フレームアームズ ~争いを終わらせた白き翼~ 作:よなみん/こなみん
続きです
「っ!〈バーゼラルド〉は!どうなった!」
〈バーゼラルド〉が落ちたのと同時刻。〈アルテミス〉では状況整理がされていた各モニターは生きており、画面にはそれぞれの状況が秒で更新されていた。今は前線のブロックが押されているのが確認できた。
バーゼラルドが落ちたのは市街地付近。激戦区の真っ只中だった。
「type0の意識は不明!脈は・・・健在です!」
「それで!原因は!」
『わかんないよ!あぁ!どうしてこうなるんだ!』
そう言うリーゼは手に、〈実験〉の時の資料をもちながら冷静に考える。
type0が落ちた原因は何か。機体の不調か?あるいはパイロットの脳波調整が出来ていなかったのか、あらゆる思考が彼女の中で繰り返される。
「・・・艦長!民間人が!」
「何!?」
そう言われ、モニターを見ると、そこには〈バーゼラルド〉に乗り込む少年の姿があった。彼は迷いがなくバーゼラルドのコックピットに乗り込む。
「っ!イオナ!〈バーゼラルド〉と回線を繋げ!」
「ダメです!回線が!」
「何とか復帰させるんだ!一個小隊は現状を維持!」
―――
「・・・動いた・・・のか。」
戦術機に乗り込んだ俺は・・・唖然としていた
俺は確かに叫んだ・・・でも。どうして動いたんだ。
「・・・〈バーゼラルド〉・・・?」
画面を見ると、そう名前が表記されていた。そして基礎プログラムを終え・・・流れるようなプログラムが新たに流れ出す。
そして画面が新たに映し出される・・・それは
「すげえ・・・映画見たいだ。」
画面いっぱいに映し出されるのは街の映像・・・なんて酷いんだ。
「こんなの・・・めちゃくちゃじゃないか。」
しかし、そう言ってると、突然通信が入る
『君!直ぐにそれから降りるんだ!』
「!?どうしてですか!」
遅れたようにモニターに新たな画面が表示される。そこに映されていたのは中年ぐらいの人だった。とても焦った感じで俺に話しかけてくる。隣には女の子もいる。
『それは素人が扱えるものじゃないんだぞ!』
「だからって、傷ついた人をほっとけって言うんですか!貴方は!」
『一般民は関係ないだろう!』
一般民ねぇ。俺の中で何かが切れる。火がついたように俺の手は操縦桿をしっかり握り込む。同時にバーゼラルドの手が思いっきり握られる。
システムを再確認。確か、パイロットの補助機能ってプログラムが流れていたな。この機体は恐らくパイロットの脳波に反応して補助をしてくれる機体のようだ。つまり危険を察知した時に反応するシステムがあるようだ。
「関係ないのを巻き込んでるからこうなるんでしょ!」
『君は・・・』
『艦長!敵1!〈バーゼラルド〉に接近中!』
「来る!」
通信で、そう聞こえた数秒後。俺の目の前に敵の戦術機が映る。街角を曲がり、俺を捉えた青い戦術機は腕に付いているガトリング砲をこちらに向けてくる。
「・・・っ!来る!」
「見つけたっ!隊長!目標を見つけました!」
俺はとっさに機体の腕をクロスさせ、連続で発射されるガトリング砲を受け止めようとするが、判断を間違えた。それに気づく頃には相手はトリガーを引いてガトリング砲を連射する。
「蜂の巣だ!ははっ!」
・・・銃弾が止み・・・俺は目を開ける。破壊されたと思ったはずだが、機体は正常。それどころかモニターで見るに目立った損傷は無かった。
「・・・っ!傷がない?」
「っ!隊長!このまま破壊します!」
向こうは肩のブレードを、トンファーのように装備する。ガトリングとミサイルを捨て、バーゼラルド向け直進してくる。しかし、この狭いところではこちらにも有利に働く。
「戦争をやるならっ・・・場所を考えろぉぉぉっ!」
俺は腰についていた白兵戦用のビームソードを武器にして、真正面から敵
「!?レーザーソードか!」
「っ!こいつ!まだ抵抗するのか!」
俺は咄嗟の判断で飛んでくる敵のもうひとつのブレードを躱し、バーゼラルドの手関節を一回転させて左腕を落とす。向こうは少し下がるものの、レーザーブレードは的確に腕のみを落としていく。
「ちっ!まだこいつは試験段階じゃなかったのかよ!どうしてこんなに動けるんだよ!」
「・・・なんで・・・俺はこれを動かせてるんだ。」
目の前の青い戦術機はブレードを振るう。一見乱暴に振るっているように見えるが操縦しているのは人間。その動きは不規則に見えて実は一定の動きで繰り返されるプログラムなのだ。
まずは左。その後は右下から斜め上へと、振り上げ、振り下ろされるブレードを確実に回避していく。
「・・・わかる。この、こいつの動きが・・・」
俺はそう言うとそのまま操縦桿を走らせる。後ろに行きつつ、相手の振っているブレードを回避する。
「・・・見える」
―――
「何者だ?彼は。」
『〈バーゼラルド〉の機体性能が予想値を遥かに超えてますよ!これは・・・』
「・・・イオナ。データの記録を」
「は、はい!」
〈アルテミス〉では〈バーゼラルド〉がメインモニターに映し出されており、さらには彼の姿も映し出されていた。
コックピット内の彼は異常だった。先程までの頑固な少年ではなく、冷静になり、的確に操縦しているのがその不気味さを表していた。
「彼みたいな民間人が・・・〈バーゼラルド〉を」
「艦長!高速で接近する機影あり!」
「っ!1小隊に繋げ!」
そう言うと、すぐさま通信が入る
『艦長!この機影は!』
「・・・間違いない。黒い影だ。」
そう言うと、空からミサイルが〈アルテミス〉とその周辺に当たる。凄まじい衝撃がブリッジ全体を襲う。
「―っ!」
「くっ!リーゼ!状況を教えてくれ!」
『っ、エンジンは大丈夫だよ!やられたのは補給してた部分だけ!あとはほとんど無傷だよ!』
「・・・っ、イオナ!補給護衛の部隊は!」
「第2小隊が壊滅状態!第3小隊は健在です!」
「第3小隊に2小隊の救援を!補給作業は後回しで構わん!」
「了解!」
―――
俺は抜き出した近接ブレードで次は敵の膝部分を当てようとするが敵の移動に阻まれかすり傷で済まされてしまう。
「くそっ!こんなやつに負けるのか!俺は!」
「・・・」
隠し武装の腰のミサイルを建物を盾に躱す。その動きの雑さから敵の焦りが見えていたし、これで相手の武装は実質ブレードだけになった。
焦ったのかブレードを片手に突撃してくるF.Aの懐に入り、敵の残った片腕を切り落としてやる。敵も唖然としその焦っていた動きがとうとう止まってしまう。
「舐めるなぁ!」
「・・・っ!」
捨て身で突撃してくる敵を殴って押し返す。飛ばされた衝撃で敵はそのまま踏みとどまれず後ろの建物を巻き込んで倒れてしまう。
「っ!こんな!こんなやつに!」
「・・・これで!」
俺がトドメを刺そうとしたその時、空から雨が振るように連続で弾が飛んでくる。咄嗟に気付いてスラスターを吹かせ回避する。そして敵の倒れているやつから少し離れたところに着地する。すると、上で撃っていたであろう敵が降りてくる。
その姿は黒く、まるで死神を思わせるカラーをしていた。見るものに絶望を与えるような色・・・。
「っ・・・黒い・・・やつ。」
そこには黒い戦術機・・・が手に構えたマシンガンをこちらに向けながら・・・俺と対峙する。
「・・・ふむ。これが新型か」
目の前の敵とお互いに武器を向けながら対峙するが、突然向こうがそのマシンガンを下ろす。
「データは取れた。撤退するぞ!」
「なっ!?隊長!俺は!」
「その損傷では何も出来ない。出直すぞ」
敵が、倒れている奴を引っ張って撤退していく。それと同時に俺を縛っていた何かが切れる。
俺の意識は黒くなる。まるで力が抜けたみたいに・・・