親しくなってからぶっ壊れるまで   作:おおきなかぎは すぐわかりそう

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書いてて恥ずかしくなってきた。

黒歴史けってー。


エピローグ

 薄暗い部屋の中で、テレビをみてるんだかみてないんだかつけっぱなしで、それでもこの話題だけは元提督の耳にも届いたようだ。

 

 

『深海棲艦掃討作戦が最終段階へと移行しました。政府は各国との連携を視野に入れ、戦後の対応について議論するようです』

 

 

 戦争が終わり、俺に残ったものは沢山の部下の骸と、それを褒め称える昇進という名の称号であった。

 

 本格的な戦争が集結して、……俺が提督業をやめて早半年。気がつけば俺は、何もかもを失っていた。

 

 向き合うべき敵がいなければ、戦死者の無念と向き合わなければならない。自分で自分に頑張っているんだと言い聞かせながらその実、本当はいままでの犠牲者を意識しないための隠れ蓑にしていた。

 

 北上に面と向かって言われた"クズの本質"を理解した。あの後、眼帯を装備した北上は大井を失ったショックで……。いや、その先のことは俺もよく分かっちゃいない。風の噂だと、陸奥が主催するPTSD被害者の会に通っているとかなんとか。

 

 締め切った部屋で、酒を煽る。タバコも吸う。まるで、自分の寿命が尽きるのを必死に早めるように。今までの贖罪を果たすように。

 

 酒瓶がきれた。これがないとよく眠れない。フラフラとした足取りで外にでる。あれだけ辛い思いをした海に面するボロアパート。深海棲艦は、戦争で散った様々な怨念が具現化した存在。もしかしたら、俺が指揮していた艦娘も深海棲艦化しているんじゃないかと、そして俺を殺しに来てくれるんじゃないかと度々海を眺める。

 

 ……進んで海に出ないところを見ると、いざ目の前に彼女たちが現れたら、それはそれで醜態をさらすんだろうなと考えていたり。中途半端な罪の懺悔の気持ちなんだろうな、これは。

 

 

 

 

 

 買い物した袋片手に潮風に当たる。陸奥が望んだ平和の海だったはずなのに、いまは感慨深くもない。物思いにふける元提督は、先の大戦の出来事ばかり考えているので、たとえ背後を深海棲艦がぬるりと通り過ぎても決して気がつくことはないだろう。

 

 

 チョンチョン

 

 

 人の気配は周囲はなかったはずなのに、唐突に叩かれた肩に振り返り、視線を元に戻した。ビニール袋をガサゴソと探って、さっき買ったばかりのお酒の蓋をあけ、やけっぱち気味に腹の中へと流し込む。

 

 

「俺を殺しに来たのか、大井」

 

 

「……」

 

 

 有効な拠点を喪失しているはずなのに、それでも深海棲艦の相当が終わらない原因。人型と呼ばれる強力な深海棲艦が、引き際を見極めて戦闘を長引かせているからだ。

 

 彼女もまた、そんな相当な手練れの一人なんだろう。一体いつから自分が発見されていたのかは知る由もない。有無を言わさずに殺さない点から、最後の言葉ぐらいは喋る時間はありそうだが、酒瓶を持つ手は震え、脳を麻痺させようと必死に酒を流し込んだ。

 

 もちろんここで殺されても、俺は文句を言える立場ではない。

 

 

「うふふ、そんなわけないじゃないですか。殺す気ならもうとっくに殺しています」

 

 

「だろうな……」

 

 

「最後のご挨拶にきました」

 

 

「最後?」

 

 

「はい、深海棲艦最後の戦いです」

 

 

 ニュースの内容が思い出される。おそらくそのことをいっているんだろう。

 

 

「北上さんは元気ですか?」

 

 

「元気、いやうーん。しばらく会ってないからわからないが、陸奥と一緒にいるから心配いらないだろう」

 

 

「そうですか……それなら大丈夫ですね」

 

 

 元上官でありながら、部下のその後を把握していないなんて、大井はどう思っているんだろう。もっと彼女を安心させる言葉の一つや二つ出せたんじゃないかと、暗い気持ちになる。

 

 

「その様子だと……独り身ですか?」

 

 

「……そうだな」

 

 

「私が死んだのがそんなにショックだったんですか?」

 

 

「……かもな」

 

 

 背後からの質問に短く答える。自分がこうなってしまった覚えば多すぎて、言葉尻を濁すような返事しかできずにいる。

 

 

「提督がどれだけ思い悩んでいるかなんて、私には見当もつきません。あなたが指揮して、救った命があることは事実です。そんなに自分を卑下しないでください、曲がりなりにもあなたは提督なんですから」

 

 

「……元提督だけどな」

 

 

「私はもう沈んだ身なので……あなたのそばにいれませんけど、思い出を残すことは出来ます」

 

 

「そうだな、死んだ部下と語らうなんて一生ものの思い出……」

 

 

 いいながら振り返ると、冷たい唇が重なった。背伸びで目一杯の愛情を込めて、最初で最後の口付けだ。

 

 

「さようなら提督。あなたの幸せを心より願っています」

 

 

 余韻も残さないまま、大井は寂しい笑顔を浮かべて海を見つめた。

 

 




素人の話にここまで付き合っていただきありがとうございました。

本当ならお気に入りに登録していただいた方や、誤字脱字報告してくださった方々、評価をいれてくださった方々に、もっと早くお礼するのが礼儀ってものだったんだと思いますが、自分は出来た人間ではないので、この場でまとめて感謝の言葉とさせていただきます。

最後までご覧いただきありがとうございました。



完結した感想とこれからの課題
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