瞬神の影   作:キアラン

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最近BLEACHの作品が面白くて触発されて書きました。


第一話

尸魂界(ソウル・ソサエティ)、現世において死して成仏した魂魄が行きつく場所。そこには尸魂界の護衛及び現世における魂魄の保護、虚の退治等の任務をこなす実動部隊である護廷十三隊(ごていじゅうさんたい)がある。

 

山本元柳斎重國(やまもとげんりゅうさいしげくに)によって創設され、十三の部隊で構成されるこの部隊の一つに、隠密活動に秀でた隊士が多い実戦派部隊、二番隊が存在する。その部隊の中に、特にその色合いを濃くもつ隊士がいた。

 

元二番隊隊長四楓院夜一、『瞬神』と呼ばれる彼女のもとで刃を振るい、彼女がいなくなった後もその力で尸魂界を守ったとされる『影』と呼ばれる男が。

 

 

 

*―――――――*

 

 

 

「あのじゃじゃ馬どこ行きやがった‥」

 

ホントにあいつどこに行ったんだよ、仕事サボってまでやっていいことじゃねぇだろ。隊長の自覚あんのか疑問になるわ。

 

俺、黒星(くろぼし)キリツグはぼやきながらも二番隊隊舎のなかを歩き回っている。探しているのはわれらが隊長様だ。あの女、仕事が嫌になるとすぐにいなくなるから厄介なんだよ。

 

「ほんとだな。あいつはどこに行ったんだ」

 

「副隊長」

 

副隊長である大前田希ノ進(おおまえだまれのしん)さん。この人は隠密機動の第二分隊・警邏隊の隊長も兼任してる。見た目は強面だが嫌々でも仕事もキッチリする。他の隊士からの信頼も厚く鬼道に長けた人だ。俺もこの人もあの人のやんちゃにはいつも苦労させられている。

 

「もうあんなことになるのはまっぴらですから」

 

まったくだぜ、と同意して嫌そうな顔をする大前田副隊長。思い出してるんだろうなぁ。

 

先日、隊長がいなくなってそのまま放置してたら、運悪く翌日までの仕事が溜まりにたまって隊士の大半でカバーする羽目になった。書類系は俺と副隊長に回ってきて徹夜する羽目になったし。

 

何とか仕事を終わらせた直後にお帰りになって俺たちを見た隊長様は、

 

『これならおぬしらに仕事を任せるほうがよいかのぉ。任せた!』

 

といい笑顔で言い切りやがった。うん、キレたね。過去最高の速度の瞬歩で取っ捕まえて正座させて説教させましたとさ。

 

「流石にまたあんなことになるのは御免被るので隊長探してきます」

 

「頼んだぞ、黒星」

 

てことで行くか、と俺は隊舎を後にして目星の場所に向かった。

 

 

 

*―――――――*

 

 

 

「で、ここでなにしてんすか?」

 

あちこちを散々探し回り―六番隊舎に行ったら朽木の坊ちゃんに怒られた、解せぬ。

―ようやく双殛の丘の地下にある場所にてお目当ての人物を見つけた。

 

「喜助が面白いものを作ったというので試しにの。そうかっかするでないキリツグ」

 

悪びれもせずに答えるのが我が二番隊隊長にして隠密機動総司令官である四楓院夜一。見た目は絶世の美女なんだがこれがとんだじゃじゃ馬姫だ。

 

四大貴族、四楓院家の22代目にして初の女当主。その才能は隊長に指名されるほどで特に歩法の達人で、瞬神なんて呼ばれてる。

 

「仕事してからなら何も言いませんよ。サボってまで何してんすか。つか、喜助もそういう話この人に持ってかないでくれや。結果わかってんだろ?」

 

「いやーすみません。でもどこからか聞きつけたみたいでボクには止められないッスよ」

 

隣にいるヒョロい感じの男は浦原喜助。こんなだが二番隊第三席で隠密機動第三部隊・檻理隊(瀞霊廷内で罪を犯したものを投獄監督する部隊)の隊長である。実力はかなりの腕。しかも頭がよくて色々と開発している技術者みたいな感じだ。

 

たまに開発したものをこの場所で実験なんかしてるみたいだが、かなりの確率で夜一に見つかる。ちょっとは警戒してくれ。

 

「それでもだよ。つか夜一、あんた白哉にまたちょっかい出しただろ。俺が怒られっから本当やめろよ」

 

「ワシに負ける白哉坊が悪いんじゃ。それよりもおぬし、ちとワシらに対する口がなっておらぬのではないか? ワシや喜助はおぬしよりも上の立場なのじゃぞ?」

 

そう、俺の席次は第五席である。隊長や三席は上の立場に当たるのだが、

 

「ちゃんとしてるなら敬語で話してやる。いつもこっちに面倒ごと押し付けてくる奴に使う敬意なんぞは犬に食わせた。喜助は許可貰ってるし、模擬戦なら勝ち越してるしな」

 

 

二番隊第五席兼隠密機動第一から第五分隊副長、それが俺の正式な役職だ。

 

 

なんでこんなことになったかを簡単に説明するなら、

 

真央霊術院を3年&首席で卒業、二番隊に入隊。

    ↓

とんとん拍子に五席(空席もあり)に昇進。

    ↓

やってみろと言われるままに第一から第五までの分隊を回る。

    ↓

いつの間にか全分隊の副長 ← 今ここ。

 

うん、意味わかんねぇ。なんだよ、全分隊の副長兼任って。前代未聞すぎて総隊長に直々にテストされたわ。死ぬかと思ったけど。

 

で、それを任命したのは他でもない夜一。任命権あんのこいつか大前田副隊長以外いないし、副隊長そんな無茶苦茶しないから必然的に。つか夜一って呼べっていったのあんただろうが。

 

「はい、帰って仕事仕事」

 

「嫌じゃ嫌じゃ嫌じゃ! ワシはここを動かんぞ!!」

 

腕組胡坐で座り込んだ夜一。俺と喜助には見せるこの我儘っぷり。ほんと面倒だがこの状態になると長いからなぁ。つか喜助お前も手伝えよ! 何笑ってごまかしてんだしばくぞ。

 

「仕事終わったらどこへなりとも付き合」

「さ、行くぞおぬしら。さっさとせんか」

 

って早!? さっきまでそこで駄々こねてたやつがいつの間にか俺より先に歩いてやがる。つかやる気出し過ぎじゃね?

 

「キリツグ、先ほどの言葉に二言はないな?」

 

「まぁ、ないけど」

 

「ならワシと組手100本じゃな。今日もしごいてやるから覚悟せい」

 

あー、お腹痛くなってきたなー。逃げたいけど夜一やる気だし、逃げれそうにもないし大人しくやりましょうか。

 

「あ、じゃあ喜助も一緒でお願いします」

 

「ちょっ!? キリツグさん!?」

 

いきなり話を振られて驚く喜助。ほくそ笑んでんのはわかってんだよ。てめぇだけ楽にさせるわけねぇだろ。それを聞いた夜一はニヤリと笑った。

 

「ほー、喜助も一緒にか。いいじゃろ、仲良く揉んでやろう」

 

「夜一さんまで!? 勘弁してくださいよ‥」

 

トホホと首を落とす喜助を見て笑う俺と夜一。なんやかんや付き合ってくれるこいつはいい奴だよ本当に。

 

 

 

 

*―――――――*

 

本当に貴方は不思議な人だ。

 

ボク―浦原喜助の前を歩き夜一さんと笑いながら言い争いをしている彼をみて、ボクはつくづくそう実感している。

 

黒星キリツグ。

 

前代未聞の全分隊副長を引き受ける五席の彼は、実力でいえば優に現副隊長、大前田希ノ進を超えている。それは副隊長自身もわかっているようで自分の次は彼だと、隊長である夜一さんに進言しているようだ。

 

斬・拳・走・鬼、死神の四種の戦術を非常に高いレベルで習得しており、拳・走に関しては瞬神と呼ばれる夜一さんに匹敵するものだ。夜一さんとの組手はいつも目で追うのが精一杯っス。

 

基本的に虚さえも素手で倒してしまう彼と一度だけ切りあったことがある。能力自体は突拍子があるわけではないが、剣術のレベルが高すぎる。もしかしたら、あの卯ノ花隊長、卯ノ花八千流とも殺り合えるかもしれないほど。そんなことを感じさせるほどの力だった。

 

それだけの実力を持ちながら彼はそれかまけることなく鍛錬を続ける。その理由を聞いた時彼は、

 

『これからどうなるかなんて誰にもわかんねぇ、誰が敵に回るかもな。だからこそ鍛えてんだよ。例え総隊長と殺り合うことになっても、誰かを守れるように』

 

本気の目だった。事実、彼は今まで何人もの死神を命令で始末している。その中にはかつて友だったものもいるようだった。

 

今までどんな道を歩んでくればその言葉が出てくるのか。ボクには想像もつかないが、それでも笑っている彼を見ると何故か落ち着く自分がいる。

 

でも流石に巻き込まれるのは御免っスねぇ。それに、夜一さんの楽しみを邪魔する気はボクにはないですしね。

 

 

 




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