IS<インフィニット・ストラトス> ~白き騎士と黒き暴君~    作:狂戦士

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7章入りました。100話そろそろいきそうだ。章の前にある設定等は自分的に話数を含んでませんが。


第7章 思惑が渦巻く専用機限定タッグマッチ(原作7巻から)
第77話 それぞれの胸の内


第77話 それぞれの胸の内

 

 

「なっ……!?」

 

 織斑マドカと名乗る少女が発砲、銃弾は一夏へと飛ぶ。ISを部分展開しようとしていた一夏にはその銃弾がゆっくりと飛んでいくのが見えた。

 

「ちっ…」

 

 一夏へと向かっていた銃弾が空中で停止したのを見て、マドカが舌打ちする。

 

「伏せろ、一夏っ!」

 

 ラウラの声が聞こえ、言われるまま一夏は身体を下げると、頭の上ギリギリをナイフが飛んでいく。

 

「やはり邪魔立てするか……」

 

「当然だ。小娘」

 

「仭!」

 

 身体を伏せた一夏を抜き、マドカに突っ込んでいく仭が言った。

 ラウラが投げたナイフはマドカの右目を狙って飛んできていて、それを右の掌で受け止めた。

 

「なっ!?」

 

「…怖いなおい、普通に血が出てるじゃねぇかよ。馬鹿か?」

 

 掌に突き刺さったナイフを握り締めるマドカを見て、仭はそう言いながら足を止めない。そして近距離まで近づいた仭は蹴りを頬へと脚を上げる。

 

「ふん」

 

 後ろへと下がり、頬を掠ったが、マドカは左手に持つ銃を向けようとするもそれより早く仭は近づき、今度は腹を殴ろうとするも横へかわし、再び後ろへと下がる。

 

「返すぞ」

 

 そう言ってナイフをそのまま投げつける。仭はそれをかわし、後ろにいたラウラもそれをAICで止めた。ラウラが再びマドカへ視線を戻すとサイレント・ゼフィルスを展開していた。

 

「力づくか小娘?だがお前が殺そうとした一夏はISをとっくに展開していて3対1だ。…貴様はあの時の俺の攻撃でビットは全て破壊されている。結果は火を見るからにも明らかだ」

 

「…ふん、今日は退いてやる」

 

「退いてやる?違うな。退かせてやるんだ」

 

「………」

 

 仭を軽く睨み、襲撃者は闇へと姿を消していく。ラウラがAICで捕らえようとしたが、それをかわして完全に姿を消していった。

 

「くっ…」

 

「…仕方があるまいラウラ。市街地戦をする訳にもいかん」

 

「大丈夫か2人共?」

 

「ああ」

 

「私を誰だと思っている。お前こそ無事か?」

 

「ああ、2人のおかげでな。サンキュ」

 

「礼には及ばん」

 

「まあ、ISを部分展開して防ごうとしたのは良かった。…ったく、お前本当に自分の立場わかってないだろ。ISあるからといってお前は重要人物だって言ってんだろ。1人で出るんじゃねぇよ」

 

「うっ…わ、悪い」

 

 そう言いながら仭はジュースを拾っていく。一夏とラウラもそれを見て手伝った。

 そして一夏と仭が半分ずつ持ちながら歩き出す。

 

「そういや、どうして俺が襲われてるところに間に合ったんだ?」

 

「そ、それは……」

 

「ん?」

 

「……い、言えるわけがないだろう。2人になる機会を狙っていたなど……」

 

「何だって?」

 

「な、何でもない!し、師匠が言った通りだ!!」

 

「そうか。ありがとな、ラウラ」

 

「な、なっ!?」

 

 ラウラは顔を真っ赤に染める。一夏は理解できず、仭はため息をついた。

 

「仭は?」

 

「お前の家についたらラウラが出てきたのが見えてな。それで後をついてったら発砲音が聞こえ、さっきに至る」

 

「そうか。用は終わったのか?」

 

「終わったから来たんだろうが」

 

「それもそうか」

 

「で、一夏。さっきのこと話すのか?」

 

「明日には話そうと思う。せっかくの誕生日祝いに水を差したくないし、弾や数馬がいるからな…」

 

「それがいいだろう」

 

「そうか。…後でだが楯無には話してしまう。構わんな?」

 

「終わった後なら」

 

「了解した」

 

 そう言って一夏の家へ戻るまで3人は無言だった。一夏の胸の内では、先ほどの少女マドカの事が気に掛かっていたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

*仭サイド

 

 

 

 

 

「…そんなことがあったの」

 

 一夏の誕生日パーティーが終わって帰り道。俺は楯無と2人でIS学園へと帰っている。というのも俺が一夏の家に入って楯無に話が後でしたいと話し、俺と楯無2人で話をしながら帰りたいから、先に皆は帰ってくれと言ったのである。

 …まあヒューヒューと言ってくる一般人2人がいたが絶対零度の視線で黙らした。で、現在先程のサイレント・ゼフィルスの操縦者の少女が一夏を襲ったことを話した。

 

「ああ、何故かは本当にわからん。会話は聞いてなかったのもあったし、一夏に聞いてもわからないと言われたからな。…奴はあの小娘に何か言われたのだろうが、はぐらかすつもりだろう」

 

「………」

 

「…ま、それはさておき本題」

 

「何かしら?」

 

「楯無、ちょっと明後日から3日間、IS学園を留守にする」

 

「えっ?組織かしら?」

 

「ん、まあそれもあるが、1日目はちょっとした旅行だ。仕事サボるなよ」

 

「…本当は?」

 

「サボるなということに関しては本当だがな。…ちょっと言えん。ただ亡国企業についてとだけは言っておく」

 

「そ、あなたがそこまで言うなら仕方ないわね。で、どこ行くの?」

 

「イタリアだ。さっき俺が提案したら組織(あっち)はすぐ手配してくれてな」

 

「随分と急ね。その話」

 

 サクヤさんに提案したのは『イタリアへと行かせてください』と頼み、『明後日だから準備しといて』だ。なんともまあ早いことだ。その辺大丈夫なのかとさすがに思う。

 

「あ、ところで仭君」

 

「何だ?」

 

「私からもちょっと頼みたいことがあるの」

 

「亡国絡みか?」

 

「ううん、ちょっとした私の興味本心。…けど、聞いたらあなたも組織に調べて欲しくなるわよ」

 

「…話してみろ」

 

 楯無の話を俺は聞いてみる。……!

 

「…なるほど。それは確かに」

 

「でしょ?」

 

「調べてくれるよう頼むとする」

 

「お願いね。こっちでも調べてみるから」

 

「期待はするなよ」

 

「うん、わかってるわ」

 

 確かに楯無の話は興味深かった。これは組織も間違いなく調べてくれるだろう。…さて、千冬さんにはイタリア行くこと話してあるが(急すぎると殴られたが)、準備をしておかねぇとな。

 

 

 

 

 

*一夏サイド

 

 

 

 

 

 何か昨日学園に帰ったら仭が急に『明後日イタリア行く』とか言い出した。で、翌日

 

「「襲われた!?」」

 

 いつもの面子(仭を除き)で夕食を取っていると箒と鈴が大声を上げる。

 

「ああ、昨日の夜にな」

 

 織斑マドカという名前は流石に伏せて事情を説明した。

 

「サイレント・ゼフィルスの操縦……一体何が目的なんだろう?一夏は何か思い当たることある?」

 

「さあ、な」

 

 シャルの問いに対して短く答える。

 …やっぱり千冬姉に訊いておいた方がいいんだろうか。

 

「ってそれより一夏。仭がいきなり昨日イタリア行くって言ったみたいだけどどういうことよ!」

 

 すると鈴が話を変えるようにそのことを指摘してきた。仭の姿は現在いないが、それはまあ、ちょっと学園を留守にするらしいから、色々あるんだろうな。

 夜中に出ていくとか言ってたが。

 

「いや、俺に言われても…何か急に言ってきたんだし…」

 

「そんな急で、準備とか大丈夫なの?」

 

「今頃ドタバタしてるよ簪」

 

 滅茶苦茶ドタバタしてるじゃないか?パスポートはどこだとか……。

 

「あらあら、楽しそうですね」

 

「千冬姉に山田先生」

 

「そう呼ぶなと……まあいい」

 

 2人共夕食のトレーを持っている。…マジ言い方気をつけねぇと。

 

「ところで、お前達はいつもこの面子で食事をしてるのか?」

 

「あ、はい。大体は」

 

「そうか」

 

「あら?織斑先生、もしかして気になるんですか~?」

 

「山田先生、後で食後の運動に近接格闘をやろうか」

 

「じょ、冗談ですよぉ!」

 

「心配いらん。たったの2時間だ」

 

「たったの!?」

 

「そうか。では3時間に増やそう」

 

「死んでしまいますぅ!?」

 

 もうこんな光景は見慣れている。

 

「あまり騒ぐなよ。と言っても、10代の女子には馬の耳に念仏か」

 

 それを言うと千冬姉は山田先生を連れて奥のテーブルに向かっていった。

 …マドカについてはまた機会を伺おう。

 

 

 

 夕食を食べ終えた後、仭の部屋にちょっと寄ると一応準備は終わったみたいで、これから夕食を取りに行くと、部屋を出て行った。仭も行ってしまったので部屋へと戻ってきた俺は現在ベッドに寝転がっている。

 

「シャワーでも浴びるか」

 

 そう思って体を起こすとドアをノックする音が

 

「!はーい」

 

 急いでドアへ近づき、開けると

 

「はろー、楯無おねーさんの登場よ~」

 

「お帰り下さい」

 

 すぐさまドアを閉めようとするが、ガッと音がすると同時にドアが閉まらない。…楯無さんが脚を入れていて、それがストッパーに。

 

「もー。お姉さんを閉め出そうなんて駄目だぞ☆」

 

「はぁ……」

 

 次からは絶対に誰が訪問して来たか確認しよう。

 

「入っていい?」

 

「どうぞ……」

 

 とりあえず中に楯無さんを入れる。で、俺は楯無さんにお茶を出した。

 

「まあ大した用じゃないんだけどねー。一夏君の顔が見たかったからかしら?」

 

「楯無さん」

 

「ん?」

 

「追い出しますよ」

 

「いやん」

 

 …仭呼んだほうがいいだろうか。

 

「で、用は何ですか?」

 

「一夏君、襲われたんでしょ。うちの警備の人間をつけましょうか?」

 

「いや、遠慮しときます」

 

 相手はIS持ってるだろうし…。そう仭にも散々言われたからな。

 

「まあ、そういうと思ってたけどね。それとね、昨日のキャノンボール・ファストの襲撃事件を踏まえて、各専用機持ちのレベルアップを図るために今度全学年合同のタッグマッチを行うことになったのよ」

 

「あ、そうなんですか」

 

「ま、詳しいことは明後日くらいのSHRで話されるから」

 

「そうですか」

 

 それにしてもタッグか…。ここは

 

「楯無さん、俺と組んでください」

 

「あら?お誘い?」

 

 楯無さんを味方につけよう。

 

「うーん…残念だけどごめんなさいね」

 

 断られた。

 

「じゃあ簪と組むんですか?」

 

「それならそれでいいんだけど、まあ単純に一夏君と組まないのは、君をボコボコにしたいって感じかしら?」

 

「俺何かしました!?」

 

 ないぞ!?この人に恨み買うような事絶対にないぞ!?

 

「アハハ、冗談よ冗談♪ただ単に一夏君とも戦ってみたいだけよ」

 

「あっ、そうですか…」

 

 何だ、そういうことか。

 

「…あれ?じゃあ楯無さん、仭と組む可能性が?」

 

 それは冗談抜きでやばいぞ。

 

「そんなに顔を強張らせなくても大丈夫よ。織斑先生から私と仭君で組むのは禁じられてるから」

 

「え?」

 

「『学園最強の2人が組んでしまったら、生徒達がやる気を出さないだろう』ってね」

 

「なるほど」

 

 良かった。本当に組まれてたら終わってた。

 

「あっ」

 

「どうしたんですか?」

 

「用事を思い出したから、そろそろお暇するわ」

 

「…もしかして生徒会の仕事またサボったんですか?」

 

「そんな事ないわよ。というか一夏君。私が来た理由、そう思ってたのかしら?」

 

「はい、てっきり仭に追われてたんじゃないかと」

 

「失礼ね。今回はきちんと終わらせてあるわよ」

 

「今回?」

 

「こ、今回もよ」

 

 ………。

 

「…信用してないわね?」

 

「ハハハ、まさか」

 

「…はぁ、そういうことにしとくわ。じゃ、お茶ご馳走様」

 

 楯無さんはそう言いながら一礼。そして去っていった。

 

「………」

 

 俺は改めて風呂に入ろうと考えると

 

「一夏ー!いるんでしょ?開けなさーい」

 

 ドアをドンドンと叩きながら、声が…鈴だ。

 

「何もそんなにドア叩かなくてもいいだろ」

 

 そう言いながら俺はドアを開ける。すると遠慮なしに部屋に入っていって、鈴はベッドへと座った。

 

「で、何か用か?」

 

「何よ。用がなきゃ来ちゃ悪いの?…まあ、あるんだけど」

 

 あるのかよ。とは突っ込まず、お茶を用意する俺。

 

「一夏、全学年合同タッグマッチが今度あるのよ」

 

 俺はお茶を渡して向かい合う形でベッドに座る。用はその件か。

 

「あ、それ楯無さんに聞いた」

 

 ん?何か鈴の表情が険しくなった。

 

「…まあ知ってるならいいわ」

 

「てか何でそれ知ってんだ?楯無さんが詳しいことは明後日くらいにSHRで説明されるって聞いたけど、まだ知らないはずだろ?」

 

「それは仭に聞いたのよ。食堂にいて、話しかけたら教えてくれたの」

 

「仭が?」

 

 確かに生徒会の一員だから…ってじゃ、何で俺に知らされてないんだ?いや、あいつも楯無さんに教わったからか?

 

「…それで一夏」

 

「ん?」

 

「当然あたしと組むわよね!」

 

「うおっ!」

 

 詰め寄ってきた鈴。

 

「え?どうすっかな…」

 

 楯無さんに断られ、仭とも戦いたいから誰とでもいいというわけではなく、

 

「甲龍は近接と中距離もこなすから、白式と相性がいいわよ」

 

「む、確かに…」

 

 そういや仭に前に、もし俺がタッグを誰かと組むとしたら、どういうのと相性がいいか聞いたら…

 

『白式は基本近接戦闘に特化した…というよりそれしかできない機体だ。第二形態移行して荷電粒子砲がついたが、お前は射撃が下手な故あまり意味を成さないから、結局は近距離だ。もしタッグを組むのだとしたら、パートナーはオールラウンダー…と、までは言わんが、中距離系が望ましいだろうな』

 

 って言ってたな。鈴とはあの無人機との時に連携もそこそことれた。

 

「じゃあ組むか」

 

「よしっ!」

 

 何か無茶苦茶嬉しそうだ。

 

「じゃ、一夏。明日から特訓よ。連携とかのね」

 

「おう」

 

 やるからには当然勝ちにいきたい。そう思いながら俺は今後のことで鈴と相談していった。

 鈴が帰るときにはなんか滅茶苦茶嬉しそうな顔だったと言っておく。

 

 

 

 

 

*再び仭サイド

 

 

 

 

 

 時刻はAMで12時ちょっと過ぎ…眠いと思いながら俺は空港にいた。

 

「時刻はそっちじゃ…PMで4時くらいか?」

 

『ええ。日本じゃ夜中?』

 

「もう今日になってる」

 

 イタリア行きの飛行機を待ちつつ俺は通信をかけていた。相手は俺が向かうイタリアにいる組織の仲間。コードネーム『バラッド』シーナ・ゼクティウスだ。階級は少尉で、組織に正確な意味で所属している、数少ない専用機持ちの1人だ。

 

『あら、それはごめんなさいね大尉殿』

 

「…やめろ。普段のお前らしくない」

 

『わかったわよベルセルク』

 

「イタリアで行動を共にするときもそう呼ぶんじゃないぞバラッド?」

 

『別に呼ばないわよ。コードネームの方で覚えてるわけじゃないんだから』

 

「クク、それは済まなかった」

 

 少し目が覚めたな。ちなみに俺の立場もあり、護衛が1人つくことになった。それがたまたま俺が向かう地域にもいたシーナというわけだ。

 武装をできればしたいんだが、飛行機に凶器を持ち込む訳にはいかないからな。IS?当然持ってるが、仕方ないだろ。

 

『…そろそろ時間じゃない?』

 

「そうもそうだな。飛行機に乗ったら無線は駄目だからな。もう切る。現地(あっち)で会おう」

 

『了解』

 

 いつも通りチャネルを使ってるわけじゃない。さすがに場所が場所だ。パスポートや財布等改めて確認し、俺は動いた。

 さて、10時間以上のフライトを我慢しに行くか。

 

 

 

 




うん、ざっくり一夏のパートナー決まったな。まあ、やっぱり先手必勝かと思いまして。
楯無と仭は組みません。これはこの小説では絶対にやっては駄目です。(汗)

楯無が仭に頼んだことは、ある人物についてとだけ言っておきます。
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