親しくなってからぶっ壊れるまで   作:おおきなかぎは すぐわかりそう

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タイトル思いつかんかった。

手抜き乙。

うんちブリュリュ。


         

 

 

 

 気が付くと俺は、大井北上両名の部屋で突っ伏してヨダレも垂らして寝ていた。ねえなんで? おもっかった? あ、そう。成功に終わったはずの歓迎会にどうも心当たりがあるのにざわつき、陸奥にお酌してもらえなかったからだと、酷く後悔する。

 

 緊張のしすぎてお酒のペースを見誤ってしまったようだ、なんたるふかく。

 

 だがまあ、仕方ない。想像していた夢のような時間は幻想に終わってしまったが、また次があるさ、なんたって彼女はこの鎮守府所属の部下なんだから(エッヘン) 過去これほど自分の選択を褒め称えることは、後にも先にもこの一度だけだろう、そんなペースでワクワクしている。

 

 

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 うぅやべ二日酔いだ……気持ちわるうぅ。爽やかな朝の訪れからは到底かけ離れた便所への駆け込み。出せばスッキリする、頭お花畑の提督でも、瞬時に現実に引き戻されるのだった。

 

 今日の業務を確認する。人事のやりとりで一山超えたので、忙しくなるには会議に出て作戦指令書が届いてからか。内容物を吐き出したからと言って、提督の体調が万全になったわけではない。仕事が多い日じゃなくて良かったと、はめを外し過ぎた自分を戒める。

 

 戒めるのもそこそこに、一部の艦娘には絶賛不評の中抜けプランを制作する。戦艦枠なんて元々ないのと見たいなもんだから、他の艦種と合同で良いだろうと、陸奥との会話を今日の予定にねじ込む。

 

 書いた嬉しさで筆は踊って、久々の再会に胸躍らせる。あぁ何を話そう、とても決まった時間では全部伝え切れないかもしれない。この時ばかりは提督も、毎日の習慣と銘打って、おしゃべりする自分を責めた。どう計算したって時間を超過してしまう。力を手に入れるため、随分と大世帯になった鎮守府を投げ出したいとの思いは、今後も提督の悩みの一つとなる。

 

 

「よし、じゃあ休憩にしようか」

 

 

「はい、提督」

 

 

 陸奥との時間を一分一秒でも無駄にしたくないと時計を見るあまり、肝心の執務仕事は全く進まなかった。

 

 そして迎える待ちに待った時間。本命の陸奥がまだどこにいるのか不明なため、探しながらの日課遂行となる。鎮守府にいるのはわかっているのだが、最悪の場合すれ違いを繰り返して、悶々とした状態での午後の業務となってしまう。

 

 そうだ秘書艦にも聞いてみよう。三人よらば文殊の知恵。一人で考えるよりも良い意見が聞けるかもしれない。問題はどう質問するのかだが、ストレートに陸奥はどこにいると思う? なんて聞いた日には関係性を疑われそうだ。自意識過剰か? まあ確かに、何度も聞くようだったらそれは特別な感情を抱いていると思われても変ではないが……。

 

 あれこれ考えていると、秘書艦は休憩のためにマグカップを持って席を立ったドアに手を掛けた。これは不味いとその背中に、提督が待ったをかける。

 

 

「いや、ちょっと待ってくれ!」

 

 

「? どうされました提督」

 

 

「少し質問なんだが、新入りの長門型戦艦陸奥が今どこにいるかとか知ってたりしないか?」

 

 

「陸奥さんですか? そう、ですねぇ。……ちょっと存じ上げないですね、すみません」

 

 

「あいや、変な質問だったな。足を止めさせてすまなかった」

 

 

「はい、それでは失礼します」

 

 

 たくさんの新入りの中でも、一際目立つ存在だからと言って、その人がどこにいるかなんて昨日今日で推し量れるわけないじゃないか。冷静に考えれば理解できることであるが、陸奥に思考をかき乱されているのもあって、提督は性能の低下を自覚した。

 

 これではいかんと頭を振って、時計を見て焦る思いで立ち上がり、秘書艦の後を追いかけるように退出するのであった。

 

 

 

 

 

「……」

 

 

 陸奥部屋の前で一巡、二巡する。手をドアの前にやっていや間が悪かったどうするんだと、いやいやノックしなければ始まらんぞと、他の艦娘になら遠慮なく突入するのに、この時ばかりはどうしようもない。なぜなら久々の再会なのだから。もっとこう……感動的な再会にならないだろうかと、踏ん切りが付かずにいた。エアノックで感覚を掴み、良し!! と本物でも同じことをしようとするが、緊張して……はぁ。

 

 

 ガチャ

 

 

「「あ」」

 

 

「よ、よう陸奥。元気そうだな。ここの立て付けは大丈夫か? 必要なら妖精に修理を依頼するが……」

 

 

「……えぇ特に問題はないわね」

 

 

「「……」」

 

 

 き、気まずい……非常に気まずい。なんだ? 誰か死んだのか? 感動の再会とは程遠いぞ! とにかく話題。なんでも良いからこの空気を払拭せねば!! なんのために女心を学んでいたと思ってんだ、この時、この時のためだろう。今、今、今できないでどうするんだ。搾り出せ俺の経験値ぃー!! 

 

 

「よく訓練されているのね、ここの艦娘達」

 

 

「あ? あぁそうだな……」

 

 

「「……」」

 

 

「あの……外に出たいのだけれど」

 

 

「あ、そうか! いや、悪い悪い」

 

 

 褒められてポリポリと頬を書いた提督は、陸奥指摘に横にずれる。気分はまるで、自分の所有するおもちゃの兵隊を褒められた子供のような有様だ。心からの笑顔を浮かべ、陸奥の後をつける。

 

 

「……提督業も板についてきたわね、歓迎会の挨拶立派だったわよ?」

 

 

「そ、そうか。それは良かった、良かった。あそうだ、その日陸奥を探していたんだよ、お酌してもらおうと思ってな? 列にこないもんだから心配したんだぞ。具合でも悪かったのか?」

 

 

「えぇまあ……そんな所かしら」

 

 

「陸奥の活躍を雑誌で見るたびに誇らしい思いだったよ。どうだ、積もる話もあるだろう今夜一杯、昨日の飲み直しにってことで……」

 

 

「そう……ね。すごく嬉しんだれど遠慮させてもらうわ。提督その……二日酔いでしょ?」

 

 

「あ、あぁそうだよな、体調が悪かったんだそうだそうだ」

 

 

「「……」」

 

 

「じゃああの……約束があるから、またの機会に……ね?」

 

 

「そうだな、また時間のあるときにでも」

 

 

「それじゃあ……」

 

 

「それじゃあな」

 

 

 離れてゆく二人。手をブンブン振る速度は、いつもより残像を増やしているように思えた。

 

 綺麗だった。陸奥は変わらず美しかった。所作の一つ一つに優雅さが滲み、憂いを帯びた顔は保護欲をそそる。彼女のことは男として守らなければならない。そのためにも、この争いを一刻も早く終わらせねば。

 

 そのための兵隊を今日も存分に動かすべく、一国の主人である提督は、午後の業務にも力が入る。今なら書類百枚余裕で片付けられそうだ。

 

 

「ばぁ!!」

 

 

「……なんだ大井か、それじゃあな」

 

 

「え、えぇ〜ちょっと待ってくださいよ提督。さっき陸奥さんと一緒にいましたよね? なんの話されてたんですか?」

 

 

「……お前には関係ないだろう。そんなことよりまだ仕事があるからすぐに戻らないと、もう秘書艦も休憩終わってるだろうからな」

 

 

 ソローリソローリと近付いてくるのが視界の端に見えていた。よって特に驚きもせずに冷淡に対応していく。今日は軽巡の日ではない、よって大井にかける時間は無駄だ。

 

 

「あ! そうです。提督が食べたがっていたキムチ鍋を作ったんですけど、北上さんが全部食べ切れないらしんですよね? なのでどうしてもってゆうなら、提督に食べさせてあげようって考えてるんですけど……私は別に他の方に分けてあげても良いんですけどね? まあ、一応提督も頑張っているわけですし? 念の為聞いておこうかなって思ったんですけど……どうですか」

 

 

「話はそれだけか」

 

 

「へ? 話はそれだけって? 食べないんですか提督?」

 

 

「いらん、昼は食堂で食う。用はそれだけだな? それじゃあいくからな」

 

 

「え、いや……あの」

 

 

 足早に去っていく提督に、大井は悲しげな顔を浮かべてその背中を見る。タイミングが悪かったのだろうか、怒らせてしまったのだろうか。自分に不快な点があったかどうか見返したが、どうにも思い当たる節はない。

 

 新入りの陸奥との不可解な会話。その内容も推し量れずに、二人の間に何かあるんじゃないかと、ただただ不安を募らせるのだった。

 

 

 

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