転生者は歌姫を守るためにがんばるようです   作:葉っぱの妖怪

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もしもケトスのシンフォギア前の転生先が女神さまだったら


IF:もしも彼がTS女神化転生してたら

 朝、目が覚めると違和感に気づく。体を起こしてみると布団が丁度人ひとり分盛り上がっていた。またか・・・と思いつつ布団を引っぺがす。外気が肌に触れて少し震えながらもそれを起こす。

 

「朝だ、起きないかセレナ」

 

 セレナ、と呼んだ少女は目をこすりながら上半身を起こし、とろんとした表情で私を見るとにへらと私以外には自身の姉にしか見せない顔で口を開く。

 

「おはようございます。まだちょっと眠いので一緒に寝ましょ?」

「それは貴様が服を着たら考えてやろう」

 

 そう、彼女は私の布団に潜り込むときはいつも全裸なのだ。何度も注意するがそれをやめようとはしない。

 

「いつも裸で寝るアナ姉さんに説得力はありませんよ?」

 

 ・・・裸で布団をかぶると気持ちよく寝れるから私はいいのだ。そう言いながら頭の蛇がセレナに優しく枕をぶつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 私、いや俺が転生したのは古代のギリシャ。所謂ギリシャ神話の時代。そこで二人の女神の妹として転生した。最初は戸惑った。転生前は男だったこともあるし、なによりその二人の姉が型月のステンノとエウリュアレ、トドメに俺はメドゥーサになっていたんだから。女の子の体って柔らかいんだなとかマジで二人の姉きつくね?とかでもそれが愛されているって実感できていやまあ、すごかったとだけ。

 そんな俺が私になったのは、ステンノとエウリュアレ・・・上姉さまと下姉さまの背を越した日の夜。いつものように弄られながらも三人仲良く眠りにつくはずだったのに、その日だけは何もせず眠りにつく二人に戸惑いながらも、たまにはこんな日があってもいいかと二人の間に体を滑り込ませてウトウトし始めたころ、二人に急にぎゅっと抱きしめられた。えっ?えっ?とテンパっていた俺に二人が口を開く。

 

「駄メドゥーサ、あなたは私たちを越したのね」

「本当にやになるわ、今度からあなたの頭を撫でられないじゃない」

「本当、少しずつ成長していつかは私たちなんか目じゃないのね」

「ああ、本当に」

 

「「うらめしい」」

 

 その時が最初で最後に聞いた姉さまたちのメドゥーサという存在に対しての心からの愚痴だった。いや成長しきってライダー時代になっても背が高いわとか云々言われたけどその時だけのそれは全く違う言葉のように聞こえてそしていつも俺を弄ってる姉さまたちが急に小さく思えた。だから()は二人の手を握りしめて言った。

 

「私が、姉さまたちを守ります。ずっと、永遠に」

 

 それを聞いて駄メドゥーサのくせに生意気なとかいつものように弄られた。それからはまあ、神話通りになって約束は守れなかったけども。ただ違う点を挙げるとしたら、私がアテナの呪いをかけられた理由がポセイドンとか関係なくただ美しくそして強かったからということ、体は怪物になってでも心はいつまでもそのままだったこと、ペルセウスに殺されそうになった時に姉さまたちに庇われたこと、そして、ペルセウスを殺したこと。

 当時の私は怒り狂っていながらも冷静だった。今、怒りに身を任せて暴れても何も成せずに死ぬだけだ。ならばより多く復讐をなすために私にできることを・・・。

 

 そして私は魔術王から聖杯を受け取り、特異点を発生させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カルデアに負け、姉さまたちから感謝を伝えられ、本物に羨ましがられながら死んだ私は今度は女の子の赤ん坊として生まれた。両親は悪い意味で研究者だった。生まれたばかりの私に聖遺物適合のための実験を繰り返した。その一つ、ハルペーに適合した私はF.I.Sの研究所でレセプターチルドレンとして在籍することになった。そこでマリアにセレナ、マム、切歌に調と出会った。特にセレナとは数少ない適合者として共に実験を繰り返す日々を送るうちにもう一人の姉として慕われるようになり、マリアから嫉妬されるようになり、そんな今に心地よく感じるようになってそして、あの日を迎えた。

 ネフィリムの稼働実験、もしもの時の戦力として待機を命じられてた私はセレナの絶唱をただ見ているだけだった。絶唱の衝撃を崩壊しかける研究室で血を流しながら今にも命の灯が消えそうになった私はハルペーを歌おうとして両親に止められた。貴重な適合者にもしもがあったら―――、あれと違ってお前は優秀な―――。その時、私は無意識のうちに両親を突き飛ばしていた。セレナを、私の大切な人を見殺しにしようとした両親に対して私の中で何かが終わるのを感じた。

 私に突き飛ばされて唖然とする両親に私は言い放った。

 

「貴様らはもう、私の家族なんかではない。私の家族は、あの子たちだ」

 

 ハルペーを歌い、纏ってセレナの元へと急ぐ。彼女はもう動けず今にも瓦礫に潰されそうになっている。ハルペーではだめだ。お世辞でもハルペーはパワータイプではない。その特性と身軽さを活かすタイプのシンフォギアだ。とても今のセレナを救えるとは思えない。

 

 ハルペーではだめだ。だが私にはハルペーしかない。かつて私を殺そうとしたものにしか頼れない自分が恨めしい。そんな私が憎い。かつて墜ちた女神だった私なら人一人ぐらいその手に収めるぐらいできる。今じゃ手を伸ばすことしか出来ない。ああ、また、私は家族を失うのか。

 

いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ

 

 

 

嫌だっ!!!!!!

 

 

 その時、ハルペーが体から剥がれる。シンフォギアとして、聖遺物としてのハルペーが私から離れ、宙に浮く。そして、ドロリと溶け出す。思わず誰もが動きを止め、その異様な光景に目を奪われる中、私だけがセレナの元へ走り続ける。溶け始めたハルペーはその原型を失い、異質なものへと姿を変え、再び私の元へと戻ってくる。ハルペーだったものは私に纏うことなくそのまま中へと吸収されていく。私の体が悲鳴を上げる。黒くどす黒い復讐と言う懐かしい感情に支配される。だが今回はそれだけではなかった。姉さまたちとの日々の想いで、そしてマリアとセレナとの想いでが私の中にある。私はもう――――

 

 

 誰も失わない。

 

 

 天井が崩落し、それがセレナへと襲い掛かり、粉々に砕け散った。その場にいた人は巨大なソレに畏怖の感情を覚える。まるで蛇に睨まれた蛙、捕食者と餌のような錯覚を覚え、体が硬直し動かなくなった。私の手の上でセレナが私を見上げる。

 

「私の大切な家族はとても目が離せないおてんば娘のようだな」

 

 私はゴルゴーンとしての姿になって、いや取り戻していた。いち早く硬直取り戻したのはマリア、瓦礫の山をかけ、私の手の上にのせているセレナの元へと走る。途中転びかけたマリアをもう片方の手で器用につまみあげるとセレナを乗せている手に乗せた。

 

「もう一人もかなりのものだったな」

 

 のちにマムからその時の顔はまるで女神のようにやさしいものだったらしい。

 

 それからというもの、ゴルゴーンとしての姿はいわゆるシンフォギアを身に纏っているような状態であることがわかり、すぐにいつもの姿に戻った。負傷したセレナの変わりと言わんばかりに実験につぐ実験を受け続けて私の中の憎悪は底なしにまで溜まっている。で、ここまでが悪い話。次が良い話だが、元両親が研究所を追い出された。元々研究者として三流以下でこの研究所には私という存在がいたから所属できていたらしいが、あの日私から拒絶されたことで完全に要らないものとして追い出されたそうだ。ハハッザマー。まあ、ほかにも色々とあったが割愛。そして今から半年前にマリアたちとフロンティア異変を起こし、二課と共にそれを終わらせた。無論、誰も犠牲無しで。その時の影響で完全適合して私の体は完全にゴルゴーンとなった。なお、尻尾や髪の蛇は変化スキルでごまかせるから日常には問題ない。

 

 

 

 

 

 

 

「「いただきます」」

 

 そして、今につながる。

 

「アナ姉さん、しょうゆとってください」

「ん、セレナ」

「ありがとう」

 

 最初は私一人だけでだらだらと暮らしていたが、姉妹で暮らしていたセレナがマリアが翼と共に海外に行くからと理由を家に転がり込んだ。料理やらなんやらで私に喜んでもらおうと頑張っているなとは思っていたが、最近になってそれが家族愛やら親愛では収まり切れてないことを自覚し、どうやって事あるごとにしてくるアプローチを躱すかが今の悩みだ。表面上隠し通せているが私は完全にレズである。ゆえにセレナのアレコレはぶっちゃけてしまうと心のアロンダイトがオーバーロードしかけるほどにやばい。以前、マリアにそのことを言ったらへえーと言ってハイライトが消えたことも胃痛の元だ。その時の顔はかつて何か気に入らないことがあった姉さまたちを彷彿とさせる顔だった。

 

「セレナ、今日はどこに連れていくつもりだ?」

「立花さんたちからデートのお誘いが来ているので一緒に行こうと思ったんですけど・・・ダメですか?」

「はぁ、それやれば私が行くとでも思うのか。・・・美味いものを紹介しろと伝えておけ」

 

 なんで想いに答えないかだと?正直に言ってしまえば私は嘘の塊だ。それに、私にとってセレナは守るべき者であってな・・・いや言い訳なのはわかってる。でもそれでも、今この日常がなんだかんだでとても心地よくて変えたくないのだ。

 だが、いつかは答えなければならない。私は皆が好きだから。だから今だけ、今だけは・・・・

 

「行きますよ、アナ!」

「ふっ、またコケるぞ」

 

 このままでいさせてくれ・・・




メドゥシアナ・ゴルゴン 愛称:アナ シンフォギア:ゴルゴーン

元聖遺物実験の実験体。完全融合型シンフォギア適合者。

彼女のシンフォギアは元々ハルペーであったが二度と家族を失わないという想いがハルペーと共鳴、ハルペーをエネルギーとして彼女の魂に眠っていたゴルゴーンを蘇らせ、シンフォギアとして世界に定着させた。フロンティア事変までは人間としての姿(姿はライダーメドゥーサで髪形はランサーメドゥーサ)とゴルゴーンの姿をスイッチ出来ていたが、エクスドライブの影響で完全に一つとなりゴルゴーンの姿だけになる。完全にゴルゴーンではあるがその存在は怪物でも女神でもな中途半端な形のため本能だけの存在ならまだしも知恵を持つ同等の存在には弱い。
セレナからは友達、姉貴分、姉を経て恋愛的な愛を向けられているが朴念仁のフリをして受け流している。が、気づいてもらおうと徐々にアプローチが過激になっているのでこのままの間柄でいたい本人にとっては対応は間違えている。以前、海外にいるマリアに相談をしたが、彼女は気づいていないがマリアも彼女を狙う者であるためやはり対応を間違えている。

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