Fate/Dragon Chronicle Order 作:爆焔特攻ドワーフ
目の前が燃えている。赤く赤く燃えている。目をおろせば瓦礫に潰された身体が見える。炎がその躯を舐めて燃やして。
目の前に斃れた少女がいる。対して興味がない。この少女はあの少女じゃない。彼女とこの少女は違う。
下半身を潰された哀れな少女から目を離し、歩く。
その後ろを小さな影が追う。
「たすけないのか?」
「ああ。もう手遅れだ。」
「そうか」
後ろで少女と誰かが話す声がする。もう助からないというのに。
奇跡で世界を直したのに、俺の体は戻らなかった。あの戦いの時のままだ。それは誰かが記憶を忘れないように魂に刻んだ呪いかもしれない。今でもあの激戦を悲劇をつかの間の平穏を思い出す。
ルシェ族の女王がいた。数千年後の未来から来た学者がいた。糞みたいな本性をしていた竜がいた。目の前で死んだ双子がいた。殺し合いをした青年がいた。彼女がいて、彼女の父がいて。戦友もいた。あの頃に戻りたい。
俺が竜の居ない世界なんて願わなければ良かった。
平和になった世界。知っているようで知らない人ばかり。俺はすべてを失った。愛する人も時を超えた友人も、同じ戦場を駆け抜けた仲間も。
俺が願わなければ、俺があの世界から毒花を消し去りみんなを生き返らせてさえいれば。
俺があの世界を壊さなければ。
俺が彼女を殺した。あの世界で生きていた人々を殺した。
未来も過去もすべて消え失せた。
俺が悪いんだ。
なにもかも
消えてしまえばいいのに。
そこで俺の意識は途絶えた。
◇
「・・・い!」
「・き・・・!」
何か聞こえる。
目を滓かに開ける。
目の前にはナガミミがいた。
「起きたな?すぐに周囲を確認しろ。」
その瞬間、殺気が飛ぶ。方向は右斜め。
近くにいたナガミミをかっさらい、身体の近くにあった鉄パイプをつかみ飛んできたものをはじき返す。
態勢を空中で立て直し、周囲を確認する。
あの瓦礫と死体であふれた部屋ではない。
住宅地だ。
人の気配はしないし、至る所から炎が巻き上がりかなりの熱が伝わってくる。
それよりも気になるものがあった先ほど殺気を感じてとっさにはじき返したものは苦無だった。
「ホゥ・・・アレヲハジィキカェスト・・・」
目先10m先に黒い靄の塊が降り立つ。漆黒を体現したかのような塊からは異様な長さの腕と髑髏が覗く。
俺はその姿を視界に収めつつ、背後に手をやる。何もない場所から愛刀が出現し手のひらに収まる。
「カカカ!ソノ刀デ如何トスル!貴様ハ此処デ我ノ糧トナル!」
嘲笑する。髑髏。
隙がない。高笑いをしているが、油断はしていない。
死闘にはなるかどうかはわからない。
対人戦なんてほとんどしていない。
だが、負けるつもりはない。
立ちふさがるなら殺すのみ。
刀を構え、大地を蹴る。
髑髏は静かに苦無を出して待ち受ける。
燃ゆる街に新たな火花が散った。
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