワイト・ブロー』を装備している。

 

「お前が言えたことか。鈴よりすばしっこそうだろ。その装備だと」

 

「お褒めいただきどうも」

 

「褒めちゃいない」

 

「それと容赦はしないので」

 

「…………」

 

 嫌な予感はこっちの方かも知れない。何か2人して企んでやがる気がする。…例えばスタート直後に俺を攻撃とか…。

 それとアリィとレイラが、パッケージは臨海学校のときはないと言ったが、2人は前まで組織にいた。そしてそこでパッケージなどの装備の性能などを試してもいたので、臨海学校のときには新しいパッケージはたまたまそれぞれ2人の本国になかったのである。決して作者が出すのを面倒臭がったわけじゃない。

 

「ふん。戦いは武器だけで決まるものではないということを教えてやる」

 

 そんなことを言ったのは箒。

 展開装甲の問題は結局マニュアル制御にしたらしく、楯無に色々やられてたな。俺の意見?別に間違ってなかっただろ?けどやらなかったみたいだ。

 

「戦いとは流れだ。全体を支配する者が勝つ」

 

 増設スラスター3基を装備したラウラが話に入る。ま、AICの脅威はないとしても厄介な奴だ。

 

「皆、全力で戦おうね」

 

 そう言ってラウラと同じく増設スラスター3基を装備したシャルロットが話を締める。

 

「みなさーん、準備はいいですかー?スタートポイントまで移動しますよー」

 

 山田先生の若干のんびりとした声が響き、準備のできた俺達はマーカー誘導に従ってスタート位置へと移動を開始した。

 

『それでは皆さん、1年生専用機持ちのレースを開始します!』

 

 大きなアナウンスが鳴り響く。

 各自位置についた状態でスラスターに点火をした。!……

 

 

ヒュィィィィィィ

 

 

 色んな意味で意識を俺は集中。

 超満席の観客が見守る中、シグナルランプが点灯した。

 

 

3・・・・2・・・・1・・・・ゴー

 

 

「――っと!っ!!」

 

 スタート、すると見せかけ、俺は身を伏せてからスタート加速。何故?隣にいたアリィとレイラが俺に対して攻撃してくることを直感し、伏せた。案の定予感が当たってしまい、2人がダブルパンチをしてきた。そのため若干遅れたけれども行為は無駄ではない。

 

「貴様らこの野郎!やっぱ攻撃してきやがったな!!」

 

「容赦しないって忠告しときましたぁ!」

 

「スタートしてからの攻撃ですから問題ないですよ!」

 

 絶対に沈めるこいつら。

 そういえば言ってなかったが最初に飛び出したのはセシリアで、奴を先頭にして列ができている。俺は最下位だが……。

 

「もらったわよセシリア!」

 

 鈴が衝撃砲をセシリアに連射する。セシリアはそれをかわしてる間に鈴が抜く。

 

「―――甘いな」

 

「!?」

 

 その時ラウラが鈴の背後でスリップ・ストームを利用して機を窺っていたようで、大型リボルバー・キャノンが火を噴く。

 直撃はしなかったが被弾によって鈴はコースラインから逸れる。…牽制射撃がこっちの方まで来たがかわした。

 そして一夏達を抜いて加速していくシャルロットや、セシリア辺りもラウラへと近づいていく。が、

 

「やられてセシリア!」

 

「!」

 

 レイラがセシリアに近距離から衝剄。それは直撃して周囲にいたシャルロットも少しスピードを落とした。

 

「じゃ、今度はレイラがやられてね」

 

「ぐっ…!」

 

 前記で語ったアリィのサテライト・アイスが分離、レイラへと激突はしないまでも行く手を阻む。…さて動くか。

 

「ごくろうアリィ」

 

「うぐっ!?ちょ!」

 

 他の者の背後でラウラと同じスリップ・ストームを利用してた俺は、一気に加速。アリィにタックルをかましてコースラインから逸らさした。レイラをコースから外すという、良い仕事をしてくれた。非道?相手がやったことをも利用するのがレースだ。

 

「先に行かせてもらうぞ仭!」

 

「…箒か」

 

 赤いレーザーがハイパーセンサーを通して来てるのがわかるが、普通に掠らせる程度にかわす。くっ、衝撃が結構来るな。

 

「暴食…からの黒き牙(ブラックファング)

 

「!?」

 

 片手に小さい牙のようなエネルギーの固まりを、幾つも制作。そしてそれらを後ろへとばら撒いた。

 この武装は福音のあの光弾等を参考にしたもので、単純に相手、もしくはエネルギー兵器に触れると爆発する。といっても爆発力はかなり小さく、ダメージは単体ではあまり効果はなさない。爆発で動きを止めるくらいだ。…だがそれがこのイベントでは活躍できる。

 

「ぐぁ!?」

 

「ぐぅ…」

 

「っ…」

 

 それらを迎撃。もしくはかわしきれずに触れた箒、簪、レイラである。高速機動状態でもあるためかなり足止めされていることが確認できた。

 

「油断大敵ですよ」

 

「しとらん」

 

 戻ってきたアリィが右手を此方に向けてきたのでそれをかわそうとすると

 

「油断大敵!!」

 

「2重か、だが無意味」

 

 後ろから一夏がタックルをかましてこようとしたの確認できた。一夏を生命の鎖で引っ張り、アリィの攻撃の盾にしようとしたが

 

「ドーン!!」

 

「!?」

 

 誰の声だ、と一瞬思ったが鈴だとわかり、衝撃砲を向けてきてるのが確認……ん?

 

「ぐぉっ!?」

 

 一夏に被弾。その直線上に俺…つまり俺の後ろには一夏がいて、衝撃砲をくらって突っ込んできて…

 

「うぉっ!」

 

「へっへーん!」

 

「くっ…」

 

 激突。一夏に巻き込まれて、共に俺はコースラインからはずれかけている。

 

「が、そうはいかねぇ!」

 

「なっ!?」

 

 飛ばされかけてる一瞬の間に俺は生命の鎖を腕から放出、アリィの腕に絡まらせた。それでアリィを投げ飛ばす勢いを利用して俺はギリギリコースラインから外れるのを免れる。…俺の腕を掴んでた一夏もだが。ちなみに飛ばされたアリィは片腕を水平に構えて簪へラリアートしてた。で、勢いを殺して復帰。

 まあいい。…さて、追いついてあのドヤ顔してた小娘を1発殴るか。

 

「今は大体…中間くらいか……」

 

 …しかしそんなレースも2週目に入ると異変が起こった。

 

「…………」

 

 突如、上空から飛来した機体がトップのラウラとシャルロットを撃ちぬく。…マズイな。直撃してなくてもおそらくダメージは大きいぞ。

 

「あれは……サイレント・ゼフィルス!!」

 

 そう、1つは……。もう1機いる。赤い。箒の紅椿よりは少し薄いが、炎のような色のISで装甲も俺のように…!?…あの機体は……!

 

「…………」

 

「仭!」

 

「…!しまっ…」

 

 俺はサイレント・ゼフィルスの隣にいたISに気を取られてしまい、ライフルのビーム射撃に気付くのが遅れ、目の前に……

 

 

 

 

 

*第3者サイド

 

 

 

 

 

「仭!……くっ」

 

 仭がサイレント・ゼフィルスの射撃をくらい、吹っ飛んで壁に激突したのを見て一夏は叫ぶ。が、ひとまず一夏はその前の射撃によって壁に激突したラウラとシャルロットにかけつける。

 

「大丈夫か!ラウラ、シャル!」

 

 声をかけ、すぐに一夏はサイレント・ゼフィルスの方を向いて雪片弐型を呼び出し、構える。

 次の瞬間、BTライフルの攻撃による雨が一夏に降り注がれるが、全て零落白夜で相殺させた。

 

「一夏さん!ここは私が!」

 

「セシリア!?おい!」

 

 一夏の言葉に耳を傾けずにセシリアはサイレント・ゼフィルスに向かっていき、それに鈴も加わってサイレント・ゼフィルスに攻撃を仕掛ける。

 しかしその攻撃は突如出現したビーム状の傘によって阻まれた。

 

「なっ……!?」

 

「くっ!シールドビットを……鈴さん!多角攻撃で行きますわよ!」

 

 セシリアのその言葉に鈴は了承。2人の多重攻撃が始まると、それに合わせるようにサイレント・ゼフィルスも飛翔した。

 

「…あれはイギリスの機体が強奪されたものだ……」

 

「!ラウラ、動いて平気なのか?」

 

「いや、直接戦闘には加われないな。支援砲撃するのがやっとだ。…が」

 

「…僕達はあっちを相手にした方がいいかも……」

 

「!……」

 

 ラウラとシャルロットが、サイレント・ゼフィルスとは違う方を向いている。一夏もつられてその方向を見ると、いつの間にか地上にいたもう1人の襲撃者の姿があった。

 

「あれは……」

 

「わからん。だがおそらくあのISも強奪されたものだろうな」

 

「………」

 

「あれは私達が引き受けます」

 

「だから一夏さんはセシリアと鈴(あっち)の方に行って下さい!」

 

「レイラ!アリィ!」

 

 一夏達の前に空中から2人が降りてきて、構えた。

 

「…わかった。シャル!ダメージは?」

 

「スラスターが完全に死んじゃったよ。PICで飛ぶことはできるけど、あの機体相手じゃ追いつけない。支援砲撃するラウラの防御に回るから一夏は行って!」

 

「わかった。…!」

 

「………」

 

 一夏がサイレント・ゼフィルスへ向かって飛び出そうとしたとき、そのもう1人の襲撃者が一夏を行かせまいとしてか、槍を片手に呼び出し、瞬時加速で突っ込んで来た。

 

「くっ…」

 

 一夏達の前に立つ2人もそれぞれ構え、襲撃者が槍で攻撃しかけるもそれは突如横からの攻撃によって阻まれた。

 

「………」

 

「仭!」

 

 横から割って入ってきた第3者――仭は大剣で槍を防いでいた。そしてお互い離れると、襲撃者は()()()()()()で仭に襲いかかる。

 が、仭は再び大剣で受け止め、懐に入って膝蹴り。追撃に大剣の腹で殴って相手を吹っ飛ばした。

 

「………」

 

 相手は途中で体勢を立て直して止まり、仭達を無言で見据えている。

 

「仭!大丈夫なのか?」

 

「俺を舐め切りすぎた一夏。攻撃に直前まで気付かなかったとはいえ、防御ぐらいしてある。…それとアリィ、レイラ。お前達はサイレント・ゼフィルスの方を相手しろ。こいつは俺1人で相手する」

 

『!』

 

「仭さん、それは…」

 

「状況的にそう判断した。さっき見たように奴のISは炎を操る。…主力的にな。アリィ、お前のISとは相性が悪いし、レイラのだと決着がつかん。…楯無もおそらく出てこれないだろう。それにお前ら2人はキャノンボールファスト用パッケージで火力が低下してる。となれば俺が相手するのが最善であろう」

 

「「………」」

 

「なら仭!俺も一緒に戦う!」

 

「キャノンボール・ファストによって俺達のISの火力が低下してるとはいえ、2人だけで襲撃してくるような奴らだぞ?おそらくこいつもあのサイレント・ゼフィルスの操縦者と同等、もしくはそれと同じくらいの実力を持っているだろう」

 

 そう言って仭はサイレント・ゼフィルスの方を見る。簪、箒も加わって4人がかりでも苦戦の様子が見られない姿があった。

 

「お前が足手まといと言ってるわけじゃない。が、どう考えても分が悪いのは箒達の方だ。あっちを加勢したほうがいいだろう」

 

「仭……」

 

「わかったらさっさと行け。あと、セシリアには気をつけろ。あの野郎はあれが自国の機体だから自分の手で取り返そうとしている。最悪1対1になってでも取り返そうとするだろうが…あれは格上の相手、であんな焦ったような状態、ビットが封印してありそれを補うために大型BTライフルがあるみたいだが、火力が下がっている。今のセシリアでは万に1つの勝ち目もない」

 

「わかった!」

 

「頼むぞ…ぬぅ!」

 

「………」

 

 一夏が飛び立つと同時に、もう一方の襲撃者が今度は槍を片手に1本ずつ握られている状態で襲いかかってきた。

 

「仭さん!」

 

「――っと!アリィ、お前達もあっちの方を援護してやれ。それとISを装備した襲撃者がこいつら2人だけとは限らないからそれも思考に入れておいてくれ!」

 

「「了解!」」

 

 仭は大剣で相手の攻撃を捌きながら言い、指示を受けた2人もそれぞれ動く。仭は後方に瞬時加速をして一旦離れた。

 

「…さて、貴様には色々と言いたいことはあるが…」

 

「?仭もセシリアみたいにそのISと因縁があるの?」

 

「因縁…半分正しいかもなシャルロット。が、別に組織から盗まれたISってわけじゃない。少々個人的なこと…があってな」

 

 仭は相手を再び見る。

 そのISは赤いカラーで、その後ろに翼のようなウイングスラスター。片手にそれぞれ持っている2つの槍から火の粉が舞っており、頭部すべてを覆う仮面が見られた。

 

「そのISのことも含め、色々吐いてもらうぞ亡国企業…」

 

「………」

 

 仭は殺気を出しながら言う。その言葉には明らかに怒りも含まれていた。

 

 

 

 




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