フレームアームズ ~争いを終わらせた白き翼~ 作:よなみん/こなみん
「損傷の激しい機体から回収して!空いてる者は手伝ってよ!」
「〈バーゼラルド〉搬入します!」
多くの損傷機が搬入される中、バーゼラルドが二機の〈
格納庫への固定作業が終わる。バーゼラルドの周りには警備兵、主任のリーゼ、そして医療班といったメンバーが集まっていた。そして格納庫をモニターしている司令室には第一小隊、轟雷のパイロットたちが集結していた。
「・・・今から〈バーゼラルド〉のコックピットを開ける」
「あの機体は一体なんなんですか」
「・・・試作機としか言えん」
『〈バーゼラルド〉システム開封、開けます』
リーゼの短い言葉の後。〈バーゼラルド〉のコックピットが静かに開く。そしてそこに居たのはコックピットに座る一人の少年と、その膝で眠る少女だった。
『・・・抵抗はしない』
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「さて。まずは君の名前を聞こうか」
取り調べ室みたいな所。そこでは数人の警備兵とリーゼ、そしてアルテミスの艦長が少年――玲と向き合っていた。玲の腕には多重ロックの手錠が掛けられていた。
「・・・八神 玲。歳は18です」
「ふむ。まずは君に謝罪をしなければならないな」
「・・・別にこっちが勝手にやった事です。むしろ怒るべきですよ」
「人は素直に礼をすべきなんだよ。ここで無用に怒るような大人ではないからな。私は」
まずは礼をされた。〈バーゼラルド〉を守ったことと、街を救ったこと。俺はがむしゃらにアレを動かしただけだからそんなこと言われる筋合いはないと思ったが・・・。まぁ言われるのも悪くは無いと思った。
そして次に質問をされた。リーゼと呼ばれた女性からはデータを提示される。そこには俺が操っていた時のバーゼラルドのデータが表示されていた。それも律儀に数値化されている。
「どうやって動かした、動かせた・・・ですか」
「そうだ。少なくとも、このデータは普通の人間には出せない。極めて異常の数値だ」
「・・・分かりません」
「そうか。すまなかったな」
そう言うと艦長と呼ばれる人は手を叩く、そうすると後ろの扉が開き、俺の手にあった手錠は勝手にロックが外れる。
「これは?」
「客人には失礼のないようにおかえり頂くんだよ。失礼だったかね?」
「・・・いえ。帰って良いのでしたらこれで失礼します」
玲はそのまま部屋の外に出る。そのあとは護衛という名の警護と共に俺の家まで送り届けられた。
―――――――――――
「・・・type-0の調子は?」
強襲母艦、アルテミスの一角、研究室では一人の少女がベットに寝て色んな電子機器が身体に取り付けられていた。その部屋には研究者たちと艦長、そしてリーゼがカルテを手に見守っていた。
表示されているモニターにはtype-0の身体データと〈バーゼラルド〉の機体リンクデータが表示されていた。しかし、数値は何故か0を示していた。
「・・・おかしいですね。同調がゼロまで落ちてます」
「彼が乗ったのが原因か?」
「・・・〈バーゼラルド〉のブラックボックスを除いて異常はありませんでした」
〈バーゼラルド〉。それはプロジェクト・ナイトメアの中にあるSX計画によって作られた〈次世代世紀実用型生産機〉である。高速戦闘を得意とし、さらに技術である〈フォトンブースター〉を採用した機体でもある。そしてデータに表示されているのはその一番機である。そしてtype-0はそれに適応したパイロットのはずだった。
しかし、データ上に出ているのはリンク値0の数値だった。それは彼女が〈バーゼラルド〉に乗れないことを示していた。
「・・・やはり彼が乗った時に何か」
「どうしますか?」
「現状維持だ。ブラックボックスの解析が出来ていない以上、何も手は出せない」
そう言うと一つの書類を手に取る。そこには先程追い返したはずの玲の情報が書いてあるものだった。
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「ただいま」
家に帰り言葉を発するが、言葉は返っては来ない。リビングへ行くと机の上にご飯が、そして置き手紙があった。内容は「用事が出来たからごめん!」と一言だけ書いてあって、なんの用事とは書いていなかった。そしてキッチンには作り置きしてあるおかずやスープが置いてあった。
「シャワー浴びよう」
とりあえず今日は疲れた。学校に行っただけなのにどうしてこうなったのか。その答えは誰に聞いても帰ってこないだろう。だが、俺はそれでも答えのない質問を自分の中で繰り返す。
・・・あの時、戦っている時俺は笑っていた気がする。顔を触り、確かめる。手は頭から目、そして最後には頬に触れる。緩んでいたであろう頬は、もうすっかり元に戻っていた。
シャワーから水が流れる音、タイルに水が跳ね返る音、それが俺の頭には入ってこない。俺の頭の中は既に答えのない質問に征服されていたのだ。
お風呂を出て、外を見ると、すっかり辺りは暗くなっていた。車の音も少なく、涼しい風が俺の頬を撫でるように風が部屋に入ってくる。
「今日のことは喋るなって言われたけど何なんだよ、クソっ」
しかし、そんなことは忘れるはずもなく、悪夢は再び訪れる。突然、俺の頭に亀裂が走る感覚が来る、それは俺にまるで警告を知らせるような、そんな感じがした。
「頭が割れる、、なんだ!?」
その時、爆炎が町を包み込む、爆風が巻き起こり、風は一瞬で荒いものに代わる。温かな風が、俺の頬をたたく。
「またあいつらか!」
空から飛来する〈
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「スティレットです!」
「〈
アルテミス、そして他の前線基地からも轟雷、スティレット(制空部隊仕様)が出撃する。〈
灰色を基本としたカラーリングだが、〈
「〈NSG‐12a〉コボルトです!」
「データ称号!やはり〈
〈
〈
「轟雷を後方に、砲撃支援に回せ」
「type‐0はどうしましょう」
「後方に回せ、まともに動かせんのなら的になる」
モニターには各ブロックごとに戦況がリアルタイムで動いていた。各情報が更新されており各オペレーターが確実に指示できるようになっていた。
「、、、バーゼラルドの出力が上がらないな」
「リンクシステムの反応、シンクロ率が悪いです。恐らくそれが影響しているのかと」
数値は一桁を切っていた。しかし、動かせないわけではなく。機体の一部システム、ブラックボックスの部分が動かなくなるだけだ。
バーゼラルドは時間をおいて出撃、そしてしばらくして所定の砲撃ポイントへ砲撃が始まり、戦いが始まった。
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