親しくなってからぶっ壊れるまで   作:おおきなかぎは すぐわかりそう

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ミジカ。デモカキナオシタンヤヨ~。


母なる海だよ北上さん

 

 

 サボテンに、思い出したかのように水をやる。地面は湿り、土臭さが強くなるのを合図に、北上はちょこんと尖った針先を触った。

 鉢植えと合わせ15センチを僅かに超えるか超えまいか。ノッポの親サボテンと、その脇から子サボテンが、控え気味に生えていた。

 特有の棘はそこまで凶悪性が見られず、小さな体毛を無数に蓄える、ハリネズミのような風貌であった。

 ツンツンと強度を確かめるように、痛みを持って確認すれば、ムフーと腰に手を当て自慢げに見下ろした。

 

 

「あら北上さん、サボテンにお水ですか?」

 

 

「ん〜、何日かお水やるの忘れてたんだけど、普通の観葉植物だったら絶対に枯れてるよね〜」

 

 

 駆逐艦の子らがプレゼントしてくれたインテリアだっただけに、弱っていないか不安だったが、その心配も杞憂に終わったらしい。

 とは言え、サボテンの知識を数日で網羅した大井が一緒なので、そんな心配は不要だったりする。

 

 久し振りの休日をまったりと兵営で過ごす二人、北上は新しく秘書艦に任命され、大井とは別行動となる日が増えていた。

 不満の声はもちろん噴出。出撃ギリギリまでお目付役が張り付くこともしばしば、呪い殺さんばかりの怨念を引きずりながら退出するのも珍しくない。

 それを少なからず気にかけていた北上は、提督に無理を言い、正しくはゴリ押しで通した休日の申請所を手に今に至るのであった。

 

 

「にしても今日は何するかね〜。休日もらったはいいけど、特にやること決めてないんだよね〜」

 

 

「それでしたら私に提案があります!!」

 

 

「おぉ〜。何かな大井っち」

 

 

 ピシッと伸ばされた手を主張する大井に、北上が微笑みかければ、挙動不審に拍車がかかる。

 

 

「て、提督の相手をさせられて疲れているかと思いますので、リフレッシュも兼ねて運動するのはどうでしょう!」

 

 

「運動か〜、あんまり激しいのじゃないならいいよ」

 

 

「でしたらウォーキングなんてどうでしょう、血行を良くすれば疲れも取れますよ」

 

 

「うん、いいね。鎮守府の周りでもお散歩しようか」

 

 

「はい! でしたら早速、外行きの準備を」

 

 

 クロゼットをひっくり返し、コーディネートを考える大井。近場とは言え、北上さんの魅力を最大限に引き出せる服装でなければ納得できない。隣に並び立つ以上、両者のバランスにも気を使わなければならない。そんな結婚式の主役を立てる友人みたいな発想の元、提督への怒りを一時的に胸にしまうのであった。

 

 

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「いや〜、ちょっと陰ってるけどいい天気だね〜」

 

 

「これくらいの気温だったら過ごし易いんですけどね」

 

 

 雲の切れ間から定期的に顔を出す太陽。遮る物の無い海上では、彼女達にとって身近な存在であるが、いつもこのくらいの自己主張ならありがたいのに。

 女性として生を受けた現世。戦場に身を置くこと自体に変わりはないが、戦線が落ち着き余裕が生まれたことから、他の事に興味を示す艦娘も徐々に増えてきた。

 提督はこれをいい傾向と捉えており、様々なことに挑戦できる環境作りに力を注ぐ。

 当然ながら仕事量は否応なしに膨らむ。執務室での北上のお仕事、その7割を手伝う大井にとって、北上が負担を強いられていないかは不安の種の一つであった。

 

 

「そうそう、提督がボヤいてたんだけどさ〜」

 

 

 ウィンドーブレーカー特有のシャカシャカとした音を鳴らしながら、空を見上げて記憶を辿る。

 

 

「来週の中央会議の時、大井っちに護衛を任せたいとか何とか言ってたんだよね〜」

 

 

 その言葉に同居人はウゲェーと難色を示した。首都圏にいくらか近い方とは言え、田舎の印象が根深い此処からでは、泊りがけの出張になるだろう。

 何より、数多ある選択肢の中、どうして私が選ばれてしまったのかと言った困惑も含まれているのも確かだ。

 不幸中の幸いだったのは、秘書艦である北上が延長線上で同行する事となる、そんな看過出来ない事態を免れた事だろう。

 それを差し引いても、北上が前に指摘した仲良し発言が尾を引いてか、大井の中で勝手な苦手意識が芽生えてしまっているのだった。

 

 

「ん〜、悪い人ではないんだろうけどね〜。ほら、私の仕事を大井っちがやってくれてる時も口出しして来ないし」

 

 

 思い返せば確かにその通りなのだが、何か言いたげな提督に、微笑みを浮かべる大井。手に握られたペンからは、ピシ、パキッと不穏な音を響かせていた事実を追記せねばならない。

 悪い人ではなく、可笑しい人。その評価は変わらず大井の中にある、浮いた話の一つも聞かない提督には妥当な判断だろう。

 

 

「それは....ちょっと違うんじゃ無いですか?」

 

 

「ん〜、そうかな〜」

 

 

 丁度、鎮守府を一周した所で歩みを止める。広場で駆け回っていた駆逐艦の子達に手を振り返した後、ポッケに手を突っ込んで大井を見た。

 

 

「何だったら、私から提督に掛け合ってみようか?」

 

 

 何気ない発言で、さも当然のように向けられた北上の優しさに、心が温かくなる。しかし、大井が断った場合、果たして誰が代わりを務めるのか? そんな問題も同時に込み上げて来た。

 

 

「い、いえ! 北上さんの手を煩わせる訳には....お気持ちだけでとっても嬉しいです! はい!」

 

 

「本当に大丈夫?」

 

 

「大丈夫ですよ北上さん! なんだったら提督を引き摺り回して帰って来ますから!」

 

 

「アハハハ....本当に嫌だったら、遠慮なく言ってよ?」

 

 

「ン~~~~。北上さーん!!」

 

 

 感極まった大井が北上に飛び付く。よしよしと栗色のセミロングを撫でる北上の目は、優しさと母性に溢れていたのだった。

 

 





あー、良い感じにアイデア湧いて来たわ。

次は無理のない投稿が出来そうやな!!

7/25 AM5:44

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