瞬神の影   作:キアラン

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どうも、キアランです。
思った以上にお気に入りなどをいただき本当にありがとうございます!!
第二話も楽しんでいただければと思います!


第二話

「んー、今日も平和だな」

 

「ですねー」

 

流魂街の一角を警邏中の俺たち。隣にいるのは後輩の死神でここ最近に隠密機動に入った新入りだ。基本的には新人は警邏隊に入る。まぁ真央霊術院を出るときの成績やらにもよるけど。

 

一応全分隊の副長をしているから週一くらいで警邏に出ているが、基本的には新人の教育が主になっている。最初に説明したら部下に丸投げにしてるのは内緒な。

 

「警邏隊は思ったよりも暇ですね。こうして回ってるだけでいいんですから」

 

そう思うのも無理はない。死神はそこにいるだけで普通の死者からすれば脅威だ。力の差をわかっているなら暴れるなんてことは普通はしないだろう。

 

「そいってサボってないで周りに意識向けとけ」

 

「了解です!!」

 

笑って答える新人、本当にわかってんだか。にしても最近は特になにもなくていいわ。

 

前はきつかった。夜一を捕まえて仕事させたはいいけど、速攻で終わらせやがって。そのまま捕まって連れてかれるし。(自分の分の仕事は終わらせてるよ、うん)いつの間にか喜助はトンズラこいていなくなるし。それのせいか知らないけどニコニコ顔のあいつと組手をさせられてヘトヘトだってのに、それを見られて後輩に怒られるとか意味わかんねぇし。

 

つかあいつ夜一のこと好きすぎだろ。早くあいつに夜一の世話任せてボーっとしててぇー。まぁそんなコト許してくれない隊なんだけど。

 

「っと、そんなこと言ってたらお客かな?」

 

「へ? 誰も来てませんけど?」

 

新人は俺の呟きに疑問を抱いているようだけど、まだまだだなぁ。もうそこにいるってのに。

 

「出てきてくださいよ、色男さん」

 

「いやはや、大分バレない様にきたつもりだったんだけどねぇ」

 

そう言って後ろからぬるっと出てきたのは、隊長羽織の上から女物の着物を羽織って見るからに派手な色男、八番隊隊長の京楽春水(きょうらくしゅんすい)さんだ。

 

隊長にしては物腰は軽めで俺の隣で跪く新人にいいから、と声をかけている。その後ろには副隊長の矢胴丸(やどうまる)リサも一緒だ。

 

「どもども、京楽隊長。今日はどうしました?」

 

「いやなに、隠密機動副長殿がいたので挨拶にね。最近どう?」

 

「見た通り暇してますよ。隊長殿がちゃんと仕事してくれてるなら、ですけど」

 

ね、矢胴丸副隊長、と声をかければうんうんと頷くリサ。一応この人とは隊長が仕事しないってことで馬が合って仲良くさせてもらってる。まぁたまに出るこの人の趣味にはついていけねぇけど。プライベートでは呼び捨てにしあってるくらいの仲だ。

 

「そいつは痛いとこをつくねぇ~。まぁうちはリサちゃんや優秀な部下が多いんで何とかなってるんだよ」

 

「アホか。あんたがサボらんかったらもっと早く終わることやろ」

 

苦労してますね、お互いに。てなことよりも、理由聞かないとね。

 

「で、本題に入ってくださいよ。わざわざ俺を引き留めた理由」

 

「そうだった、そうだった。まぁ他の人には聞かれるとマズイかなぁ、なんて」

 

チラッと新人をみてそういう京楽隊長。はいはい、人払いですね。新人に帰っていいことと遅れるという伝言を預けて、近くにある団子屋に立ち寄った。一応俺の行きつけで口の軽くない人間のやっている店と紹介して座って話をする。

 

「本題ってのは、十二番隊の隊長の話さ」

 

その話か。まぁここ最近ならそれになるか。

 

十二番隊。先日隊長である曳舟桐生(ひきふねきりお)という女性が()()した。隊長から昇進っていえばその先は総隊長にも聞こえるがそうではなく、彼女は王族特務の零番隊に入った。詳しくはよく知らないがあの霊王直属の部隊だ、只者ではない。

 

そうして出来た隊長の空席に誰が座るのかで最近は色めき立っている。各隊にはそれこそ隊長クラスの人はいるから、誰がなるかで賭け事をやってる奴らもいる。

 

「単刀直入に言えば、僕は君を推挙してもいいんじゃないかと思ってるんだ」

 

「!?」

 

「‥‥」

 

その言葉に驚くリサを見るとこの話いきなりしてるっぽいよな。俺はある程度分かってたけど。

 

「なぜ、自分を?」

 

「驚くべき速度での席官昇進、前例のない第一から第五分隊の副長兼任。それをやってのける技量。それでも自分の実力を過信することなく研鑽を続けるその姿。まさに隊長にふさわしいと思ってね」

 

「嫌々、買い被りにもほどがありますよ」

 

「そうかな? 少なくともここにいる人間は反対しないと思うけど?」

 

ここにいる人間って、リサしかいねぇっての。そのリサに顔を向ければ、

 

「アンタなら適任やろ。私も賛成や」

 

ほらぁ、と言わんばかりの顔をする京楽隊長。ほんとやめてほしいわ。

 

「貴方といい、浮竹隊長といい、物好きですよねほんと」

 

「そりゃ二人で話し合ったからねぇ」

 

やっぱりグルだったか。つかこの人たちは二人で一つみたいなとこあるからなぁ。総隊長の愛弟子でそのころから仲良かったみたいだし。でも、

 

「それなら浮竹隊長から聞いてるでしょ。俺に隊長は早いっすよ」

 

まだ死神になって浅い俺に隊長は早すぎる。それに、

 

「俺よりも隊長にふさわしい男がいるんで、そいつがなると思いますよ」

 

まぁこれも浮竹隊長に言ったのと同じだからだろう。やっぱりみたいな顔をして息を吐く京楽隊長。

 

「アンタよりふさわしい奴なんておんの? 私には思いつかんけど」

 

納得いかない様子で言葉を発するリサ。まぁ確かにあいつは二番隊とか隠密機動以外との交流少なそうだもんなぁ‥。

 

「浮竹は最近志波君にフラれて、傷心中なんだよ? それをまたえぐっちゃって」

 

「そればっかりはすみません」

 

海燕のヤツ、またかよ。だから俺が断った時に浮竹隊長スゲー落ち込んでたのな。それちょいと悪いことしたか?

 

「その様子だと意思は固いみたいだから、もう誘うことはしないよ。でもそんなに義理立てするような知り合いがいるのかい?」

 

やっぱ怖いわこの人。俺ふさわしい奴がいるって言っただけなのに知り合いってバレてるし。腹の探り合いとか本当に苦手だわ。敵には回したくないね。

 

「それはまぁ、またわかりますから」

 

そういって団子を食い終えて俺は二人と別れて二番隊隊舎へと向かうのであった。

 

 

 

*―――――――*

 

 

 

 

「只今参りましたよっと」

 

隊舎での雑務を終え、到着したのは四楓院家の屋敷。その奥にある大広間だ。ここにはある人に呼ばれてきてる。

 

「うむ、ご苦労じゃったの。どうじゃ流魂街のほうは」

 

まぁ呼ぶのなんて一人しかいないよね、我らが隊長様である。

 

「いつも通りだよ。そういや砕蜂(ソイフォン)は?」

 

「あやつなら少し外に出しておる。あやつがいるとおぬしとまともに話もできんからのぉ」

 

乾いた笑いを浮かべる俺。少し前、といっても10年以上も前になるが隠密機動の刑軍に入った少女、砕蜂。夜一になついていて、夜一に近寄るものを嫌う子だ。俺や喜助はよく目の敵にされている。

 

「今日は京楽が来たそうじゃのぉ。おぬしもモテモテじゃな」

 

「やめてくれよ。モテるなら女のほうがいい」

 

つかいつの間に耳に入ってんだよ、俺に監視でもつけてんのか?

 

「それで返事は?」

 

「断ったよ。つかアンタからあの話聞いといて受けるわけねぇだろ」

 

「それは何よりじゃ。‥すまんの」

 

「友達の昇進喜ばない奴はいないだろ。でも喜助が隊長ねぇ」

 

夜一が推挙したのは喜助だった。確かに実力は申し分ないし、頭はキレるし隊長としての器も十分ある。でも

 

「あいつが隊長羽織着てるのが想像できねぇんだよなぁ」

 

俺の言葉を聞いて声をあげて笑う夜一。つか当主といえど女がそんなラフな格好でいいのかよ。注意しても直んないからあきらめてっけどな。

 

「あやつなら十二番隊を任せられる、そう思っただけじゃ。なんじゃおぬし、隊長になりたかったのか?」

 

「冗談、興味ねぇよ」

 

俺はただ好きな奴らを守れればそれでいいんだ。

 

その言葉を出すことがなぜが恥ずかしくなって、そっぽを向き適当に話繋げていく。夜一も気にしないでくれてそのまま会話を続けてくれる。こういう時は一歩引くあたり大人だよな、なんて思っていたら。

 

「この辺でいいじゃろ。キリツグ」

 

「んだよ、急に改まって」

 

いきなり真面目な雰囲気をだしてこちらに向く夜一。しかしその口元はニヤリと笑っていて。

 

 

 

 

「おぬしを、二番隊副隊長に任命する」

 

 

 

 

…………は?

 

 

 

何やら、俺もただではすまんようだ。

 

 

 

 

 

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